コスプレをゲームシステムに取り込んだ『コスモプレイヤーZ』の企画力
もはや日本文化として注目されつつあるコスプレですが、これをうまくゲームシステムに組み込んだ作品があります。
『コスモプレイヤーZ』は、そんなコスプレとアクションシューティングを融合させ、注目の作品となりました。
目次
アクションシューティングな『コスモプレイヤーZ』
今作はコスプレとシューティングの融合を特徴とするゲームですが、蓋を開けてみると、とあるゲームに酷似していることがわかります。
基本システムは『アーチャー伝説』
コスプレ要素が強調されているように感じる今作は、メインとなるゲームシステムは有名アクションゲーム『アーチャー伝説』のそれに強くインスパイアを受けたものです。
『アーチャー伝説』はスマホ専用ゲームとして発売された作品で、指先の動きだけで爽快なアクションと、スリルのある難易度、そしてハックアンドスラッシュ要素を楽しめるということで、大いに話題となりました。
突如として登場したゲームとしては完成度が高く、スマホに最適化されたアクションを提供していたことから、世界中で数多くのダウンロードを記録しています。
『コスモプレイヤーZ』もまた、そんな有名作品の要素を踏襲し、片手で操作できる爽快アクションとハックアンドスラッシュを基調としています。
両手で操作する必要がないよう、敵を攻撃するにあたっての照準操作は自動で行われ、コントロールスティックを操作するだけで主人公を操作できます。
攻撃は足を止めているときに行われ、移動中は回避に専念というわかりやすいアクションの切り替えは、『アーチャー伝説』のそれを彷彿とさせる遊び応えです。
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コスプレで強くなる『コスモプレイヤーZ』
遊び方だけを見れば『アーチャー伝説』と大差がないように見えますが、今作最大の特徴が、コスプレによってプレイヤーキャラクターはどんどん強化されていくという要素です。
ステージクリアを重ねていくと、兵装としてプレイヤーに与えられるのはセーラー服や水着といった、なんともファンシーなコスプレ衣装です。
ただ見た目とは裏腹に、これらの衣装には全て属性やパワーが設定されています。
ゲームにおけるコスチュームというのはお遊びとしての能力、というケースが多いのですが、今作においてはコスプレが主人公を強化する手段として大いに活躍しています。
ただ主人公を可愛らしく着飾るだけでなく、敵と戦うための装備として、コスプレをうまく活用しながらステージクリアを目指すのがこのゲームの醍醐味です。
『コスモプレイヤーZ』のアレンジ力
『アーチャー伝説』にそっくりの作品とも言える今作は、オリジナルとの決定的な差異によって、独自の作品観を構築しています。
完成された作品『アーチャー伝説』の功績と課題
『アーチャー伝説』はスマホゲームとして、非常に革新的なシステムを導入したこともあり、今作も含め、後のスマホゲームに多大な影響を与えたと言っても過言ではありません。
しかし、そのようなイノベーティブな作品であっても、課題が全くないわけではありません。
例えば、ビジュアルの問題です。
『アーチャー伝説』は海外産のスマホゲームでしたが、洋ゲーによく見られるのが、キャラクタービジュアルやアイテムビジュアルの使い回しです。
この作品においてもそれは例外ではなく、使いまわし素材で作られていたり、あか抜けないキャラが活躍していたり、いかにも海外ゲームという感じを醸し出していました*1。
肥大化しているスマホゲーム市場において、個性のないビジュアルを基調とした作品は、どちらかというと敬遠されてしまいます。
粗悪な作品が多く出回っていることで、ビジュアルに力を入れていないゲームは第一印象で「粗悪」と思われてしまい、そのクオリティに見合ったプレイヤーを獲得できないためです。
「コスプレ」をゲームに組み込んだアプローチ
一方、このような『アーチャー伝説』の課題を受け、上手くインスパイア作品として成功したのが『コスモプレイヤーZ』です。
元作品とは対照的に、こちらは非常に魅力的なキャラクターたちが活躍すると共に、主人公の着せ替えがメインのゲームシステムとして機能しています。
その力の入り様は、さながら元作品の存在を思わず忘れさせてしまうほどです。
また、攻撃方法やスキルについても今作ではバランス調整が行われており、前作の仕様に不満を抱えていた人でも楽しめる作品に仕上がっています。
