CGデザイナーのための資格“CGクリエイター検定”について徹底解説!


“CGクリエイター”とは、ソフトウェアを活用してCG(コンピューターグラフィックス)を制作する職種の総称で、さまざまな役割を担います。
物体の形状を組み立てるモデラー、CGモデルを動かすためのアニメーション設定を行うアニメーター、映像の特殊効果を担当するエフェクトアーティストなど、一口にCGクリエイターといってもさまざまな職業が存在します。

 

また、担当する作業工程が人によって異なるという点も特徴の1つです。
CG制作は作業量が多いため、モデラーやアニメーターだけでなくプロデューサー、ディレクターなどの業種の人材が集まり、チームで役割分担を行って各工程の作業に集中して取り組むことが多いです。
しかし、フリーランスで活動するCGクリエイターの中には、1人で全行程を担当し、自分のペースで制作を進めるような人材も存在します。

 

本記事では、そんなCGクリエイターに関連する資格である“CGクリエイター検定”の試験概要やメリットについて解説していきます。

CGクリエイター検定とは?

試験の概要および目的

“CGクリエイター検定”は、CG-ARTS(公益財団法人画像情報教育振興協会)が主催する5つの検定試験“CG-ARTS検定”のうちの1つです。
CG-ARTS検定は、文部科学省認定の公的資格“画像情報技能検定”を前身としており、文部科学省後援の民間資格となっています。
特定のソフトウェアやマシン環境に依存しない知識と応用力を評価する試験で、新しい知識や技術を習得して時代の変化に対応できる能力を重視しています。

 

検定試験やテキストのベースとなるカリキュラムの作成には、現場で活躍するクリエイターの他、企業の開発部門や教育機関に所属する研究者など約300名が協力しています。
試験の難易度は専門知識の理解を評価するベーシックと専門知識の理解と応用力を評価するエキスパートの2つに分けられており、無理なくステップアップをはかれます。

運営団体

CGクリエイター検定の運営は、前述のとおりCG-ARTSが行っています。
CG-ARTSは、コンピュータグラフィックスにかかわるクリエイターとエンジニアの育成と文化振興を目的とする公益法人で、各種検定試験を実施している他、指導者養成、作品発表、外国との技術・作品交流などを行っています。
また、教育カリキュラムの策定も手がけており、カリキュラムにもとづく書籍は、教育機関や企業でも活用されています。

合格によるメリット

CGクリエイター検定の取得に際しては、合格する過程で養ったスキルを映像分野以外はもちろんのこと、ビジネスやプライベートを問わず活用していくことができます。
例えばプレゼンテーションの場においては、資料作成における画像の見せ方や表現で一歩進んだ工夫を凝らすことができ、受け手に合わせて情報をわかりやすく伝えられます。
また、映像の制作現場では検定で問われる知識や用語が日常的に使用されているため、円滑な意思疎通に活用できます。
相手の要望を理解して自分の意見を伝えられるため、業務におけるコミュニケーション能力の向上につながります。

 

その他、民間資格ながらも入学試験における優遇措置を導入している大学・短大や学習を推奨している企業などがあるため、アピールする要素としてはあまり強くはありませんが、取得する価値がゼロということはありません。

 

推奨企業はサイバーコネクトツー、シリコンスタジオ、スクウェア・エニックス(ヴィジュアルワークス部)などがあります。

必要となる職種

CGクリエイターになるために何らかの資格を取得する必要はなく、スキルを身につけて、就職するかフリーランスとして独立することでキャリアを始めることができます。
スキルを身につけることに関しても、必ずしも専門学校や大学に通う必要はなく、独学で習得することも可能です。
そのため、“CGクリエイター検定”の資格が必須となる職種は存在しません。

 

なお、CG-ARTS公式サイトでは活用できる分野や職種を想定しており、活用分野を“映画、アニメーション、CM、ゲーム、ミュージックビデオ、アプリなど”、想定職種を“CGディレクター、CGモデラー、CGアニメーター、CGデザイナー、ゲームクリエイター、グラフィックデザイナーなど”としています。
また、CGデザイナー・CGアニメーターの役割として求められるスキルに“CG映像の制作において、一定条件のもとに映像表現技術やCG理論の知識、CGソフトウェアを効果的に用いる能力”を挙げており、資格を習得するうえでこれらのスキルを養うことが可能です。

