ゲーム業界で「同業他社への転職トラブル」はある?競業避止義務とは?
同業他社への転職にはメリットが多数ある一方で、「競業避止義務」によって制限される例もあります。特にゲーム業界の場合、会社ごとのノウハウや機密事項も多いので注意するに越したことはありません。
そこでこのコラムでは、ゲーム業界で同業他社に転職する際に気を付けるべきことや、競業避止義務の概要などをわかりやすくまとめます。
目次
1. ゲーム業界で同業他社に転職するのはOK?NG?
何らかの就業経験がある人なら、転職の際にそれまで蓄積してきたスキルや知識を生かして、キャリアアップしたいと思う人は多いでしょう。特にゲーム業界のようにスキルや経験が重視される分野であれば、実務によって獲得した技術や知識は転職の大きな武器になります。
しかし、企業としては自社の機密情報や苦労して確立した技術が他社に流れると大きな損失につながることもあるため、自社に勤めていた人が同業他社に転職するのを嫌う傾向も見られます。
このような観点から「同業他社に転職すると訴えられたりするのでは?」と考える人もいるようです。
しかし、まず大前提として、日本では憲法と法律によって「職業選択の自由」が保証されています。そのため、ゲーム業界で同業他社に転職することは可能です。
ただし、企業としては同業他社に特定の技術や情報が流出すると大きな不利益となるリスクがあるため、社会としては企業の利益を守る必要もあります。そのために存在するのが「競業避止義務」です。
競業避止義務は企業が就労規則などに記載していることもありますが、規則に書かれていなくても労働契約を結んでいれば労働者に存在する義務です。
そのため憲法や法律で転職の自由は守られているとはいえ、転職に関連して情報漏洩などを行ってそれまで在職していた企業に大きな不利益を与えたり、競業避止義務で規定された期間内に同業他社に転職したりすれば、訴えられることはあり得ます。
競業避止義務の詳細は次の項目でわかりやすくまとめますが、ここではまず以下の点を明確にしておきます。
・日本では憲法や法律によって職業選択の自由が保障されているので、同業他社への転職は可能
・ただし、企業の利益も守るための競業避止義務も存在しており、場合によっては同業他社への転職が制限されたり、転職を訴えられたりする可能性は存在する
2. 同業他社への転職において重要となる「競業避止義務」とは
この項目では、競業避止義務によって何がどの程度禁じられるのかを解説します。
2-1. 競業避止義務契約の有効性について
競業避止義務の取扱は企業によって異なり、就業規則などに記載されているケースがある一方、入社時や退職時に誓約書によって同業他社への転職を一定期間禁じる場合もあります。
基本的に競業避止義務は企業の利益を守るために存在しますが、憲法や法律が定める職業選択の自由を著しく制限することはできません。そのため、企業が就業規則に同業他社への転職を禁じる項目を書いていても、そこに合理性や妥当性がなければ法的に有効とは認められません。
競業避止義務契約に関連する訴訟では、まず「守るべき企業の利益があるか」が着目されます。たとえば、在職中に企業の独自技術や機密に触れていない人や、ごく一般的な知識や技術だけで仕事していた人が同業他社に転職したとします。このとき、企業が「就業規則に書いていたから」という理由で転職した人を訴えたとしても、企業側が勝訴する可能性は非常に低いです。
一方、その企業独自のノウハウや情報が認められれば、一定期間同業他社への転職を禁じることに合理性があると判断されやすくなります。
また、企業の「守るべき利益」が認められた場合でも、同業他社への転職を生涯にわたって禁じることはできません。過去の判例を見ても個別の事情が違うため、どの程度の期間がOKでどこからがNGかとは明記できません。しかし、機密性が高い情報やその企業独自のノウハウがあったとしても、転職の制限は数年程度しかできないと考えてよいでしょう。
2-2. 競業避止義務を意識すべきポイント
この項目では、競業避止義務を意識するべきポイントを、転職活動開始時と転職活動中に転職先に接触するとき、転職成功後の3つのタイミングで考察します。
2-2-1. 転職活動開始時
ゲーム業界で同業他社への転職を考える場合、まず社内規定や就業規則などを確認して競業避止義務が記されているか確認しましょう。
競業避止義務が記載されていれば同業他社への転職がすべて禁じられたり訴えられたりすると決まっているわけではありませんが、内容を踏まえて対応を考える必要があります。面倒に感じるかもしれませんが、転職をスマートに成功させるためには、リスクを事前に知ることや、上手に問題回避する方法を考えることが欠かせません。
現職の上司や先輩に相談しようと思う人もいるでしょうが、「信頼できる先輩や上司」であってもその人たちにも企業人としての立場があるので、同業他社への転職を知らせるだけでも不利になることはあり得ます。この点を踏まえて、上司や同僚に同業他社への転職を考えていることは伝えないことを基本としましょう。
