北斗の拳 LEGENDS ReVIVEから学ぶビジョン志向な開発の重要性


2019年9月、セガゲームスから配信された「北斗の拳 LEGENDS ReVIVE」。

言わずと知れたかつて週刊少年ジャンプで連載されていた、少年マンガの金字塔である「北斗の拳」をモチーフにした本格タップアクションアプリです。

9月13日の「北斗の拳の日」にあわせてリリースされた本作は、配信早々ログインのサーバーが負荷に耐えられずゲームを始められないユーザーが多発したほどの注目を浴びています。

同月20日には50万ダウンロードに達するほどのポテンシャルを秘めています。

 

昨今のスマホゲームアプリ市場、とりわけ原作IPを取り扱うタイトルでは実にセンシティブな設計がなされることで、永続的にプレイされる様な差別化を図っています。

総じてソーシャルゲームとして抑えるべきお作法と、作品独自の要素としてゲームに加えるアレンジのバランスが良いゲームは寿命が長く遊ばれています。

 

概要

「北斗の拳 LEGENDS ReVIVE」は原作作画を再現した物語パートと、ストーリーから発展するバトルアクションを楽しむ戦闘パートで織り成されるアクションRPGです。

「究極の原作追体験」をテーマにしただけあり、差し込まれるインサート絵はいずれも原作を知っていれば思わず唸る演出や展開ばかりです。

 

テストマーケティングでリーンスタートアップ

成功するスマホゲームアプリで行われる運営側のアクションとしてよく見られるのが、消費者へのコールアンドレスポンスを真摯に行うことです。

以下は4gamerにて行われた「北斗リバイブ」のプロデューサーを務める岩本耕平氏による貴重なインタビュー内容です。

 

”予想よりもかなり多くの方に遊んでいただくことができたので,手応えはあったかと思います。私たちがメインターゲットとして考えていた層と、実際にプレイしていた層が非常に近かったのがよかったですね。開発中に想定していたお客さんと実際のお客さんとに齟齬がないことを実感できました。”※1

 

ここから学べるのは設計時にIPから逆算した対象年齢を仮説立てした上で、実際にそれが市場にフィットしているかをユーザテストで確認し、適宜最適化していくことです。

 

北斗神拳をモチーフにしたゲーム性

本ゲームの独自性を語る上で特に興味深いのは、原作の設定をゲーム性に落とし込んだバトルシステムです。

従来のRPGの様なコマンド選択ではなく、タイミングよく画面に現れるポイントをタップし、それを連鎖させることでボーナスポイント的に追加ダメージが発生する仕様になっています。

これは、原作にある「北斗神拳は経絡秘孔を突いて敵を倒す」という設定に基づいたシステムに他なりません。

以下は同メディアのインタビューに含まれていたものです。

 

”開発を進めるなかで、サラリーマンや学生などのメインターゲット層をお呼びして、プロトタイプを遊んでもらうグループインタビュー調査を行いまして、(中略)最初は一般的なインタフェースを使っていたのですが、それをうまく操作できない人が多くて世間とのギャップに驚かされました。「タイミングを合わせてタップするゲームです」と説明書きを用意していたのですが、そこを読まない人も多く、「これでは直感的に操作を理解できない」という反省があったんです。”※1

 

普遍的に消費者が持っている常識と、作品内の知識を使ってインタフェースで楽しませるというアプローチ。

それは結果として世界観を活かしたゲーム性という唯一無二な特徴を生む事となりました。

 

原作には無い競演という面白要素

本ゲームでは原作ファンを永続的にプレイさせる為に必要な要素として、原作に登場したキャラクターを、劇中の設定を無視して好きなキャラと競演させることが出来ます。

以下は、exciteニュースでのプロデューサーによるインタビュー内容です。

 

”「北斗の拳」は海外でも大人気の作品ですのでプロモーションの一環で海外に行くこともありますが、どこの国のメディアの方も同じことをおっしゃられます(笑)。どのキャラクターをどういう順序で実装するかという企画会議をしていると、もちろんそういったキャラクターたちの名前も挙がります。現時点ではやるともやらないとも断言はできないというのが率直なところですが、僕としてはそういうキャラクターたちが実装されてもいいのではと思っています。”※2

 

主役級のキャラクターだけではなく、従来のゲームではプレイアブル扱いには恵まれなかったキャラクター達を実装する事が、本ゲームのプレイ動機となる事は想像に難くありません。

 

まとめ

本ゲームには、全てのシステムやインタフェース、デザインの設計思想に「究極の原作追体験」という強いビジョンを持っています。

このキーワード一言で進むべき方向性を認識できるビジョン志向は、複数のステークホルダーが関わるプロジェクトでは欠かす事の出来ないコンパスの様なものです。

 

一方で、原作再現だけにこだわるのではなく、ファンが望んでいる要素を実現するというフレキシブル性も兼ね備える事で、ゲームアプリの生命線も抑えています。

こうしたビジョン志向とマネタイズのバランスの取り方がこれからの永続的に遊ばれるゲームアプリ開発に求められる要素であることに疑いは無いでしょう。

 

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[出典]

※1「北斗の拳 LEGENDS ReVIVE」インタビュー。テストプレイの反響や開発がスタートした経緯,究極の“原作追体験”のこだわりなどを岩本Pに聞く

https://www.4gamer.net/games/460/G046094/20190712171/

 

関連インタビュー

 

※2 楽しんでいただける環境作りをお約束します―『北斗リバイブ』岩本Pが語るこれまでとこれから

https://www.excite.co.jp/news/article/Inside_125088/?p=4

 

ライター名:ビットリズム

プロフィール:国産ゲームで産湯を使ったロムネイティブなゲームエバンジェリスト。QOL向上に必要なのはワーク・ライフ・ゲームバランスだと信じている。

 

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