クリエーターズ スタートアップ「これからアート・デザインで本気で事業活動をするには」イベントレポート

 

2020年7月16日に、福岡市スタートアップカフェ主催のオンラインイベント“クリエーターズ スタートアップ「これからアート・デザインで本気で事業活動をするには」”が開催されました。

 

本イベントは、ゲーム、アニメ、映像制作をはじめとした業界で活動する若手クリエーター(アーティスト、デザイナー、イラストレーター、サウンド系)の起業・フリーランスに向けた心構えや今とるべきアクションを、クリエイティブ企業の創業経営者が伝授するというものです。
ジーアングル代表取締役・高橋一誠さんとリンクトブレイン代表取締役・清水弘一さんが登壇し、クリエーターを取り巻く環境や起業の理想と現実に関するトークセッションを行いました。
イベントはオンライン形式となっており、G-angle 恵比寿スタジオと福岡市スタートアップカフェの2箇所からZoomとFacebook LIVEにて配信する形で進行しました。

 

 

 

クリエーターを取り巻く環境について

トークセッションにおける最初のテーマはクリエーターを取り巻く環境について。
清水さんは、デジタルコンテンツにおいて技術は日々進化しており、それに追いつくことがクリエーターの資質だという考えを提示。
エンターテインメントに関連する技術がリッチになってきていることやリモートワークに関連する環境の整備によりイラストレーター単体はあまりオフィスに来る必要がないことなどの実例にも触れました。
一方で、ゲーム制作などさまざまな役職が関わる作業では要所で密にコミュニケーション取るが必要があることなどにも触れ、うまく取り入れて活用していくことが大事であると語りました。

 

髙橋さんは、新型コロナウイルスが流行した影響でリモートワークが普及した際、想像よりもスムーズに順応することができたという自社の例を紹介。
今後半年におけるニューノーマルの対応と、新型コロナウイルスへの対策が進んだ将来を見越した動き方を考えていることを述べました。

 

その他、新型コロナウイルスが流行している現環境に関しては、国内外のクリエーターはもちろん、若者にとっての発表の場も減っているものの、バーチャルという新たな舞台ができつつあるという話も飛び出ました。

 

クリエーターによる起業の理想と現実

トークが一段落すると、テーマはクリエーターによる起業の理想と現実に移ります。
こちらの話題では詳細なスライドが表示され、1.“経営と事業推進とクリエーターのバランス”、2.“スキル向上か? 経験実績の積み上げか?”、3.“コミュニティとの関わり”の3点が大きく上げられました。

 

清水さんは、クリエーターにとってこの3点のバランスを取ることはとても大変であるものの、若いうちの経験により身につくとコメント。
企業で働くうちは、トラブルの際に社員を守ってくれる機能や風土に助けられることがありますが独立すると自己責任になるということから、経験豊富な人と話すなどの方法で経験値を増やしていくことが重要であると述べました。

 

髙橋さんは、ともかく品質にこだわることと、作品の次に他人から見られるのは自分であるということを自身の経験と絡めて語り、作品のクオリティはもちろんのこと、挨拶や身だしなみ、おもてなしといった顧客から“ここで作ってもらいたい”と思ってもらうための努力が必要であると語りました。
また、フリーランス時代に顧客が多く作っておくと起業時にスタートアップしやすいという点や、会社となった時に実績を聞かれるケースもあることから、起業前から経験を積んでレベルアップすることも重要となることを解説しました。

 

経営とクリエイティブな部分とのバランスに話題がおよぶと、会社の立ち上げ時にはモノを作るだけでなく、営業などのすべての工程をこなすことが後々のために重要となること、経営とクリエイティブの現場という2つの場所の両立には限界となる規模があるという意見が2人から挙がりました。
その他、将来に向けた目標設定も重要であることが語られました。

 

 

クリエーターへのエール・メッセージ

イベント終盤に差し掛かると、最後のテーマであるクリエーター・スタートアップに向けてのエール・メッセージに関するトークが展開。

 

清水さんは、スタートアップにおいてはリファーラル(紹介や推薦)、リピート(繰り返し。この場合は再度仕事を得ること)、リユニオン(再会)の3Rを意識して仕事をすることが大事であると提言。
加えて、アウトプット・インプットを実行して考える癖を身に着けることや、人間力(本イベントでは行動力×対人力×向上心+大人力と定義)を高めて課題やリスクに対する対応力の向上させることも重要であることコメントしました。

 

高橋さんは、起業のタイミングで最初に見られるのは自分であり、万全の準備が必要なことを最初に述べつつ、それにつながることとして作品に対する絶対の自信や責任、誠実さが重要であるとコメント。
また、技術と人間力のどちらかではなく両立させることも大事であると付け加えました。
メッセージの締めくくりでは、“クオリティとはお客様の満足である”として、それを達成するためには技術と経験の他にも誠実さによる高い人間力が必要であるということを語りました。

 

トークセッションが終わるとQ&Aコーナーが始まり、新型コロナウイルスによる影響はどの程度だったかという質問が挙がりました。
質問に対しては、ゲームやアニメの配信といった分野の全般ではあまり影響がなかったとしつつ、製作にかかわる部分や採用面では後々に影響が出る懸念があるという回答を提示。
登壇者一同が、今後の時代の変化に向けて日々進化する技術への順応や人間力など本イベントで述べられたことが重要になっていることに触れつつ、イベントは幕を閉じました。