ゲームにおけるAIの活用方法とは?ゲームAIの種類についても解説!
技術の発達により、人工知能を意味するAIが注目を集めています。ゲーム業界はもちろん、製造や飲食など様々な分野で活用され始めていますが、AIの成り立ちやゲーム内で使用されるAI技術について、皆様はどこまで知っているでしょうか?
本記事ではAIの概要と歴史、ゲームに扱われるAI技術や、日本の主なAIゲーム会社について説明していきます!
目次
AIとは?
AIの意味について
AIは「Artificial Intelligence」の略で、日本語では「人工知能」と訳されます。人間の知的行動をコンピューターに経験させる事で、人間と同等の知能を持たせる様な技術及び概念を指します。映画やドラマなどの影響もあり、AI=ロボットの様な想像をする方もいるかもしれませんが、部屋や人の温度を察知して柔軟に温度調整を行うエアコン、安全運転サポートシステムを搭載した自動車等もAIに含まれます。
「人工知能に仕事を奪われる職業」といった用語が一時期話題になりますが、人間の知的活動全てを代行するAIは未だ登場しておらず、様々な有識者や企業によって研究が進んでいる分野であり、決まった定義があるわけではありません。
尚、エアコンや自動車等の1つの機能を専門とし、決まった作業を行うAIを「特化型AI」、人間の思考等を学習し様々な分野に応用していくAIを「汎用型AI」と呼びます。
AIの歴史
AIという言葉は、1956年に行われた人工知能研究分野の夏季研究会、ダートマス会議において初めて生まれました。この学会において世界初といわれる人工知能プログラム「Logic Theorist」が登場。当時のコンピューターは四則演算を始めとする簡易的な処理のみ可能でしたが、人間の問題解決能力を真似するよう意図的に設計されたプログラムとして初めて世界に公開されました。
1950年代から70年代に掛けて、推定や検索といった簡素な予測機能等が用いられていましたが、その後の1980年代には医療や司法といった”知識”が必要なる分野においてAIの活用が始まります。
ただ、現在と比べると複雑な予測は出来なかったり、AIに学習させるための工数に人為的な手間が掛かりすぎるなどの障壁もあり、AI研究は伸び悩んでいきます。
しかしインターネットが急速に発展した1990年代を皮切りに、AI研究は再び勢いを取り戻します。より拍車をかけたのは、データ抽出をシステマチックに行うことが出来る「ディープラーニング(機械学習)」の登場でした。これまで人為的に扱っていた大量のデータを機械が代行する事により、現在の音声解析や映像解析等の普及に繋がっていきます。
AIの活用事例
AIが各産業で活躍する際は、”現状の課題をAIで解決する”という視点で活用がなされています。現在デジタル分野のみならず様々な産業においてAIが活用されていますが、下記ではその例を紹介します。
・製造業
製造業や工場で発生する主な作業には、検品を始めとした製品チェック、製造ラインのオペレーションなどが挙げられます。特に検品においては、いかに効率的に不良品を見つけるかという課題がありますが、工場のロボットと画像処理のAI技術を活用する事で、目視ではなく機械的に不良品を検出する事が可能になります。
実際に、ドイツの自動車メーカーであるアウディは、数百万枚に及びテスト画像で品質検査AI学習を実施。品質検査業務をAIに代行させることで、人間が自社マーケティングなどのリソースを割ける様な体制を構築しました。
・飲食業
飲食店における課題には、予約受付や注文作業を始めとした接客に時間と労力が発生するという課題があります。特に1日に大量の人が利用する様な飲食店の場合、一つ一つの接客に多くの時間を割く事は難しくなってきます。
しかし最近では、電話予約を自動で対応してくれるAIシステムの登場によりその課題が解決されてきています。LINE株式会社とエビソルの共同開発により生まれたレセプションAI「さゆり」では、ユーザーからの予約電話にAIが対応し、飲食店向け予約管理システムと連動させることで空席データを検知。日にちや座席希望といった細かな要望まで対応することが出来るサービスを発表しています。
