「あそびで企業課題を解決する」IKUSA×クロネコキューブが目指す未来像とは?
企業向けに「チャンバラ合戦」や「水合戦」といった体験型イベントを手がけてきた株式会社IKUSAに、関西の謎解きイベント専門プロダクション・クロネコキューブが新たに参画することが決定。IKUSAが展開するあそびを通じた「企業イベント・研修」「防災・SDGsなど社会課題の解決」と、クロネコキューブの強みである街歩きからキャンペーン、会社の懇親会まで「謎解きイベント」の企画制作力を掛け合わせることで、より多様なビジネス課題の解決が可能になる座組が実現する
今回の取り組みを記念し、9月1日(月)にはIKUSA代表取締役 ・赤坂 大樹さんと、クロネコキューブ代表・喜多 亮介さんによる対談イベントが開催された。両社の出会いと協業の経緯、そして“あそび”が持つ未来の可能性とは?対談の様子をお届けしよう。
目次
IKUSA×クロネコキューブ──協業に至る経緯
──お二方はどのようなきっかけで交流するようになったのでしょうか?
赤坂 大樹さん(以下、赤坂さん):弊社のクリエイティブチームのマネージャーである長谷川が、共通の知人からクロネコさんのお話を聞いたことがきっかけです。当時ちょうど、自社でもクリエイティブチームの強化や制作力向上を課題にしていたタイミングだったので、ぜひ一度お話ししたいと考え、面談を設定させていただきました。
喜多 亮介さん(以下、喜多さん):僕自身、以前は「クロネコキューブ株式会社」として活動していたのですが、法人としては諸事情で解散してしまい、屋号だけを残してフリーランス的に活動していました。そんな折に、長谷川さんと共通の知人を通じて「一度話してみないか」と声をかけられたんです。最初は軽い雑談のつもりだったのですが、そこに赤坂さんが突然現れて(笑)。お話しているうちに「一緒にやりませんか」とお声がけいただいて、そこから一気に進んでいきました。
赤坂さん:お会いしてすぐに「めちゃくちゃいい方だな」と感じましたし、クロネコキューブさんの制作力や対外的な信用は他のメンバーからも耳にしていました。お話をしていてもすごく印象が良かったんです。ちょうど数日後に大阪に行く予定もあったので、直接お会いして具体的な話を進めることができました。
喜多さん:本当にスピード感がすごかったですね。数ヶ月前までは予想もしていなかった展開で、自分を含めた社員2名も一緒にジョインすることになり、この短期間で状況が大きく変わりました。
両社が共感した理念と、協業で実現を目指す効果
〇左:喜多さん 右:赤坂さん
──お互いの第一印象や共感できた部分はありましたか?
喜多さん:赤坂さんの著書や記事は拝見していて、IKUSAさんは業界内でも有名だったので知っていました。「すごい方から声をかけられたな」というのが最初の印象でしたね。でも、実際に会ってみると、とても話しやすく親しみを持てる方で安心しました。
赤坂さん:クロネコキューブが2013年創業、IKUSAが2012年に創業と、お互いに独立した時期も近く親近感がありました。それに、今や謎解きイベントは世間でも認知度が高くなりましたが、その流れが広まる前から活動されていたという共通点もあります。あとは、イベント業は少人数での運営がほとんどで、絶対に逃げられない納期と向き合うという大変さや地獄もあって(笑)。その分、イベント運営の楽しさも知っている。同志として通じ合うものがあったのかもしれないです。
──クロネコキューブとして大切にしてきた理念は何がありますか?
喜多さん:何よりも「参加者の体験を最優先すること」です。もしクライアントの要望が参加者のニーズに合っていないと感じた場合には、きちんと意見を伝えることもあります。ユーザーに楽しんでもらい、良い思い出を持ち帰ってもらうことが最も大切。そのためにクリエイティブを作り続けてきました。
赤坂さん:その姿勢に自分も強く共感しています。10年続けてこられた重みがありますし、制約の中でどれだけ創意工夫をして最高の体験を届けられるか。我々も同じ思いでやってきましたので、安心して一緒に取り組めると感じました。
──クロネコキューブの強みはどこにあると考えていますか?
喜多さん:「謎解き専門」を掲げている点です。人狼やクイズなど他のコンテンツもやってきましたが、謎解きこそ自分が一番面白いと思える体験だったので、専門で打ち出すことにしました。しかも謎解きは決まった形がなく、周遊型・部屋型・イベント型などあらゆる形態に応用できます。だからこそ「謎解きのことなら何でもできる」という自負があります。
──IKUSAとして、協業におけるメリットは何があると感じていますか?
赤坂さん:IKUSAはこれまで防災や地域活性化など、BtoB/BtoC問わず総合的にイベントを続けてきた自負があります。ただ一方で、総合化を進める中で専門色が薄れるリスクとも戦ってきました。クロネコキューブさんのような専門性を持ったチームと組むことで、これまで以上にクリエイティブなサービスをユーザーに届けられると確信しています。
ToBのIKUSA/ToCのクロネコキューブ…両者の企画力を生かした今後の展開
──総合カンパニーのIKUSA、専門プロダクションのクロネコキューブが掛け合わせることで、どんな体験が生まれるのでしょうか?
