『英雄伝説 黎の軌跡』が日本ファルコムからリリース!代表取締役/ゲームプロデューサーの近藤様に、開発秘話と日本ファルコムが求める人物像をお伺いしました!

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1981年3月の創立から、『ドラゴンスレイヤー』シリーズ、『イース』シリーズ等数多くのヒット作品を世に送り出す日本ファルコム株式会社。音楽や書籍などのマルチな分野でも幅広く活躍する同社は今年で創立40周年を迎え、2021年9月には『軌跡』シリーズ最新作『英雄伝説 黎の軌跡』がリリースされました。
今回は日本ファルコム代表取締役兼ゲームプロデューサーの近藤様に、事業内容、『英雄伝説 黎の軌跡』の制作秘話、求める人物像や今後の展望について、詳しくお話を聞いてみました!

数々のRPG作品を手掛けるゲーム会社-日本ファルコム株式会社-

・はじめに日本ファルコム株式会社の事業内容について教えて下さい。
事業の柱は大きく分けて2つあり、1番のメイン事業はオリジナルタイトルの開発及び販売事業です。弊社は今年で創立40周年を迎えますが、これまでに『英雄伝説』シリーズ、『軌跡』シリーズ、『イース』シリーズ等のRPGタイトルをリリースしています。
もう1つの事業軸はライセンス事業です。玩具、文具、雑貨、デジタルコンテンツなどを扱うさまざまな企業様に、当社IPを使用したさまざまなビジネスを許諾しています。

 

・35周年を迎えた『イース』シリーズ、今年で17年目となる『軌跡』シリーズ等、ユーザーに長く愛されるタイトルを作れる要因はどこにありますか?
特にゲーム作りに対する方針を明確に定めているわけでは無いですが、一番は私含めた社員の熱量が高い事が要因だと思います。
また日本ファルコムには、”モノづくりを丁寧に”というDNAを受け継いでいます。それぞれのタイトルには予算や納期といった成約はありますが、決められた期間で最大限の労力と熱量を費やすことの大事さを開発スタッフ全員が意識しています。リピーターが多い点も弊社の特徴なので、そのあたりの熱量が、ユーザーに伝わっているのかなと思います。

 

・社員様も日本ファルコムのゲームが好き!という方が多いですか?
そうですね。私自身、『英雄伝説』シリーズのファンだったことがきっかけで入社しましたし、『イース』シリーズ、『東亰ザナドゥ』、『軌跡』シリーズが好きで入社した人も多いです。
また弊社の平均勤続年数は10~11年とゲーム業界ではかなり長く、社員定着率が高いという事は長く愛されるシリーズを続けられるバックボーンになっています。流動性の高い都心ではなく、地方都市で住環境が揃っている”立川”に拠点を構えている点も、会社への愛着が高い理由になっているかもしれません。

代表取締役 近藤様のこれまで


〇日本ファルコム株式会社代表取締役 近藤季洋様

 

・近藤様が日本ファルコムに入社した経緯について教えて下さい
自分自身、日本ファルコムのタイトルが好きで遊んでいたのですが、大学生の時に日本ファルコムのファンサイトの運営を始めたら予想以上に人が集まったんです。長野に別荘を借りて、当時流行り始めた「オフ会」を実施したりと運営していく内に、実際に働いてみたいと興味を持ったことがきっかけですね。

 

・元々ゲーム制作はご経験があったのですか?
いえ、全く(笑)。大学は経済学部でしたし、このまま銀行を目標に就職活動をしようかとも思っていました。ただ、自分の好きなものが自分の人生の中心にあってほしい。自分の好きなものは何だろう?と考えた時に真っ先に浮かんだのがゲーム業界。その中でも好きなタイトルを開発している日本ファルコムだったので、未経験ながら面接をさせて貰い入社しました。

 

・日本ファルコムにおけるキャリアの変遷についてもお聞かせください
最初は経理として入社したのですが、創業者の加藤からは「とにかく色んなことをやってみろ」と言われた事もあり、デザイン関連部署や、サーバー管理を経験させてもらいました。
1年目の終わりに、シナリオを書いてみたいと相談したら、数か月後には『英雄伝説 白き魔女』のWindows版プロローグ用シナリオとイベントを実装してくれと言われ、必死にシナリオの書き方を勉強し、企画から実装までを担当しました。

 

・ちなみに勉強しながら実装までの期間はどれくらいでしたか?
1週間です(笑)元々『英雄伝説 白き魔女』のファンだった事もありましたが、今までシナリオやスクリプトを書いたことが無かったので必死でしたね。

 

・1週間…!かなり短い期間だったんですね。
かなり苦戦しましたが、何とか1週間以内にやり遂げました。この時の経験がゲーム制作に深く携わるきっかけにもなったのです。
日本ファルコムでは、各々に仕事としてチャンスの場を準備してくれますし、与えられたチャンスに対していかにがむしゃらに取り組んだかを見てくれる会社です。実際このシナリオ制作を機にゲーム制作の仕事が増えていき、開発とデザイン部署の橋渡しやプロジェクトの運営を経験させてもらい、入社9年目にはプロジェクトマネージャーを任されました。

