サウンドクリエイターに役立つ資格“MIDI検定”について徹底解説!
MIDI(ミディ、Musical Instrument Digital Interface)は、電子楽器のデータ規格の一種であり、ゲーム制作において音楽を取り扱う際にも使用されることがあります。
PCを使って作曲する技術が必要なサウンドクリエイターに必要となる知識の1つです。
今回は、MIDIに関する資格である“MIDI検定”について解説していきます。
目次
サウンドクリエイターの仕事
MIDI検定とは
MIDIは1982年に誕生した、電子楽器の演奏データを機器間で転送・共有するための共通規格です。
コンピュータにおける“音楽の共通言語”としての役割を担い、通信技術の発展を背景に通信カラオケや着信メロディー配信などに活用され、応用分野が拡大しました。
運営団体について
MIDI検定は、社団法人音楽電子事業協会(Association of Musical Electronics Industry/AMEI)が運営を行っています。
AMEIは音楽電子事業や関連産業の健全な振興を図ることを目的として1996年に設立された団体で、電子楽器関連企業や業務用通信カラオケ事業者、コンテンツプロバイダーなどによって構成されています。
主な活動としてMIDI規格の管理、応用、新規格の策定の他、製品の安全や環境に関する調査や研究、音楽著作権の利用者としての活動などが挙げられます。
試験の概要
MIDI検定は、MIDI規格の普及啓蒙、規格内容の認識、活用レベルの標準グレード化を目的として、平成11年度より始まった認定制度です
初級クラス3級から始まり、現在では最上級クラス1級~入門クラス4級まで制定されています。
各試験内容について
4級
4級は入門クラスとなっており、コンピュータミュージックの楽しみ方や概要を学びたい人が対象です。
AMEI認定の指導者による4級講座を受講した後、認定試験を行う形となっています。
講座はミュージックメディアにおける入門レベルの知識とスキル獲得を目的とした総合的学習で、音楽ファイルや音楽ソフト、CD制作などの幅広い知識を身に付けられます。
3級
MIDI規格の基礎を学ぶことを目的とした試験で、基本知識を理解し、音楽情報を数値化したり、数値化されたデータを音楽情報として捉えたりできる人材を目標としています。
2級
音楽制作実務者レベル、指導者レベルの検定で、筆記試験による2級1次試験と筆記試験と課題提出による2級2次試験が存在します。
2級2次試験は3級と2級1次試験で習得した知識を実際に試す場としての立ち位置となっています。
実技試験では、各自の音楽制作環境で、課題曲のMIDIデータと任意の音源で再生したオーディオファイルを作成し、データCDに書き込んで提出します。
1級
プロレベルの力量(正確性、表現力)を証明する試験となっています。
試験内容は音楽制作そのもので、編集技能や表現力だけでなく、作品を仕上げるための音響知識やセンスも必要となります。
制作する課題曲は作編曲家書き下ろしの未発表作品なので、新たな音楽の誕生に出会い、プロの仕事を体験することができます。
合格によるメリット
必要となる職種
MIDI検定が必要となる職業は、基本的にサウンドクリエイターのみと考えて問題ありません。
1級では音楽制作を行い、プロの仕事に触れることとなるため、アピールとしてある程度の信頼性があるといってよいでしょう。
一方、その他の業種については音楽に関連したポジションにつかない限りはあまり活用する機会がないことや、本資格は作曲などの音楽を作ることそのものにかかわるものではないことには注意が必要です。
試験について
試験日程・時間
4級は随時実施されており、その他の試験は年1回開催されています。
1級は8月、3級と2級は12月に開催されています。
なお、2級1次試験と2級2次試験は異なる日程で開催されており、3級と2級1次試験は同日に実施されています。
受験料
受験料にはライセンスカードの発行/成績通知表の発行費用が含まれており、3級が3,300円(税込)、2級1次が5,500円(税込)、2級2次が13,200円(税込)、1級が19,800円(税込)となっています。
なお、4級は各検定認定指導者の開催する講座によって受験料が異なります。
申し込み日程・受験資格
試験の申し込み日程は3級と2級1次試験は9月上旬~10月下旬、2級2次試験は12月上旬~1月下旬、1級は7月上旬~8月上旬となっています。
受験資格については、4級、3級は不問となっていますが、2級1次試験は3級、2級2次試験は2級1次、1級は2級2次試験の合格が必要です。
合格発表日
合格発表日は、同日に試験が開始される3級と2級1次検定のみ12月中旬と共通していますが、その他は異なります。
2級2次検定は4月中旬、1級は10月末で、4級は受講講座により異なります。
試験難易度について(出題形式及び出題範囲)