赤坂さん:クロネコキューブさんのBtoC向けの強力な企画力と、弊社のBtoBにおける課題解決型のノウハウを掛け合わせることで、より立体的な価値を提供できると思います。プロモーションや企業研修に強みを発揮しつつ、見たことのない体験をユーザーに届けられる。両方の経験値を持つクリエイターが集まることで、挑戦の幅が広がります。
喜多さん:ジョインさせてもらう以上、まずはもともとの強みであるBtoC向けに面白いことを仕掛けていきたいです。例えば1カ所でイベントを開催するのではなく、全国ツアーのように、一つのコンテンツを全国各地で展開できたら面白いと思います。
赤坂さん:全国ツアーは僕もやりたいですね。BtoBに比べ、BtoCは、面白さへの賞味期限も早く、完成度への厳しさもかなり強い、クリエイターに大きな覚悟が求められる領域です。そこをクロネコキューブさんとともに作っていければ、これまで以上に大胆にチャレンジできる。さらにクロネコキューブさんが過去にやってきた幅広いコンテンツも活かして、新しい発想に挑戦していきたいと思っています。
──クロネコキューブの屋号や体制はそのまま継続されると伺っています。
赤坂さん:クロネコキューブというブランドは、今や業界では知らない人がいないほどの存在です。IKUSAのクリエイティブ部門とクロネコキューブの企画力が合わさり、まさに“最強のクリエイティブチーム”として、これまでにない新しい体験を提供できると考えています。
喜多さん:僕自身は「面白いと思ったことに全力で向かう」というシンプルな指針を持っています。それが崩れなければ、どんな形でもやっていけると信じていますし、IKUSAさんとであれば働くクリエイターも安心して働き続けられる環境が整えられると思います。
“あそび”が持つ価値と未来への展望
──お二人が考える「あそび」の定義や価値とは何でしょう?
喜多さん:深いですね…(笑)。あそび が何かと言われるとかなり難しいんですが、自分は“人間を人間たらしめてるもの”が遊びだと思ってます。謎解きという行為自体は探求心や知識欲が絡んでいるので、明確に「あそび 」ではないのかもしれないのですが、両者ともに人間の本能が謎を解かせると思うんです。本能的に人間がやってしまうという意味では、謎解きもあそびの一種 に入るのかなと思います。
赤坂さん:私は「プロセスが面白い」という点にあそび の価値を感じています。勝ち負けに関係なく、一緒にやること自体が楽しい。会社で言えば、飲み会や懇親会に代わる新しいコミュニケーションの形です。効果の可視化は難しいですが、確実にエンゲージメントや関係性を深める役割を果たします。
──謎解きや体験型イベントが与える効果とは何だと思いますか?
喜多さん:一番わかりやすいのは防災です。自分は2011 年の東日本大震災の際に脱出ゲームを作ったのですが、訓練ではないという状態で知らない人と協力し、何かしらの課題を解決するというトレーニングは、当事者意識を作る上ですごく重要になるんだと感じました。
たとえば避難訓練って、どうしてもやらされている行為になってしまうと思います。でも、脱出ゲームのように行為の中にストーリーを組み込むことによって、自分の中にスッと入ってくるというか。受け身ではなく自分が能動的に世界観の中に入り、自然と他者と協力しながら何かしらの課題を解決していくという体験には大きな価値があると感じています。
一方で、謎解きが万能なツールだとは思っていません。世の中のすべての社会課題に適用できるかと言われると、そこに限界がある。だからこそ僕らは謎解きの力を過信しすぎず 、謎解きが解決できる限界値を見極めなければならないと思ってます。
赤坂さん:社会課題の解決という側面もありますが、「人を楽しませたい」という想いで集まった人たちが働ける会社をつくること自体が社会的価値だと思っています。そういう人々を自分は「あそび人 」と呼んでいますが、彼らがプライベートを犠牲にするのではなく、楽しくあそび を追求していけるような環境を作ることが自分の使命でもある。楽しさを供給し続けることで、結果的に企業や社会にも良い影響を与えられると考えています。
──最後に、読者や関係者へのメッセージをお願いします。
喜多さん:これまでの活動が大きく変わるわけではありませんが、強い味方を得て、より面白いものを作れる環境が整いました。今後のIKUSAとクロネコキューブにぜひご期待ください。
赤坂さん:IKUSAは「あそび総合カンパニー」を掲げ、全国6拠点で年間1400件以上のイベントを展開しています。そこに関西の強力なブランドが加わるのは非常にありがたいことです。本気であそびをつくりたい 方にはぜひ仲間に加わってほしい。道のりは険しいですが、共に未来を広げていきましょう。