『アーチャー伝説』を知らない人はもちろんのこと、元作品を遊んだことがあるという人も、また違ったテイストで楽しめるのが今作というわけです。
『コスモプレイヤーZ』に見る、独創的なゲーム企画の作り方
インスパイア作品でもある『コスモプレイヤーZ』ですが、このゲームでしか実現し得ないような独創性を確立するアプローチにも注目したいところです。
既存作品の課題を洗い出す
オリジナリティあふれる作品の制作は、ゲームクリエイターであれば誰もが憧れるところですが、ゼロから面白いコンテンツを作ることは至難の技です。
そこで大切なのが、既存の作品からインスパイアを受けることです。
『コスモプレイヤーZ』の様に、元作品の要素が色濃く残っていたとしても、うまくオリジナリティを工夫して差し込むことが重要です。
元ネタとの差別化において重要なのが、既存作品の課題解決です。
すでにある作品からインスパイアを受けたと言い張っても、新しく製作したものがオリジナル以下の仕上がりであれば、粗悪なコピー品と評されてしまいます。
こういった事態を回避する上で、元作品の課題の解決は大切です。
『コスモプレイヤーZ』の様に、『アーチャー伝説』で見受けられたビジュアルの軽視を「コスプレ要素」によって解決すれば、インスパイア作品として多くのプレイヤーに愛されることができます。
課題に沿った要素を多面的に検討する
課題を見つけることができれば、それをクリアにするためのアプローチを考えてみましょう。
実は、ここがそのゲームのオリジナリティを大きく左右する要素でもあります。
ここでまた『アーチャー伝説』の例を見てみましょう。
このゲームはビジュアルが貧弱であることは前述の通りですが、だからと言ってそのままオリジナルの、質の高いビジュアルに変えれば良い、というわけではありません。
『コスモプレイヤーZ』は、ただキャラクターに個性を持たせただけでなく、「コスプレ」という着飾る要素をさらにゲームへ取り込んだことで、独自の世界観を構築しました。
ビジュアルの弱さを、逆に個性へと発展させ、課題解決と共にオリジナリティをも獲得したというわけです。
元作品をなんとなく遊ぶだけでは「コスプレ」という要素にたどり着くことはできませんが、「ビジュアルの弱さ」を多面的に検討することで、この様なユニークなアプローチにたどり着くことができたのでしょう。
おわりに
コスプレをゲーム要素に差し込むとなると、ついついお遊びの要素としておまけ的な扱いで導入してしまいがちです。
しかし『コスモプレイヤーZ』の様に、特定の課題解決に最適な手段をうまく見つけることができれば、コスプレもゲームの核となる、立派な役割を果たせます。
独創的な企画を作るには、多面的な視点で課題を見つめることが重要です。
併せて読みたい記事
・スマブラのプロデューサーが考える、面白いインディーゲームの企画の仕方
・ゲームの企画を短時間で生み出すために必要なこと
・人間を機械で表現?『Homo Machina』に見るゲームの面白いアイデアの作り方
参考:
*1 ゲームキャスト「着替えるたびに強くなるコスプレ・アクションシュー『コスモプレイヤーZ』レビュー。これが日本向けの魔改造『アーチャー伝説』だッ!」
http://www.gamecast-blog.com/archives/65976278.html
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ライター名:Satoru Yoshimura
プロフィール:ライター。20年以上の付き合いがあるビデオゲームとアメリカ音楽をテーマとした活動が中心。「日本のゲーム音楽がヒップホップに与えた影響」などブログで公開中。
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『コスモプレイヤーZ』公式サイト:https://www.sommitgames.page/
『コスモプレイヤーZ』App Store:https://apps.apple.com/us/app/%E3%82%B3%E3%82%B9%E3%83%A2%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%A4%E3%83%BCz/id1544651033
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