ハイパーカジュアルゲームにおける広告クリエイティブの重要性について、AppLovin社の久保山さんに聞いてみました!

 


「モバイルアプリ市場を成長させること」をミッションとして掲げ、モバイルアプリデベロッパーの事業成長のための様々なソリューションを提供するAppLovin。モバイルアプリのユーザー獲得や収益化を支援するだけでなく、現在では自社運営のゲームスタジオやパートナースタジオとの連携により、カジュアルゲームを中心としたゲームの開発そのものも展開し、多くの世界的なヒットゲームを生み出しています。
今回はAppLovin社のクリエイティブチーム「SparkLabs」においてクリエイターとして働く久保山様に、AppLovinの特徴やご自身のキャリアについて聞いてみました!

〇久保山友李さん

東京都出身。17歳で渡米し現地の高校、大学を卒業。大学では美術学科を専攻し、卒業後はゲームアニメーションの制作会社に就職。
現在、AppLovinのクリエイティブチームである「SparkLabs」において、クリエイターとして勤務。
 

渡米から大学卒業まで

・まずは久保山様のご経歴についてお伺いします。17歳の時に渡米された際のお話からお伺いしてもよろしいでしょうか?

17歳の時、両親の転勤がきっかけでアメリカのカリフォルニア、シリコンバレーに引っ越しました。正直、移住する準備期間があまりなかったので、当時は長期旅行に行く様なイメージでした。

 

・はじめは文化や言語の壁があったと思うのですがいかがでしたか?

 

生活や文化に慣れるのに、最初は時間がかかりました。

 

英会話を専門的に学んだ事がまったくない状態だったので、授業で宿題が出されても、何をすればいいかわからないほどでした。とはいえ、せっかくアメリカに来たからには否が応でも英語でコミュニケーションを取らないといけないので、必死でしたね。大変でしたが、幸い周りの学生が親身になってフォローしてくれ事もあり、何とか乗り越える事が出来ました。

 

・授業や生活に慣れるまでどれくらいかかりましたか?

 

生活習慣に慣れたのは、渡米してから3ヶ月くらいでしょうか。授業や生活の中で、コミュニケーションを不便なくとれるようになるには1年ほどかかったと思います。

 

・高校卒業後には州立大学の美術学科に入学されています。美術やデザインには元々ご興味があったのでしょうか。

 

物心がついたときから美術やデザイン、絵を描く事やモノづくりに興味がありました。幼稚園の時はセーラームーンの絵とかよく描いていましたよ(笑)
また兄がいた事もあり、ドラゴンボールやブラックジャックの様な漫画が常に家にある状態でした。私自身も中高生のころにはサブカル的なコンテンツが好きになっていたので、デザイン系の分野にはずっと興味がありました。

 

・デザインを仕事にしたいと思ったのはいつ頃からでしたか?

 

アメリカに来てからです。
日本にいた時は、あまり美術やデザインに関する仕事の存在を知らなかったので選択肢にはありませんでした。趣味や副業で出来れば良いかな程度に考えていました。

 

アメリカで進路カウンセリングを受けた時に、選択肢として2Dアニメーター/キャラクターデザイナー/コンセプトデザイナーなど、アートやデザインに関する仕事が沢山ある事を知って、その道に進みたいと思ったことがきっかけです。

 

・アニメーターを選んだ理由はありますか?

 

当時、フラッシュや2Dアニメーションを使ったゲーム業界がすごく盛んで、それに惹かれたことが理由です。また、人物画のモデリングや、2D制作など、学校で学んだ事を生かせる部分が多い職種だった事も主な理由の1つです。

アニメーターとしてのファーストキャリア

・最初に入社された会社ではどのような業務を行っていましたか?

 

いわゆるゲームアニメーション、キャラクターアニメーション、UIアニメーションの業務が多かったです。あとはゲームのコンセプトデザインも行っていました。

 

・海外のアニメーションを手掛けていて感じたことなどはありましたか?