試験について

試験日程・時間

CGクリエイター検定を含むCG-ARTS検定は全科目、難易度共通で年2回開催されており、前期は7月の第2日曜日、後期は11月の第4日曜日に行われます。
試験はベーシックが午前、エキスパートが午後に実施され、試験時間はそれぞれ60分、80分とどちらも短時間となっています。
また、CG-ARTS検定は1日で最大4試験まで併願受験(午前はベーシック2検定まで、午後はエキスパート2検定まで)が可能となっています。
なお、併願受験を行う場合は試験時間が変更されます。

 

■CG-ARTS検定の試験時間一覧
ベーシック単願:午前60分
エキスパート単願:午後80分
ベーシック併願:午前100分
エキスパート併願:午後150分
ベーシック単願+エキスパート単願:午前60分/午後80分
ベーシック併願+エキスパート単願:午前100分/午後80分
ベーシック単願+エキスパート併願:午前60分/午後150分
ベーシック併願+エキスパート併願:午前100分/午後150分

受験料

受験料はCG-ARTS検定の難易度ごとに共通となっており、ベーシックが5,600円(税込)、エキスパートが6,700円(税込)です。
併願を行う場合は、受験する試験の分だけ受験料が上乗せされます。

 

■CG-ARTS検定の受験料一覧
ベーシック単願:5,600円(税込)
エキスパート単願:6,700円(税込)
ベーシック併願:11,200円(税込)
エキスパート併願:12,300円(税込)
ベーシック単願+エキスパート単願:13,400円(税込)
ベーシック併願+エキスパート単願:17,900円(税込)
ベーシック単願+エキスパート併願:19,000円(税込)
ベーシック併願+エキスパート併願:24,600円(税込)

申込期間・受験資格

CG-ARTS検定の申込期間は全科目・難易度共通となっており、公式サイトから確認可能です。
例として2021年度は前期が4月1日~6月4日、後期が9月1日~10月22日となっています。
試験日の都合上、特定の期間と決まっているわけではありませんが、大体試験の3カ月前から申込が開始されるようです。

 

申込方法はCG-ARTS公式サイトから行うインターネット申込と、郵便局備え付けの払込取扱票を使用して、受験料とともに郵便局から行う郵便局申込の2種類が存在します。
受験申込時に希望受験地を設定し、その受験地にもとづき、協会が指定した会場で受験することになります。
インターネットの場合は締切日の23時59分まで申込が可能となっているため、こちらがオススメです。
なお、同じレベルかつ試験数内であれば、インターネットから受験検定を変更可能です。
また、申込期間中であればインターネットから受験地を変更することもできます。

 

受験資格は特に存在せず、初めて受験する場合でもエキスパートを選択できます。
障がい者向けの特別措置も行われており、補聴器やルーペなどの持参使用、試験時間の延長などの措置を受けることができます。

合格発表日

試験の合否は受験日から約30日後に各受験者のマイページで公開されます。
また、受験日より5日後の金曜日にCG-ARTSの公式サイト上で解答が公開されるため、自分の回答内容と照らし合わせることで確認することもできます。
なお、合否通知や合格証は受験日の約60日後に郵送にて発送されます。

試験難易度について

出題形式および出題範囲

CGクリエイター検定の試験形式はどちらもマークシートで出題数は10問、合格基準店は100点満点中70点となっており、難易度によって変動します。
デザインの基礎知識や映像および3次元CGの制作に関する知識など、表現に必要となる多様な知識が出題範囲となります。
なお、公式サイトでは参考問題も公開されているため、試験内容をイメージする補助となるので必ずチェックしておきましょう。

 

ベーシック

CGクリエイター検定ベーシックは、2次元および3次元CGとデザインへの基礎的な理解に加えて、CG静止画制作に知識を利用する能力を測ります。
公式サイトで公開されている出題範囲は“CGとは”、“表現の基礎”、“2次元CGと写真撮影”、“3次元CGの制作”、“技術の基礎”、“知的財産権”の6つです。
公式サイトの参考問題を確認すると、用語の穴埋めだけでなく、知識を活用する形の問題も存在しているため、各項目について体系的に学ぶべき試験であることが窺えます。
強いて言えば、“3次元CGの制作”は出題範囲の中で項目がもっとも多いため、重点的に勉強しておく必要があるでしょう。

 

