アクションゲームと他ジャンルの境界はどこ? 歴史を徹底考察【ゲームジャンル研究部 第1回】
ゲームが誕生して以来、そのジャンルは時代とともにその数を増やし続けていきました。
本企画“ゲームジャンル研究部”では、さまざまなゲームジャンルの特徴と歴史について連載形式でひも解いていこうと思います。
記念すべき連載第1回で取り扱うのは、ゲームといえば誰もが思い浮かべる有名ジャンル“アクションゲーム”です。
アクションゲームは対戦格闘、アクションロールプレイング、アクションシューティングなど、膨大な派生ジャンルを持っていますが、本記事ではひとまず他ジャンルの要素がない狭義のものに注目しつつ、
歴史の部分ではアクションゲーム全体の動きにも目を向けていきたいと思いきます。
狭義に含まれないものは派生ジャンルとして、今後の連載で紹介していきますのでお楽しみに!
なお、“ゲームジャンル研究部”のバックナンバーはこちらから確認できますので、ぜひチェックしてみてくださいね!
目次
アクションゲームというジャンルについて
アクションゲームとはどのようなゲームか
アクションゲームは、ボタンなどでキャラクターを直接操作して目的を達成していくジャンルで、ステージをこなしていくものや反射神経と瞬間的な判断力を競うものなどがあります。
ボタンなどの操作に連動する人間や動物、機械といったプレイヤーキャラクターを動かすゲーム全般を指すため、非常に幅広いジャンルを内包しています。
レースゲームやシューティングゲームもアクションゲームの1つと捉えられる他、技術の発展により複雑なゲームが開発可能になったため、境界は非常に曖昧になりました。
狭義のアクションゲームに多く見られる要素としては、キャラクターを動かすステージ、ジャンプや攻撃の動作、一人称ないし三人称の視点、リアルタイム性があります。
様式としてはステージ上に点在する目標を集めるドットイートゲームや三人称視点で足場を跳び移るプラットフォーム・ゲームなどで、タイトルとしては『スーパーマリオ』シリーズや『真・三國無双』シリーズが当てはまります。
その他にも、狭義のアクションゲームにおける特徴として下記のものが挙げられます。
狭義のアクションゲームにおける主な特徴
・画面が固定される
・画面が縦、横方向にスクロールする
・横からの視点で、横(場面によっては縦)方向に画面スクロールする
・真上からの視点で縦ないし全方向にスクロールする
・疑似的に3D感のある斜め視点である
・マップを探索していく
ジャンルの幅広さと直感的な操作方法が魅力!
アクションゲームの魅力は、ジャンルの幅の広さと直感的な操作方法にあるいえます。
アクションゲームにはさまざまな派生ジャンルが存在しており、対戦格闘ゲームやアクションRPGといったよく目にするものはもちろん、アクションパズルのような一見して相反する組み合わせによるジャンルも存在します。
プレイヤーはクリエイターによってさまざまな工夫が凝らされたタイトルにおいてキャラクターを操作し、目標に向かってトライ&エラーを重ねていきます。
その中で味わえる成功体験や上達による爽快感は、ゲームジャンルの中では随一といっていいかもしれません。
アクションゲームの歴史
1970年代~1980年代前半:アクションゲームの誕生と成長
本記事で取り扱う狭義でのアクションゲームの歴史は、グレムリン・インダストリーが『ブロッケード』発売した1976年より歩みを始めます。
本作は、一定の速度で動くブロックを操作し、動いた後の軌跡や周囲の壁にぶつからないように動き続けるという内容で、当時アタリの『PONG(ポン)』を代表としたテニスゲームが多数発表されていたゲームの世界に多様性を作るきっかけとなります。
そして、1980年にはナムコがギネス記録を残した名作『パックマン』を、1981年には任天堂がマリオの初登場作品となる『ドンキーコング』を発表。
さらに、1985年に発売された任天堂のファミリーコンピュータ(1983年発売)用ソフトは『スーパーマリオブラザーズ』歴史的大ヒットを記録し、人気ジャンルとして発展していくこととなります。
1980年代後半~1990年代前半:ジャンルの発展と複雑化
アクションゲームは、1980年代前半で人気ジャンルとしての立場を確立、発展するとともに複雑化を始めていきます。
固定画面の他に横、縦、全方向へのスクロールを行うようになり、内容もベルトアクション、対戦格闘、ステルス、シューティングとバラエティ豊かになっていきます。
この期間には『スーパーマリオブラザーズ』(1985年)、『ゼルダの伝説』(1986年)、『メタルギア』(1987年)、『ストリートファイターII』(1991年)、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』(1991年)と今でもシリーズが続く名作が多数生まれています。
特に、派生ジャンルの1つである対戦格闘ゲームは1990年代に一大ブームを巻き起こしました。
1990年代後半~2010年代:アーケード市場の衰退と技術の発展
1990年代後半に差し掛かると、アクションゲーム、家庭用ゲームともに一つの転換期を迎えます。
まず、アーケードゲームにおいては派生ジャンルの1つであった対戦格闘ゲームのブームが終了し、メダルゲームや音楽ゲームなどが台頭します。
