VR(仮想現実)ゲーム制作の仕事に就くには?必要な技術なども説明
この記事では、VRゲーム開発に携わる職種の仕事内容や、それぞれの仕事をするために必要なスキルなどについて紹介していきます。
VR業界に興味を持っている人は、自分の知らないことがないかチェックしてみてくださいね。
目次
1. ゲーム業界でのVRの活用例
まずは、ゲーム業界でVRの技術がどのように進化しているのか、普及の程度はどのくらいなのかに関してはどうなのか、といった点を解説していきましょう。
1-1. 家庭用ゲームへの普及
2020年9月時点でVRの技術は家庭用ゲームの多くのジャンルに利用されています。
ゲームの販売数などを調査・発表しているNielsenに寄れば、2020年3月・コロナ禍でゲームの利用がアップした時期に、PC利用ゲームの売り上げでVR以外のゲームも含めて8位に入っています。
これらのデータから、VRを利用したゲームは、物珍しさから話題になっているだけでなく、既にゲームユーザーに広く受け入れられていると言えるでしょう。
特定のタイトルに言及すれば、例えばValve社が開発した「Half-Life:Alyx」は、2020年のVRゲームの話をする時必ずと言っていいほど紹介される作品です。
FPS(ファーストパーソン・シューティング)ゲームとして技術的完成度の高さや、ゲーム自体の面白みから高い評価を受けています。
Valve社が用意したVRヘッドセットが、「Half-Life:Alyx」発売の翌月だけで販売台数が95万台も増加したというデータから利益にもつながっていることがわかります。
他にもスター・ウォーズの世界でライトセイバーを使ったバトルアクションが楽しめる「Vader Immortal」や、リズムゲームとシューティングゲームを融合させた「Pistol Whip」、パズルゲームの代表作「テトリス」にVRの技術を取り入れた「テトリス エフェクト」なども広くユーザーを集めています。
1-2. ゲームセンターや遊園地への普及
VR体験は現在では、家庭用よりもゲームセンターや遊園地のアトラクションの一環としての普及のほうが先行しています。
例えば静岡に会社を構えるXCUBEは、VRやARを堪能できるアミューズメント施設を運営しており、アトラクションとしてはリズムアクションを楽しむ「BEAT SABER」、自転車に乗った感覚で空中浮遊を満喫できる「VRサイクリング」、モンスターとのバトルを体験できる「HADO シュート」などがあります。
また、カプコンやセガ、バンダイナムコアミューズメントの「VR ZONE Portal」などはVRを取り入れたアトラクションを全国で展開しています。
2020年9月現在、コロナ禍もあって営業的には苦戦している施設もあるようですが、VRが既にゲームセンターや遊園地などに普及し、ユーザーを楽しませるほどの進化をしているのは疑いない事実です。
1-3. ゲーム業界以外にも活用が進んでいる
VRはゲーム業界で利用されるだけでなく、他数の分野で浸透してきています。
まずゲーム業界以外で誰もが思いつくのが、音楽などのエンタメ系でしょう。
オンラインイベントが増える昨今の事情もあって、世界最大級の音楽フェスの一つ「グラストンベリー・フェスティバル」は、2020年7月にVRを活用して約436万人もの視聴者をひきつけました。
また、医療関係では手術などの技術を学ぶことに使われており、人材育成の速度を速めることに貢献しています。
さらに、リハビリに仮想空間を取り入れることで楽しみながら機能回復できたり、寝たきりの方にVR体感でメンタルケアを提供したりする動きもあるそうです。
他にもVRは飲食業界や製造業、航空業界などトレーニングを必要とする分野への普及が進んでいますし、美術館や博物館を仮想訪問するなどの利用も広がりを見せています。
2. VRゲーム開発に携わる職種
2-1. プランナー・プロデューサー・ディレクター
これらの職種は、ゲームのコンセプトや世界観などの企画を担当する職種です。
プランナーからディレクター、ディレクターからプロデューサーへとステップアップするのが一般的ですが、プロデューサーになると、プロジェクト全体の責任者になり、制作現場からは少し離れて、ゲームのプロモーションや版権の管理など、ビジネス面での調整も担当することになります。
VRゲーム開発においては、通常のコンシューマーゲームよりもまだノウハウが形成されていないため、独創性や技術の可能性を探る必要があるでしょう。
2-2. 3Dデザイナー
キャラクターやその動き、そして舞台の背景など、ゲームのビジュアル面の制作を担当するのが3Dデザイナーです。
会社によって進め方は違いますが、ディレクターやプランナーに依頼されたものを制作するだけではなく、自分からアイデアを出したりディレクションを担当したりすることもあります。
なおVRゲーム開発の際には、VR独特のクセや人間の視界などを理解し、視覚的な体験を最大限引き出せるような勉強が必要です。
2-3. サーバーサイドエンジニア
サーバーサイドエンジニアは、ゲームをコンテンツとして機能させるために必要なサーバー部分を扱うエンジニアのことです。
ゲームの設定や仕組みなどは、基本的にサーバー部分で管理されることになるので、ゲームの根幹を支える仕事になります。
システムの設計や開発はもちろんですが、会社によっては企画の部分から関わることも可能です。
2-4. クライアントサイドエンジニア
画面のUIや演出の組み込みなど、実際にユーザーの目に触れる部分の制御や開発を行うのが、クライアントサイドエンジニアの仕事です。
ユーザーの使いやすさを向上させるために重要なUI/UXの設計を担当する場合もあります。
サーバーサイドエンジニア、クライアントサイドエンジニアのいずれも、これまで培ってきた経験がVRゲーム開発で活かせないこともあるかもしれません。
新しい技術や表現を貪欲に吸収する心構えが求められるでしょう。
3. VR開発に必要なスキル・資格
3-1. 特に必要な資格はないが、職種によって求められるスキルが存在
VRゲームの開発に携わるために必要な資格は特にありません。資格よりも、自分で実際に制作してみた経験やスキルの方が大切です。
