聖地巡礼・ゲーム編 浅草紀行


東京屈指の観光地として国内外に有名な、古き東京の象徴・浅草。この町は多くの文芸作品や映画・アニメなどの舞台として登場します。

最近では、合羽橋商店街を舞台にしたノイタミナのアニメ『さらざんまい』などが有名ですね。

そしてまた、ゲームの舞台としても度々登場している町です。

 

特に、文明開化の時代を舞台にしたノスタルジックな作品には、当時の代表的な繁華街として浅草がよく登場します。

たとえば「太正浪漫」のあの大ヒット作……。そんな浅草の中で、ゲームの舞台になった聖地あれこれをご紹介する、ヴァーチャル聖地巡礼の旅にしばしおつき合いください。

 

鷲(おおとり)神社

関連作品:『JUDGEMENT7 俺達の世界わ終っている』

住所:東京都台東区千束3-18-7

 

東京の初冬を代表する、催事「酉の市」で有名な神社です。商売繁盛の縁起物である熊手を販売するこの有名な行事の発祥地とされているのが鷲神社です。

『JUDGEMENT7』は浅草にあるゲーム会社を舞台にしたゲームで、作中にも現実と仮想の浅草各地が登場します。

その中であえて、浅草のはずれにあたる鷲神社をご紹介するわけは……。

 

作中のゲーム会社「ジャッジメント7」のモデルとなっているのは、作品の製作会社であるレッド・エンタテインメント様だと言われています。

それがどうして鷲神社と関係するのか? 疑問に思われるのも当然ですが、実はレッド・エンタテインメント様(当時の社名はレッド・カンパニー様)は以前、鷲神社のお隣、厳密には鷲神社が所有していた敷地内に社屋を構えていたのです。

今は会社は別の場所にあり、当時の面影はありませんが、このゲームの独特な世界観を生み出した源流がどんなところにあるのか知れば、ゲームの面白みが何倍にもなるかと思います。

 

浅草花やしき

関連作品:「アイドルマスター」シリーズ

住所:東京都台東区浅草2-28-1

 

浅草花やしきは、日本最古の遊園地とされています。

遊園地としては小規模ながら、独特のノスタルジーが人気の遊園地で、ゲームやそれ以外の多くの作品に登場しています。

 

その中で、特にこの場所と共に取り上げたいのは「アイドルマスター」シリーズです。

初代のアーケードゲームから始まり、歴代シリーズにはしばしば、花やしき遊園地が登場しています。

美希のデート(っぽい?)シーンなどは、今でも印象に残っている人も多いのではないでしょうか?

ちなみに、現在花やしきを運営しているのは㈱バンダイナムコアミューズメント様、つまり、アイドルマスターシリーズを製作している㈱バンダイナムコエンターテインメント様の姉妹会社です。

 

浅草六区

関連作品:『遙かなる時空の中で6』

住所:東京都台東区浅草2-4

 

かつて浅草を代表する歓楽街だった浅草六区。

全長わずか百メートルほどの道に、映画館や劇場、飲食店など多くの店が軒を並べ、娯楽と大衆文化の町・浅草を代表するメインストリートとなっていました。

 

「遙かなる時空の中で」は乙女系ゲームの大ヒット歴史ロマンシリーズです。

その多くは王朝時代の京都をイメージした都を舞台にした作品ですが、シリーズの中で唯一『6』は大正時代の東京を舞台にした作品となっています。

作中で何度も登場し、ヒロインのお相手とのさまざまな物語が語られる場となっているのが、当時日本有数の繁華街だった浅草六区です。

怨霊に泥をかけられてしまうシーンなどは、たいへん印象的だったかと思います。

 

そんな浅草六区も、今はすっかり昔の栄華を失い、浅草観光の中心地は東の浅草寺・仲見世界隈に移ってしまいましたが、逆にそのため、震災や戦災を経た今でも、六区周辺には昔ながらの浅草を彷彿とさせる町並が少なからず残っています。

 

仲見世通り

関連作品:『サクラ大戦2』

住所:東京都台東区浅草1-36

 

