クエスト作成RPG『冒険者ギルドへようこそ!』開発者のれも(LemoLab)さんに、個人ゲーム開発を手掛けたきっかけと、より良いゲーム作りへのアドバイスを教えてもらいました!

LemoLabの名称で活動中の個人開発クリエイター、れもさんにインタビュー!自身が運営される『冒険者ギルドへようこそ!』、『女神のダンジョン!』のご紹介のほか、個人ゲーム開発者としての独立の経緯、意識している点も併せてお伺いしました。
これから個人でゲーム開発をしていきたい方、必見のインタビューです!

フリーランスになるきっかけについて

・まずは、れもさんの現在の活動内容について教えて下さい!
れも
現在フリーランスとして活動しています、れもといいます。
活動としては、SEのお仕事を企業様から受けつつ、個人ゲーム開発で『冒険者ギルドへようこそ!』、『女神のダンジョン!』の2ゲームを運営しています。最近はゲーム運営がメイン業務になってきましたね。

 

・元々ゲームはお好きだったんですか?
れも
昔から、鉛筆と消しゴムとノートで遊べるようなゲームが好きで、当時は遊戯王などのTCGも流行っていた事もあり、ボードゲームを作ったり頭の中で妄想したりが好きだったんです。『ツクール』シリーズや、シューティングゲーム作成ツールの『デザエモン』などを使って、小学校から大学までゲーム開発は続けていました。

 

・新卒時からゲーム業界に関わるようになったんですか?
れも
いえ、大学は情報系だったんですが、当時就活があまりうまくいかなかった事もあり、家電量販店に就職しました。ただやはり好きなゲーム作りに携わりたい気持ちが消えず、会社を1年で辞めてデジタルハリウッドの専門スクールに通い始めました。

 

その時に3DCGを主に学んでいて、卒業発表会で出会ったゲーム会社の方に声をかけて貰ったことが、ゲーム業界に入ったきっかけでした。

 

その会社で7年程ゲームプランナーを務めて、その後SEとして別の会社に転職。プログラミングの知識を覚えたタイミングで、フリーになる事を決意しました。

 

・独立しようと思った理由についても教えて下さい
れも
会社員時代の後半はSEの仕事をしていたのですが、自分が好きだったゲーム作りをどうしてもしたくなってきて。30半ばくらいで独立したんですけども、色々思い切り動くなら今の内かなと感じたことが一番の理由ですね。

 

当時、会社は週4で働いていたので、1日自由にできる日があったんです。その時に、今運営しているゲームの土台などはコツコツ作りつつ、仕事も個人で貰えるようになって食べていけるなと感じた際に独立をしました。

 

・実際フリーになってみて、どんな部分が大変でしたか?
れも
家族がいるので、お金を稼がなければいけない事は、初めはかなりプレッシャーに感じていましたね。お金周りはやはり心配な事も多かったんですが、でも人間結局そのうち死ぬじゃないですか(笑)どんなに健康に気を使っていても、お金を持っていても、もしかしたら明日死ぬかもしれない。それなら尻込みする時間も心配する時間ももったいないと思って独立しました。

 

また今でも大変な事は、全責任が自分にある事ですね。
ゲーム開発を行うと、どう頑張ってもバグは出る。初めてゲームをリリースした際は、ユーザーさんの装備品が消えるなど重めのバグが発生したこともあります。

 

機能改修も、ユーザーサポートも全て一人。そしてその責任はすべて自分。
3年程ゲームを運営してきましたが、今でもメールが届くとドキドキしますよ。気が気じゃないというか(笑)特に大規模なアップデートをした際は、変更箇所と全く関係ない所でバグが起こったりするので、気は抜けないですね。

 

・個人だとその辺のストイックさも求められそうですね。そのうえで心掛けている部分はどのような点ですか?
れも
一つ目はマーケティングの部分。
やはり折角ゲームを作っても、ユーザーが知ってくれないとゲームを遊んで貰えません。ですので、Twitterでの情報発信時も、なるべくネガティブな事をつぶやかないなど、いかに自分が人から見られているか?という部分は意識するようにしています。

 

またゲーム作りで心掛けている事は、「そのゲームを一言で表せるか?」という点。
例えば某有名アクションゲームだと、「髭のおじさんがアスレチックをこなし姫を助けるゲーム」…みたいな認識があるじゃないですか。その辺りをシンプルに言い表せないゲームは、作っていくとどんどんコンセプトがずれてしまいます。
企画段階で、どんなゲームか?を一言で言えるよう、言葉選びも気にする様にしています。

 

あとは自分のメンタル管理ですね。「今、弱ってるな」と感じたら、SNSから離れたり、仕事の時間を減らしたりして無理をしすぎないように心がけています。

 

