「売れるゲームのUI/UX 制作現場の舞台裏」レビュー


売れるゲームのUI/UX 制作現場の舞台裏」(以下、本書)では9つのゲームを紹介しながら、売れるゲームのUI/UXの共通項を紐解きます。

 

ゲームにおけるUI(ユーザーインターフェイス)とはメインメニューや、アイテム選択といったプレイする上で必要な情報類の配置や動きを意味します。

そしてUX(ユーザーエクスペリエンス)とはUIを操作し、ユーザーが「使いやすい!」と感じるポジティブな体験を意味します。

 

本書はまさにUI/UXの設計開発のためのノウハウが濃縮された一冊だと言えるでしょう。

また、要所で開発者が知っておきたいマーケティング/広告に関する知識の紹介や、UI/UXの開発者達のインタビューなどもあるので、実践的な内容に仕上がっています。

 

1.どんな人におすすめか

 

本書は既にゲーム開発現場でUI/UXを担当されている若手クリエイターにとって非常に参考になるでしょう。

自身が担当している作品を更によくするためのヒントが、各所にちりばめられています。

 

また直接UI/UXの業務に携わっていないクリエイターや他部署の方が、ゲームのUI/UXを理解するための一冊としても最適です。

 

2.本書の紹介

2-1.定番UIを下敷きに新機軸を考える

 

本書で紹介されている事例を読み進めていくと、「新しい!」「斬新!」と感じることができるUIは、実際には既存のものを下敷きに作られたものであったと知ることができます。

例えば、本書で紹介されているスポーツゲーム「ぼくらの甲子園!ポケット」の装備画面のUIが、既存のレースゲームを参考に開発されているということが紹介されています。

 

既存の優れたものを下敷きに、オリジナリティーを加えていくことで新機軸のUIを生み出すことができることが、具体例を含めて丁寧に解説されています。

 

2-2.ユーザーに与える情報は整理しなければUXが損なわれる

 

UIで伝えるべき情報を整理しなくては、UXが大きく損なわれてしまいます。

「このシーンで伝えるべき情報なのか?」「どのように配置すれば伝えたい情報をユーザーに届けやすいか?」といったことを入念に整理する必要があります。

 

整理する方法としては極限までシンプルに削ぎ落とす方法と、プレイを繰り返しその感覚に従いながら絞り込んで行く方法の2パターンを紹介してくれます。

 

2-3.ユーザーの声を拾う

 

優れたUI/UXを生み出すためには、ユーザーの声を拾って反映させていくことが重要になります。

ネットワークゲームやスマートデバイスゲームの場合はβ版の活用を。

アーケードゲームの場合はロケテストや、稼働後のゲームセンターでの様子からユーザーの声を集めましょう。

プレイヤーとのコミュニケーションの場を設けるために、フォーラムを立ち上げるというやり方もあります。

 

ただし全ての声を反映させるのではなく、取捨選択を行い、多くの声を集めた上でそのゲームに本当に必要な改善点や指摘のみを拾い上げていくことが重要です。

 

2-4.作業の効率化を図る

 

大規模なゲームの場合、プロジェクトが長期化することが多いので、ワークフローの整理法を取り入れるなどの作業の効率化を図りましょう。

ミドルェアの活用も効果的で、実際「ファイナルファンタジーXIV」はβテストの途中まではScaleformが使われていたとのことです。

これらのミドルウェアの活用を覚えておけば、あらゆる規模の開発に対応が可能になります。

 

3.まとめ

 

本書を読み終えた後、我々が何気なく遊んでいるゲームのUI/UXの仕組みに気づくことができ、見え方が変わってくることでしょう。

他にも、交通標識やATMなど、我々の生活環境を取り巻くあらゆるものが、UI/UXを研究した集合体だと認知できるようになります。

 

日常の様々なUI/UXを、ゲーム開発に転用することで、より豊かなゲームUI/UXを提供できるようになります。

ぜひ、本書を読んで実務に取り入れてみてください。

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