1990年代後半には現在までシリーズが続いている『BEMANI』シリーズ、『Dance Dance Revolution』シリーズなどが、2000年代には『太鼓の達人』、『マリオカート アーケードグランプリ』、『THE IDOLM@STER』などの多様なタイトルが誕生します。
ブームの終了とジャンルの多様化により、アーケード市場でのアクションゲームの開発数は減少、主軸は家庭用ゲームとなっていきます。
家庭用ゲームにおいては、技術の発展により3Dアクションゲームが誕生します。
1996年に任天堂より発売されたNINTENDO64用ソフト『スーパーマリオ64』は、1,189万本以上とNINTENDO64用ソフトでは世界一の売り上げを記録。
3Dゲーム黎明期に発表されたタイトルでありながら完成度は非常に高く、現在までの3Dアクションゲームに大きな影響を与えています。
2000年代に入ってからは、『真・三國無双2』(2001年)や『キングダム ハーツ』(2002年)とブームが終息した対戦格闘ゲームの穴を埋めるように3Dアクションゲームが登場。
Rockstar Gamesの『グランド・セフト・オート』シリーズは“クライムアクションゲーム”として世界的ブームとなりました。
携帯ゲーム機では、2005年にカプコンがPSP用ソフト『モンスターハンター ポータブル』を発売。
後に“ハンティングアクション”というジャンルを確立することになる本シリーズは、友達と集まって大型モンスターを狩る楽しさが評価され、口コミで人気を伸ばしていきました。
2010年代~:ハンティングアクションとクライムアクションがジャンルを牽引
アクションゲームの主戦場は依然として家庭用ゲームがメインで、日本ではハンティングアクション、世界では引き続きクライムアクションが引き続き高い人気を維持します。
一方、その他のアクションゲームも登場し続けており、“トライ&エラーの要素を含む高難易度”や“ダークな世界観”などの要素を持つゲームを“ソウルライク”と呼ぶようになるほどの影響を与えた『DARK SOULS』も2011年代に誕生しています。
ちなみに、2010年代ごろからスマートフォンの普及にともなって数を増やしたスマートフォン用ゲームの中にもアクションゲームは多数含まれていました。
なお、配信されたのは、主にランアクションと本記事としては派生ジャンルとして扱うアクションRPGが主軸で、前者は任天堂が配信した『Super Mario Run』、後者はコロプラより配信中の『白猫プロジェクト』が特に有名です。
アクションゲームの今
他ジャンルにも負けない人気を維持
今もアクションゲームは根強い人気ですが、他ジャンルの躍進によりトップを独占するほどの人気というわけではなくなっています。
2019年度のソフト売上(推定/ダウンロード版含まず)は、Switch用ソフト『ポケットモンスター ソード・シールド』の355万本が1位、以下『あつまれ どうぶつの森』(Switch/255万本)、『スーパー マリオメーカー2』(Switch/84万本)となっています。
2020年6月末時点でもっとも販売されたNintendo Switch用ソフトも『マリオカート8 デラックス』(2,674万本)、次いで『あつまれ どうぶつの森』2,240万本と、有名IPなどの要因もあるとはいえ“ゲームといえばアクション”というほどの立場ではないようです。
しかし、一定の人気はしっかりと保持しており、カプコンの歴代ソフト売上はシリーズ最新作の『モンスターハンターワールド』(1,610万本)で、大型拡張コンテンツ『モンスターハンターワールド:アイスボーン』(580万本)とあわせると『あつまれ どうぶつの森』にも迫る勢いとなります。
移り行く時代に対応するアクションゲーム
『スーパーマリオ64』で3Dが取り入れられたように、今までにないものを取り入れていく姿勢も健在です。
PS4/PC用ソフト『真・三國無双8』やSwitch用ソフト『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』は、オープンワールド要素※が導入されました。
オープンワールドは、シームレスかつ自由に移動および行動可能な単一空間を中心するレベルデザインのことで、これによりゲームにおける自由度はさらに広がります。
その他、PS VR用ソフト『マーベルアイアンマン VR』、『カイジVR~絶望の鉄骨渡り~』など、VRの技術を使用することでより体感的な演出や直感的な操作を楽しめるタイトルも生まれています。
※任天堂は、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』についてアートスタイルやゲーム性、音楽などから“オープンエアー”と表現しています。
まとめ
ゲームの歴史初期に誕生したアクションゲームは、アーケード市場からは数を減らしつつも、家庭用ゲーム市場では現在でも高い人気を保持しています。
また、時代に合わせてさまざまな技術を取り入れ、ジャンル全体が発展を続けており、今後の展開も見逃せないジャンルです。
今後、どのような表現方法や派生ジャンルが生まれ、技術が取り入れられるのか、今から楽しみですね!
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