・逆に、個人ゲームの良い部分はどんな点ですか?
れも
先ほどのようにユーザーサポートの面ではプレッシャーもありますが、自分で全て決めることが出来るのは個人開発の利点だと思います。
会社で働いていると、社風やゲーム作りの指針など、作り方に縛りがある場合も考えられます。

 

そういう点でいうと、自分の意思で企画が出来、創造してからアウトプットするまでの時間も速い。スピーディーかつ自由度の高いことが、個人ゲーム開発の魅力でもあります。

 

もちろん、苦楽を共にできるという意味でチーム開発は素晴らしいと思いますし、自分がダメな時でも会社は潰れる事はなく、社会保険も確定申告も会社がやってくれる。その点個人だと、自分でやらなければいけない庶務が多いので、こればかりは向き不向きがありますね。

クエスト作成RPG『冒険者ギルドへようこそ!』

・続いて、個人ゲームとして初めてリリースされた、『冒険者ギルドへようこそ!』について教えて下さい

〇『冒険者ギルドへようこそ!』

 

れも
本ゲームは、“クエスト作成RPG”をコンセプトにしています。
プレイヤーは、「クエストに挑む」「クエストを作る」のどちらかを選んで遊ぶことが出来、短めのアドベンチャーRPGを、誰でも簡単にゲーム内で作ることが出来ます。
また、そのゲームを他の人に公開して遊ぶことも出来、常に一期一会のゲームを楽しめるアプリになっています。

・開発コンセプトはどのように決まったんですか?
れも
根本は、TRPG(テーブルトークRPG)が好きだった事から着想を得ています。

 

TRPGは、紙と鉛筆とサイコロとルールブックを用いて遊ぶことが出来、GM(ゲームマスター)はルールブックを使い、シナリオを考えることが出来ます。
ルールブックには、時代背景、世界観やモチーフ、種族、パラメーター…といった具合に要素を決めることが出来、プレイヤーはそのルールブックに沿ってキャラクターを作成し、GMや他のプレイヤーと対話しながらゲームを進めていきます。

 

それぞれのプレイヤーがキャラクターを演じながら会話する事で、アドリブが生まれたり、GMの面白いギミックを楽しむことが出来るので、どこにもない、世界で一つのゲームが生まれるんです。

 

今の時代、裏ワザやネタバレは調べればいくらでも出てきてしまう時代で、失敗したくないとか時間を無駄にしたくないという人が多いと思うんです。ただ、それだと味わえないものがあるのはすごくもったいないと思っていて。

 

『冒険者ギルドへようこそ!』は、ゲームの攻略法は調べても出てこないし、いつでも新鮮なゲーム体験が出来る事が魅力です。TRPGは本来、始めるのに時間が掛かるのですが、それをもう少し気軽にまとめた結果、今のような仕組みになりました。
『小説家になろう』、『RPGツクール』、『TRPG』がごちゃ混ぜになったイメージですね。

 

・製作期間はどれくらいかかったんですか?
れも
リリースが2018年の夏でしたが、大体半年くらいですかね。
当時リリースした時はテスト版と言い切ってリリースしており、インターフェースも何もかも中途半端だったんです(笑)そこから時折バージョンアップを行い、適宜メンテナンスもしているので、正直開発期間は現在も続いているといった感じですね。

ハクスラダンジョンアタックRPG『女神のダンジョン!』

・続いて、2作目にあたる『女神のダンジョン!』についても教えて下さい

〇『女神のダンジョン!』

 

れも
女神のダンジョンは、“ハクスラダンジョンアタックRPG”になっています。
複数のフロアに分かれたダンジョンで、敵と戦ったり宝箱を獲得したり、女神との対話イベントをこなしていきます。

 

バトルはターン制のコマンド式になっており、500階のダンジョン最深部をとにかく目指し続けるシンプルなゲームになっています。
また、入手した装備品は全滅してしまうとロストしてしまうので、「もっと進む」か「安全策を取って一回帰る」か…といったダンジョンを進むドキドキが味わえます。

 

・『冒険者ギルドへようこそ!』と比べると、ジャンルもコンセプトも全く異なるゲームですが、開発のきっかけについても教えて下さい
れも
『冒険者ギルドへようこそ!』は、良くも悪くも複雑なゲームだと思っています。テキストベースで進み、説明箇所が比較的多い、やりこみ要素も強いゲームで、下手すると永遠に遊べてしまうゲームなんです。

 

次にゲームを作るときは、なるべくシンプルで、しっかり終わりのあるゲームが作りたかった事が理由です。
また、オンラインゲームの『ラグナロクオンライン』を好んで遊んでいたのですが、ポイントに合わせてスキルを伸ばせるシステムがあって、個性的なキャラクターを生み出せるゲームだったんです。
『女神のダンジョン!』でも、ハクスラを通してキャラクターを自分の好きなように育成できるので、女神のダンジョンも冒険者ギルドも、キャラの育て方については『ラグナロクオンライン』の影響を受けています。