3-2. プランナー・プロデューサー・ディレクターに必要なスキル
企画職の場合は、マネジメントスキル、企画力、情報収集力などが、特に重要なスキルです。
VR以外のゲームタイトルに関わった経験に加え、VR業界の流行り廃れをキャッチするアンテナも大切になるので、日々どのように情報収集しているかしっかりとアピール出来るようにしておきましょう。
加えて、自分がつくりたいVRゲームの企画案などを複数用意しておくことも大切です。
3-3. 3Dデザイナーに必要なスキル
Mayaや3ds Maxといった、3DCG制作ソフトの活用スキルはもちろんですが、ビジュアル面からのアイデアを求められたり、会社によっては制作の管理やディレクションも担当することもあります。
そのため企画力やマネジメントスキルもあったほうが有利になります。
3-4. サーバーサイドエンジニアに必要なスキル
PHPやRubyといった言語を利用した開発スキル・経験に加えて、AWSを用いたシステムに関する知識もあると優遇される可能性が高いです。
あとはチームみんなで協力しながら開発を進めていくことになるので、コミュニケーション力に問題がないこともしっかりと伝える必要があります。
3-5. クライアントサイドエンジニアに必要なスキル
UnityやUnreal Engine等のゲームエンジンの活用スキルなどに加えて、クライアント側だけではなく、サーバーサイドの開発経験もあると優遇される可能性が高いです。
クライアントサイドのエンジニアだけに限らず、必須スキルはどこの会社もそこまで大差ありませんが、歓迎スキルに関しては会社によっても異なるため、興味のある企業の求人内容を、あらかじめしっかりと確認しておくようにしましょう。
4. VR業界に就職するには
現状、VRに特化した求人サービスというのは特に無いため、企業のHPを見たり、ゲーム業界に特化した転職エージェントを利用して情報収集する必要があります。
ちなみに転職エージェントを利用することには、非公開案件を紹介してくれたり、内定時に給料の金額を自分の代わりに交渉してくれるなど様々なメリットがあります。
気になる人は一度登録してどんな案件があるか確認してみるのもいいかもしれません。
また、エージェントによって紹介できる案件が違うこともあるので、複数登録して自分合ったエージェントを利用するようにしましょう。
5. VRのメイン機種
VRのメイン機種は大きく以下の4つに分けられます。
5-1. ヘッドマウントディスプレイとスマートフォンを使うタイプ
スマホでVRを楽しむことが出来るタイプのものは種類が無数にありますが、その中でも特に有名なのはGoogle CardBoardです。
スマホにVRアプリをダウンロードして、そのスマホをCardBoardに差し込み、コンテンツを楽しみます。
ちなみにCardBoardはダンボール製なので、公式サイトから仕様書をダウンロードすれば自作することも可能です。
ちなみに購入しても2000円以下とお手頃です。
「Google CardBoard」
https://vr.google.com/intl/ja_jp/cardboard/
5-2. ヘッドマウントディスプレイとPCを使うタイプ
PCを使ってハイスペックなVRゲームを楽しみたい人には、Oculus RiftやHTC Vive、そしてWindows MRなどが特に人気の機種となっています。
先ほどのCardBoardと比べるといずれもコストがかかり、Oculus RiftやHTC Viveに関しては、約40万ほどお金がかかります。
「Oculus Rift」
「HTC Vive」
「Windows MR」
https://www.microsoft.com/ja-jp/windows/windows-mixed-reality
5-3. ヘッドマウントディスプレイとPlayStation4を使うタイプ(PlayStation VR)
PlayStaion4でもVRを楽しむことができます。ただしPSVRの場合はセンサーが反応する範囲が狭いため、ゲームを楽しむのにはあまり向いておらず、映像コンテンツ向きだと言われています。
なお他の機種より、一般人のVR参入のハードルが低いことも特徴です。
「PlayStation VR」
https://www.jp.playstation.com/psvr/
5-4. スタンドアローン型
Oculus Goなどを利用すれば、スマホやPCなどの機器を使わずに、一つの機器単体でVRを楽しむことも可能です。
価格も3万円以下で購入可能なことから、VRを体験してみたい入門者向けとも言われています。
「Oculus Go」
6. VR業界の将来性
VR業界は話題性も非常にあり、将来性に溢れた業界といえます。
一方で一般人に魅力が浸透していくにはまだしばらく時間がかかると見込まれています。
周辺機器を用意するためのコストがまだ決して安いとは言えず、また長時間の機器の装着が顔の周りにストレスを与えてしまうのも原因でしょう。
しばらくは一般家庭ではなく、まずはゲームセンターなどを中心に普及するかもしれません。
ただし、現在でこそ広く受け入れているコンシューマーゲームも、最初から一般家庭にすぐ浸透したわけではありません。
ブレイクスルーとなるようなサービス、機器が開発された暁には、コンシューマーゲームのように一部の人達だけでなく多くの人に愛されるコンテンツとなる可能性があります。
そして誰もが自宅で仮想世界を楽しめる時代がやってくるかもしれません。
VR業界に興味を持っている人は、ひき続き継続して情報収集していきましょう。
7. まとめ
一般層に広く普及するまでに、どれくらいの時間が必要なのかはまだわかりませんが、今までにない新しい体験を提供できる機器であることは間違いありません。
その分、仕事のやりがいも大きいジャンルといえますので、現状の仕事に不満やマンネリを感じている人は、転職先のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。
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