
「シューティングゲーム」はどういうジャンル?分類や歴史を紐解く
「シューティングゲーム」はビデオゲームの黎明期から存在するジャンルなので、多くのサブジャンルも存在します。このコラムでは、シューティングゲームの主な分類を解説したうえで、発展の歴史や今後の展望などにも言及します。
1. シューティングゲームとは?主な分類
ここではシューティングゲームとは何かを説明し、主な分類についても解説します。
大分類として2Dシューティングと3Dシューティングがありますが、このコラムでは主に2Dシューティングを取り上げていきます。
1-1. 2Dシューティングゲーム
1-1-1. 固定画面シューティング
シューティングゲームの黎明期に存在したタイプで、名称の通り固定された画面内の敵と交戦します。画面内の敵をすべて倒すと次のステージに進む仕組みで、「○面クリア」といった表現が使われていました。
代表作に『スペースインベーダー』や『ギャラガ』などがあります。
1-1-2. 縦・横・斜めスクロールシューティング
固定画面タイプに続いて1980年代に登場した派生形です。1980年には画面が横にスクロールする『スクランブル』、1982年には高さの概念を疑似的に取り入れた斜めスクロールの『ZAXXON』、1983年に画面が縦にスクロールする『ゼビウス』がリリースされ、それぞれ人気作となりました。
特に『ゼビウス』は高い人気を得たため、その後「ゼビウス」に影響を受けたタイトルが複数登場しています。
横スクロールタイプは『グラディウス』や『ダライアス』などの人気作が登場しましたが、アーケードゲームとしては縦スクロールが主流でした。そのなかでも、『ボンバー』、『タイガーヘリ』は今も語り継がれる名作です。
また、縦スクロールシューティングはスマートフォンでプレイしやすいため、2025年現在も多数存在しています。
1-1-3. アクションシューティング
アクションシューティングゲームは、シューティング要素とアクション要素を組み合わせたゲームです。ゲームの目的は敵の殲滅や生き残りなどタイトルによって異なります。
1-2. 3Dシューティングゲーム
1990年代になって様々なゲームが3D化していきましたが、シューティングゲームにも3D化の波が訪れました。
2Dシューティングではプレイヤーが扱うのは戦闘機などが主流でしたが、3Dシューティングは人を操るタイプが増えます。これによって没入感が大きく変化するので、同じ「シューティング」であっても、2Dと3Dのプレイ感覚はかなり異なります。
1-2-1. FPS
FPSとは「First Person Shooter」の略称で、操作キャラクターの視点でプレイする一人称視点のシューティングゲームを指します。没入感や臨場感の高さが大きな魅力です。
起源は1991年にリリースされた『Catacomb 3-D』とされており、すでに30年以上の歴史があります。その後、『Wolfenstein 3D』や『DOOM』といったタイトルを世に送り出したid Software社が、このジャンルの歴史を築きました。
オンライン環境の発達に伴い、FPSはシューティングゲームの代表的な存在となり、eスポーツの種目としても世界中で人気を集めています。『Apex Legends』や『コール・オブ・デューティ』『レインボーシックス シージ』などが代表的です。
FPSでは、一人称視点による視野の制限の中で索敵を行うため、リアルな戦場のような緊張感が楽しめます。
1-2-2. TPS
TPSは『Third Person Shooter』の略称で、操作キャラクターの頭上や後方からの三人称視点でプレイするシューティングゲームです。自分の操るキャラクターの全体像が見えるため、キャラクターを視覚的に楽しむことができます。
TPSはFPSと並んで近年のシューティングゲームを牽引しており、eスポーツの種目としても高い人気を得ています。代表的なタイトルには『フォートナイト』や『荒野行動』などがあります。
一人称視点のFPSと比較して、TPSは周囲の状況を把握しやすい点が特徴です。地形を利用した駆け引きや、敵の攻撃を避ける動作、射撃だけでなく近接攻撃なども行いやすい特徴があります。
1-3. ガンシューティングゲーム
ガンシューティングゲームとは、プレイヤーが銃を模した形状の専用コントローラーを持って敵を撃ち、ステージクリアを目指すゲームです。TPSやFPSと似た面が多いですが、銃型の端末を使用する点が異なります。
特にアーケードゲームとして人気を博したタイトルが多数あります。筐体に固定されていた銃をケーブル接続式に変更し、リロードの概念を導入した1992年の『リーサルエンフォーサーズ』がゲーム性を大きく変えました。
