ゲームの開発期間はどれぐらい?AAAタイトル・個人開発などそれぞれ紹介
近年、ゲーム開発にかかる期間の長期化が叫ばれています。しかし、ひとくちにゲームといっても小規模な個人タイトルから世界的ヒットが当然とされるようなAAAタイトルまで大きな幅があり、開発期間もそれぞれ異なります。
そのためこのコラムでは、規模別の平均的開発期間や、ゲーム開発の長期化が続いている理由などを解説します。
目次
1. ゲームの一般的な開発期間
この項目では、ゲームの規模ごとの平均的開発年数を解説します。
1-1. 一般的なタイトル(会社開発かつAAAタイトルではない)…2~5年
ゲーム開発の期間は、プロジェクトの規模や開発チームの人数によって大きく異なります。一般的な企業開発タイトル、特にスマートフォン向けや小規模なコンシューマーゲームの場合、企画からリリースまでにかかる期間は1年から3年程度と言われています。
しかしタイトルの規模によっては、さらに長期化することも珍しくありません。また過去のゲーム開発者へのアンケート結果では、1タイトルの平均的な開発期間は1.5年というデータも存在します。
1-2. AAAタイトル…5年以上
AAAタイトルとは、膨大な開発費と大規模なチーム体制で制作される大作ゲームを指します。これらのタイトルは、5年以上の開発期間を要することが一般的です。
例えば、『Beyond Good and Evil 2』は、14年という極めて長い年月を要しており、開発が長期化した例として知られています。開発が長期化する背景には、関わる人数が増えることによる意思決定の遅れや、ビジュアルレベルへの過剰な要求による工数増加などが指摘されています。
ゲーム業界でいうAAAタイトルの定義や開発規模、有名なタイトルなどを解説したコラムがありますので、以下もご参照ください。
→「AAAタイトルとは?ゲーム業界で求められる開発規模・代表作などを徹底解説」
1-3. 個人開発タイトル(短編)…1週間~1年
個人開発タイトルの制作にかかる期間は、クリエイターの習熟度やゲームのクオリティによって大きく変動します。
例えば30分以下でクリアできる小規模なゲームであれば、開発期間は1週間から2ヶ月ほどが目安と言われています。1時間程度でクリアできる短編ゲームでも、3ヶ月から半年ほどで完成するケースが多いです。
個人開発の場合、長期間のモチベーション維持が難しいと感じるクリエイターも多く、数ヶ月で完成できることを優先して、小規模から中規模のゲームを目指す傾向が見られます。
1-4. 個人開発タイトル(長編)…1年以上
個人開発でも、長編のタイトル制作には1年以上の時間を要します。特にボリュームのあるゲームや高品質な作品を目指す場合、開発期間は長期化しがちです。
例えば、海外の著名なインディーゲームの中には、『Undertale』が約2年7ヶ月、『Stardew Valley』が4年という長い期間をかけて制作された例があります。また、『RPGタイム!~ライトの伝説~』は9年という開発期間を経ており、遊び心を詰め込んだ大作インディーゲームとして知られています。
このように、個人開発であってもゲームの規模や複雑さにこだわるクリエイターもいるため、開発期間が数年に及ぶ例は少なくありません。
2. ゲームの開発期間は長期化の傾向にある?
ゲーム開発期間は、以前に比べて長期化する傾向にあります。有名タイトルを例に上げると、スーパーファミコン時代の『ファイナルファンタジーVI』から初代プレイステーションの『VII』までは3年のスパンでした。しかし、近年のファイナルファンタジーシリーズでは、『XIII』から『XV』がリリースされるまで7年もの期間を要しています。
この傾向は『バイオハザード』シリーズにも見られます。初代の『1』と『2』の間が2年だったのに対し、比較的近年の作品である『7』と『ヴィレッジ』のリリース年には4年の期間があります。
このように開発期間が長くなっている背景には、高精細なグラフィック表現の追求や、開発規模の巨大化が挙げられます。
3. ゲームの開発期間が長期化する原因
ここでは、近年のゲーム開発が長期化し続けている主な原因を解説します。
3-1. 求められるグラフィックのクオリティの増大
ゲームのグラフィックは、年々映画のような高精細なCGレベルが求められるようになっています。リアルな表現には、膨大な数のキャラクターや背景、エフェクトのアセットなどが必要で、一つひとつの制作に多くの時間と工数を要します。
また、開発環境の進化に伴い、個別の要素を集約して形にする工程でも膨大な時間を要するのが実情です。
3-2. 求められるゲームボリュームの増大
ゲームの長期化の一因として、ユーザーが長く遊べるよう、ゲームボリュームが大きくなっていることが挙げられます。広大なオープンワールドや、やり込み要素の多いコンテンツが求められるほど、開発規模が拡大していき、それが標準となってさらに要求が高まるという悪循環も見られます。