ゲームにおけるAIの種類
ここまでAIの概要と各産業における活用例を説明しましたが、ゲーム内ではどのようなAIが存在するのでしょうか。下記ではそれぞれのゲームAIの種類について説明していきます。
キャラクターAI
キャラクターAIとは、プレイヤーがよりゲームを楽しむことが出来る様、主にNPC(ノンプレイヤーキャラクター)の動作を様々な要素で管理するAIシステムを指します。
ゲームをプレイしている際に必ずと言っていいほど出てくるNPCですが、ゲームを進めていく際にこのNPCがプレイヤーの楽しさを阻害する存在であってはいけません。
例えば、プレイヤーの挙動に関係なく一定の法則に基づいて同じ挙動を繰り返すキャラクターが複数登場する事がありますが、これもキャラクターAIの一種です。
またその逆に、プレイヤーの挙動に合わせて攻撃や守備などの挙動を変える、複数選択によってセリフや表情を変える等は予めシステムで制御されていますが、これらもキャラクターAIの1つとして例えられます。
メタAI
メタAIはゲーム俯瞰的にとらえて、プレイヤーに合わせた進行や調整を行うAIの事です。
「メタ」という言葉は、ある事象に対しての高次の視点や立場を意味していますが、ゲームの中とプレイヤーの状況を踏まえて最適な調整を行う役割を持つため”メタAI”と呼ばれています。
ゲームの進行は決められた順序に沿って進める場合もありますが、プレイヤーが自由にマップを行き来したり、自分のレベルよりも高い敵と戦ったりと、プレイヤーごとにその行動は変わります。メタAIはプレイヤーのレベルに合わせてバトルの難易度を調整したり、プレイヤーの毛色を予測してマップを生成したりと様々な挙動を行います。
ナビゲーションAI
ナビゲーションAIは、位置情報に特化したゲームAIとなり、プレイヤーの位置情報から移動時の経路を探すAIを意味します。
上記でキャラクターAIとメタAIの特徴を説明しましたが、その2つのAIを位置情報で司る役割を持っており、環境認識に特化したAIです。プレイヤーと目的地を結ぶ経路を探す為には、キャラクターAIとメタAIのデータが不可欠であり、現在のゲームAIにおいて必ず必要となる条件です。
主なAIゲーム会社についてご紹介
モリカトロン株式会社
モリカトロン株式会社は、日本初のゲームAI専門会社として2017年に設立された会社です。ゲームAI設計者である森川幸人氏によって設立されており、ゲームAI研究開発、Webメディアの「モリカトロンAIラボ」の運営、技術情報の発信を通して自社のAIソリューションをゲーム企業向けに提供しています。
3マッチパズルのステージ生成用ツール「AIパズルジェネレーター」や、ゲームキャラクターのセリフの特徴を把握したAIが新しいセリフをチェックし、過去のセリフと齟齬がないかを検出する「AIせりふサポート」等、ゲームAIにまつわる幅広いサービスを提供しています。
HEROZ株式会社
HEROZ株式会社は、日本将棋連盟公認の日本最大の将棋ゲームアプリ『将棋ウォーズ』の運営事業、エンタメ業界へのAI導入支援サービス「HEROZ Kishin」を展開する会社です。
2017年にAIコンピューター将棋ソフト「Ponanza」が、プロ棋士の佐藤天彦氏と対局し完勝して大きな話題となりましたが、この将棋AIを開発したのがHEROZ株式会社です。
現在この将棋AIのノウハウを基にした「将棋ウォーズ」の開発を通じて蓄積した機械学習等のAI関連の手法を用いたサービスを提供しています。
まとめ
AIの概要や歴史、ゲームに活用されるAI技術について説明して来ました。
現在も様々な研究が続けられているAIという分野ですが、今後の技術発展によりゲーム内の動きやシステムそのものが変わっていく事もある、非常に将来性の高い分野です。ゲーム開発に携わる方々は、是非本記事をきっかけにAIに関する知見を深めて頂ければと思います。
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