代表的なタイトルとして、『タイムクライシス』や『ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド』シリーズなどがあり、これらはアーケード発でヒットし、シリーズ化されています。コンシューマー機向けに開発されたタイトルも存在しますが、アーケードゲームのジャンルとして区別される傾向が強いです。
2. シューティングゲームの歴史と主なタイトル
この項目では、シューティングゲームの歴史と、トレンドを変えたタイトルやその時期の代表作などを紹介します。
2-1. 【黎明期】1970年代シューティングゲーム
シューティングゲームは1962年にリリースされた『スペースウォー!』が最初のタイトルと認識されています。
1970年代に入ると、シューティングゲームはアーケードゲームとして急速に人気を集め始めました。その中でも、1978年にタイトーがリリースした『スペースインベーダー』は世界的ヒットを記録し、シューティングゲームブームの火付け役となりました。
『スペースインベーダー』は、それまでのシンプルな図形が主体のゲームとは異なり、デザインされたドット絵のキャラクターが動き、弾を撃って敵を倒すというゲームシステムが当時のプレイヤーに大きな衝撃を与えました。
この作品の登場により、小学生から社会人まで幅広い層を魅了し、日本のテレビゲームブームのきっかけを作っただけでなく、社会現象となって新聞やテレビでも取り上げられました。このブームを機に、シューティングゲームは一大ジャンルとしての地位を確立しました。
2-2. 【黄金期】1980年代シューティングゲーム
1980年代はシューティングゲームの黄金時代と呼ばれ、多くの名作が生み出されました。この時代に、シューティングゲームはゲームジャンルとして大きく発展し、縦スクロールと横スクロールの二つの主要な形式が確立されました。
縦スクロール型では、1983年にナムコからリリースされた『ゼビウス』がその基盤を確立しました。この作品は地上背景が存在する縦スクロールシューティングの先駆者であり、空中物と地上物を撃ち分けるという革新的なシステムを導入しています。
その後、テーカン(後のテクモ)の『スターフォース』が登場し、空中物・地上物関係なく撃てる縦スクロールシューティングの先駆者となりました。
横スクロール型は、1985年にコナミから発売された『グラディウス』によって確立されました。多様なカスタマイズ性や戦略性の高いプレイ体験を提供し、シューティングゲームの幅を広げました。
1987年には東亜プラン開発、タイトー販売の『究極タイガー』で、アイテムによるメインショットの変更や画面全体の敵に効果を及ぼすボムが登場し、以降のタイトルに受け継がれる基礎を確立しました。
2-3. 【進化期】1990年代シューティングゲーム
1980年代後半にピークを迎えたシューティングゲームブームは、難易度の上昇やマンネリ化により陰りが見え始め、1990年代初頭には『ストリートファイターⅡ』などの格闘ゲームに市場の主役の座を譲ります。
しかし、1990年代後半には、シューティングゲームの新たな形態として「弾幕シューティング」というサブジャンルが開拓されました。このタイトルは、スクリーンいっぱいに広がる膨大な数の敵弾を回避しながら進む点を特徴とします。
1996年にライジングから発売された『バトルガレッガ』が開拓のきっかけとなり、CAVEの『怒首領蜂』シリーズなどで広く知られるようになりました。弾幕シューティングゲームは、高い技術力と集中力が求められますが、その達成感がコアゲーマー層に強い支持を得て、シューティングゲーム全体を新たな次元へと引き上げました。
これらが再評価のきっかけとなりシューティングゲームは再び注目されましたが、かつての活気を取り戻すまでには至らず、商業作品としては斜陽の時期に入りました。一方で、「東方Project」を始めとした同人ゲーム界では、現在も活発な制作活動が行われています。
2-4. 21世紀以降はジャンルとしての衰退が目立つ形に
1980年代から90年代にかけて大ヒットした2Dシューティングゲームは、1990年代後半には最盛期の勢いを失っています 。この時期にはシューティング系以外のゲームも多様化していますし、魅力的なFPSが多数生み出されていった時代でもあります。
また、ハードウェアの発展とインターネット環境の普及、通信環境の高速化などが進み、3Dのゲームが一般化 する中で、2Dゲームへの注目度が下がったという歴史的背景もあります。
しかし、2Dシューティングゲームは決して絶滅したわけではありません 。次の項目で、2Dシューティングゲームの未来を解説します。
3. 【2025年時点】シューティングゲームはこれからどうなる?