「正しい知識がある人に相談したい」と思う場合、業界に特化した転職エージェントに頼ることをおすすめします。
2-2-2. 転職活動時の面接等各種試験
転職活動中は現職だけでなく、転職先にもモラルをもって接するよう心がけてください。
例えば転職の面接の際に、「これまで培ってきたスキルを生かして貢献します」というアピールは有効ですが、「現職の顧客情報を御社に役立てます」といった発言はNGです。このような発言はモラルに反するため、要注意人物とみられて不利な評価を受けます。
また、最悪の場合その発言を務めている会社に通報されれば、強い叱責を受けることは避けられません。
2-2-3. 転職成功後
転職に成功した後にも、前職の機密事項や独自技術などを漏らすことは避けましょう。ゲーム業界は狭いのでどこから前職にバレるかわかりませんし、新たな職場でも職業モラルが低い人と思われるリスクがあります。
また、利益があれば自社の情報を漏らす危険人物と判断された場合、せっかく頑張って成功させた転職先での立場を悪化させることも考えられます。
3. 競業避止義務を踏まえた同業他社への転職のメリット・デメリット
この項目では、競業避止義務を踏まえたうえで、同業他社へ転職するメリット・デメリットについてまとめます。
3-1. 同業他社への転職のメリット
同業他社に転職する場合、一定の技術や知識をもっていることが多いですから、即戦力であることをアピールできます。企業側としても手間暇をかけずに利益に貢献できる人が来ることには大きなメリットがあるので、転職の成功率が上がるだけでなく待遇の要求もしやすくなるでしょう。
また、転職に際しては多くの人が不安を感じますが、すでに慣れている職業で活躍できる転職なら不安低減も可能です。
さらに、同業・同職で転職すればスキルの連続性が途絶えず、業界内での自分の価値を高めることもできます。関連した仕事に長く従事し、スキルや知識を高め続けていることはその後の人生の武器になるでしょう。
3-2. 同業他社への転職のデメリット
同業他社に転職する場合、当コラムのテーマである競業避止義務に抵触するリスクがあります。そのため、転職活動開始時に就業規則などをチェックすることや、転職先で前職の機密や独自ノウハウを明かさないことなどに気をつけなければなりません。
また、同業の転職の場合は即戦力として期待されがちなので、プレッシャーがかかりやすいというデメリットがあります。
3-3. ゲーム業界は特に業界自体が狭いので注意が必要
ゲーム業界はそもそも転職が多いですし、パブリッシャーやデベロッパーとしての関係性なども複雑です。そのため「転職してからその会社が前職とつながりがあった」といったこともあり得ます。
その点を踏まえると、「やめる会社だから」と人間関係や残務処理などを雑にせず、できるだけ円満退社して転職することをおすすめします。
また、「転職先で自分の存在価値をあげたい」といった気持ちから、前職の独自技術や経営状態などを漏洩するような行為は絶対に避けましょう。狭い業界内ですから、義理やモラルを欠いた行為が前職にバレることはあり得ますし、悪い場合訴えられるリスクもあります。
ゲーム業界内での転職を成功させたいのであれば、ゲーム業界に特化した転職エージェントである「G-JOBエージェント」のご利用をおすすめします。G-JOBエージェントは長くゲーム業界内の転職をサポートし続けてきた実績があるので、転職に関連するトラブル回避のためのアドバイスもできます。
また、多くのゲーム会社に太いパイプをもっているので、多数の非公開求人に触れることも可能です。このように有利な情報や細やかなサポートがあれば、心に余裕をもって転職活動を進めることができます。
4. まとめ
同業・同職種で転職をすると即戦力であることをアピールしやすいので、転職の成功や待遇アップを果たしやすいメリットがあります。とはいえ、同業他社への転職は競業避止義務によって制限されることがあるため注意が必要です。
競業避止義務があるからといっても同業他社への転職が一切できないわけではありませんが、在職企業の規則や独自技術の有無などに左右されることはあるため、就業規則をチェックし、法的な決まりなどを正しく知ることが重要です。しかし、法的な言葉はわかりにくく、過去の判例などを見ても自分のケースにあてはめにくいことが一般的です。
ゲーム業界内でスマートに転職したいのであれば、ぜひゲーム業界に特化した「G-JOBエージェント」をご利用ください。G-JOBエージェントには国家資格キャリアコンサルタントの資格をもつ面談担当者も在籍しているので、法的な相談に乗ることも可能です。
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