一番最初のFPSタイトルを知ってますか?【ゲームジャンル研究部 第2回】

 

さまざまなゲームジャンルの魅力と歴史について、連載形式でひも解いていく“ゲームジャンル研究部”。
第2回で取り扱うのは、PCゲームの主流ともいえるFPS(ファーストパーソン・シューティングゲーム)です。
人気の高さから世界的にプレイされており、技術の発展にも一役買っているFPSの魅力を探っていこうと思います。

 

なお、“ゲームジャンル研究部”のバックナンバーはこちらから確認できますので、ぜひチェックしてみてくださいね!

 

FPSというジャンルについて

FPSとはどのようなゲームか

FPSはその名の通り、一人称視点(ファーストパーソン)でステージの中を任意に移動し、武器(銃や魔法などの飛び道具が主)を用いて戦うシューティングゲームを指します。
本ジャンルの特徴は、プレイヤーが主人公の視点で動作を行うことによる没入感の高さです。
プレイヤーキャラクターの一部(腕など)と武器・道具のみが画面に表示されるため、プレイヤー自身がゲームの中で戦っているような感覚を楽しめます。

 

また、基本的な操作がほとんどのゲームで共通している点も特徴の1つです。
移動、視点操作、ジャンプ、エイミング、攻撃(銃撃)の要素はほぼ必ず盛り込まれており、ボタンへの割り当ても大抵の場合共通しています。
例として、キーボードを使用する場合の移動操作は、ほとんどが“W、A、S、D(左手の人差し指、中指、薬指で操作しやすい位置)”に割り当てられています。
これにより、1つのタイトルで動作を覚えれば、別のタイトルをプレイする時でもすんなりと操作に慣れることができます。

 

“リアル系FPS”とは“リアルなFPS”のことではない!?

FPSは、現実に忠実な世界観やキャラクター能力の設定を重視する“リアル(タクティカル)系”と、アクション性や競技性を重視する“スポーツ(アリーナ)系”に分けることができます。
リアル系は一撃必殺の緊張感やリアルな戦闘プロセス、スポーツ系は派手なアクションやスピード感が魅力です。

 

勘違いしやすい部分ですが、この分類は“ゲームデザイン”の観点から行われており、グラフィックやモーションとはあまり関係がありません。
例えば、『Call of Duty』シリーズは忠実な取材にもとづく兵器の音・動作・グラフィックによって戦場の雰囲気がリアルに描き出されています。
しかし、システムはめまぐるしく移動しながらの近距離での銃撃戦が重視されており、分類上はスポーツ系FPSといえます。
現在は技術の進歩により両系統の特徴を兼ね備えたタイトルも誕生しており、厳密に線引きすることは難しくなっていることも勘違いを引き起こす要因となっています。

 

グラフィックの最先端を行くジャンル

FPSは、基本的にリアリティが追及されることから、最先端の技術が導入されたりその実験場という側面を持っていたりすることが多いジャンルです。
例えば、“もっとも成功したビデオゲームエンジン”としてギネス世界記録に登録され、映画製作といったゲーム以外の用途にも使用されている“Unreal Engine”は、PC用ソフト『Unreal』を開発するために製作されました。

 

しかし、この傾向には、より美しくリアルな映像表現を実現するため、ゲームプレイのために非常に高い性能のコンピュータが必要になるというデメリットもあります。
実際に『Unreal』は「当時の最高スペックのPCでまともに動作しないゲーム」という評価も受けてしまったそうです。

 

FPSの歴史

1990年代~1995年:FPSの始祖は『Wolfenstein』でも『DOOM』でもない!?

FPSというジャンルは、1991年11月にid Softwareが『Catacomb 3-D』というタイトルを発売したことにより始まります。
本作は、魔術師が地下墓地のダンジョンを探検するというゲームで、一人称視点でプレイするシューティングの最初期の例となりました。
id Softwareは翌年の1992年に『Wolfenstein 3D』、1993年に『DOOM』と同じ形式のゲームを発売。
『DOOM』の世界的ヒットによりFPSはゲームジャンルとして定着することとなります。

 

当時のFPSのゲーム画面は擬似3Dであり、マップは3D、敵やアイテムなどのオブジェクトは2Dのスプライト画像という形で、『DOOM』には3Dモデルは一切使われていませんでした。
また、照準の上下操作機能も多くのタイトルに実装されておらず、攻撃は方向さえ合っていればどの高さにいても敵に命中するというものでした。

 

1995年~1999年:完全3DFPSの誕生。“あの名作”で日本にもジャンルが浸透

3Dアクションの金字塔となるNINTENDO64用ソフト『スーパーマリオ64』が発売された1996年、FPSの世界にも革命が起こります。
id Softwareが同年に発売したPC用ソフト『Quake』は初の現代的な完全3DFPSで、ゲーム内のほとんどのオブジェクトが3Dで描写された、高低差を生かした3Dアクションシューティングとなっていました。

 

2年後の1998年5月には、Epic Gamesが『Unreal』を発表。
美麗なグラフィックに加えて、屋内が中心だったそれまでのFPSと異なる広大な高地ステージの描画、プレイヤーの攻撃を回避するような高度なAIの導入などにより世界中で絶賛されました。
本作で使用されたゲームエンジン“Unreal Engine”は、改良を重ねながら現在でもさまざまなゲームに使われていることは前述のとおりです。

 

