システムエンジニア(SE)の平均年収は高い? 年収を上げる方法は?
2021年1月29日

 

システムエンジニア(SE)を志す人の中には“年収が高い”ということが理由の人もいることでしょう。

しかし、システムエンジニアの年収に関する話題になると、人によって高かったり低かったりして混乱してしまうという経験があるはずです。

本記事では、そんなシステムエンジニアの年収に差がある理由や平均年収を上昇させる方法を紹介します。

 

システムエンジニアの年収に差がある理由

経済産業省の“IT関連産業の給与等に関する実態調査結果”によると、給与制度は企業・個人ともに“年功よりも能力・成果を重視すべき”という考えが過半数を占めているとのことです。

システムエンジニアは専門的な知識が必要な職業であり、学ぶべき知識が膨大であるため、年齢とともに蓄積される経験の他、他の人材にはないような知識も給与を決める上で考慮されます。

そのため、システムエンジニアの年収は能力・成果重視が支持を得ており、その分給与を決める指標なども複雑なものとなります。

 

システムエンジニアの平均年収

賃金構造基本統計調査(平成29年)の内容によると、システムエンジニアの平均年収は550.8万円で、全体平均年収の454.5万円を上回っています。

また、過去5年間を見ても500万円以上かつ全体平均年収より高い数値をキープしているので、比較的高い年収の仕事だといえるでしょう。

 

■年度/システムエンジニアの平均年収(万円)/全職種の平均年収(万円)

・平成25年/597.9/435

・平成26年/541.9/445.8

・平成27年/592.3/450.5

・平成28年/547.1/454.4

・平成29年/550.8/454.5

※賃金構造基本統計調査(平成29年)をもとに“現金給与額×12+年間ボーナス支給額”で計算

 

性別および年齢ごとの平均年収

性別および年齢ごとの平均年収を比べると、基本的に男性のほうが平均年収は高くなっており、もっとも差が大きい年齢だと100万円以上の差となります。

また、性別ごとの最大平均年収で見た場合も、男性が45~49歳の667.8万円、女性が55~59歳の619.4万円とある程度の差があります。

 

■年齢/男性システムエンジニアの平均年収(万円)/女性システムエンジニアの平均年収(万円)

・20~24歳/337.6/341.9

・25~29歳/450.9/431.2

・30~34歳/541/497.2

・35~39歳/582.1/497.4

・40~44歳/631.2/522.5

・45~49歳/667.8/543.3

・50~54歳/664.5/580.2

・55~59歳/645.3/619.4

・60~64歳/468.4/365.3

 

会社規模別の平均年収

会社の規模別で平均年収を見ると、規模が大きくなるほど平均年収も上昇する形となっており、10~99人規模と1,000人以上規模で比較すると100万以上の差が出ています。

また、10~99人規模、100~999人規模の場合は、賃金構造基本統計調査(平成29年)の内容から計算したシステムエンジニアの平均年収を下回っているという点も気になるポイントです。

 

■企業規模/平均年収(万円)

・10~99人規模/484.8万円

・100~999人規模/528.4万円

・1,000人以上規模/607.6万円

 

職種別の平均年収

マイナビ転職の“2020年版 職種別 モデル年収平均ランキング”によると、システムアナリストや情報アーキテクト・UI/UXデザイナーなどの平均年収が高いことが分かります。

 

■順位(ランキング全体)/職業(職種分類)/年収(平均)

・1位/システムアナリスト(ITエンジニア)/1,609万円

・4位/情報アーキテクト・UI/UXデザイナー(WEB・インターネット・ゲーム)/1,000万円

・5位/ITアーキテクト(ITエンジニア)/975万円

・7位/システムコンサルタント(業務系)(ITエンジニア)/932万円

・12位/フロントエンドエンジニア・コーダー(WEB・インターネット・ゲーム)/809万円

・13位/システムコンサルタント(ネットワーク・通信)(ITエンジニア)/807万円

・29位/パッケージ導入コンサルタント(ERP・SCM・CRM等)(ITエンジニア)/650万円

・33位/セキュリティコンサルタント)/ITエンジニア(638万円

・33位/プロジェクトマネジャー・リーダー(WEB・オープン・モバイル系)(ITエンジニア)/638万円

・43位/プリセールス・セールスエンジニア(ITエンジニア)/609万円

 

