ゲーム業界における「パブリッシャー」とは?企業ごとの特徴や業務内容などを解説


ゲーム業界にはパブリッシャーとデベロッパーという分類があります。

このコラムではその違いを明確に解説した上で、パブリッシャー企業への就職・転職の方法をガイドします。

ゲーム業界を目指す人はぜひ参考にしてください。

そもそもパブリッシャーとは?

パブリッシャー(publisher)とは、英語で販元,発行元、出版社という意味合いがあります。ビジネスにおいては主に、コンテンツを提供する主体として発行・配信に携わる事業者のことを指しています。
レコード会社、出版社等がこのパブリッシャーに該当しており、後述するゲーム分野ではゲームソフトの販売元や宣伝会社、運営元がこれに該当します。近年ではweb業界において特定のwebメディアを運営する会社をパブリッシャーと表現する事があります。
どの業界、会社でも「商品を企画して宣伝を行い販売する事」に重点が置かれており、実際の商品の制作や開発は別会社(デベロッパー/スタジオ)に依頼する事があります。

なお別のツール名で、マイクロソフトから発売されている簡易DTPソフトウェアのMicrosoft Publisherがありますが間違えない様にしましょう。

1.ゲームパブリッシャーとは

1-1. ゲームパブリッシャーは、ゲームタイトルを販売・リリースしている会社

ゲームパブリッシャーとはゲームタイトルを企画し、宣伝広報や販売、リリースを中心に行っている企業です。

宣伝広報を担当することもあって、知名度の高い会社が多く、スクウェア・エニックス、任天堂、コナミ、セガなどのメジャーなゲーム会社の多くはパブリッシャーに分類されます。

 

1-2. ゲームパブリッシャーとデベロッパーの違い

デベロッパーはゲームの開発を中心に行っている会社です。

その形態としてはパブリッシャーが企画を起こしてデベロッパーに製作依頼するケースと、デベロッパーが企画から立ち上げてパブリッシャー企業に持ち込むというケースもあります。

 

一方、パブリッシャーは前述したように、企画・宣伝・販売・流通を行う会社です。

パブリッシャー会社の大手企業では、デベロッパーとしての機能も持っている所がほとんどですが、企業としては製作部分をあまり前面に出さない企業もあります。

 

関連記事:大手ゲーム会社をご紹介!大手と中小の会社の違いについても解説

 

1-3. ゲームパブリッシャーとデベロッパーの関係性

ゲームの開発・製作にはさまざまなノウハウがあり、プログラマーやデザイナー、サウンドクリエイターなど多くのプロフェッショナルを必要とします。

この部分を担当するのがデベロッパーです。一般的に言うクリエイターの集団だと思ってください。

 

パブリッシャーはまずどんなゲームが売れるのかを踏まえたマーケティングなどを含めて企画を行います。

そしてデベロッパーが製作したゲームを宣伝広報して販売します。

製作を行う部分と、宣伝・販売の部分は全く違うスキルや人材が必要なので、それぞれの業務を別の会社が行うことで効率がよくなる、という考え方です。

 

お互いに相手の存在があって成り立つことが明白ですから、WINWINの関係が成り立つのです。

 

ゲーム業界におけるデベロッパーについては下記の記事で解説しています。併せてご参照ください
→ゲーム業界における「デベロッパー」とは?業務内容などを解説

 

1-4. パブリッシャーの多くは人気企業である

関係性としては共存共栄ですが、宣伝業務などを担当することから、パブリッシャーは一般的な知名度が高くなります。

実際にデベロッパーとして優れた技能や実績を持つ会社は多数ありますが、知名度の点では任天堂やスクウェア・エニックス、レベルファイブなどのパブリッシャー企業の方が明らかに高いです。

知名度が高ければ求人も集中しますから、就職・転職先としての人気はパブリッシャーの方が高くなりがちです。

 

また、特にパブリッシャーの大手企業は平均的に福利厚生などがしっかりしている企業も多く、働きやすさの点でも人気があります。

 

1-5主な有名パブリッシャー

先述の通り、大手ゲーム会社はパブリッシャーとデベロッパーの両面を兼ね備えているパターンが殆どですが、ここでは主な大手ゲーム会社のパブリッシング例についてご紹介します。

 