この項目では、シューティングゲームのこれからについて語ります。
3-1. 2Dシューティングゲームは一部メーカーや同人で根強い人気を持ち続ける
1990年代後半以降、2Dシューティングゲームのリリース数は減少しましたが、かつての活気を取り戻そうとする動きも見られます。
1997年に登場した『怒首領蜂』は、画面内にばらまかれた大量の敵弾を「避ける」楽しさを生み出し、「弾幕シューティング」という新しいジャンルを開拓しました。
弾幕シューティングでは、敵弾の速度を遅く、自機の当たり判定を小さくすることで、回避プレイを可能にしています。これによって、敵を全滅させる快感から回避の楽しさへとプレイスタイルの変化も起こりました。
現在でも熱狂的なファンが多く存在し、アマチュアベースでの制作活動も活発です。同人作品として人気の「東方Project」は、弾幕シューティングの流れを継ぎつつ、個性的な世界観で多くのファンを獲得しています。
3-2. 3Dシューティングゲーム(FPS・TPS)はストリーマーやeスポーツなどの影響でこれからも人気は続く
FPSやTPSは、オンライン対戦やチームプレイなどのゲーム自体の面白さに加え、ゲーム実況を行うストリーマーやeスポーツの種目化など、さまざまな要素に後押しされ、シューティングゲームの主流となっています。
このジャンルには有名ゲーム会社が多数参入し、商業的な成功を収めているうえにeスポーツの種目としても人気ですから、今後もシューティングゲームの主流だと考えられます。一方、2Dシューティングゲームの新作はほとんどリリースされておらず、主流となる未来は考えにくいのが実情です。
3-3. VRなどの新技術により進化が見込まれるジャンルでもある
シューティングゲームは、更なる技術革新を通じて新たな可能性を切り開くと考えられています。その一つが、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)といった新技術の導入です。これらの技術を活用することで、ハイクオリティな没入体験が実現され、市場成長を加速させる主なトレンドの一つとなっています。
また、AI技術の進化により、より高度な敵キャラクターの動きや、自動生成されるレベルデザインも期待されています。クラウドゲーミングの普及も進んでおり、高スペックな機器を持たないプレイヤーでも気軽にシューティングゲームを楽しめる環境が整う可能性もあります。
リアルタイム戦略やシミュレーション要素の統合、クロスプラットフォームプレイの推進なども進んでおり、これらの新たな技術やトレンドがシューティングゲームをどのように進化させるのか、今後の展開に注目が集まっています。
まとめ
シューティングゲームの種類や歴史、各時代の代表作などを紹介し、主として2Dシューティングゲームに着目して現状分析や将来の展望などを解説しました。
1970年代に『スペースインベーダー』で社会現象を巻き起こし、1980年代から1990年代に隆盛を極めた2Dシューティングゲームは、その後減少の道を歩んでいきました。
しかし、一部で根強い人気を保っているので、決して絶滅したわけではありません。シューティングゲーム全体としての主流はFPS、TPS に移行していますが、2Dシューティングゲームも独自の形態で生き残っていくと思われます。
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