 

そこから前任の代表が退任したタイミングと重なり、その10か月後に代表に就任しています。当時32歳で不安も多かったですが、開発と販売を幅広く経験していた事から就任に至ります。

・経営者として、ゲームプロデューサーとして今大事にしている事はなんですか?
経営者としては、冒頭でお伝えした、“モノづくりを丁寧に”というDNAを大事にする事ですね。
愛されるタイトルを継続する為には、コンスタントにゲームをリリースする必要がありますが、内容もしっかりしていないといけない。時間をかけすぎず、でも妥協しない。それが創業者のモットーでもあるため、自分も常に意識している点です。

 

ゲームプロデューサーとしては、今いるスタッフが力を発揮するためにはどうするか?を常に考えています。
例えば『軌跡』シリーズのチームは昔からのベテランが多いので、シナリオやキャラクター設定に関して知見の深いメンバーが揃っています。そのためゲーム性も『英雄伝説 白き魔女』からかなりシナリオに力を入れています。メンバー編成がシステム寄りのチームであれば、今の様にシナリオ重視のゲームにはならなかったかもしれません。
逆に『イース』シリーズはプログラマーやアクション好きが主体になっており、操作レスポンスや目新しさにこだわりがあるメンツがいかに力を発揮出来るか?という視点でゲーム作りをしています。『軌跡』シリーズとは逆に、アクションとしての気持ちよさと新規性に重点をおいているのはそれが理由です。

 

ゲーム制作の仕事は過酷です。メンバーの顔触れを見た結果、各々が得意で強みを発揮できる体制にしないと、モチベーションもクオリティも中途半端になってしまいますからね。当事者が気持ちよく作業に取り組める環境づくりを徹底する様にしています。

英雄伝説最新作『英雄伝説 黎の軌跡』

・まずは『英雄伝説 黎の軌跡』発売おめでとうございます!発売から1ヶ月ほどたちましたが、反響はいかがでしょうか?
軌跡シリーズは今回の作品で12作目ですが、グラフィックやシステム面で大きく変化のあったタイトルです。

 

『英雄伝説 白き魔女』から、”ストーリー重視のRPG”というコンセプトは変わりませんが、10数年続けてきて課題となっていた、
・グラフィックの表現力
・戦闘のテンポの悪さ
について大きく見直しました。今後他作品でも活用できる様、黎の軌跡開発と並行しながら社内製のゲームエンジンを開発。グラフィックについても大幅に改良を加え、ゲーム内の表現力向上に努めました。
戦闘のテンポの悪さについては、システム全体を大きく見直し、フィールドバトルとコマンドバトルの2つを切り替えながら戦うことが出来るシステムに変更しました。さらにバトルの切り替えをシームレスにすることで、フィールドアクションならではの爽快感と、コマンドバトルならではの戦術の駆け引きを同時に楽しむことが出来ます。

〇フィールドバトルシーン

〇コマンド型バトルシーン

 

コマンドの選択も簡単な操作でテンポよく行うことが出来るので、この辺りはユーザーにも好評みたいです。UIも分かりやすく、階層の深いコマンドを選ぶ手順もショートカット出来たりとかなりこだわっているので、是非一度体感してほしいポイントになっています。

 

・アクションが苦手というユーザーも気持ちよくプレイできそうですね
そうですね、アクション自体はとてもシンプルです。まずは簡単なアクションから気持ち良くゲームに入ってもらい、慣れてきたらコマンドバトルと切り替えながら戦術を考えるといった楽しみ方が出来ます。

 

・開発期間はどれくらいでしたか?
最初の構想やゲームエンジンの開発も含めると3年位ですかね。
始めはプログラマー2名、企画1名、デザイナー2名の5名からスタートしてモックアップを作りました。システムやグラフィックの変更もそうですが、昨今の感染症の影響、突然の機材トラブル等色んなことが重なって、かなり開発には苦労しましたね。

 

実は『軌跡』シリーズは開発期間の遅延から予定していた半分の内容で開発した苦い思い出があります。今では『軌跡』はどうしてもボリュームの大きいゲームなので2~3作制作することを考慮した、中期での開発効率を重視しています。新作で開発したシステムやデータを利用して後続タイトルの制作期間は短くしています。ただしストーリーやゲーム内容のアイデア出しは妥協しません。

 

・テーマモチーフ設定はシリーズ制作時に決まっていたのですか?
『軌跡』シリーズに限って言うと、大元の世界観は『空の軌跡』を制作した時に出来ていました。
特に昔のRPGは1作ごとに世界観を一個一個作り上げているケースが多いのですが、実際の制作作業に入るまでに時間がかかっていました。『軌跡』シリーズはその準備期間を短縮したかったので、大元の世界観を設定して続編を作っていきました。
『空の軌跡』はリベール王国、『閃の軌跡』はエレボニア帝国、今回の『黎の軌跡』では『空の軌跡』でほのめかしていたカルバード共和国が舞台になっており、これらの舞台や世界観は最初の開発段階である程度決まっていました。