 

日本とアメリカの“キャラクター”の認識やウケの良いデザインの定義が、根本的に違いました。具体的にいうと、キャラクターの強弱の部分ですね。
日本のアニメに見られる細身で繊細でクールなイケメンよりも、筋骨隆々で力強いキャラクターの方がウケは良いです。
日本とアメリカにおける「カッコいい」の定義が違うのだと思います。

 

日本のアニメを参考にする事で良かった点はストーリーボーディングの部分でした。
カメラの切り替えやストーリー表現については日本のアニメもアメリカのアニメも共通部分が多いと思います。絵の描き方が若干違いますが、ラインドローイングの技法などは、日本と近い物もあり、アメリカのアニメーション制作でも生かすことが出来ました。

 

・アニメーション制作の工程にはかなり広く携わられたのですね。

 

そうですね、どのプロジェクトも主体性をもって携わる事ができました。
自分でキャラクターのデザインを一からデザインし、仕上げの工程まで持って行く。またその出来上がったキャラクターにアニメーションを加えて納品する。その一連の工程全てを行う事もありましたし、アニメーションのみを作成するプロジェクトもありました。
自分で作ったキャラクターが実際に動いているのを見る時は感動しますし、また自分で作るぶん責任も伴いますが、自由度が高いプロジェクトほど、やりがいがありました。

キャリアにおける転換期

・ファーストキャリアの中で、現在の久保山様を支える経験はどんな事でしたか?

 

3,4年目位の時に、オランダ人のチームで仕事をしていた時です。
オランダの方は直接的な表現をする事が多いようで、その時のリーダーやメンターから割とキツい事を言われていた時期があります。

 

・具体的にどんなことを言われたんですか?

 

「仕事が遅い」、「間違っている」、「これじゃクビになるぞ?」みたいなことを沢山言われました。チームに入って最初の頃は出したものに対して「正直に言ってPiece of shit(クソだ・使えない)」と言われたこともありました (笑)

 

また、席の後ろにずっと立たれて、ショートカットは正しく使っているか、ソフトウェアのプラグインは何を使っているのかを含め仕事の進行を1時間おきにチェックされ、何が仕事を遅くしているのか、アニメーションをおかしくしているのか、初めの1~3カ月はとても細かく指摘されました。

 

・そのような状況でも辞めなかった理由があればお聞かせください。

 

表現こそ過激でしたが、指摘される内容自体は為になる事ばかりだったからです。実際メンターが作ったアセットを見せて貰い、「これを見ながら作り直し!」と言われてそのとおりやり直してみると、そこにはしっかりロジックがあり、とても勉強になりました。
チーム内のメンバーも仕事がすごく速くて、自分には能力がまだ足りないことに気づく事も出来ました。

 

振り返ってみると、気になったのは表現がダイレクトで口が悪いことだけでしたね(笑)自分の時間を割いて私の仕事を細かく改善してくれ、結局はいい人たちだったんです。

 

・コミュニケーションは過激でも、自身の成長に繋がったということでしょうか。

 

そうですね。入社したての頃は、出来ない事が多いのが当たり前じゃないですか。だから周りの方も優しくて、決まったタスクが消化できなくても咎められる事も無かったし、怒られる事も無かったです。なので、仕事のクオリティやスピードが足りない自覚がありませんでした。
その時の経験があったからこそ、自分を磨くきっかけにもなったと思っています。

 

・ありがとうございます。その後、マーケターとしてのお仕事をアニメーションと兼務していますが、どのような理由でしょうか?

 

AppLovinに入社する前に勤めていた会社では、ゲームアニメーションを担当していました。その会社ではゲームアップデートが終わった後のタイミングで、次のアップデートやプロジェクトまで時間が空くんですが、その期間にマーケティングアニメーションの仕事を任されるようになったことが理由です。

 

・具体的な業務内容についてお聞かせください。

 

ゲームトレーラー(予告動画)を作ったり、AppStoreに載せるための広告動画を作ったりしていました。
その他、Google Playの広告クリエイティブテストの仕事もしていましたね。その時に初めて、「マーケティングアート」や、「マーケティングアニメーション」の存在を知ったのですが、ゲームアニメーションとはまた違ったやりがいと面白さがありました。

 

・どのような部分が楽しかったのでしょうか?