その結果、開発チームの人数や管理工数も増大し、単純に開発時間が長くなるだけでなく、プロジェクト全体の複雑化も開発期間の長期化に拍車をかけているのです。
3-3. 開発ノウハウがないジャンルへの挑戦
過去にノウハウがない新規ジャンルへの挑戦も、開発期間が長期化する原因の一つです。
ゲーム業界はトレンドの変化が早いので、未経験のジャンルに挑まざるを得ない状況が少なくありません。慣れないジャンルの場合、企画段階からプロトタイプ制作、ゲームバランスの調整に至るまで、手探りの試行錯誤に多くの時間を費やすことになりがちです。
また、自社に十分な技術がないときには、必要な技術を持つゲーム会社に開発を依頼する方法もありますが、新ジャンルの場合は発注可能なゲーム会社が限られるため、やはり開発期間の長期化に繋がりがちです。
3-4. 開発スケジュール・予測と実際の工数の乖離
ゲーム開発では、当初のスケジュール予測と実際の工数に乖離が生じることがよくあります。特に、大規模なプロジェクトほど全体の正確な把握が難しくなり、予測が外れる傾向にあります。
また、バグやシステム上の不具合といったアクシデントはデバッグ作業に多くの時間を費やすことになり、開発を大きく遅らせる要因になります。
3-5. 開発に利用しているゲームエンジンのアップデートに伴う仕様変更
ゲームエンジンのアップデートも、開発期間長期化の一因になり得ます。既存のコードが動かなくなるなどの仕様変更が発生する場合、多くの改修作業と再テストが必要となります。
特に、大規模プロジェクトでは、エンジンのアップデートが全体の進行に大きな影響を及ぼすため、対応に時間を要します。また、最新のエンジンに対応するために、開発者が新たな知識を習得する学習コストも発生します。
4. ゲームの開発期間が長期化することで発生するリスク
ゲーム開発期間の長期化は、多くのリスクを発生させます。
まず、人件費や運営費がかさむため、当初の想定を大幅に上回る予算増大を招くことになります。その結果、資金繰りが厳しくなり、最悪の場合はプロジェクト自体が頓挫する事態も起こり得ます。
また度重なる発売延期は、ファンや投資家の期待を裏切り、企業の信用を大きく損なうことにつながります。さらに、市場のトレンドが変化する中で、開発に時間がかかってしまったために、リリース時に時代遅れと評価されるリスクもあります。
5. ゲームの開発期間長期化を防ぐためにできることの例
ここでは、ゲーム開発が予定外に長期化するのを防ぐための方法を解説します。ただし、最適化すべき点はタイトルごとに異なるため、あくまで一般的な提案として参考にしてください。
5-1. バッファを持った開発スケジュールと予測を立ててプロジェクトを始動させる
開発期間の長期化を防ぐためには、計画段階で予測の難しい遅延を考慮したバッファ期間を設けることが重要です。余裕を持たせたスケジュールにより、予期せぬトラブルやバグ修正にも柔軟に対応できます。
また、無理のない開発計画は、チームメンバーの過度な負担を軽減し、モチベーションの低下を防ぐことにも役立ちます。
5-2. ゲームの面白さの本質に影響しない部分に必要以上にこだわらない
ゲーム開発を効率化するためには、機能や仕様に優先順位をつけ、本当に必要な部分にリソースを集中させることが大切です。
ゲームの面白さの本質に影響しない細部に過剰にこだわることを避け、まずは最小限の要素でゲームの核を完成させる手法も有効です。開発途中で「こだわり」が目的化しないよう、冷静に判断を下すことが、期間短縮につながります。
5-3. AIを利用してリソース効率化を測る
AIはゲーム開発作業の自動化によって、リソース効率化に貢献します。例えばキャラクターの動きやNPCの行動パターン、レベルデザインの自動調整などに活用することで、開発者の作業時間を短縮できます。
特にバグ検出においては、AIを用いた自動テストで広範囲を効率的にチェックし、デバッグにかかる時間を大幅に削減することが期待されています。
5-4. 未経験のジャンルに挑むときは可能な限りノウハウのあるスタッフをアサインする
未経験のジャンルに挑戦する際には、その分野の経験者や専門知識を持つスタッフを可能な限りアサインすることが重要です。熟練した人材がいれば、手探りでの試行錯誤を減らし、スムーズなプロジェクト推進が期待できます。
また、チーム内に知識や経験が蓄積され、今後の開発にも活かせる資産となります。
6. まとめ
ゲーム開発の期間について規模別の参考値を紹介し、近年開発期間が長くなりがちな理由を解説しました。
クオリティの要求度向上や開発環境の複雑化など、開発期間が長くなる原因は複数あり、避けられない場合もあるでしょう。しかし、開発期間が長くなるほどコストが増大しますし、予定のリリース時期を過ぎると内容が時代に合わなくなるリスクもあります。
工程の組み方やツールの活用などで、開発期間の短縮や延長防止は可能ですから、ぜひこのコラムを参考にして開発期間が長期化することを防いでください。
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