ポケモンに学ぶ、学校では得られないゲーム作りのアプローチ


日本が世界に誇る唯一無二のゲーム、ポケットモンスターは、今や世界にも類を見ない大ヒットゲームとして愛され続けています。

2019年も新たなポケモンシリーズが発表されましたが、2017年に発売された前作『ポケットモンスター サン・ムーン』の開発チームが興味深い製作秘話を語ってくれています。

 

世界的クラシック作品となった「ポケモン」

すでに時代遅れとなりつつあったゲームボーイでの発売、そして競合が数多く市場に出回っていたRPGというジャンルであったこともあり、当初は風当たりの厳しかった初代ポケモン。*1

今や毎年新作が待たれる大人気シリーズとなっただけでなく、グッズからアニメ、実写映画まで、あらゆるエンターテイメントに進出しているポケモンブランドは、絶対的なステータスを獲得するまでに至りました。

 

誕生から20年、未来永劫愛されるポケモンたち

初代ポケモンこと『ポケットモンスター 赤・緑』は、1996年にゲームボーイ向けに発売されたRPGでした。

主人公が自ら戦うのではなく、新しいポケモンを入手・育成しながら成長していくという物語、そして手に入れたポケモンをプレイヤー同士が交換できるというシステムは、大きな評判を呼びました。

 

ソフトを赤と緑に分けたり、交換を行わなければ手に入らないポケモンの存在や、各ソフトのトレーナーごとにIDが振り分けられ、ポケモンやトレーナーの個性をさらに引き出すという仕掛けは、携帯ゲーム機であることも相まって、口コミを爆発的にさせる機能も果たしました。

プレーヤーに自分がまるで本物のポケモントレーナーであるかのような臨場感を与えただけでなく、通信対戦や交換のように、ポケモンをプレイしていない人たちにも「何をしているの?」と思わせたり、「自分もその輪に入りたい!」と好奇心を刺激するような仕掛けを幾重にも張り巡らせていたのは、まさにビデオゲームとして完成された遊びの提供であったと言えるでしょう。

 

任天堂から最新のゲーム機が発売されるたびに新作がリリースされてきたポケモン。

2019年はニンテンドースイッチ向け最新作、『ポケットモンスター ソード・シールド』の発売が控えています。どのような仕掛けで私たちを楽しませてくれるのか、多くのファンが発売日を心待ちにしています。

 

文字通り「老若男女」に喜ばれる理由

ポケモンシリーズが長年飽きられる事なく愛されているのは、定期的な新作のリリースの裏で、ゲームや映画、グッズ企画などで初期作品への原点回帰も定期的に行っていることが理由として考えられます。

 

初代ポケモンは国内で大ヒットを記録しましたが、海外でのヒットを後押ししたのはアニメの存在が大きいでしょう。

「アニメ番組の理想型」とまで言わしめたポケモンは海外でも高い評価を博し*2、アニメからゲームをプレイするようになった子供達も多く生まれました。

 

そして劇場版アニメも新作が次々と公開されていき、ゲーム外でのポケモン人気はさらに高まりを見せていきます。

特に初代劇場版である『ミュウツーの逆襲』は国内外でポケモンファン以外の高い評価を集めており、「生命の尊さ」という大人向けのテーマ設定ともうまくマッチし、アメリカでは初週で1000万ドルの興行収入を得るという、ワーナー系アニメ映画としては最高額の売り上げを記録しました*3。

 

このように、シリーズ初期においてポケモンは数年でゲームやアニメ、他にもグッズや漫画など、あらゆるメディアとの融合によりセールスを相乗的に更新し、確固たるブランドを築いていきました。

ポケモンが斬新なシステムと刷新したキャラクターとともに新シリーズを打ち出せるのは、登場初期から根強いファンが世界中に存在していることが大きいと言えるでしょう。

 

ポケモンの新作は何故売れ続けるのか?

人気シリーズはそのキャリアが長くなればなるほど、古参ファンと新規ファンの間で亀裂が生まれてくるものですが、ポケモンの新作を毛嫌いする声はそれほど大きくならないまま、着実にファンの心を掴み続けています。

 

ヒントは若者の心を掴み続ける取り組みにあり

インタビューによると、開発チームが大切にしているのは何と言っても「遊び」と「若さ」を重視する点なのだそうです*4。

ポケモンシリーズが受け継いできたバトルシステムやキャラデザインのあり方など、「ポケモン」ブランドを時代に合わせて常に再定義し続けることが、誰にでもいつの時代でも楽しんでもらえるゲーム作りに生きているのでしょう。

 

ポケモンという絶対的なブランドに甘えず、それでいてポケモンという肩書きがバックにあるからこそいつも大胆にゲーム作りができる環境は、まさに「ポケモン」にしか実現できない環境と言えます。

 

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ポケモンが教えてくれる「話題のゲーム」の作り方

ポケモンの開発チームが大切にしている取り組みとして、「いかにして口コミを広げてもらうか」というものがあるそうです。

初代ポケモンの時もそうでしたが、ポケモンはそもそも口コミによって大ヒットを記録したゲームで、初代作品の世界販売本数は3000万本を超えるという、任天堂やゲームフリークも想定していなかったセールスを記録しました*5。

 

ゲームが誰の手で遊ばれ、どんな生活に馴染んでいくかを考える。

それだけに口コミに対しては人一倍の注意を払っているであろうポケモンですが、このゲームのターゲットが若年層である以上、若い人や子供達が、どうやってこのゲームの魅力を他の人に伝えるかをよく観察しています。

 

『サン・ムーン』の時代はすでにSNSによる口コミが主流となっていたため、プレイして30分で思わずTwitterに呟きたくなるような仕掛けを用意するなど、インターネット時代特有の「即時性」に目を向けたゲーム作りとなっていたそうです*5。

誰がどのようにプレイし、どういうライフスタイルの中にポケモンが馴染んでいくのか。そこまで現代人の生活を見抜ききった作品だからこそ、多くの人に愛されるゲームとなっているのでしょう。

 

時代の流れを掴んだ柔軟な考え方を意識しよう

これから新たに生み出されていくゲームは、どんな人をターゲットにするゲームであれ、今の時代を生きる人に遊ばれるゲームであることを覚えておく必要があります。

昔は学校や職場が口コミの現場、今のはネットでの口コミが主流という変遷も踏まえ、どうすれば今の時代の人たちが喜んで遊んでくれるかを明確にしておくと、目標を見失わずに済むのではないでしょうか。

 

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出典:
*1「ポケモンふぁみちゅう団 石原社長に聞く、20年目の『ポケモン 赤・緑』」週刊ファミ通 第1422巻2016年3/17号、 p178-183
*2日経キャラクターズ2004年7月号
*3Rick Lyman “Pokemon Is Catching, and Keeping, Them” New York Times
https://www.nytimes.com/1999/11/13/movies/pokemon-is-catching-and-keeping-them.html?mtrref=en.wikipedia.org&gwh=277EF316ECB166F4302647AE502504CB&gwt=pay
*4電ファミニコゲーマー「『ポケモン』新作は“攻略”を検索される前提? ゲームフリークの伝説を受け継ぐ若きディレクター達 」
https://news.denfaminicogamer.jp/interview/170703
*5VGChartz “Pokémon Red / Green / Blue Version (GB)”
http://www.vgchartz.com/games/game.php?id=4030&region=All

ライター名:Satoru Yoshimura
プロフィール:ライター。20年以上の付き合いがあるビデオゲームとアメリカ音楽をテーマとした活動が中心。「日本のゲーム音楽がヒップホップに与えた影響」などブログで公開中。

 

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