 

成果が具体的に数値として見えるという部分、そして自分が作ったアニメーションをすぐに見ることが出来るという部分です。
ゲームなどはリリースまで半年~1年という長い期間が掛かるので、自分が作った作品が世に出るまでには時間がかかります。
しかし、マーケティングアニメーションの場合は、作った広告をすぐに確認し、その広告の何がユーザーから評価が高かったのかを実際の数値で確認する事が出来ます。
上手い、下手という定性的で人によって異なる評価ではなく、クリック率やダウンロード数という、具体的な成果に基づいて制作する事に面白みを感じました。

SparkLabsについて

・その時にマーケティングアートに興味を持ったことがAppLovin(SparkLabs)で働くきっかけになったのですね。

 

そうですね。ちょうどマーケティングアートに興味があった時に、求人メールでAppLovinを見かけました。AppLovinが広告に特化していて、自分もゲームアニメーションだけでなくマーケティングのアニメーションをもっと学びたいと思ったのが入社のきっかけです。

 

・前職と比べると、マーケティングアートの業務について違う部分はありましたか?

 

仕事内容は似ていましたが、自社でゲームスタジオを持っているAppLovinは、扱うゲームの種類が圧倒的に多く、携わることが出来る案件も幅広いです。あとは広告のコンセプトにおいても、クリエイターのアイデアを積極的に取り入れる文化があります。
前の会社だと、マーケティング部署が主導権を握る事が多かったですが、AppLovinはクリエイターからの意見も多く取り入れてくれました。

 

・競合他社と比べた時の、AppLovin(SparkLabs)の強みを教えてください

 

アイデアをみんなでシェアする文化があり、制作から改善のPDCAが速い事は強みだと思います。
他の会社だと、広告の制作だけして終わりというケースもあると思いますが、SparkLabsは毎週、マーケティングチーム全体に、どのクリエイティブが/どのゲーム向けに/どういうコンセプトで/誰が作って/それがどれくらいの効果が出たかというのをレポートで共有しています。
そのため、SparkLabsだけでなく、ビジネスに関わる事業部の全員がトレンドや成果を共有しているので、透明性が高いです。

 

また、SparkLabsのトップを務めている女性はデザイナー出身ではなく、アカウントマネジメントのトップだった女性です。そのためデータドリブンな意思決定が多い事も特徴だと思います。クリエイティブはもちろん大事なのですが、データでの裏付けを重要視している点は、一般的なデザインチームとは差別化できる部分なのではないかと思います。

 

〇「SparkLabs」における広告クリエイティブ作成の流れ

 

・自社でゲームを開発している事も、より良いサイクルに繋がっていますか?(Lion Studios)

そうですね。
Lion Studiosでリリースしたゲームの反応が良かった部分をSparkLabsの広告クリエイティブに生かしたり、反対にSparkLabsの広告クリエイティブで反応の良かった部分を、自社のゲームに取り入れたりする事で相乗効果を起こすこともできます。

 

・実際にSparkLabsはどの様な数値を基にして制作されていますか?

 

クリック率、課金率、DL数といった数値から、クリックやダウンロードにつながった理由、課金に至るまでのフローなどの部分を洗い出し、次回のコンセプトに繋げていきます。
例えばパズルゲームで良い数値が出れば、他のパズルゲームにも同じものが使えないかといった流れです。ゲームタイトルにそぐわなかったクリエイティブは、反省点を生かして改善をしていく事も多いです。

 

・パフォーマンスが高い広告には傾向はありますか?

