
ゲームのマルチエンディングが持つ魅力と注意点とは?わかりやすく解説
ゲームの中にはマルチエンディングを採用したタイトルが多数あります。プレイヤーの選択が結末に影響するしくみとして魅力があるマルチエンディングですが、プレイヤーと開発者の双方にとっての注意点もあります。
このコラムでは、ゲームにおけるマルチエンディングのメリットや注意点、マルチエンディングを採用した代表作などを解説します。
目次
1. ゲームにおけるマルチエンディングとは
ゲームにおけるマルチエンディングとは、その名の通り複数の結末があるという意味です。具体的には、プレイヤーの選択によってストーリーの分岐が起こることを指しています。
たとえばプレイ中のある場面でAかBの選択肢があり、Aを選択すると結果的にハッピーエンドになるが、Bを選択した場合バッドエンドになるといった具合です。また、恋愛シミュレーションゲームであれば分岐を作って別の世界線にすることで、複数の相手との恋愛を個別に楽しめる、といった利用方法もあります。
2. マルチエンディングが採用されやすいゲームジャンル
ここでは、マルチエンディングを採用することが多いゲームのジャンルを解説します。
2-1. アドベンチャーゲーム
アドベンチャーゲームは、そもそもプレイヤーが何らかの選択をしながら進めていくので、選択によってストーリーの分岐が発生するのが基本的な構造です。
なお、「アドベンチャー」という言葉は冒険を意味するので、「アドベンチャーゲーム」という言葉でアクション性があるタイトルを想像する人も多いですが、アドベンチャーゲームは推理や謎解きを主軸とするものが多くアクション性は必須ではありません。
2-1-1. マルチエンディングのアドベンチャーゲーム代表例
アドベンチャーゲームは大多数がマルチエンディングを採用しているので、ここでは有名タイトルをピックアップします。
・かまいたちの夜シリーズ
・Fateシリーズ
・シュタインズ・ゲート
2-2. RPG(アクションRPG)
RPGもマルチエンディングが採用されることが多いジャンルの一つです。キャラクター育成、登場人物との関係性、道徳的選択などによってエンディングの分岐を作りやすいからです。
たとえばそもそも善の勢力に加担するか、悪の勢力を支持するかといった選択を迫られるタイトルもあり、この場合そもそもプレイヤーの視点が異なるのでエンディングは大きく異なります。このようにプレイヤーの選択がゲームの進行を変えるため、その世界にいるような深い没入感が期待できます。
2-2-1. マルチエンディングのRPG(アクションRPG)代表例
近年のRPGは、マルチエンディングが主流と言っていいほど一般化しています。以下にマルチエンディングを採用したRPGの代表作を紹介します。
・ウィッチャー3
・ペルソナシリーズ
・真・女神転生シリーズ
・ニーアシリーズ
・ソウルシリーズ(ブラッドボーン、SEKIRO、エルデンリングなども含む)
・アンダーテイル
2-3. ホラーゲーム
ホラーゲームにおいても、マルチエンディングは効果的に機能します。ホラーゲームでは生き残ることが目的になりやすいため、生存を達成したハッピーエンドが描かれる一方、プレイヤーの判断が悲劇的な結末に繋がった、というストーリーが無理なく描けるからです。
不安や恐怖を与えることがゲームの目的なので、残酷な運命を受け入れやすいのもホラーゲームならではの特徴です。また、主要キャラクターの死やパーティーの全滅といったバッドエンドがあるからこそ、生存や恐怖からの脱出などのハッピーエンドにたどり着いたとき、大きな喜びが得られます。
2-3-1. マルチエンディングのホラーゲーム代表例
以下にマルチエンディングを採用したホラーゲームの代表作を紹介します。
・バイオハザードシリーズ
・サイレントヒルシリーズ
・零シリーズ
3. マルチエンディングの種類
マルチエンディングを採用する場合、その結末によって以下のように分類されます。
・ハッピーエンド
主要キャラクターが幸せになる、平和が訪れるなど、幸福な結末です。グッドエンドと呼ぶこともあります。
・バッドエンド
主要キャラクターが不幸になる、敗北するなど、悪い結末です。
・トゥルーエンド
物語の謎が解き明かされるルートや、物語があるべき結末に落ち着く場合を指します。必ずしもハッピーエンドとは限りません。また、分岐によって世界線が複数になる場合、トゥルーエンドを正史とすることが多いです。
・ビターエンド
幸福と不幸が混在する複雑な結末を指します。
ただし上記は明確に示されないことは多いですし、プレイヤーの見解によって位置づけが異なる場合もあります。たとえば謎がすべて明らかになっている結末がトゥルーエンドと考えられる一方、その結末の後味が悪かったり、人気キャラクターが不幸になっていたりすると、幸福感がある結末を「トゥルーエンド」と呼ぶ人もいるからです 。
4. マルチエンディングの魅力
この項目では、マルチエンディングを採用したゲームならではの魅力を解説します。
4-1. 作品の様々な側面を楽しむことができる