プログラミング言語別の平均年収

求人検索エンジン“スタンバイ”の“プログラミング言語別年収ランキング2018”結果は下記のようになっています。

 

1位のGoはC言語の置き換えとして基盤ソフトウェアの開発で採用されている他、ツールの開発やWEBサーバーでの活用などさまざまな分野で利用されています。

また、学習の容易さと実用性の高さからか、Overflowの年次レポートでもっとも愛されるプログラミング言語・スクリプト言語・マークアップ言語の5位にランクインしており、世界で人気の言語といっても過言ではないことが理由と思われます。

 

その他では、以前“【初心者向け】Pythonとは?特徴や活用方法を紹介!”で紹介したPythonも3位にランクインしている点にも注目です。

研究機関の研究者やデータサイエンティストによく利用されており、機械学習や統計分析の活用が進んでいるとのことです。

 

■順位/言語/年収中央値(万円)/最大提示年収(万円)/求人数(件)

・1位Go/600/1,600/2,202

・2位Scala/600/1,300/1,489

・3位Python/575.1/1,499/9,344

・4位Kotlin/575/1,200/961

・5位TypeScript/575/1,200/667

・6位R/574.8/1,000/220

・7位Ruby/550/1,200/11,676

・8位Swift/550/1,200/3,353

・9位Perl/525/1,200/4,509

・10位C/525/1,000/9,347

※年収中央値が同じ場合は最大提示年収が高く、求人数が多い言語の順位が上位となっています。

 

システムエンジニアに求められるスキル

経済産業省の“IT関連産業の給与等に関する実態調査結果”内の“IT人材の給与決定には何が重視されているか(企業と個人の認識)”によると、企業、個人ともに “ITスキルレベル”、“コミュニケーション(マネジメント)能力”を重要視しています。

また、企業側の回答では年功を重視するという内容のものが3割未満という結果になっているため、前述した2つのスキルを高め、成果につなげていくことが重要と思われます。

 

システムエンジニア(SE)が年収を上げるには?

 

1.転職をする

“IT関連産業の給与等に関する実態調査結果”内の“新卒入社時と転職時の重視ポイントの比較”の質問では、転職時する人材の75%が“給与・報酬”を重視する項目として挙げています。

また、“優秀な中途採用人材の給与面での優遇の有無”の質問では約6割の企業が優秀な中途採用人材に対して同年齢の新卒入社社員の最高給与水準を超えて処遇をすることがあると回答していることから転職は年収を上げるうえで有効な手段の1つと考えて問題ないでしょう。

 

しかし、優秀な人材であると感じさせるだけのスキルがなければ年収の上昇には当然つながらないという点には十分注意が必要です。

また、“給与制度の年功度が与える影響”の質問においては、自社の給与制度が年功序列であると回答したグループが、突出して転職に対して積極的な人の割合が高い結果となっています。

給与制度に年功度を重視している会社に転職した場合にはまったくの無駄足となってしまうという点も気を付けるべきでしょう。

 

2.フリーランスになる

自分のスキルに自信があるならば、フリーランスになることで成果がダイレクトに評価されることになり、年収の上昇を狙えます。

ある程度実力・経験を積んでいることが前提で、自ら仕事を取る必要もありますが、月100万円を超えることも不可能ではありません、

また、フリーランス向けの仕事紹介サービスなどを活用することも視野に入るでしょう。

 

フリーランスで活動する場合は、人脈の広さが重要となるため、会社で経験を積む段階から、できるだけ多くの人と仕事を紹介してもらえる関係を築くことを心掛けましょう。

人脈があれば仲介業者に頼る必要がなく、仕事の単価も高くなるため、地道ながら重要なポイントです。

 

3.プログラミング以外のスキルを身につける

前述のとおり、“IT関連産業の給与等に関する実態調査結果”内の“IT人材の給与決定には何が重視されているか(企業と個人の認識)”の質問では企業、個人ともに“ITスキルレベル”の他に“コミュニケーション(マネジメント)能力”を挙げています。