 

『黎の軌跡』のカルバード共和国も多種多様な民族が出入りする、東方文化が入り混じった大国という設定は17年前にありました。そこに今までのシリーズの流れをフィードバックしつつ詳細な歴史、地理を具体的にしてストーリーを構築しています。

 

・『空の軌跡』の時点で各シリーズのテーマは決まっていたんですね
そうですね、ただ最初の構想が17年前なので、細かな表現は開発時期に合わせてもちろん変えています。例えば『軌跡』シリーズの世界では、神秘のエネルギーによって動く、導力器、”オーブメント”が各シリーズで登場します。初期にリリースされた『空の軌跡』は懐中時計をモチーフにしていましたが、今回の『黎の軌跡』は時代に合わせてスマートフォンぽくしています。

〇『空の軌跡』オーブメント

〇『黎の軌跡』オーブメント

 

主人公設定時も、『空の軌跡』の舞台は様々な文化が入り混じる混沌とした地域で問題も多い。そういった事象に接していける主人公はどういう主人公か?と考え、ストレートな正義の味方ではなく、裏稼業を営む主人公という設定にしました。
さらに主人公のキャラクター設定を中心に、世界観を描くために必要な要素をパーティーメンバーに割り振っています。

日本ファルコムが求める人物像とは?

・人材採用時にはどのような観点で判断されていますか?
一番重視しているのはマインド面ですね。いかに貪欲に、与えられた環境で最大限の努力が出来るかという点を見ています。自分自身ゲーム業界未経験で入社していますし、入社時のスキル面はそこまで重視していないですね。
実際弊社に入社した後に新しい技術を身につける社員は多く、『黎の軌跡』のメインプログラマーはプログラミングの実務経験が無かった社員です。プログラマーチームには入社後、本格的にプログラミングを始めた人もいます。他にもデザイナーからプログラマーに変わった人や、グラフィックデザイナーでありながらレベルデザインを手掛ける社員と様々です。

 

・貴社の採用募集要項には応募資格を一切設けていませんがその理由についてもお伺い出来ますか?
先述の通りマインド面を重視しているから、というのが答えですが、自分の仕事は自分で創りだすという自由度の高さが理由ですね。例えばモーションデザイナーがマップやエフェクト作成を担当したり、広報担当がゲームイベントのスクリプトを手掛ける事もあります。
チャレンジしたがっている社員がいて、これが重要ですが「出来そう」であれば機会を与えるようにしています。いろんな業務を経験した人はどこにどんな工数が発生するかもわかるし相手の立場も分かる。ゲームが好きで、技術や知識はこれからだけど何とかファルコムのゲームに携わりたいという方を全力でサポートしますし、チャレンジしやすい環境を会社全体で作り出したいと考えています。

 

・新しい事にチャレンジする社風なんですね
そうですね、ただ意外に古いところもあって、オンオフしっかり切り換えるために全員スーツで出勤して貰っています。あとは細かいところですが、納期や出退勤といった時間を徹底的に管理する事、机の上は必ず綺麗にしてから帰ってもらうといった取り組みも行っています。
休みのだらっとした格好のまま仕事に臨むことが、良いパフォーマンスに繋がるかというとその限りではないと自分は考えているので、仕事に取り組む姿勢をまずは大事にしています。
全員が一丸となって真剣にゲーム制作を行っているので、まさに一球入魂。超真剣に文化祭をやってるといったイメージですかね(笑)

今後の展望について

・日本ファルコムの今後の展望について教えて下さい

当たり前のことかもしれませんが、まずは受け手であるユーザーの皆様にも価値のあるものを提供できること、同時にスタッフにとっても価値のある仕事ができるよう環境を社内でしっかり構築していきたいと思っています。
人員を増やすために昨年増床して、フロアが広く新しくなりました。今後は開発ラインを増やして新しいタイトルにも取り組んでいきたいと思っております。今まで口伝だった開発手法も今後は体系化していきたいです。

 

・最後に『軌跡』シリーズのファンに一言お願いします!

いつも応援して頂いてありがとうございます。長く続いているシリーズですが、ずっとお付き合い頂いている方も、途中から手に取って頂いた方も楽しんで頂けるよう、これからも全力で頑張りたいと思います。そのためにも変えるべきもの、変えてはいけないもの、しっかり見極めてゲームを作り続けたいですね。
本作は10月に無料体験版をリリースしており、イベント演出や戦闘システムを存分に楽しむことが出来る様になっているので、未体験の方はまずは一度手に取って楽しんで下されば嬉しいです。

 

・ありがとうございました!

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