 

プラットフォームや広告のタイプによって違うと思いますが、実際にゲームをプレイする事が出来るプレイアブル広告の反応が良い傾向にありますね。
ただ、Facebook、TikTokなどのSNS広告の場合だと、最初の数秒でいかに興味を持ってもらえるかが重要になってきます。少しきわどい冗談、インパクトの強いイントロムービーとなど、最初の数秒で効率的に情報を与えるために試行錯誤をしてクリエイティブ制作をしています。
「クオリティの高い動画は何なのか?」という考え方から、「パフォーマンスの高い動画は何なのか?」という様に自分の意識も変わっているので、かっこいい広告クリエイティブが、必ずしもいいパフォーマンスにはつながらない事を知りました。

 

■Lion Studiosの最新カジュアルゲーム『マージ・ヴィラ』

○アイディエーションからアニメーション作成まですべてを一貫して担当。ポイントは多様なゲーム機能を分かりやすい1つのビジュアルにまとめた事です。

母として、クリエイターとして大事にしている事

・アメリカで生活するうえで、商習慣の違いや大変な事、意識している事はありますか?

 

日本と比べると、自分からしっかり意見を示す姿勢が仕事でも生活でも求められると感じます。アメリカの人達が察してくれないと言うわけではありませんが、意見しない人は現状で満足していると受け取られる傾向があると思います。なので自分の考えはしっかり発信した方がよいと思います。

 

特に仕事では、自分の考えと相手の考えの間に相違が無いかをすり合わせることは重要だと思います。新しい企画や、仕事のプロセスや働き方など、自分から提案していく積極性も大切だと思います。

 

・子育てとお仕事の両立はどうされていますか?

 

子育てをしながら仕事をしていると、どうしても周囲に迷惑をかけることがあると思いますが、他のチームメイトに出来るだけフェアでいられるように心がけています。
例えば早退する時はいつもより早く出社することを務めています。”自分は母親だからできない”という言い訳はしたくないですよね。とはいえ、子どもが小さいうちは難しいことだとも思います。

 

子育て自体はとても楽しいですよ。今子どもが2歳なのですが、仕事をしているからこそ、家にいる時間を大切にできると感じることもあります。仕事中は会えないので、それ以外の時間はできるだけ長く一緒にいたいと思いますし、週末のちょっとした子どもとの時間も我が家にとっては一大イベントです。

 

・子育てとお仕事のバランスはどのように工夫されていますか?

 

家ではあまり頑張りすぎず、便利な道具やサービスに頼る事も大切だと思っています。多分全部完璧にしようとすると疲れてしまいますし、親に余裕がないと子どもも安心できないと思うので例えば洗い物は食洗器を使って手間を省いたり、疲れて帰ってきた時には手料理ではなくデリバリーを頼んだり、洗濯物は出来るだけ一度にまとめて洗濯したりといった形ですね。最初は若干の罪悪感がありましたが、今では積極的に活用しています(笑)。

 

・母親として、クリエイターとして、今後どのように歩んでいきたいですか?

 

クリエイターとしてはデザインやクリエイティブスキルの向上をしつつ、広告のトレンドに注目しながら、母親としての目線やセンスも含め仕事に生かして行けたら良いですよね。
母親としては、子育ての方針は家庭よって異なると思うので、他の人と比べず仕事も育児も楽しみながら両立させていきたいです。
自分の希望で家庭に専念できる事は素晴らしい選択だと思いますが、周りからのプレッシャーや環境を辞めざるをえないのは残念だと思います。
出産が女性のキャリアを閉ざすものではなく、女性をより力強くさせるものであってほしいと思っています。

 

・GAMECREATORSの読者に一言お願いします。

 

私自身もともとマーケティングアートの存在を知りませんでしたが、ゲームアートとは違ったやりがい、楽しさがあると思います。
一つの仕事やスキルに特化し、邁進する事は大切ですが、舞い込んできた仕事を食わず嫌いせず挑戦してみると、自分の可能性が広がり、新しい発見、目標ができるかもしれません。

 

私がAppLovinと出会ったように、皆さんのクリエイター人生においても素敵な出会いがあれば幸いです。

 

・ありがとうございました。

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