ジャンル表記が“TPS”のゲームを探すのは意外と難しい!? 【ゲームジャンル研究部 第6回】

 

さまざまなゲームジャンルの魅力と歴史について、連載形式でひも解いていく“ゲームジャンル研究部”。
第6回では“サードパーソン・シューティングゲーム(TPS)”を取り扱います。
大ヒットタイトルも誕生しており認知度も高いものの、他ジャンルとの共通点が多く説明が難しい本ジャンルについて紹介していきます。

 

なお、“ゲームジャンル研究部”のバックナンバーはこちらから確認できますので、ぜひチェックしてみてくださいね!

 

TPSというジャンルについて

3DアクションやFPSに近しいジャンル

TPSはシューティングゲームの一種で、プレイヤーキャラクターに対して俯瞰や肩越しの視点から操作を行うゲームのことを指します。
その特徴から3Dアクションゲームやファーストパーソン・シューティングゲーム(FPS)との共通点が多く、境界線が曖昧なジャンルでもあります。
ちなみに、“サードパーソン・シューティングゲーム”は和製英語で、英語圏では“サードパーソン・シューター(Third Person Shooter/三人称視点シューティングゲーム)と表現されているという点もFPSと共通しています※。

 

例として、FPSとは照準を目標物に合わせて射撃するという基本的なシステムが同じで、状況に応じて一人称視点と三人称視点を切り替え可能なタイトルが双方のジャンルに存在します。
また、名称が和製英語であるという点も共通しています。
3Dアクションとは回避行動や格闘攻撃などの射撃以外のさまざまな動作を実装できる点が共通しています。

 

これらの共通点から、TPSは“三人称視点でプレイできるFPS”、“射撃操作がメインのアクションゲーム”と表現することもできます。
ジャンルの境界線があいまいな他、タイトルによってはジャンル表記をそのタイトルや企業独自のものとして表記することがあるため、TPSという表記が実際に使用されることはあまり多くなく、“アクションシューティング”や“対戦アクションゲーム”と呼称されることもあります。
事実、本記事で挙げるタイトルのほとんどは、公式に設定されたジャンルがTPS以外のものとなっています。

 

※英語圏でのFPSの呼称は“ファーストパーソン・シューター(First Person Shooter/一人称視点シューティングゲーム)。

 

TPSとFPSはどちらが操作しやすいのか?

TPSとFPSは非常に似通ったジャンルであり、頭文字となっている視点の要素以外はほとんど差がないことも珍しくありませんが、どちらがプレイしやすいかは一概に断定できない部分です。

 

FPSは基本的にキャラクターが見たものをそのままユーザーも見る形となりますが、TPSにおけるユーザーの視点はキャラクターではなく、キャラクターに対して俯瞰や肩越しの位置に設置されたカメラの視点となります。
そのため、TPSをプレイするユーザーはキャラクターの背後や真上などの死角となる範囲も把握できる他、キャラクターの動作において全体的な動きを確認することができます。
この特徴により、遮蔽物に身を隠したまま周囲の様子を伺ったり、キャラクターの動作を詳細に確認したりできます。

 

メリットだけを述べるとTPSの視点のほうが優秀と感じますが、当然ながらデメリットも存在します。
もっとも大きいデメリットは“ユーザーの視点=カメラの視点”という特徴そのものです。
カメラを通してキャラクターの周囲を移すアングルでゲームが進行するため、カメラとキャラクターの間に障害物が映りこんで視界の妨げになったり、アングルによってはキャラクター自身がユーザーの見たいものを隠してしまったりすることがあります。
また、キャラクターの位置によってはカメラアングルが予期せぬ位置に移動してしまい、ユーザーを混乱させてしまうこともあります。

 

 

TPSの歴史

1996年~2000年ごろ:TPS要素を含むタイトルの誕生

1996年に任天堂よりNINTENDO64用ソフト『スーパーマリオ64』が発売されて以降、3Dアクションゲームが多数発売されました。
当時は、ジャンルをTPSに定めたタイトルこそ皆無でしたが、広義として見ればTPSと解釈できるタイトルや、後のTPSジャンルに大きな影響を与えるタイトルが存在していました。

 