3級
3級の出題範囲は受験案内において学習目標として示されています。
MIDI規格の基礎を学ぶことが目的となっているため、初学者でもわかりやすい内容となっています。
また、MIDIに関する知識というよりも、音楽制作の基本的知識の向きが強くなっています。
■MIDI検定3級出題範囲
音楽再生と音楽制作の歴史
PCに関する知識
音楽制作機材の名称と機能
MIDIの基礎知識
MIDIによる演奏情報の知識
GMに関する知識
楽典
デジタルオーディオに関する知識
2級1次試験
2級1次試験は“音楽制作に関する実務を行う知識ならびにその技術”に注目した内容となっています。
3級と比べてよりMIDIについて踏み込んだ内容となっているため、参考図書などを読み込んでおいたほうがよいでしょう。
■MIDI検定2級出題範囲
詳細なMIDIメッセージの仕組み
各種DAWにおけるMIDIイベント表記の実際
楽典および音楽表現とMIDIによる表現
シンセサイザーに関する知識
エフェクトに関する知識
オーディオプロダクションに関する知識
音響学
リリース
著作権に関する知識
2級2次試験
筆記試験と課題提出による試験となっており、制作課題に関するオンライン講義と筆記試験が行われます。
試験日にダウンロードで制作課題を受け取り、自宅でデータ制作作業を行った後宅急便か簡易書留の郵送で提出します。
出題される問題は、練習曲に含まれる要素を入れた新曲1曲で、練習曲と曲の長さは、ほぼ同じものとなっています。
試験の1カ月前に課題練習曲がMIDI検定のホームページに発表されるため、宅の環境で入力などの方法でしっかりと試験に備えておきましょう。
1級
1級では、課題曲スコア(楽譜)と制作規定書を参照して、自宅など任意の環境で作品を制作して提出します。
制作期間は資料の到着から完成データ一式の送付まで10日間で、期間内の合計20時間相当が実制作時間に割り当てられる計算です。
課題曲は、MIDI検定1級試験のために作曲または編曲された未発表の作品で、MIDIチャンネル16チャンネル以内で表現可能な2分程度の作品となっています。
採点は、MIDIデータが評価される一次審査と、表現力が評価される二次審査の二段階で行われます。
合格率
現在公開されている限りでの近年におけるMIDI検定の受験者数は、多くても600人以下とあまり多くはありません。
一方、合格率に関しては、1級以外は基本的に4割以上となっています。
2級1次試験以降は受験資格が存在することも考慮すると、試験対策さえできていれば順当に合格できる難易度と考えられます。
しかし、1級だけは相応の難しさになっていると想定しておいたほうがよいでしょう。
■MIDI検定 統計情報(受験者数/合格者数/合格率)
●3級
平成24年度:590人/339人/57.46%
平成25年度:514人/261人/50.78%
平成26年度:526人/271人/51.52%
平成27年度:493人/308人/62.47%
平成28年度:512人/378人/73.83%
●2級1次
平成24年度:134人/84人/62.69%
平成25年度:124人/30人/24.19%
平成26年度:117人/73人/62.39%
平成27年度:143人/91人/63.64%
平成28年度:139人/67人/48.20%
●2級2次
平成24年度:74人/41人/55.41%
平成25年度:45人/21人/46.67%
平成26年度:78人/33人/42.31%
平成27年度:92人/62人/67.39%
平成28年度:65人/39人/60.00%
●1級
平成24年度:45人/11人/24.44%
平成25年度:43人/9人/20.93%
平成26年度:27人/14人/51.85%
平成27年度:34人/10人/29.41%
平成28年度:43人/17人/39.53%
過去問
公式サイトでは、3級と2級1次試験の過去問題と解答が公開されています。
また、4~2級の対策講座も行われている他、参考資料として『MIDI検定3級/2級1次/2級2次/1級ガイドブック』、『MIDI検定4級ガイドブック』、『MIDI検定1級 課題曲Set』が販売されています。
講座は、オフラインのものだけでなく、オンラインのものも実施されているため、公式サイトをこまめにチェックしておくとよいでしょう。
まとめ
冒頭で述べましたが、MIDIは電子楽器のデータ規格の一種であり、作曲に直結するものというわけではありません。
そのため、この資格を取ることで作曲家としての能力を証明したり、向上させたりすることにはつながりにくいと言えるでしょう。
制作において必要なものは確かであるため、サウンドクリエイターとしてのキャリアパスのめどがある程度ついた段階で取得を目指すのがオススメかもしれません。
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