ゲームタイトルの炎上はどういった経緯で起こる?開発者が避けるべき項目


 
近年SNSが社会に浸透したこともあって、ゲームタイトルが炎上する事例は少なからず見られます。このコラムでは、ゲームタイトルが炎上する理由を解説した上で、炎上が起きたときどう対応すべきかに言及します。
 

1. ゲームタイトルが炎上してしまう主な理由と昨今の例

ここでは、ゲームタイトルが炎上する主たる理由8種類を紹介します。
 

1-1. 過度なゲームバランスの崩壊やバグの発生

「ゲームバランス」とはゲームのおもしろさを維持するための基準です。例えば特定のキャラクターだけが強すぎたり、ゲーム内の通貨や報酬の価値が一定しなかったり、ゲームの序盤でクリア不可能なほど高難易度な課題が与えられたりすることを「ゲームバランスが悪い」と言います。
 
プレイヤーは楽しさを得るためにゲームをプレイしているので、ゲームバランスの悪さで不公平感を強く抱かされると怒りや失望を覚えます。そしてその中には、批判の範囲を超えてバッシングを始める人もいるでしょう。
 
また、バグが多いことでゲームを思うように進められない場合も上記と同様に不満を感じます。プレイに影響しない程度の小さなバグであれば、大騒ぎにはなりません。しかし、頻繁にフリーズしてプレイが進まない場合などは、「テストプレイやデバッグが適切に行われていない」と評価され、そのタイトルや開発者に批判がむけられます。
 
さほど注目されていないタイトルであれば、不満に同意する人も少ないでしょう。しかし、有名シリーズや大手ゲーム会社が出すAAAタイトルであるほど注目度は高いので、不満の声が各所で上がり、炎上が起こります。
 

1-2. 価格や期待感に対するボリューム不足

ゲームボリュームはタイトルごとに異なるので、どの程度が適切と決まっているわけではありません。また、クリアまでにかかる時間はプレイヤーの技能やプレイスタイルによって変わりますし、かかった時間に対する感覚の違いもあるため、ゲームボリュームの評価には個人差があります。
 
しかし、数千円で購入した大手ゲーム会社がリリースした話題のゲームが、わずかな時間で終わってしまうようでは多くの人が不満を感じるでしょう。
 
メインのストーリーやクエストがボリューム不足でも、サブコンテンツや繰り返しプレイできる要素があれば批判されにくいですが、それらの工夫もないと「払ったお金に見合わない」という批判が起きがちです。一方、数百円でダウンロードできる無名のインディーゲームであれば、物足りないと思う内容であっても炎上することはないでしょう。
 
つまり、価格や期待値に対してゲームボリュームが見合わない場合、不満の声が高まり、炎上することがあります。
 

1-3. 広告内容とゲーム自体の内容の乖離

ゲーム会社は「できるだけ利益を上げたい」という思いから、リリース前に様々な告知を行います。しかし、リリース前のプロモーション映像で見せた内容と実際のゲームの内容が違う場合や、プロモーション画像より実際の品質が大きく劣っている場合などは炎上騒ぎが起きがちです。
 
ユーザーは広告によって期待を煽られて購入するわけですから、程度によっては「広告詐欺」と言われることもあります。
 

1-4. 倫理的な問題・センシティブなテーマ性

戦争はゲームでしばしば扱われる題材なので、戦争を背景とするだけで批判されることはありません。しかし、描き方によっては「実際の戦争を商業利用した」、「兵士や戦争被害者の苦しみを娯楽化している」と批判されることがありますし、過度な場合は炎上騒ぎが起こることもあります。
 
また、性的、暴力的、差別的な内容も炎上騒ぎに発展することがあります。性描写や暴力描写はレベルによってレーティング(年齢制限)することで社会にある程度受け入れられますが、人間の尊厳を無視した内容を娯楽化していると判断された場合は大きな批判を浴びることもあります
 

1-5. 歴史的背景の理解・解釈不足

国や民族の歴史的背景への配慮を欠いたことで、炎上するタイトルもあります。その種類として、以下の3パターンがありがちです。
 
①適切な知識がないまま他国の歴史を描き、誤解や偏見を含む表現が批判を受ける
②実際の戦争を題材にする際に、事実をゆがめて特定国を「悪」として描いて批判を受ける
③史実を描く際に正確性を欠いて批判を受ける
 
開発側としてはフィクションのつもりでも、史実や歴史を扱う場合「自国の文化を否定された」、「特定国への反感を煽る」、「あり得ない」と批判される可能性があります。そのため、開発者は歴史や文化へのリスペクトをもつことが求められます。
 

1-6. 課金関連の問題

課金に関する不満も炎上の原因になりがちです。基本無料のソーシャルゲームはゲームの中で課金してもらうことで利益を出すビジネスモデルが多いので、ほとんどのユーザーは課金自体を悪いとは思いません。無料の範囲である程度プレイでき、より深くゲームを楽しみたい、もっと強くなりたい、と思う人が予算に合わせて課金し、その対価として楽しみや勝利を得る、という循環がうまくいく例も多数あるからです。
 
炎上に繋がるのは、課金しないと楽しめないようにゲームがデザインされている場合や、ガチャのレアキャラやレアアイテムの排出量が不明瞭な場合などです。
 

1-7. ゲーム会社の対応や発言によるもの

炎上案件の中には、ゲーム会社の対応の悪さや発言によって起こるものもあります。特に告知ミスやバグの多さなど、ゲーム会社側に問題があったときに、対応の遅れや謝罪不足、説明不足などがあるとユーザーの怒りを買いがちです。
 