1997年にビクター インタラクティブ ソフトウェアより発売されたPS/セガサターン用ソフト『トゥームレイダー』はジャンルこそアクションアドベンチャーでしたが、大ヒットを記録し“三人称視点による3Dアクションゲーム”の先駆けとなりました。
また、同年となる1997年12月18日にカプコンより発売されたPS用ソフト『ロックマンDASH 鋼の冒険心』は、ジャンルをフリーランニングRPGと定めており、TPS形式のアクションとロールプレイングゲーム(RPG)の要素が融合したタイトルとなっています。
1997年7月10日にフロム・ソフトウェアから発売されたPS用ソフト『アーマード・コア』は、ジャンルがアクション(プレイステーション公式サイト)や3D戦闘メカシミュレーター(シリーズ公式サイト)と表記されていますが、アクションシーンにおける画面構成や操作はTPSのそれとなっています。

 

2000年ごろ~2009年:技術の発展とともにTPSタイトルが増加

前述した通りTPSは境界線が曖昧なジャンルであるため、2000年以降もジャンルの表記に使われることは多くありませんでした。
ですが、3Dをはじめとした技術の発展とともに、TPSタイトルの数は増加していきます。

 

2003年6月26日にディースリー・パブリッシャーより発売されたPS2用ソフト『THE 地球防衛軍』は、シンプルながらも爽快感のあるゲームデザインや特撮作品を思わせる世界観など丁寧な作りで人気を博し、今日まで派生作品が発売されています。
また、人気ホラーゲームの『バイオハザード』シリーズでは、2005年に発売されたPS2/ニンテンドーゲームキューブ用ソフト『バイオハザード4』より操作システムがTPSのものに変化しています。
その他、アーケードゲームにもTPSタイトルは誕生しており、2009年9月9日よりセガが稼働を開始した『ボーダーブレイク』は、ICカードを採用する初の継続プレイを前提としたアーケード用TPSとなりました。

 

 

TPSの今

大ヒットタイトルが多数登場

現在においてもTPSとジャンル名を定めたタイトルの数は多くありませんが、同じ形式のタイトルは多数誕生しており、人気タイトルも誕生しています。

 

任天堂から2015年5月28日に発売されたWii U用ソフト『スプラトゥーン』は2020年9月末時点で495万本の売り上げを記録。
続編のNintendo Switch用ソフト『スプラトゥーン2』は2017年7月21日に発売され、なんと1,127万本の売り上げ(2020年9月末時点)と、倍以上の記録を出しています。

 

その他、2017年12月20日よりサービスが開始されたPUBG CorporationのPS4/Xbox One/PC/iOS/Android用タイトル『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS(PUBG)』は、バトルロイヤルゲームブームの火付け役となりました。
Epic Gamesが2020年6月30日よりサービスを開始したPS5/PS4/Nintendo Switch/Xbox Series X/S/Xbox One/PC/iOS/Android用タイトル『フォートナイト』は、TPSのゲームシステムにクラフト要素を追加しており、社会現象を起こすほどの大ヒットとなっています。
『PUBG』および『フォートナイト』は公式大会も多数行われており、後者の世界大会(ワールドカップ)の賞金総額はeスポーツ史上最高額の3,000万ドルとなるなど、eスポーツの世界でも注目のジャンルとなっています。

 

 

国内における普及の度合いはFPSより高い?

現在ではさまざまなジャンルのゲームが誕生し、ユーザーに浸透していっています。
その中で、TPSは国内に限れば似たゲーム性のFPSよりも広くユーザーに浸透していると言うことができます。
この点に関しては、TPSの普及に勢いがあるというよりも、海外ほどFPSが普及していないという向きが強いです。

ジャンルが浸透し始めた時期こそ同じですが、それまでに存在したFPSタイトルは基本的に海外産やPC対応のものが多く、日本のゲーム環境とはそぐわない状況でした。
対して、TPSはジャンルにこそ当てはまらないものの、『ゼルダの伝説』シリーズや『メタルギアソリッド』シリーズといった俯瞰視点のタイトルが多数存在しており類似したシステムでのプレイを受け入れる土壌ができていました。
これらの要因から、国内ではTPSのほうが相対的に普及の度合いが強くなったといえます。

 

まとめ

TPSは、現在でも高い人気を持っている一方、そのジャンル名が大々的に使われることが少ないジャンルです。
しかし、それはさまざまな要素を取りいれたタイトルを作ることができるという自由度の表れでもあります。
国内においてもある程度普及しやすい土壌が整っているので、今後の展開が楽しみなジャンルです。

 

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