「ゲームプランナーは必要ない」ってホント?「何でもできる」プランナーの仕事


みなさんはじめまして。ライターのエビクロスと申します。

コンシューマゲーム業界でプランナーを4年ほど、ディレクターを丸1年経験し、今はフリーでいろんな仕事をしています。

今日は、私がゲーム業界に入ってすぐ叩き込まれた「プランナー観」についてお話いたします。

 

大学の卒業を控えた私は、様々な求人情報を検討した結果……

ゲーム業界にプログラミングもお絵かきもしない「プランナー」ってのがあるらしいから、大好きなゲームをお仕事にできるならやってみよう! と、ある大手メーカーの門を叩きました。

そのメーカーは大手の中で特に教育がしっかりしていると有名で、業務と平行しながらルーキーたちに多くの座学研修を行っていました。

そんな座学の中で、ある先輩プランナーの開催する座学のテーマに衝撃を受けたのです。

「プランナーは本来必要ない仕事」……というテーマでした。

 

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かつて「専業プランナー」は存在しなかった

「たしかに、そうかもしれない……」

私のようなゲームオタク上がりのゲームクリエイターは知っているのですが、プレステ初期くらいまでのスタッフロールでは、「プランナー」という項目を見かけることはあまりありませんでした。

「専業プランナー」つまり「考えるだけの人」のようなポジションがなかったのです。

いたとしても、プログラマやディレクターと兼任です。

「作る人」=「考える人」だったわけですね。

現在ゲーム業界に重鎮として君臨している大ベテランの人たち、例えば桜井政博氏や増田順一氏なども、何らかの専門性あるポジションと兼任した上で、プランナーやディレクターをやっていました。

 

じゃあやっぱり、プランナーっていらなくない?

プランナーだけが、ゲームのアイディアを出しているわけではありません。

プログラマもデザイナもゲームが好きで働いているので、当然プランナーのようにゲームを良くするアイディアは持っています。

さらに恐ろしいことに、彼らはそのアイディアを手元で完成させる力すらあるのです。

実際のゲーム制作でも彼らが数十分の作業でプロトタイプを作り、「こんなことできますけど」と提案するわけです。

制作が行き詰まったとき、これが突破口になることは多々あります。

 

目の前でアイディアが動いているわけですから、プランナーが文字や図で説明するよりずっとパワーがあるのです。

 

さて、専業プランナーの立場が危うくなってまいりました。

 

ゲームオタクの強みが一番活かせる職種!

昨今はゲームエンジンが発達し、プランナーもプロトタイプを作りやすくはなりましたが、それでも提案の具体性にはプログラマ・デザイナに一歩劣ります。

 

ではやはりプランナーは必要ない人たちなのでしょうか……?

もちろん、そんなことはありません。

ゲームとその裏側が複雑化の一途を辿る昨今。

プログラムとは別次元の、ゲームシステム・仕様を深く広く理解し、そしてそれらが「どうして面白くなっているのか」を言語化するためには、非常な専門性があります!

 

「何故マリオ1体の大きさがハテナブロック1個分に等しいのか」

「マリオ64は何故カメラを操作しなくても快適にプレイできるのか」

 

こうした問いに対して明確な答えを出すために議論し考察を深められることが、専業プランナーに求められる「地力」の一つだと私は考えます。

 

「面白さ」のために何でもできる、しなければならない仕事

先輩の座学に話を戻します。

「プランナーは本来必要ない仕事」。

もちろんその先輩は本当にプランナーが必要ないと考えていたわけではないのですが、先輩が思う「なぜプランナーが必要か」には、私の考える「地力」よりもっと深い答えがありました。

 

「面白さのために『何でも』やるのがプランナーの仕事である」、と。

プログラマーは「プログラミング」で、デザイナーは「アート」でゲームの面白さに貢献します。

「それら以外のすべて」で面白さに貢献することがプランナーの仕事である、と先輩は言いました。

先述したような、高度なゲーム論からゲームの仕様を発信するばかりがプランナーの仕事ではありません。

 

多くのタスクが予定通り進行しているか管理すること、

人間関係を取り持つ相談役になること、

天才的アイディアマンの高度すぎる日本語をチーム全員が分かるように翻訳すること、

ミーティングが迷走しないように司会すること、

最新技術のカンファレンスに出席して技術を共有すること、

最近遊んだ面白いゲームでの感動を雑談すること、

過去シリーズタイトルの仕様書が見つからないから、ホコリを被ったゲームキューブを遊びまくって仕様を調査すること……

 

どれもゲームの価値=面白さに貢献する、立派なゲーム制作の仕事なのです。

 

「プランナーは必要ない仕事≒誰にでもできそうな仕事だ。

しかし、プログラマが、デザイナが片手間にやるには重荷すぎて、本末転倒だ。

だから俺たちは「何でも屋の専門家」になろうぜ。」そういうオチの座学でした。

 

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まとめ

やはり、プランナーは複数の人間が集まってゲーム制作をするなら必要な仕事です。

「今、このゲームのために何ができるか」

チームの誰もが考えるべきことです。

そしてプランナーがこれに専念できることは、大きなメリットなのです。

実際のゲーム制作では、各自が目先のタスクに囚われてしまい、「何のためにこのタスクをやっているのか」を見失うことがあります。

それは本当に「ゲームのためになっていること」なのか?

プランナーこそが、率先してそれを見つめ直せるプロであるべき人たちです。

 

ある日、ディレクターとして一人のプランナーの仕事ぶりを個別にヒアリングしたことがありました。

とても評判が良かったのですが、とりわけ目立っていたのはこの一言です。

「あの人おらんかったら、チーム回らんで」。

羨ましいな、と思いました。

「ゲームのために何でもやっている」人に対する評価、プランナーに対する最高の評価です。

もちろん、人手不足や仕事を属人的にしないということとは別の話ですが、私もプランナーであった時に、こんな評価をされていたら良いなと思います(笑)。

プログラマ・デザイナーとそういう信頼関係が築けていると、プランナーのゲーム論を実現するとき100%以上の成果が出すことができるのです。

みなさんもプランナーになるなら「この人はゲームに不可欠な存在だ」と思われるような人を目指しましょう。

 

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ライター情報
ライター名:エビクロス
プロフィール:大手ゲームメーカーにプランナー入社。様々なタイトルの制作を経験後「自分のゲームが作りたい」とインディゲームレーベルの立ち上げに参加。PCゲーム「漢水」にてディレクターを務める。現在は一秒でも多く猫と過ごすことを目標に、様々な活動を展開中。

 

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