仲見世通りは浅草寺の参道に作られた商店街です。

軒が低くて間口が狭い、こじんまりとした店がひしめき合うその町並みは、まるで学園祭や縁日のように独特の楽しげな雰囲気を醸し出しています。

 

上述のレッド・カンパニー様がセガ様(現在のセガゲームス様)と共同開発した「サクラ大戦」シリーズの作中には、しばしば浅草の各地が登場します。

当時有数の繁華街である他、帝都内の第二の拠点となっているのが花やしき支部という設定なので、浅草は主人公たちの第二の地元なのです。

中でも、花やしき支部から部隊が出撃する際の、仲見世通りの出撃シーンは印象的です。

また、『サクラ大戦2』ではヒロインのひとりであるソレッタ・織姫と、彼女の父親の愛憎劇が描かれた舞台になっていたのが浅草でした。

 

先日、「サクラ大戦」シリーズの14年ぶりの新作となる『新サクラ大戦』の発売に先駆けて、浅草花やしきでイベントが行われました。

レッド・カンパニー様の手を離れても、サクラ大戦と浅草の関係はまだまだ続いて行くようです。

 

市村座跡

関連作品:『明治東亰恋伽』

住所:東京都台東区浅草6-18-13

 

最近TVアニメ化された、明治時代にタイムスリップしたヒロインが実在の明治の有名人たちと恋をする伝記ロマン乙女ゲーム『明治東亰恋伽』には、浅草でのデートのイベントが複数あります。

ただこの中で特に印象的なのは、ヒロインの相手役候補のひとりである川上音二郎の一座が上演している『金色夜叉』を観劇するシーンだと思います。

史実では、川上音二郎一座による『金色夜叉』の初演は、江戸時代から続く歌舞伎三座のひとつ・市村座(当時、浅草猿若町~現在の浅草六区にありました)で上演されました。

残念ながら市村座は1932年に火災で焼失して、現在は跡地に記念碑を残すのみです。

そんなこんなで、浅草各地のゲームの聖地をめぐってみましたが、筆者の一番のお勧めは他にあります。

 

凌雲閣(「十二階」)跡

関連作品:『御神楽少女探偵団』

住所:東京都台東区浅草2-13-10

凌雲閣は、かつて浅草公園(明治政府が浅草寺の境内を召し上げて造った公園)の敷地内にあった眺望用の高層建築です。

その名の通り、12階建て・52メートルで、現代でもちょっとしたマンションではかなわない高さですが、この建物が建設された1890年当時は、世界で一番高いビルでさえ106メートルでした。

この凌雲閣も世界有数の高層建築だったのです。

文明開化の時代の浅草を代表する観光地だった凌雲閣は上記の多くの作品にも登場しておりますが、その中でも筆者は『御神楽(みかぐら)少女探偵団』を推したいと思います。

 

製作会社が倒産するなど、トラブルが続いてゲームとしての完成度の高さがあまり知られていない御神楽ですが、後の『逆転裁判』などで用いられているミステリーAVGのゲームシステムの原型となった、証言中に相手の話に割り込むことによって新たな展開を引き出すシステムは当時画期的なものでした。

そしてまた、浅草を舞台とした作品の中でも、この作品は群を抜いて魅力的なものでした。

それは、この作品で描かれている浅草は、ただ単に現実世界にもある浅草ではないのです。

関東大震災で失われた凌雲閣のように、浅草が最も輝いていた時代の浅草であり、一方では江戸川乱歩が描いた浅草のような、おどろおどろしい情念が渦巻く、猟奇的で、そのくせ耽美的な、物語と一体化してはじめて成立する浅草だったのです。

 

いかがでしょうか? ゲームの中の浅草の魅力を体験する「聖地巡礼」、あなたもやってみませんか?

 

ライタ―名:feng

プロフィール:ゲームの企画・設定・シナリオを中心に、フリーランサーとして活動中。守備範囲は男性向/女性向、一般/R-18、ガチの歴史物から異能バトルアクション、ファンタジーからキャラ萌え物まで幅広い。他にもライトノベル小説・雑誌記事・商業広告・V-Tuber放送シナリオなど、なんでもやる模様。

 

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