任天堂株式会社

任天堂株式会社は京都府京都市に本社を置く誰もが知る大手ゲーム会社です。ゲーム機「Nintendo Switch」の販売や、「マリオシリーズ」、「ポケモンシリーズ」等、日本国内のみならず海外にも沢山のファンを持つ会社です。
そんな任天堂株式会社からリリースされている大ヒットゲーム「ゼルダの伝説」シリーズですが、主な企画やプロデュースは任天堂株式会社の宮本茂氏、青沼英二氏によって手掛けられ開発にも携わっていますが、実際に開発した会社としては株式会社カプコン/株式会社グレッゾがこれに該当しています。
また大人気コンテンツ「ポケットモンスターシリーズ」については、任天堂株式会社/ゲームフリーク/クリーチャーズの3社によって著作権を共有しており、パブリッシングは発売元である任天堂株式会社が担当。開発をゲームフリーク/クリーチャーズが担当しています。
(※後に2社のライセンス管理を手掛ける株式会社ポケモンが設立)

 

株式会社スクウェア・エニックスホールディングス

株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングスは東京都新宿区に本社を置くゲームパブリッシング会社です。会社の事業には、デジタルエンタテインメント事業や出版事業があり、「ファイナルファンタジー」シリーズや、「ドラゴンクエスト」シリーズの企画・運営を行っている会社としても有名です。
スクウェア・エニックスの代表作、「ドラゴンクエスト」シリーズの中でも2019年にリリースされた「ドラゴンクエストウォーク」はスクウェア・エニックスとコロプラの共同開発によって生まれ、プロモーションやイベント開催等のパブリッシング業務はスクウェア・エニックスが中心に行っています。

 

ソニー株式会社(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)

ソニー株式会社は、東京都港区に本社を置く電機メーカーです。中でもソニーのゲーム事業を担うのが株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下SIE)です。ソニーが100%出資する多国籍ビデオゲーム・デジタルエンタテインメント企業であり、ゲーム機器「PlayStation」の販売企業として世界的に有名です。
ソニーもまた、大手パブリッシャーとして知られており、PlayStation1~5に掛けて、多くのゲームデベロッパーがPlayStationタイトルの開発事業を行っています。
SIEから販売された大ヒットタイトル「Ghost of Tsushima」も、販売元はSIEですが、開発は海外のデベロッパーであるサッカーパンチプロダクションズが担当しています。
またソニー株式会社はゲームだけでなく、株式会社ソニー・ミュージックパブリッシングを構えて音楽事業における著作権管理・プロモーションも行っています。

2.ゲームパブリッシャーの業務内容

ゲーム パブリッシャー

2-1. ゲームタイトルの企画

開発をデベロッパーに依頼していると言っても、何もない状態で「売れるゲームを作って下さい」などと乱暴な依頼をするわけではありません。

タイトルの企画はパブリッシャーが行っていることが圧倒的に多いです。

そのため、詳細の開発を行うのはデベロッパーだとしても、パブリッシャーもクリエイターのスキルを持つ人を多数社員として抱えています。

パブリッシャーはゲームとしての新しさなどを踏まえて企画立案を行い、詳細まで考えてからデベロッパーに依頼するのが普通です。

 

2-2. ゲームタイトルの宣伝広告などのマーケティング

各タイトルの宣伝広告を行うのもパブリッシャーの重要な役割です。

商品化やタイアップ、アニメ化など、そのタイトルの特徴を踏まえたアピールをどのように行うかによって、売り上げ・利益は大きく左右されます。

そのため非常に責任が重い部門とも言えます。

どれほど優れた技術が投入されていても、ユーザーに知られなければそのゲームの面白みを知ってもらうことができませんし、利益が上がらなければパブリッシャーもデベロッパーも存続していけません。

 

2-3. ゲームタイトルの流通管理

ゲームの販売については物理的に物品として販売する以前からの業態と、ダウンロード販売などのネット上の販売もあり、流通管理も非常に大きな力を必要とする業務です。

ゲームソフトは国内市場だけでなく海外市場も存在しますから、流通部門がもつ役割も大きな影響力を持っています。

 

2-4. 自社タイトルの開発

ここまでの記述では、パブリッシャーは他社に開発業務は全て依頼している、というイメージを持たれたかもしれません。

しかしパブリッシャーの中でも、タイトルを自社開発しているところは少なくありません。

例えば業界でも最大手の一角である任天堂なども、積極的な自社開発を行っているパブリッシャーです。

 

また、デベロッパーとしての動きが強かった会社が、ヒットタイトルを生み出したことからパブリッシング事業に参入するケースもあります。

この場合、有能な開発チームが社内にいることが多いわけですから、その強みを生かしてパブリッシャーと名乗りつつもそのままデベロッパーの動きもしていることも珍しくありません。

 

3. ゲームパブリッシャーに就職するのがおすすめな人

3-1. 充実した環境でゲーム開発に携わりたい人

一口にパブリッシャーと言ってもその規模はさまざまですが、販売や宣伝を担うという役割からも企業規模が大きい傾向があります。

そのためデベロッパーと比較すると開発環境が整えられており、予算やスタッフも充実していることが期待できます。

充実した環境でのゲーム開発を望む人はパブリッシャーへの就職も考えてみましょう。

 