今後の活動について

・2つのゲームを作る際は、ターゲットは決めていましたか?
れも
ほぼ決めていなかったですね。万人受けはしないと思っていたので、自分の感覚と似た人が、いかに楽しむことが出来るかをひたすら意識しました。

 

『冒険者ギルドへようこそ!』は、長くユーザーさんが楽しめるゲームで、『女神のダンジョン!』はシンプルかつ終わりが決まっているので、ユーザーがつきやすく離れやすいコンテンツかなと思っています。

 

・2ゲームの今後の動きについて教えて下さい
れも
まだしっかり決まっているわけではありませんが、『女神のダンジョン!』は、『女神のダンジョン2』を出そうかと考えています。500階ほどで完結するシンプルなゲームなので、現在のタイトルにテコ入れをするというよりは、ユーザーからの意見を反映させたうえで新しいギミックも入れつつ、新作として出す方向で考えています。

 

現在はMonacaというフレームワークを使っていますが、Unityのようにエフェクトが派手でキャラクターが映えるようなゲーム作成には向いていない。女神のダンジョンは、Unityとかで作った方が作品的にも映える可能性があるので、そこも選択の1つですね。

 

『冒険者ギルドへようこそ!』は、長く続けたいタイトルなので、バージョンアップを今後も行っていこうと思っています。Twitterでも情報発信していますが、クエスト作成機能だけでなく、ダンジョンパートも作れるよう、改良を重ねる予定です。
また長く運営している分、仕様が増えてごちゃごちゃしてきている感は否めないので、初心者の方もゲームを始めやすいように調整していきたいです。

 

・今後はどう働いていきたいですか?
れも
“ゲームで食っていく”という個人開発者としての1つの目標はひとまず叶ったので、今後はゲーム以外のコンテンツでもアウトプットが出来たら良いなと思っています。
最近だとVR技術も進歩しているので、VRやAR、MRといった方面でコンテンツを作ってみたいです。また売り上げがしっかり出る様になれば、会社を作って友達を集めて面白いものを作れるようになりたいですね。

個人ゲーム開発におけるポイントとは?

・最後に、個人ゲーム開発を志す方々にアドバイスを頂けますか?
れも
一番伝えたいのは、作るならリリースした方が良いという事ですかね。
ゲームが好きだけど、妄想で終わっちゃう人、作ってみたけど途中でやめてしまう人、途中で辞めずに最後まで作れる人がいると思いますが、最後までいく人はかなり少ないですよね。
例え作ったものがクソゲーでも良いので、リリースするべきだと感じています。

 

・リリースする事でどのような効果があるのでしょうか?
れも
誰かが評価してくれるというメリットがあります。自分では「あんまりかも?」と思っていても「いいじゃん!」と思う人がいるかもしれません。そういった反応があるおかげで、次はどんな内容で勝負したらいいか仮説を立てることが出来ますし、自分の強みもわかってくると思います。
リリースをしなければ、ユーザーにウケるのかどうかも分からないままになってしまいますからね。

 

上手くできなかったとしても、1ステージ分しか完成していなくても、1回リリースしてみる。その経験はすごく大きくて、その後のリリースへのハードルも下がっていきます。もしだらだら開発してしまうのが悩みなのであれば、ゲームイベントに申し込んで締め切りを作ってしまう事もおすすめですね。

 

・ターゲットの考え方についてもアドバイスを頂けますでしょうか
れも
自分があまりしっかり決めたタイプでは無いですが、何より自分が作っていて楽しいモノを作るべきですね。
今これが流行っているから…という観点はもちろん重要ですが、自分自身がそれを楽しめるかどうかが重要です。モチベーションも上がりますし、ニッチな層だとしても刺さる部分は必ずあると思うので。

 

・運営面や企画面のアドバイスを最後に頂ければと思います!
れも
運営面でも企画面でもありがちなのが、ゲームの仕様を増やしてしまう事だと思います。リリース後、バージョンアップを重ねることで仕様が増えてしまうのはある程度しょうがないと思いますが、最初の段階では削れるだけ削って、最小限の構成で勝負した方が良いと思います。

 

例えばRPGにアバター機能を入れて、ボイスも入れて、オンライン機能を搭載して…とやりたいことが増えると、物量が多くてリリースが出来なくなってしまいます。

 

仕様は増やすのではなく削る。それを繰り返す事で、最終的にそのゲームの面白い部分が残るようになります。必要ない機能を削って残ったものがゲームのコンセプトの核です。削った結果面白くないのであれば、恐らくコンセプトに問題がある。最小限の実装で最大限の効果を出す方法を考えるのが良いと思います。

 

自分もまだ勉強する事は多いですが、その辺は今でも意識して作っています。

 

・ありがとうございました!

 

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