どうぶつの森 ポケットキャンプで見る現代人の生活様式にハマるアプリに必要な事
2020年3月20日、Nintendo Switch用ソフト「あつまれ どうぶつの森」が発売されました。
本作は、コロナ禍での巣篭もり需要を追い風にして順当に売り上げを伸ばし続け、この6月には累計販売本数が468万5000本に達しています。
この煽りを受けて、Nintendo Switch本体がどこもかしこも在庫切れになり、生産が追いつかず抽選販売という異例の現象が起きています。
さて、そんな「どうぶつの森」シリーズには、「どうぶつの森 ポケットキャンプ(ポケ森)」というiPhone/Android用アプリも存在します。
本アプリは2017年11月21日にリリースされました。
リリース時ではインストールユーザーは600万人を超え、アクティブユーザー数が500万人以上という驚異的なスタートダッシュを切っています。※1
現在も定期的なキャンペーン施策や「あつまれ どうぶつの森」との連動機能によりサービス提供している、この「ポケ森」の成功要因をつまびらかにしていきます。
スマホと親和性の高いスローライフ
「ポケ森」は人間の主人公が、意思を持ったどうぶつ達が暮らす島にキャンピングカーで暮らし始める所から始まります。
主人公はキャンプ場の管理人としてどうぶつ達が遊びに来るキャンプ場を整備していくのが大きな目的となります。
「どうぶつの森」シリーズが他のゲームタイトルと最も異なる点は、ゲームの目的が何か定量的な目標をクリアすることにこだわっていない点にあります。
村の住人を自分が好きなどうぶつだけで構成することを目標にしても良いですし、理想の我が家にこだわって作ることもまた、プレイ目的となります。
あるいは都市計画に基づいた住みやすい環境を作るプレイヤーもいれば、ひたすら釣りや家具集めといった収集を目的としたプレイヤーも存在します。
こうした、半永久的に擬似ライフをゲームの中で楽しめるという特徴は、スマートフォンの利用シーンと親和性が非常に高い為、意図せず没頭させることができます。
明確な区切りがあるわけではなく、なんとなく初めてなんとなく終わるというUXが、生活の中で目的なく触るスマホというデバイスと非常に近いところに存在しているからです。
これにより、SNS視聴やウェブブラウジング、Youtubeによる動画視聴といった、スマホをつかった娯楽の中にすっぽり入ってくることができます。
この肩肘を張らずに没頭できるという体験デザインがポケ森の大きな特徴です。
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本質はコミュニケーション体験
もう少しスマホと「どうぶつの森」シリーズの親和性について触れます。
「どうぶつの森」は初めからスローライフゲームというわけではなく、元々は喋らない本来の形に近い動物の力を借りてプレイヤーがダンジョンを攻略していくという構想でした。
しかし当時のハードではそうした広大な構想を再現できず、現実的に落とし込んでいく過程で、「利用者同士のコミュニケーション」、「動物をつかったゲーム」という要素が残りました。
そこから2足歩行で人間の様に振舞うどうぶつと、プレイヤーのコミュニケーションという要素をコアテーマにし、徐々に周辺機能が整備されていきました。
こうしたゲーム性によってもたらされる、どうぶつとプレイヤーのコミュニケーション。
これは実際の対人コミュニケーションにおけるストレスを回避しつつ、本質的なコミュニケーション欲求を解消するという、極めて高度な体験を提供することになります。
まさにSNSでなされる、着かず離れずのコミュニケーションと近しい存在なわけです。
SNSでは人間と、どうぶつの森では人の様などうぶつとコミュニケーションをとることで、さながら心の隙間を埋める様な価値を受領することができるのです。
この体験こそがスマホで、今の時代にプレイする強い動機となりえます。
スマホで始めるスローライフ
コミュニケーションともう一つの「ポケ森」の特徴である、擬似スローライフ体験も大きなプレイ動機となります。
「ポケ森」では上記の通り、明確な目的・定量的な目標がなくゲームが進行します。
その為、ゲームによくあるノルマやミッション、チャレンジといったものを動機としたプレイスタイルは提供していません。
しかしあえてこういった競争要素が無い事がまさに田舎暮らしや癒しを求めるプレイヤーにとってみれば唯一無二のゲーム体験となります。
スマホで手軽にトリップできる少し不思議な、優しい世界は現実をしばし忘れるスパの様な存在なのかもしれません。
人でも無く動物でもない“どうぶつ”とのやりとり
「ポケ森」には現実の動物の姿をした、しかし生活様式は人間そのものの、不思議な生き物“どうぶつ”が存在します。
一見すると、そのどうぶつの表面的な可愛さが人気要素と思われがちですが、実はそこだけではありません。
“どうぶつ”には主に哺乳類や鳥類が多く、若者の言葉や変な方言など一度聞いたら忘れられないキャラクター性が設定されています。
このどうぶつ達は絶妙な距離感で時にプレイヤーをなじってきたり、憎まれ口を叩いてきたりします。
しかし、その中でふいに人間的な弱さや優しさ、ピュアな可愛さが垣間見えることで、もっとそのどうぶつを知りたい、仲良くなりたい、時間を使いたいという感情に変化します。
つまりどうぶつが「人間に都合の良い可愛さ」で作られておらず、むしろ人間臭い感情で構成されていることこそが愛されるキャラクターの要因であり、プレイ動機となります。
まとめ
人でも動物でも無い“どうぶつ”という相手に対して、現実世界と同じ様なコミュニケーションをしながら、喧騒の無い環境で気ままなスローライフをスマホで過ごす。
この凝縮された要素が、ポケ森をただのゲームではなく生活の一部の娯楽として根付かせた要素であることに疑いはありません。
コンシューマハードで発売される「どうぶつの森」シリーズは、スマホゲームよりも多くのコレクティブ要素やイベント、リッチなグラフィックがあります。
しかし、対応ハードの用意や電源を入れてゲームを始めるというプレイまでの1アクションが障壁となります。
その点においてポケ森は忙しい現代人の生活様式に合っており、長く太く利用者に愛される要素で構成されていると言えます。
スマホアプリゲームで長寿となっていくタイトルにはこういった理由があるのです。
※1「どうぶつの森 ポケットキャンプ」、国内では女性・20代を中心に利用ユーザーが拡大
https://manamina.valuesccg.com/articles/144
ライター名:ビットリズム
プロフィール:国産ゲームで産湯を使ったロムネイティブなゲームエバンジェリスト。QOL向上に必要なのはワーク・ライフ・ゲームバランスだと信じている。
「どうぶつの森 ポケットキャンプ」公式サイト
https://ac-pocketcamp.com/ja-JP/site
「どうぶつの森 ポケットキャンプ」公式Twitter
https://twitter.com/pokemori_jp
「どうぶつの森 ポケットキャンプ」ストアページ
App Store:https://itunes.apple.com/jp/app/id1179915619
Google Play:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.nintendo.zaca
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