結末までが一本道のゲームだと、途中の選択をさほど考えず、流れでこなしてしまうことがあるかと思います。一方マルチエンディングのゲームの場合、ストーリーに分岐があるため選択肢に対して慎重になり、ゲームの細かい点まで楽しみやすくなります。
4-2. ゲームを何回も周回したくなる魅力につながる
複数のエンディングがある場合、ひとつのエンディングを終えた後で別のルートを楽しめるので、1本のゲームを何度も味わえる魅力があります。ルートが変わると最初の選択を客観視できますし、違う視点から見ることで、ゲームの世界を深める楽しみもあります。
また、複数の結末をコンプリートする楽しみが得られるのも、マルチエンディングならではの魅力です。
4-3. 自分の選択に応じた終わり方をするので一部を自分事として感じることができる
マルチエンディングはプレイヤーの選択がストーリーに影響する仕組みです。一本道のストーリーだと、与えられるものを見ている意識が強くなりがちですが、自らの選択と行動が結末を変えるという認識は、人生における重要な決断を下すときのような感情を呼び起こします。
そのため、「誰かの物語」を見るのではなく、「自分の物語」を創り上げるような感覚は、マルチエンディングならではの魅力です。
4-4. 【開発者目線】続編を作る際に様々な可能性から選ぶことができる
マルチエンディング作品は、開発者にとって大きなメリットがあります。続編を作る際に、どのエンディングを“正史”とするか、あるいは複数の結末を統合した新たな物語を作るかなど、多様な選択肢が残されているからです。
これによりシリーズ展開の柔軟性が高まりますし、複数の続編を作ることも可能です。たとえば最も人気のある結末を正史に選んだうえで、特定のエンディング後の世界をパラレルワールドとして描くこともできます。
5. マルチエンディングの注意点
マルチエンディングには多数のメリットがありますが、ユーザー側と開発者側の両方にとって注意点もあるので、以下に記載します。
5-1. ゲームボリュームやシステムによっては複数のエンディングを回収するのが億劫になる
マルチエンディングは多数のエンディングを前提とするので、ゲームボリュームが膨大になりがちです。その点を「一本のゲームで長く楽しめる」と感じるユーザーがいる一方、面倒さが先行して複数のエンディングを楽しむ前に離脱するユーザーが発生するリスクがあります。
ゲームのシステムによりますが、似たような行動を強いられるゲームの場合、結末が異なるとしても途中で飽きが来てしまう可能性は無視できません。これを踏まえて、開発者はユーザーが飽きにくい工夫を盛り込むことを心がけましょう。
5-2. 一部エンディング到達条件が非常に難しい場合、何度も同じエンディングにたどり着いてしまう可能性がある
特定のエンディング、特に到達条件が複雑で分かりにくいトゥルーエンドが用意されている場合、プレイヤーは意図せず同じ結末を繰り返してしまう可能性があります。たとえば分岐条件が不明瞭な場合や、何らかのパラメーターの微小な違いに依存している場合などは、プレイヤーにとって楽しみよりフラストレーションが勝るかもしれません。
攻略情報を見ることが前提のタイトルもありますが、その場合、手間をかけるだけのキャラクターの魅力や設定の面白さなどが必須です。そのため、困難な到達条件を設定することは、ゲーム開発のハードルをあげることになります。
5-3. 見る順番によっては後味が悪くなる可能性がある
各エンディングを体験する順序は、プレイヤーの作品に対する印象に大きく影響します。例えば、最高のハッピーエンドを見た後に、悲惨な結末や微妙な結末を辿ってしまうと、せっかくの感動や満足感が打ち消されてしまいます。
また、悲惨な結末に最初にたどり着いて作品に対して悪いイメージが残った場合、幸福な結末があるとしても、それを求めて再度プレイしようというモチベーションが起きないかもしれません。
ほかにも「これが真の結末だ」という印象が強すぎると、ほかのエンディングがおまけのように感じられてマルチエンディングの意味がかすんでしまう可能性もあります。
5-4. 【開発者目線】フラグ管理や仕様がシングルエンディングに比べて複雑になる
開発者にとって、マルチエンディングはシナリオプログラムを複雑化させる要因となります。特にプレイヤーの微細な行動がエンディングに影響を及ぼす場合、膨大な数の分岐条件と、それに応じたテキストやイベントを用意しなくてはなりません。
また、複数のストーリーラインの矛盾が生じないよう注意を払う必要がありますから、開発コストの増大は避けられません。
6. まとめ
マルチエンディングは、プレイヤーの選択によって物語が変化する魅力的な仕組みです。リプレイ性が高まりますし、選択の重要性を感じられるため、より深く作品に没入できます。
その一方、周回プレイや複雑な分岐条件がプレイヤーにとって負担になることもあります。また、開発側も多数の分岐を管理する難しさとコスト増大を覚悟しなければなりません。
これらの魅力と注意点をバランス良く設計することが、マルチエンディングを成功させる鍵です。
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