そのため、マネジメントスキルをはじめとしたプログラミング以外のスキルを身につけることも年収を上昇指せるための手段としては有効です。

また、キャリアアップを行いシステムエンジニア以外の職種につく場合でも必要となります。

 

4.資格を取る

システムエンジニアとしてのステップアップや年収の向上のために取る資格としてオススメなものは、情報処理技術者試験です。

情報処理技術者試験は、経済産業省が“情報処理の促進に関する法律”の規定にもとづいて実施する国家試験で、情報処理技術者としての“知識・技能”が一定以上の水準であることを認定します。

対象者別、レベル別、専門別に試験体系が構築されているので、自分の知識や必要な分野から試験区分を決めることができる他、下位から上位へと受験していくことで、自身のスキルを着実に向上させていくことも可能です。

 

ITエンジニアのキャリアパスに沿った試験体系で組織におけるIT人材育成に活用されており、合格者に対する資格手当・一時金などといった報奨金制度を設ける企業や採用の際に試験合格を考慮する企業も存在するとのことです。

また、本試験はIT業界全体での共通的な評価指標で、公平な評価に資する国家試験でもあることから発注先選定の際に考慮されるケースもあり、技術力の証明としてアピールできます。

 

基本情報技術者試験(FE)

高度なIT人材となるために必要な基本的知識、技能、実践的な活用能力を身に付けた人を対象とした試験です。

日本が目指すべき高度IT人材像に即したキャリアと求められるスキルを示した“共通キャリア・スキルフレームワーク”ではレベル2(基本的知識・技能)と位置付けられています。

本試験を通して基礎を身に付け、その後の応用に生かすこともできます。

 

試験時間は午前、午後ともに150分で、出題形式は午前が多肢選択式(四肢択一)80問、午後が多肢選択式80問です。

合格基準は満点の60%以上となっています。

 

■試験概要

試験時間:午前 150分/午後 150分

出題形式:午前 多肢選択式(四肢択一)/午後 多肢選択式

出題数:午前 80問/午後 11問

解答数:午前 80問/午後 5問

 

応用情報技術者(AP)

ITエンジニアとして応用的な知識・技能を有することを証明する試験で、“共通キャリア・スキルフレームワーク”ではレベル3(応用的知識・技能)に位置付けられています。

“基本情報技術者試験(FE)”と同じく試験時間は午前、午後ともに150分で合格基準は満点の60%以上となっていますが、午後の試験は記述式となっている点には注意しておきましょう。

 

■試験概要

試験時間:午前 150分/午後 150分

出題形式:午前 多肢選択式(四肢択一)/午後 記述式

出題数:午前 80問/午後 11問

解答数:午前 80問/午後 5問

 

データベーススペシャリスト試験(DB)

データベースの技術的な専門性を有することを認定する国家試験であり、データ管理者やデータベース管理者の他、インフラエンジニアも対象となっています。

データベースの専門家として膨大なデータ群を管理し、パフォーマンスの高いデータベースシステムを構築して、顧客のビジネスに活用できるデータ分析基盤を提供できる能力が求められる試験で、“共通キャリア・スキルフレームワーク”ではレベル4(高度な知識・技能)に位置付けられています。

合格率は例年10%と低く、試験のセクションも前述した2つの倍になっているので、しっかりと勉強したうえで臨むべき試験です。

 

■試験概要

試験時間:午前I 50分/午前II 40分/午後I 90分/午後II 120分

出題形式:午前I 多肢選択式(四肢択一)/午前II 多肢選択式(四肢択一)/午後I 記述式/午後II 記述式

出題数:午前I 30問/午前II 25問/午後I 3問/午後II 2問

解答数:午前I 30問/午前II 25問/午後I 2問/午後II 1問

 

まとめ

システムエンジニアの年収は年功よりも能力・成果を重視すべきという考えが広まっており、これからSEになろうという人にとって希望がある職種であるといえます。

しかし、思うようにスキルを身に着けられなかったり、スキルがあっても成果に結びつかなかったりすれば、他の職種よりも低い年収となってしまうでしょう。

年収の高さを目的にシステムエンジニアを志すのであれば、つねに需要の高い技術などを探して勉強していくことが必要です。

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