ユニークな体験を届ける『Mitoza』が目指した企画とは


世の中には様々なインディーゲームが存在していますが、中には一般人の理解を超越するような作品も隠れているものです。

 

『Mitoza』は一見すると突拍子もないような作品に思えますが、その設計を紐解いてみると、実に「ゲームらしさ」に忠実な作品であることがわかります。

 

新感覚シミュレーションゲームの『Mitoza』

『Mitoza』がプレイヤーに提供するのは、新感覚のシミュレーションゲームです。

ホラーテイストな謎解きゲームを提供していたSecond Mazeが発表した今作は、不気味さをかもしつつも、どこか間の抜けた雰囲気が強調される作品となっています。

 

『Mitoza』の遊び方

今作のジャンル分けはやや難しく、シミュレーションゲームとパズルを組み合わせたようなゲームシステムが特徴です。

 

プレイヤーの眼前には、まず謎の種子が現れます。

種子の横にはアイコンが描かれたボタンが現れ、これらを押すことで、様々な展開が見られるという仕組みです。

 

ボタン操作は展開に応じて変わるため、後戻りはできません。

例えば鳥のアイコンを押すと、鳥が画面上に現れ、種子を食べてしまいます。

逆に鉢植えのアイコンを押すと、鉢植えの中で種が育ち、植物が育つ様子を見られます*1。

 

このゲームでは基本的にこのような二択の連続が展開され、選択したアイコンに応じて物語の行方が変わります。

 

奇天烈なアニメーションの連鎖

選択型のシミュレーションのような操作感ですが、展開されるストーリーは全く予測ができないのが特徴です。

 

先ほどの鳥が種子を食べてしまう展開をもう少し進めてみましょう。

すると種を食べた鳥が急に大きな卵を産み、いきなり野菜のナスが登場し、卵をくり抜いてソフトクリーム屋を開店させるなど、とにかく予測不可能な展開が続きます。

 

当初の状態も忘れてしまうほど、目の前で強烈なアニメーションが展開された挙句、最後には再び画面上にはスタート時の種がポツンと残された状態へと戻ります。

 

今作はこのような一連のアニメーションのマルチエンディングをひたすらに楽しみ、紙芝居形式で物語を進めていくという、奇抜なストーリーをエンドレスに楽しめるという作品です。

 

『Mitoza』で提供される体験とは?

一見すると無茶苦茶な展開を見せる今作ですが、以下のポイントに注目すると、実に丁寧な作りであることがわかります。

 

ゲーム本来のインタラクティブ体験

卵をくり抜いてナスがソフトクリーム屋を開店するなど、その展開だけを追いかけるとプレイヤーを置いてけぼりにしてしまう要素ばかりに注目してしまいがちです。

 

しかし、実際にゲームシステムを丁寧になぞってみると、実はゲームそのものは基本を押さえた仕組みを備えています。

 

アニメーションはボタンを押さなければ始まりませんが、これはプレイヤーがアクションを起こすと、ゲーム側で何かが起きるという、ビデオゲームの基本的な挙動そのものです。

 

アウトプットこそ奇抜ですが、プレイヤーとゲームが相互に作用する、インタラクティブな関係性は確実に構築されているしたたかさを備えている点は見逃せません。

 

プレイ中は何がなんだかわからないものの、プレイ後の感覚は、一つのゲームをクリアしたような体験となるでしょう。

 

何度も遊べるリユース性

そして一発ネタばかりと思われる『Mitoza』ですが、実は何度も遊べる仕掛けを実装している点も見逃せません。

 

ボタン操作で様々な物語が展開されますが、これらは非常に多くの展開が用意されているため、一回のプレイで全ての過程を見ることはできません。

そのため、何度もプレイして結果を見届けなければならず、何度でも遊んでしまうことになるわけです。

 

幸いにも『Mitoza』は何度もプレイすることを前提としたゲームであるため、閲覧ずみのシーンはコレクションとして保存されます。

コレクター機能を備えているのも、この作品の魅力の一つとなっています。

 

『Mitoza』から考える、インタラクティブな企画のあり方

このように、奇天烈に見えても骨組みがしっかりしているゲームは、下手な作品よりもよっぽどゲームとしての質は高いと言えます。

 

ゲームに欠かせない、インタラクティブな体験はどのようにして提供すべきなのでしょうか。

 

プレイヤーを置いてけぼりにしない体験を尊重

まずビデオゲームを制作する上で重要なのが、あくまでもプレイヤー主体の体験を提供することです。

 

『Mitoza』の展開や、そのアニメーションこそ常人の理解を超えるような物語となっていますが、プレイヤーがタップ操作を行うまでは、そのような展開が実行されることはありません。

 

あくまでもプレイヤーが行動した結果として、強烈な物語が展開されるというルールは遵守されているため、ゲームとして安心のプレイを行うことができるようデザインされています。

 

プレイヤーがゲームに入り込む間も無く物語が進んでしまう作品は、言ってしまえば映画などの映像作品と大差がありません。

 

一方、ゲームはあくまでプレイヤー主体で物語が進むため、プレイヤーは作品の中に感情移入やプレイへの集中ができるというわけです。

 

映画やアニメとゲームの違いは、まさにこの点にあると言えるでしょう。

 

ゲームが「受け身」である重要性への注目

もう少しこのことを噛み砕いて説明すると、ゲームは常に受け身であることが求められる、とも言えます。

 

前述のように、映画やアニメというものは一度再生を始めると、終了までノンストップで物語が展開され、鑑賞者はただ座って眺めるだけ、というのが一般的です。

 

一方、ゲームはプレイヤーが積極的に参加しなければ物語が動くことはなく、ただ眺めているだけではいつまでもそのコンテンツを楽しむことはできません。

 

ゲーム作品はプレイヤーに対して受け身となり、いかに能動的に動いてもらえるか、ということを考えるコンテンツであるとも言えるでしょう。

 

ゲームは受け身であることを自覚し、プレイヤーへ上手に遊びたくさせられているかは、ゲームの良し悪しを決める上で重要な指標ではないでしょうか。

 

おわりに

ゲームの面白さを決めるポイントは様々ですが、良作とされてきたゲームは、いずれもプレイヤーの主体性を刺激するギミックが随所に盛り込まれています。

 

新しいゲームの企画を考えるとき、いかにプレイヤーを能動的にさせられるかということは、重点的に検討しておくべき要素と言えるでしょう。

 

併せて読みたい記事

スマブラのプロデューサーが考える、面白いインディーゲームの企画の仕方
スマホゲームのお手本『ひまつぶハンター』の魅力と企画
ゲームの企画を短時間で生み出すために必要なこと

 

参考:

 

*1 ゲームキャスト「衝撃映像の連続。謎の種に刺激を与えて反応を見る『Mitoza』レビュー。伝説のFlash謎ゲーが蘇る」

http://www.gamecast-blog.com/archives/65977021.html

 

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ライター名:Satoru Yoshimura

 

プロフィール:ライター。20年以上の付き合いがあるビデオゲームとアメリカ音楽をテーマとした活動が中心。「日本のゲーム音楽がヒップホップに与えた影響」などブログで公開中。

 

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『Mitoza』App Store:https://apps.apple.com/jp/app/mitoza/id1533173177

 

『Mitoza』Twitter:https://twitter.com/second_maze

 

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