■CGクリエイター検定ベーシック出題範囲
●CGとは
CGとは
CGの歴史
CGの産業応用
CG映像制作のワークフロー
●表現の基礎
デッサン
色と動き
文字
●2次元CGと写真撮影
2次元CGの基礎
写真撮影とレタッチ
●3次元CGの制作
モデリング
マテリアル
アニメーション
カメラワーク
ライティング
レンダリング
合成(コンポジット)
編集
●技術の基礎
ハードウェアとソフトウェア
ディジタルの基礎
●知的財産権

 

エキスパート

CGクリエイター検定エキスパートは、3次元CGと映像制作に対する専門的知識に加え、3次元CG映像への応用能力を測る試験です。
出題範囲は“写真撮影”、“映像編集”、“モデリング”、“リギング”、“アニメーション”、“シーン構築”、“プロダクションワーク”、“知的財産権”、“映像制作を支える技術”、“数理造形”の10項目とベーシックから大きく増えています。
しかし、項目の中にはモデリングのようなベーシックにおいて細分化された内容だったものも存在しているので、ベーシックを合格しているならば勉強はスムーズに進むかもしれません。
また、直接デザインにかかわらない項目が増えているので、推奨書籍や問題集を使わずに勉強している人は注意が必要です。

 

■CGクリエイター検定エキスパート出題範囲
●写真撮影
写真撮影の基礎
動画撮影の基礎
カラーコレクション
●映像編集
映像編集の基礎
映像編集の実際
映像と音の演出
●モデリング
モデリングの基礎
モデリング手法
モデリングの実際
●リギング
リギングの基礎
リギングの実際
●アニメーション
CGアニメーションの基礎
CGアニメーションの手法
キャラクタアニメーション
フェイシャルアニメーション
CGアニメーションの実際
●シーン構築
シーンデータの構築
マテリアル表現
ライティング
レンダリング
合成(コンポジット)
●プロダクションワーク
映像制作におけるプロダクションワーク
スタッフの名称と役割
●知的財産権
知的財産権の概要
著作権
産業財産権と不正競争防止法
●映像制作を支える技術
ファイル形式
規格
●数理造形
手続き的造形手法

合格率

CGクリエイター検定における応募者および合格率は下記の通りとなっています。
応募者数はベーシックが1,500~3,000人(※1)、エキスパートが1,000人程度であまり差はなく、どちらも後期試験のほうが人気という傾向にあります。
一方、合格率に関してはベーシックとエキスパートで大きな開きがあり、前者の平均が65%であるのに対して後者平均は22.33%となっています。
応募者数にあまり差がないことを考えると、エキスパートはベーシックから大きく難易度が上昇していると考えてよいでしょう。

 

■CGクリエイター検定の応募者数および合格率
●ベーシック
2018年度前期:1,424人/63.7%
2018年度後期:2,813人/60.5%
2019年度前期:1,927人/68.50%
2019年度後期:2,820人/71.51%
2020年度後期:3,963人/60.68%
●エキスパート
2018年度前期:959人/20.0%
2018年度後期:981人/21.7%
2019年度前期:953人/23.55%
2019年度後期:1,145人/22.69%
2020年度後期:1,331人/23.71%
※2020年前期検定は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から中止となっています。

※1:2020年度後期検定は2020年前期検定が中止となっていることから例外視しています。

過去問

CG-ARTS公式サイトでは、過去2回分の試験問題および解答が公開されており、試験実施から一週間程度で更新されます。
また、各試験に対応した書籍や問題集も出版されています。
CGクリエイター検定の関連書籍は、『ディジタル映像表現 -CGによるアニメーション制作-[改訂新版]』、『入門CGデザイン -CG制作の基礎-[改訂新版]』、『CGクリエイター検定エキスパート・ベーシック公式問題集 [改訂第二版]』の3種です。
書籍に関しては、それぞれの分野で活躍するクリエイターやエンジニアが携わっっており、入門レベルから取りそろえられているため、入門者にもオススメの内容となっています。

まとめ

CGクリエイター検定は、以前の記事で紹介した基本情報技術者試験や応用情報技術者試験と同じくその分野に進むのでなければそこまで優先すべき資格ではありません。
特に、国家試験である基本情報技術者試験と応用情報技術者試験に対してこちらは民間資格であることから、その分野に進む場合でも重要性は多少下がるといってよいでしょう。
しかし、本試験の強みとしては生活のあらゆる場面にかかわるデザインの資格という点であり、CGクリエイターの道に進まなかったとしても活用する場面が多数存在するという点です。
過去問をはじめとした資料も豊富なので、興味がある方は挑戦してみてもよいかもしれません。

 

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