Steamの評価システムとは?売上にどれだけ影響がでる?仕組みや注意点も解説


 
世界的に有名なゲームプラットフォームであるSteamには、独自の評価システムがあります。この評価システムで高評価されると売り上げが上がると言われているので、ゲーム業界での注目度は非常に高めです。
 
このコラムではまずSteamの評価システムの仕組みや表示方法を紹介したうえで、評価システムがもたらすメリットや注意点などを解説します。
 

1. Steamの「評価」システムとは

この項目では、まずSteamとは何かを解説し、Steamの評価システムがどんなものなのかを明確にしていきます。
 

1-1. Steamとは

Steamとはアメリカのワシントン州にあるValve Corporation が運営しているPCゲーム配信プラットフォームです。大手ゲーム会社がリリースしたAAAタイトルやインディーズタイトルなどが数多く販売されています。
 
Steamが扱うタイトル総数は不明ですが、2023年に新規リリースしたタイトルが14,000本以上だったと報告されているので、旧作を含めればかなりの数が予想されます。
 
PlayStation StoreMy Nintendo Storeは扱っている総数がそれぞれ1万数千タイトル程度なので、Steamが圧倒的に多くのゲームを入手できるプラットフォームであることがわかります。
 

1-2. Steamの評価システムの基本的な仕組み

Steamの評価システムは、ユーザーのレビューをもとに作られています。レビューの書き込みは未購入のユーザーでもできますが、Steamで購入していないユーザーのレビューはスコア算出に用いられません。
 
また購入したユーザーのレビューの評価を単純に平均しているわけではなく、レビューに重みづけが行われます。一定時間以上プレイしたユーザーの評価や、「参考になった」と評価されたレビューが重く扱われます。
 
さらに、不正を防止するために、レビュー爆撃(短時間に書き込まれる不自然な数のレビュー)を算出基準に含まない配慮が行われています。
 

1-3. スコアの決まり方と表示方法

Steamのスコアの決定方法と表示方法を以下に表でまとめます。基本的にレビュー数と高評価が多いことが好評の条件です。ただしレビュー数が多くても低評価であれば不評の方向に振れるように設計されています。(2025年6月時点での仕様)
 

評価(英語表記)評価(日本語表記)好評の比率レビュー数
Overwhelmingly Positive圧倒的に好評95%以上500件以上
Very Positive非常に好評80%以上50件以上
Positive好評80%以上10件以上
Mostly Positiveやや好評70-79%10件以上
Mixed賛否両論40-69%10件以上
Mostly Negativeやや不評20-39%10件以上
Negative不評19%以下10件以上
Very Negative非常に不評19%以下50件以上
Overwhelmingly Negative圧倒的に不評19%以下500件以上

 
No user reviews:ユーザーレビューなし / レビュー数が少なすぎる
 

2. Steamの評価システムがもたらすメリット

ここでは、Steamの評価システムによってゲーム会社が得られるメリットを紹介します。
 

2-1. ユーザーのリアルな声が反映される

Steamの評価システムは、基本的にSteamで評価対象ゲームを購入したユーザーの声が反映されます。各ユーザーの評価基準は任意なので、受け取り方の難しさはありますが、ゲーム会社や開発者としてはユーザーの声を直接聞くことができるチャンスであることは間違いありません。
 

2-2. 好評であれば「レビューを見て買う」ユーザーが増える

Steamのレビューや評価は、ゲーム開発者だけでなくユーザーも見ています。そして「レビューや評価を見て、買うかどうか考える」という人もいますから、ゲーム開発者とユーザーの双方にとって重要な存在です。
 
2022年の調査ではありますが、株式会社ゲームエイジ総研の報告によると、日本のゲーマーの38.5%が「レビューを参考にしている」と答えています。また、レビューの文章とスコアの両方を見る人が半数以上いるとも報告されているため、評価システムの影響は小さいものではありません。
 

2-3. レビュー数がかなり好評であれば「好評である」というだけでブランディングが成立する

Steamの評価システムでは、レビュー数が10件以上あり、好評の比率が70%以上ならスコアも「やや好評」以上になります。
 
「やや好評」以上になれば、前の項目で書いたようにレビューを見る人が買ってくれる可能性が上がりますし、Steam画面上での表示回数が増える点もゲーム会社や開発者にとっての歓迎要素です。露出が増えれば購入を検討するユーザーも増えますから、スコアの評価アップは、結果的にはスコアを見ない人を呼び込む機会も増やしてくれます。
 

2-4. 他サイトのバンドルなどからオファーがもらえる可能性が増える

Steamには、似たジャンルやプレイヤーの共通性などに着目して、複数のゲームをセット売りする「バンドル」という仕組みがあります。評価システムで「やや好評」以上のスコアがつくと、ほかのゲーム会社やスタジオからバンドルのオファーが来る可能性が上がります。
 
特にSteam内でジャンルなどを限定したイベントがある際に、バンドルのチャンスは上がります。バンドル販売で成長したゲーム会社も実際に存在するので、オファーが来たらしっかり検討しましょう。
 