また、開発者の発言にユーザーへの敬意が見られなかったり、差別的な発言が含まれていたりする場合も炎上に至るリスクがあります。
 

1-8. ゲーム性・デザインが他社タイトルと酷似

ゲーム性や登場キャラクターがほかのゲームと酷似している場合、「パクリ」と批判されがちですし、「パクられた」ゲームのファンからのバッシングで炎上に至る可能性があります。
 

2. ゲームタイトルの「低評価」と「炎上」の違い

ユーザーの中には「低評価」と「炎上」を混同する人もいますが、これらは同一ではありません。
 
総務省の「情報通信白書令和元年版」によると、炎上とは「ウェブ上の特定の対象に対して批判が殺到し、収まりがつかなさそうな状態」「特定の話題に関する議論の盛り上がり方が尋常ではなく、多くのブログや掲示板などでバッシングが行われる」と解説されています。
 
つまり「炎上」はWeb上で起こること、批判の殺到や議論の盛り上がりによるバッシングなど、大勢が関わるものであることがわかります。一方、評価はWebとは関係ない場所でも語られますし、少数でも成り立ちます。また大勢が低評価と判定しても、批判やバッシングが起きなければ炎上ではありません。「面白くなければやらなければいい」としてただユーザーが離れていくだけだからです。
 
以下で、より具体的に解説します。
 

2-1. ユーザーの「期待を裏切られた」という感情が低評価から炎上に発展しやすい

「低評価からの炎上」が起こる背景には、「期待」が絡むことも多いです。
 
例えば期待値が低いインディーズゲームであれば、低評価が集まったりSNSで酷評されたりしても注目度が低いので賛同者はさほど集まらないでしょう。むしろ内容によっては次回作のためのフィードバックにもなりえます。
 
しかし、有名シリーズの新作や、大手ゲーム会社によるAAAタイトルであればゲーム開始時点の期待値は高くなりがちです。そのため、不具合が多い場合やボリュームに不足を感じた場合の「裏切られた感」は強く、共感する人も多いため、炎上に発展する可能性が上がります。
 

2-2. 「低評価」はリリース後にしか発生しないが「炎上」はリリース前にも発生しうる

そもそも「低評価」はゲームをプレイした後にしか発生しません。一方、「炎上」はリリース前でも起こります。例えば何度もリリース時期を伸ばしたり、開発者の不用意な発言があったりすると、ゲームをプレイする前でも批判やバッシングが集まることがあるからです。
 

3. 「炎上は開発者や広告担当などの配慮のなさからしか発生しない」は本当?

炎上の原因がゲーム会社の配慮(テーマ性・ゲームバランス・発言など様々)が不足であるケースは少なくありません。しかし、有名タイトルであればある程度の「アンチ」が存在しており、その人たちが過剰にバッシングをした結果、あまり知らない人が便乗して炎上が起こるケースもあります。
 
そのため、仮に炎上が起こったとしてもまずその理由を確認し、冷静に対処することをおすすめします。
 

4. ゲームタイトルが炎上してしまったらどうすべき?

ここでは、ゲームタイトルが炎上したときの対応を、ユーザーの立場と開発、運営者の立場の両面から解説します。
 

4-1. そのゲームタイトルが好きなユーザーの場合

好きなタイトルが炎上している場合、まずその理由を確認することが重要です。そのうえで、ゲーム会社に非があるなら、ユーザーとして適切な批判や意見を述べるのはゲーム業界の発展のために役立ちます。
 
ただし、批判の範囲を超えて過剰に怒りをぶつけたり、本題とずれた部分でバッシングしたりするのは業界全体のマイナスになりますし、個人と社会の両方に不利益となります。
 
これを踏まえて、言うべきことを言った後はいったん離れて様子を見るなど、冷静な対応を心がけましょう。ずっと渦中にいてはフラストレーションが蓄積し、「客観的に見たらただのアンチ」になってしまいます。
 

4-2. そのゲームタイトルを開発・運営している場合

ゲーム会社としては、まず事実確認や批判の方向性、規模の把握などを行ったうえで、誠意ある対応を重視しましょう。雑な対応やごまかし、問題の先送りや逆上などは事態を悪化させ、さらなる炎上の要因となるので絶対に避けてください。
 
ゲームの内容で自社に非がある場合、まず状況説明と原因の報告を行ったうえで謝罪することが必須です。そのうえで対応の方向性や対応時期などを早めに発表する必要があります。
また開発者の失言などであれば、謝罪と撤回、今後の姿勢などを示すことが重要です。
 

5. まとめ

ゲーム業界で起きがちな炎上の原因を説明し、炎上が起こったときの対応についても解説しました。
 
ユーザーであっても開発、運営者であっても、まず炎上がなぜ起きているのかを確認し、冷静に対処することが重要です。そのうえで、ユーザーであれば根拠ある指摘や適切な批判はしても、過剰なバッシングに参加しないことをおすすめします。
 
一方、開発、運営者であれば、問題の究明や対策の方向性などを早急に考え、謝罪を含めた誠意ある対応に努めて、2次炎上を起こさないよう注意しましょう。
 

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