ただし、開発業務に就きたいと強く願っているのであれば、その会社が自社開発を行っているかは事前にしっかり調べておきましょう。

また、必ず希望する部署に行けるかはわからないことは承知しておきましょう。

 

3-2. 福利厚生がしっかりした会社を希望する人

この記事の1‐4でも説明した通り、パブリッシャーは大手人気企業が多く、平均的に福利厚生が整っているというメリットがあります。

同じゲームに関わる仕事をするとしても、福利厚生が整っていてこそ本業にしっかり専念できる、という考えを持つ人はパブリッシャーを目指すことをお勧めします。

 

3-3. さまざまなことにチャレンジできる土壌で働きたい人

会社規模が小さいデベロッパーは、新しいチャレンジをしたいと思っても実働の業務以外に人的リソースを割くことが難しいですし、失敗を吸収することも難しいので、企業としての大きな挑戦をすることは困難かもしれません。

 

しかし、大手パブリッシャーであれば、さまざまな企画にチャレンジすることも予算に組み込まれていますし、そのためのプロジェクトチームの活動も盛んです。

そのため、常にチャレンジングな環境に身を置き、刺激的に生きていきたいと思う人にはパブリッシャーへの就職はお勧めです。

 

4. ゲームパブリッシャーに就職するには

ゲーム パブリッシャー

4-1. 新卒採用は狭き門

ゲーム業界は成長分野ですから、その中でも知名度が高いパブリッシャー企業は、就職・転職先として競争率が高いことで知られています。

そのため学歴だけで入社できるわけではなく、技能や実績など企業にとって有利な人材であることをアピールできなければ、採用されるのは困難だと考えましょう。

関連記事:ぶっちゃけ、ゲーム業界への就職・転職に学歴は必要?

 

 

ここで、大手パブリッシャーの2019年の新卒採用状況を具体的に見てみましょう。

任天堂は80名、ソニー・インタラクティブエンタテインメントは26名、バンダイナムコエンターテインメントは52名、スクウェア・エニックスは43名、とある程度の人数を採用していますが、どの会社も非常に人気が高いため競争率も非常に高いのが実情です。

各社の推定求人倍率を詳しく紹介した記事がありますので、ぜひ参照してください。

人気ゲーム会社の就職倍率は?内定を勝ち取るためのポイントも説明

4-2. パブリッシャー、デベロッパーを問わず、ゲーム業界でキャリアを積み中途採用を狙う

上記の点を踏まえれば、パブリッシャーにダイレクトに入る道を考えつつも、デベロッパーも含めてゲーム業界でのキャリアをまずしっかりと積んでから大手パブリッシャーへ転職する、というのも一つの方法です。

 

パブリッシャーよりもデベロッパーは会社規模が小さいことが多いため、デベロッパーに入れば早い段階で多くの業務に関わることができます。

新卒にこだわる人でなければ、結果的には自分自身のスキルを強くする方法と言えるかもしれません。

 

4-3. 開発職以外にも募集をしている可能性があるので、チェックする

ゲーム業界を目指す人は開発部門を狙う人が多いでしょう。

しかし、パブリッシャー企業は平均給与が高い成長企業という側面も持っていますから、業種にとらわれずにパブリッシャー企業を狙ってみても良いでしょう。

 

パブリッシャーは会社規模が大きいですから、営業、事務経理、広報、カスタマーサービスなど多くの部門を抱えています。

また、経理や財務、法務などの募集を行っていることもありますから、開発職のみにこだわらず、自分自身のスキルやキャリアを踏まえて考えてみましょう。

 

またゲームに携わる仕事として、広報事務企画・デザイン・プログラマーなどについても解説しております。併せてご参照ください。
→ゲーム制作に携わる仕事の種類は?企画・デザイン・プログラマーなどゲーム職種を説明
→ゲーム会社の「広報」とは?仕事内容や必要な知識を説明
→ゲーム会社に事務で入社したい!業務内容と求められるスキルとは

 

 

5. まとめ

ゲーム業界のパブリッシャー企業の役割や、業務内容などをまとめました。

ここまで述べてきたようにゲームパブリッシャーは就職・転職の競争率が高いことで有名です。

クリエイターとしてパブリッシャーに直接入社できれば申し分ないですが、難しい場合は柔軟に他の方法も考えましょう。

 

方法としては、まずはデベロッパーも含めてゲーム業界での実績をしっかり積んでから、希望するパブリッシャーに転職する手があります。

また、クリエイターにこだわらず、別の職種でパブリッシャーに入社するという方法もあります。

 

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