転職に関する情報をサイトで見ると時々キャリアアップについて書かれていることがあります。そうした情報に触れる際に気になる言葉として「転職してキャリアアップ」というフレーズがよくあります。転職すること自体がキャリアアップするように聞こえてくるため、筆者としては違和感を感じます。キャリアアップとは転職ではなく今行っている仕事を通じて得られる結果であると考えるからです。ここではゲーム業界におけるキャリアアップについて筆者なりの考えを述べたいと思います。
1)キャリアアップとは何か?
ゲーム業界におけるキャリアアップとは任せられる予算規模、管理する人員数が増えることだと筆者は考えます。それは、言い換えれば、どれだけの裁量権をもって仕事ができるか、というその人の会社における評価のようなものでもあります。
今いる会社におけるキャリアアップであれば、昇進によってある一つのゲームタイトルで任せられる責務が増え、結果に対する責任をそれだけ任せられることになります。プロジェクトに対して今までよりも自らコミットしていかなければならないため、プレッシャーでもあり仕事の楽しみでもあります。
その一方で、違う会社へ転職を通じてのキャリアアップであれば、前職で任せられることのなかった責務を新しい環境で任せられることになります。会社が変わったからといってもキャリアアップによって求められる仕事の質が異なってくるのは同じです。
2)管理職と専門職におけるキャリアアップ
上記で述べたキャリアアップとは管理職におけるそれとイメージが近いかもしれません。管理職とは別に専門職におけるキャリアアップもあります。ゲームクライアントのエンジニアであればキャリアアップすることによって与えられた要件定義に沿ってコードを記述だけでなくより上流工程における要件定義から行うことが求められます。マーケティング領域であれば、代理店やメディアとの取次を行うだけの下流工程ではなく、上流工程における戦略策定から設定することが求められます。
自分がキャリアアップしたいと考える際には、管理職と専門職のどちらの方向に進みたいのかを念頭に入れると道筋を描きやすいと思います。
3)転職で求められるキャリアの幅
転職で求められるキャリアは募集しているポストの会社内における位置や募集年齢によって異なりますが、たいていは募集内容に記載されていることがほとんどです。マネージメント経験が求められたり、一つのプロジェクトの中でどのぐらいの人数、期間、予算によってどれくらいの裁量権を持って自分が行動したかということが採用時に評価されます。
ただ、業界内で求めている人材と言えば、有名ヒットタイトルに立ち上げ時から携わっていた経験や業界内で前例のないような新しいことにチャレンジし数字として実績を出したような人材が評価されます。こうした経験を積むことによってキャリアの幅が出て、キャリアアップできるチャンスが広がり、転職時に良く評価されることがあります。キャリアを積んだことによってより給与の高い会社へ転職する時にアピールできる材料ができるので、積極的にキャリアアップできるチャンスを掴みたいところです。
4)キャリアアップと年収
キャリアアップと年収は密接な関係があり、会社員として年収を上げたければキャリアアップすることが必要となります。今の会社でキャリアアップしたことによってどれだけ年収が上がるのか賃金体系が公開されている会社がほとんどなので、予め調べておいて、この会社でこのぽポストに就くとこれだけの給料がもらえるとイメージを付けた方がよいです。なぜなら、会社によって賃金体系が異なるため、会社内でキャリアアップしたとしても、同じような責務を持っているのに他社における給料の方が高いこともあるからです。
キャリアアップすると年収が上がることもありますが、今いる会社でキャリアアップしたとしても自分が求める年収を稼ぐことができないこともあるので、会社任せにせず会社内の各ポストにおける年収レンジをつかむようにしておきましょう。
ゲーム業界の場合、アプリストアで売り上げトップをキープしている企業だからといっても決して給料が高いとは言えない場合もあります。転職する際には、転職エージェントや口コミサイトを使って自分が応募したいポストの年収レンジを把握することが大事です。