3. Steamの評価システムを意識する上での注意点

前の項目ではSteamの評価システムで得られるメリットを書きましたが、注意すべき点もあるので、以下にも必ず目を通してください。
 

3-1. レビュー内容によっては炎上の可能性が出る

評価システムがある以上、「好評」と評価されるタイトルがある一方で、「不評」とされるタイトルも出てきます。
 
バトルロイヤルFPSの世界的有名タイトルである「Apex Legends」は、2024年に行ったバトルパスの仕様変更がユーザーに支持されなかったことで、Steamに膨大な不評レビューが書き込まれました。その結果、「Apex Legends」のスコアは「賛否両論」を下回って「やや不評」まで下落しています。
 
この現象はプレイヤー数が多いタイトルで特に起こりやすいとされており、その背景には大型タイトルに関してSteamのレビューが苦情書き込み場所になっている実情もあるようです。
 
炎上というショッキングな事態に目が向きがちですが、システム利用者の傾向にも着目すべきでしょう。
 

3-2. レビューが悪いと売上に悪影響が出る

「好評」がタイトルのブランディングにつながるというメリットと対照的に、レビューで悪評価を書かれてしまうと売り上げが落ちる傾向がみられます。スコアが「賛否両論」以下になるとSteam上のレコメンドに表示されづらくなるため、露出が減って購入機会も低下するからです。
 

4. Steamの評価で注目されがちなポイント

ここでは、Steamのレビューでどのような項目が評価されがちなのかを、5つの角度から見ていきます。
 
レビューシステムの性質上、ときには心無い書き方をされる場合もあるかもしれませんが、適切な対応でゲームがブラッシュアップされることもあります。ゲーム開発者にとって非常に重要な項目なので、ぜひ注視してください。
 

4-1. ゲームボリューム

ゲームの面白さとは別に、短時間しか楽しめないゲームはボリューム不足と低評価にされがちです。特に購入価格に対して物足りなさが目立ってしまうと、ユーザーは不満を感じやすいようです。
 
これはそもそも十分なボリュームを提供する体制がないインディーズゲームに不利なポイントです。また、ローグライト系のように長くプレイしやすいジャンルが有利な一方、ノベルゲームのように短時間で終わるジャンルはボリューム不足と判断されやすいため、ユーザーの理解が分かれやすい傾向にあります。
 
開発者としては、アップデートでボリューム自体を増すか、やりこみ要素を増やすなどの対応が考えられます。
 

4-2. ゲームバランス

例えばキャラクターやアイテムの強さや弱さのバランスが悪い場合も、低評価にされがちです。
 
ただし、ゲームバランスが悪い根源はキャラクターやアイテムのパラメーター設定にとどまるものではありません。ゲームデザイン自体の悪さや、検証不足の結果がユーザーの不満を生んでいる可能性があるからです。
 
そのためゲームバランスの悪さを指摘された場合、リリースに足るクオリティであったのかを確認すべきでしょう。
 

4-3. ゲーム難易度

「ゲームが提供する課題がクリアできない」、「難しすぎてやる気がなくなった」といった理由で低評価になるゲームもあります。適度な難しさはやりこみ要素やクリア時の達成感につながるので、好評につながりますが、挫折感ばかりを突き付けられると理不尽さや怒りを感じるユーザーが増えます。また、何とかクリアできるレベルではあっても予想よりはるかに時間を使った場合も不満になりがちです。
 
特に最近はソウルライクに代表される高難易度のゲームが支持される傾向にあり、そのニーズを掴もうと必要以上に難易度を上げてしまうタイトルもあるようです。高難易度のゲームについては、以下のコラムの参考にしてください。
「「高難易度ゲーム」とは?おすすめのタイトルやゲーム作りにおける難易度の考え方」
 
なお難易度が低すぎる場合も不満につながりますが、この場合はボリューム不足として評価される可能性もあります。
 
開発者としては、偏った難易度があればその部分を改善する、全体のゲームバランスを見直す、調整機能を設ける、などの対応が考えられます。また、ユーザーに十分なプレイ方法が伝わっていない結果であれば、チュートリアルの見直しで改善できる場合もあるかもしれません。
 

4-4. ゲームシナリオ

ビジュアルや動きなどは良いのに、ストーリーが物足りない、つまらないといった点で低評価されるケースもあります。また、結末を楽しみにプレイしたのに、オチがつかなかったり、期待した盛り上がりが無かったりするとがっかりされることが多いようです。
 
シナリオの不足であればアップデートで継ぎ足す手もあります。また部分的な修正で対処できる場合もあるかもしれないので、しっかり考えてみましょう。
 

4-5. オートセーブやスキップといったあるべき要素の有無

近年のゲームであれば当然実装されているだろう、と思われる要素がないと、低評価の原因になります。たとえばオートセーブやスキップ機能、マップ機能などの便利機能のほか、分岐要素や育成要素の不足を不満に感じる人もいます。
 
随時アップデートしていくタイトルであれば、必要性に順位をつけて対応することを検討してみてください。
 

5. まとめ

Steamの評価システムの基本的情報を整理し、評価システムによって得られるメリットや評価システムに向き合ううえでの注意点をまとめました。Steamの評価システムは好評を得られると売り上げアップしやすいため、利益に直結することもあります。
 
一方、低評価されると売り上げ低下が起きる可能性がありますが、真摯に対応することで評価を盛り返せる場合もあるので、低評価された理由を検討し、前向きに生かしていくことをおすすめします。
 

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