• HOME
  • 記事
  • キャリア
  • 病みつきになるゲームはどう作る?プランナーが参考にしたい『Cell to Singularity』のほどよい中毒性

病みつきになるゲームはどう作る?プランナーが参考にしたい『Cell to Singularity』のほどよい中毒性


世の中には中毒性の高いゲームと呼ばれるものがいくつもありますが、この「病みつき」になる感覚はどのようにして生まれ、そして飽きられないように作るのでしょうか。

 

ゲームの中毒性を生み出すのに、最も需要な要素の1つが「シンプルな操作性」ですが、クリックひとつで大きな物語に引き込む『Cell to Singularity』は、飽食の時代でも飽きさせない魅力を放つスマホゲームに仕上がっています。

 

壮大なクリックゲームである『Cell to Singularity』

『Cell to Singularity』は、端的に言えばクリックするだけで遊べるゲームです。

https://store.steampowered.com/app/977400/Cell_to_Singularity__Evolution_Never_Ends/?l=japanese

 

地球の誕生から超人の誕生までを見届けるクリックゲーム

プレイヤーは、いわゆる「神」の視点からプレイするシミュレーションゲームとなっています。

太陽系の名もなき惑星が地球となるところからゲームは始まり、生命を生み出し、進化させることが主なプレイングとなります。

 

プレイそのものに関してはあまりにもシンプルなため、特に大きな説明を受けることはありません。

とりあえず画面をタップしてみると、惑星に変化が生じ、次第に地球が豊かな星へと育っていく様子を目撃することができます。

 

単にタップし続けるだけでなく、生命体がある程度豊かになると、ツリー形式で進化の方法を選んでいくことができます。

生態系は次第に豊かになり、人類が誕生し、最終的には人類を超えた種の誕生までを目撃することができます。

 

豪華な演出とストーリーを何度でも楽しめる

単にゲームの説明を聞くだけでは、なんとも味気ないシミュレーターのような印象を受けてしまいますが、このゲームの面白さはやはりグラフィックや、細かな演出にあります。

 

プレイヤーによっては黒い惑星が青々とした地球になっていく姿に感動を覚える人もいるかもしれませんが、やはりメインとなるのは生命の誕生シーンです。

 

ゲーム中の時間軸とはいえ、何万年もの時をかけて命が生まれ、そして多様性を伴って豊かな生態系を構築していく姿は、何にも変えがたい喜びがあります。

 

また、生命体が地上を歩き出したり、人に近づいていくと、場を盛り上げるテキストや音楽も豊かになっていきます。

単にグラフィックが変化していくだけでなく、ゲームとして生命の進化を盛り上げていく仕掛けが施されている点は嬉しいところです。

 

また、人類を超えた生命体の未来については、ある種SFのような物語としてその行く末を見守ることができます。

『2001年宇宙の旅』など、人類の「向こう側」を描いた作品はいくつもありますが、『Cell to Singularity』もまたそのようなSF作品として楽しむこともできるでしょう。

 

 

『Cell to Singularity』の没入感はどこにある?

プレイヤーを現実とはかけ離れた大きな物語に連れて行ってくれるこのゲームですが、そのプレイの本質は実にシンプルです。

 

プレイングは「クッキークリッカー」系

前述の通り、このゲームは基本的に「タップ」の操作しか備えていません。

画面をタップすることでエネルギーを生産し、生命の進化に生産したエネルギーを消費します。

 

このエネルギーは、初めのうちこそ自力で何度もタップしなければ大量には作ることができないものの、次第にタップをせずとも倍々方式で無限に増え続けることができるようになります。

 

もともとこの手のゲームの礎を築いたのは、『クッキークリッカー』という無料のブラウザゲームだとされています。

 

http://natto0wtr.web.fc2.com/CookieClicker/

 

ひたすらにマウスをクリックし続けることでクッキーを焼き、その生産量に応じて製造機を買い、ひたすらにクッキーを焼き続ける・・・プレイは恐ろしく単調ですが、なぜかやめられないゲームとして、一大ブームを巻き起こしました。

 

『Cell to Singularity』もまた「クッキークリッカー」系のゲームと言えますが、本家と違う点として、このゲームには一応エンディングが存在することです。

 

人類の「その先」を疑似体験

クッキークリッカーの場合は、永遠とも言える作業を楽しむことに主眼が置かれていますが、『Cell to Singularity』は地球上の生命体の最後を見届けることが一応のエンディングとなります。

 

地球上の生命体の限界、そして人類を超えた先には何があるのかを、このゲームの製作者の未来予想図を覗きながら、この地球の歴史と可能性に思いを馳せるのが正しい楽しみ方なのでしょう。

 

スマホゲームでありながら、奥深い体験に触れることができるのが最大の魅力と言えます。

 

『Cell to Singularity』に学ぶゲームプランニング

単純な操作がカギになるとは言え、ゲームは単調になるとすぐに「飽き」が生まれてくるものです。

このバランスを、このゲームはどのようにして乗り越えようとしているのでしょうか。

 

壮大な世界観と「クッキークリッカー」というギャップ

まず、『Cell to Singularity』は地球の誕生から生命の未来までを描く、壮大な世界観を持っています。

ところが、プレイそのものはクッキークリッカー系のシンプルなもので、ただ画面をタップし続けるだけで進化を進めていくことができます。

 

この生命の進化の偉大さを、ごくシンプルな操作で堪能できるというギャップは、プレイヤーがまるで神にでもなったような豊かな気持ちにさせてくれます。

 

何かを育てたいが、本物の生き物は少し気が引けてしまい、かといってバーチャルペットのようなものも味気ない。

そういう人にこのゲームの「地球を育てる」という感覚がフィットしているのではないでしょうか。

 

スマホで地球を育てるというのもシュールな話ですが、この壮大な計画がスマホの画面上をタップするだけで行われるという感覚は、ビデオゲームならではの現実離れした快感です。

 

「クリック」1つでもアイデアは無限

タップやクリックといった動作は、スマホやPCを操作する上で最もシンプルな操作方法です。

 

誰でも指先ひとつでできるほど単調なものではありますが、『Cell to Singularity』や『クッキークリッカー』のように、クリック操作を生かした豊かなゲーム体験のアイデアは様々です。

 

クリックに対してどのような出力がなされればプレイヤーはそのゲームに快感を得てくれるのか。

永遠にクリックしていられるゲームシステムはどのようなものかを考え始めることで、「ゲームの面白さ」の本質に近づいていくことができるでしょう。

 

おわりに

『Cell to Singularity』はいわゆる育成ゲームに近いシミュレーションゲームですが、肝心なのはタップだけでゲームを進め、延々とタップし続けられてしまう中毒性です。

 

シンプルな操作で飽きさせない工夫がどのように施されているかを見るには、うってつけのゲームに仕上がっています。

 

署名:Satoru Yoshimura

プロフィール:ライター。20年以上の付き合いがあるビデオゲームとアメリカ音楽をテーマとした活動が中心。「日本のゲーム音楽がヒップホップに与えた影響」などブログで公開中。

 

関連記事一覧