1998年末に発売されたValve Software社のPC用ソフト『Half-Life』は、『Unreal』に並ぶ高度な敵AIやゲーム性に加えて、ムービーやカットシーンを一切使わず、プレイヤーが見るゲームの中ですべてのストーリー演出が展開するという手法により高い評価を受けました。
また、ゲームエンジンの汎用性の高さから数多くのMODが登場し、大人気となりました。
『Quake』、『Unreal』、『Half-Life』の3作品は、その人気の高さや後の作品に与えた影響から、FPSを代表する3大作品と言われることもあります。

 

その他、1997年には任天堂よりNINTENDO64用ソフト『ゴールデンアイ 007』が発売されます。
人気映画『007』シリーズが題材の本作は、日本での売上こそ振るいませんでしたが、ユーザーからの評価は非常に高く、家庭用ハードおよび日本国内においてFPSを浸透させる立役者となりました。
本作を友だちとプレイして、FPSというジャンルを知った人も多いのではないでしょうか?

 

2000年~2010年:家庭用ゲーム機への本格的進出

2000年前後に差し掛かると、任天堂のニンテンドーゲームキューブ用ソフト『メトロイドプライム』、マイクロソフトのXbox用ソフト『Halo:Combat Evolved』といった家庭用ゲーム機向けのFPSタイトルが数多く販売されるようになります。
後者の『Halo』はXboxのキラータイトルとして、世界での売上が500万本を突破しました。
その他にも、2007年に発表されたPS3/Xbox 360/ニンテンドーWii/ニンテンドーDS/PC用ソフト『Call of Duty 4:Modern Warfare』は、さまざまなプラットフォームで展開され、日本では“日本ゲーム大賞2008”の特別賞を受賞するほどのヒット作となりました。
家庭用ゲーム機向けのFPSタイトルが数多く販売された背景には、家庭用ゲーム機の性能は基本的に同一なため、ユーザーごとに異なるハード(PC)を使用するPC版よりも開発が容易という側面があったと思われます。

 

一方、PC用FPSも衰退したわけではなく、2004年に発売された『DOOM3』と『Half-Life2』は、グラフィックや物理エンジンが革新的に向上しており、“グラフィック新世代”と呼ばれました。
その他、日本国内では、韓国の無料オンラインゲームが展開するようになり、無料オンラインFPSが多く見られるようになりました。

 

FPSの今

eスポーツの主要ジャンルの1つ

eスポーツは、ゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称です。総務省が発行した“eスポーツ産業に関する調査研究報告書”の2017年におけるeスポーツの推定市場規模はなんと全世界で700億円とのことです。
FPSは、近年の人気の高まりや実力重視で競技性の高いゲーム性から、試合項目として選ばれる代表的なジャンルの1つとなっています。

 

海外サイト“The Esports Observer”では、月間アクティブPCプレイヤー数や賞金額、eスポーツ配信の視聴時間、大会数などを参考としたTier形式のeスポーツタイトルランキングが発表されています。
発表内容を見てみると、全15位の3分の1となる5タイトルがFPSで、FPSの最高順位は2位のPC用ソフト『Counter-Strike:Global Offensive(カウンターストライク グローバルオフェンシブ)』と、eスポーツにおいても確固たる地位を築き上げていることがうかがえます。
その他、動画配信サイトでの配信番組や試合中の高度なプレイや決定的瞬間を収めた“フラグムービー”の投稿も盛んです。

 

時代に応じた多様化を始めるFPS

近年におけるFPSの代表的な人気タイトルは『コール・オブ・デューティ』シリーズ、『Battlefield(バトルフィールド)』シリーズの2つで、どちらもスポーツ系に近いデザインとなっています。
このことから、現在のFPSの主流はスポーツ系と感じられますが、実際にはそうではありません。
2015年に発売されたPS4/Xbox One/PC用ソフト『レインボーシックス シージ』はリアル系に近いシステムですが、2019年12月には登録プレイヤー5,500万人以上を記録しました。
それ以外にも、スポーツ系やリアル系からさらに派生したタイトルとして、非対称型対戦が可能なPS4/Switch/Xbox One/PC用ソフト『DOOM Eternal』、MOBA要素を含んだPS4/Xbox One/PC用ソフト『Overwatch(オーバーウォッチ)』などが登場しています。

 

また、パフォーマンスの面でも多様化は進んでいるといえます。
PS4版『DOOM(ドゥーム)』は最先端のグラフィック技術が導入されている一方、『オーバーウォッチ』はハイエンドPCでなくても快適にプレイでき、マルチプラットフォーム間で同時期にアップデートが可能なよう最適化されています。
ビデオゲーム全体の傾向としてパフォーマンスの安定化やマルチプラットフォームへの最適化が進んでいるという背景もありますが、さまざまなユーザーのニーズに合致させるために、多彩なFPSが生まれ続けています。

 

まとめ

今日では“FPS=eスポーツor戦争モノ”というイメージが強いですが、グラフィックを通して技術の進化を感じられる非常に奥深いジャンルです。
また、昔と比べて技術が発展し、ゲームジャンルが多様化してきたことで創作意欲が光るジャンルにもなっています。
“基本動作はほぼ共通”というゲーム初心者にうれしい要素を持っているので、気になったタイトルに触れてみてはいかがでしょう?
ゲームが苦手という人は、eスポーツのトーナメントシーンを見てみるのもオススメです!

 

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