『Frogger in Toy Town』に見る、名作ゲームの上手なリメイクの作り方


世の中には完全にゼロから生み出された作品は少ないもので、どんな作品にもオリジナルのゲームは存在するものです。

インスピレーションを受けただけでなく、新たに名作を自分の手で作り直してみようという試みも多く見られ、インディーズゲームの魅力はそんな独創性あふれるリメイク作品が溢れているという点にあるとも言えるでしょう。

 

『Frogger in Toy Town』は人気作品である『フロッガー』に大いに影響を受け、うまく現代風にリメイクした作品となっています。

 

『Frogger in Toy Town』とは

Frogger in Toy Townは、その名の通りおもちゃの世界に迷い込んだカエルを、うまく家へと帰してあげることが目的のアクションゲームです。

https://www.konami.com/games/frogger/tt/jp/ja/

 

カエルを上手に操作しよう

Frogger in Toy Townでは、プレイヤーはカエルを操作することになります。各ステージ毎に異なるマップが用意されており、プレーヤーは子ガエルを探しながらゴールまで連れて帰ることが目的となります。

 

ゴールまでには様々な障害物が待ち受けており、道路やリビング、川など、体の小さなカエルにとっては大きな壁として立ちはだかります。

命を落とさず無事に巣穴まで帰ることができるかどうかが、このゲームの大きなアクション要素となっています。

 

どこか懐かしい遊びごこち

ビジュアルこそ3D表現が美しい作品となっていますが、ゲームの基本は80年代に誕生した、単純明快なアクションゲームです。

簡単なタッチ操作でカエルを前へ前へと進めていき、操作を誤ればミス、再びスタート地点からやり直しという、実にわかりやすいルールとなっています。

 

ルールと操作が簡単だからといって、ゲームの難易度そのものが易しい訳ではありません。正しいタイミングで前へと進まなければ車に轢かれてしまったり、川で溺れてしまったりしてしまうので、一瞬の判断力が常に問われることになります。

ファミコンのような当時のレトロゲームには当たり前だった、ストレートなビデオゲームの遊びごこちは、多くの人を魅了することになるでしょう。

 

古典的作品『フロッガー』とは

そもそもFrogger in Toy Townは、ナムコの名作『フロッガー』現代向けにリメイクした作品となっています*1。

 

画期的かつ古典的な作品

フロッガーが初めてリリースされたのは1981年で、当時はアーケードゲームとして多くのプレイヤーを熱狂させました。

開発は大手ゲーム会社であるコナミが担い、その後の家庭用ゲームや携帯ゲームにも数多く移植されています。

どれも続編やリメイクという位置付けですが、それぞれの作品で異なるアレンジが様々なされており、様々なテイストのフロッガーを各作品で楽しむことができます。

 

プラットフォームも様々なメーカーのゲーム機が採用されているため、これほどまでメーカーを横断した作品もそうそうありません。

まさにフロッガーは、ビデオゲームの代名詞にふさわしい認知度をプレイヤーだけでなく、開発者の間でも共有されている、世紀の傑作ということができるでしょう。

 

フロッガーが秘めたエンターテイメント性

フロッガーは同シリーズだけでもかなりの作品数を誇っていますが、後世の様々なゲーム、そしてそのほかのエンターテイメントにも影響を与えたとされる作品です。

例えば音楽の側面に注目してみると、フロッガーは当時では珍しくすでに版権を持っていた既存の楽曲を積極的に採用されていたことがわかります。

 

以下のプレイ動画から、フロッガーのアーケード版には童謡「犬のおまわりさん」が惜しげもなく使用されていることが確認できます。

https://www.youtube.com/watch?v=m7rH57nqz14

 

他にも様々なテレビアニメの楽曲などが使用されていましたが、ゲームの展開に応じて次々にBGMが切り替わっていく仕組みも当時のコナミとしては新しい試みで、アクションゲームらしいハイテンポなプレイングを促してくれていました*2。

 

ボリュームに欠けるグラフィックと、限られた操作でどれだけプレイヤーをワクワクさせるかという仕掛けがふんだんに盛り込まれているからこそ、フロッガーは今でも高く評価されるゲームなのだと考えることができます。

 

『Frogger in Toy Town』がもたらした現代らしさ

ただフロッガーをスマホ向けに移植するだけではコピー作品と呼ばれてしまいますが、Frogger in Toy Townはフロッガーを現代的に作り直したという点で、大きなオリジナリティを確保することに成功した作品です。

 

3Dの物理演算

Frogger in Toy Townでは、初期の2D作品とは異なり豊かな3Dグラフィック、そして現実味のある物理演算をしっかりと肌で感じることができます。

主人公は小さなカエルである以上、人間サイズの家の大きさは彼らからすれば規格外ですし、自動車やちょっとした河川でさえも彼らにとっては大きな脅威となります。

 

アーケード時代では表現しきれなかった、カエルから見た世界のスケール感は、Frogger in Toy Townにおいてはしっかりと堪能することができるようになっています。

 

世界観の作り込み

また、人間の世界がリアルに作り込まれているからといって、シリアス過ぎないように世界観がうまく工夫されているところも魅力です。

Frogger in Toy Townという名前の通り、カエルは時に子供部屋の積み木の城に囲まれながら、外の世界を目指すチャレンジが課されることもあります。

健気に、それでいて懸命に子供部屋を脱出しようとするカエルの姿はどこか可愛げがあり、感情移入のスキマをプレイヤーの心に生み出してくれます。

 

リアルな世界とはいえ、どこかコミカルな描写が所々に見られるのがFrogger in Toy Townの特徴です。カラフルな色彩が華やかな家庭の様子や、おもちゃの車のデザインなどもファンシーで、ついつい眺めてしまうようなクオリティの高さを見せてくれています。

ゲームの根幹が初期作品から変わらず安定しているだけに、周辺の作り込みも周到に行われているのが、名作ゲームのリメイクならではの特徴といえそうです。

 

おわりに

Frogger in Toy Townは全年齢で誰でも楽しめるゲーム性が特徴です。

来るもの拒まずのシンプルなプレイングとアクション性、そして現代のリメイク作品ならではの世界観の作り込みはまさにゲームのお手本としての完成度の高さを私たちに示してくれています。

 

出典:

*1 ゲームキャスト「古典ゲーム『フロッガー』×3D物理演算=面白い。新たな面白さを生成した『Frogger in Toy Town』レビュー」

http://www.gamecast-blog.com/archives/65949731.html

 

*2 CD『千両箱』(1989)、DISC3「コナミ・ゲームサウンド・ヒストリー 1980-1985」解説ブックレットに記載

 

ライター名:Satoru Yoshimura

プロフィール:ライター。20年以上の付き合いがあるビデオゲームとアメリカ音楽をテーマとした活動が中心。「日本のゲーム音楽がヒップホップに与えた影響」などブログで公開中。

 

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