ゲーム業界の「デバッガー(ゲームテスター)」とは?仕事内容や必要な知識を説明


「デバッガー(ゲームテスター)」という職種は、タイトルのクオリティをブラッシュアップさせる上で欠かせない役目がある一方、「ゲームを楽しんでプレイしてお金がもらえる楽な仕事」と勘違いされている傾向があります。

このコラムでは、ゲームデバッカーの業務内容や向いている人の傾向などを解説します。
 

1.デバッガー(ゲームテスター)とは?

デバッガーとは、プログラムの動作が仕様通りになるよう、コンピュータプログラムや電気機器中のバグ・欠陥の発見および修正作業(=デバッグ)を行う人のことです
主要な職務はバグの発見ですが、中にはプログラムの特性をわきまえて修正までを行う場合もあります。
ゲーム業界では基本的に前者のことを指し、ゲームテスターと呼ばれることもあります。

 

作業自体は単純でゲームをプレイさえできれば誰でも可能な仕事となっており、専門知識などがあまり必要とされないことからプランナーやデザイナーといったクリエイターと比べて地味な印象を受けますが、ソフトウェアやサービスの品質を高めるためには必要不可欠な存在です。
また、品質管理業務という特性からゲームの発売・配信直前になるとより多忙になっていく点も特徴です。

 

2.デバッガーの現状と将来性

デバッガーの現状と将来性を考えるならば、「テスト自動化ツール」の存在は常に注目しておきたいポイントです
本ツールに関する技術はまだ成熟してはいませんが、一部作業の同化を行うことができ、ヒューマンエラーや工数、人員の削減といった効果が期待できます。*1
もちろん、チェックリストにとらわれない動きができることでバグの検出量に優れる旧来型のデバッグ手法が活躍するケースや自動化ツールのチェックも含めた業務としてデバッガーの需要が発生することもあるでしょうが、技術の発展によって立ち位置が大きく変わることは考慮しておくべきでしょう

 

なお、デバッグ作業の需要自体は現在増加傾向にあるといえます。
技術の進歩によりゲームの発売後もネットワークを通じたアップデートが行えるため、開発中に発見できなかったバグの修正パッチやゲームを長く楽しむための追加コンテンツの配信も多く見られるようになったためです。
また、クロスプラットフォームのタイトルやアプリゲームの普及により、テストが必要なタイトル=デバッガーも増えています。

 

前述の「テスト自動化ツール」の存在を考慮するならば、ゲーム制作にかかわるスキルや知識を養い、個性を先鋭化させることで増加した需要の恩恵を受けることができるでしょう

 

3.デバッガー(ゲームテスター)の役目

3-1.ゲームソフト(タイトル)をプレイし、不具合を調査して報告する

デバッガーは、指定のゲームを実際にプレイしてプログラム上の不具合=バグを見つけて報告することが仕事です。
つまりゲームをプレイして楽しむことは目的ではなく、不具合を見逃さず、きちんと報告する義務を持っています

 

「プレイ中に挙動が停止、ブラックアウトする」といった不具合なら誰でも気づきますが、「プレイは進んでいるけど前後の流れと整合しない」というケースや、「特定の条件下で微妙に操作した通りに動いていない」といった些細な仕様外の挙動を起こすときもあります。
さらに時刻表示が一部シチュエーション下において変化するなど、細かいミスを見つけるのもデバッガーの大事な役割です。

 

3-2.アルファ版・ベータ版・リリース後の新規コンテンツなど、調査タームは多岐にわたる

デバッガーの作業時期は多岐にわたります。
最初期状態であるアルファ版とリリース直前のベータ版では注意する内容も変わってきますし、既にリリースされているタイトルの追加コンテンツをデバッグすることもあります。

 

依頼内容によって求められる細かさや作業範囲も変わってきますし、作業を任される時間にも制限がありますから、「何となくゲームをする」だけでは務まらず、非常に細かい配慮を求められる仕事でもあります。

 

3-3.プラットフォームの多様化により調査範囲が拡大

コンシューマーゲーム(家庭用ゲーム機)であれば、マルチプラットフォームの場合ハードウェアごとに調査を行う必要があります。
また、スマホ向けアプリであればスマホの型番ごとにレイアウトや挙動が正しいかどうか検証したり、古いバージョンでも動くかなど、細かい調査が必要です。
特定の機種でだけ起こる問題と、複数の機種で起こる問題を整理する必要もあり、プラットフォームが増加したことでデバッガーの調査範囲も増えています

 

4.デバッガーの平均年収

平均年収ランキング(2018年9月~2019年8月)によると、デバッガーの平均年収は387万円(20代:318万円/30代:420万円/40代:498万円/50代~:661万円)となっています。*2
技術系(IT/通信)の職業全体の平均年収が457万円(20代:373万円/30代:509万円/40代:605万円/50代~:701万円)となっているので、カテゴリー内で見るならば少し低いと認識しておくのがよいでしょう。

 

なお、業務に膨大な時間が必要となるため時給制を導入している会社が多く、タイトルの数や規模によって時給は上昇していきます。
また、事前に期限を定めることが難しいという理由で完了期限が無期限となることも多いという理由から、バグの発見数に応じてボーナスが支給される制度を導入している会社もあります。
環境や活躍によってはデータ以上の年収を獲得できるという点はうれしいポイントです。

 

5.デバッガーに資格は必要?

5-1.デバッガーに必要な資格はない

デバッガーになるために必要な資格は特にありません。
雇用形態は正社員や契約社員の他、アルバイトも存在しており、フリーランスエンジニアとしてデバッガーの仕事を行う人もおり、ゲームにかかわる仕事の中では比較的つきやすい職業といえるでしょう。

 

とはいえ、限られた時間の中でテストを遂行するために、職務上ゲームに関する知識やノウハウは必要です。
また、改善点や修正点を正しく伝える能力も必要となります。

 

5-2.デバッガーに役立つ資格やスキルは?

Office系ソフト
デバッガーの仕事はパソコンを使用するものが多く、仕様書もワードやエクセルで書かれているので、Office系ソフトの基礎知識やスキルは必須となります。

 

プロジェクト管理ツールの知識(RedmineやBacklogなど)
バグの報告には専門のトラッキングシステムを用いる会社が多いため、RedmineやBacklogなどプロジェクト管理ツールの知識があると効率よくバグ報告を行えます。

 

プログラミングやエンジニア知識に関係する知識(C++、C言語、CGデザインなど)
C++やC言語といった汎用プログラミング言語を理解していると、ゲーム内部の改善点や修正点を見つけることができます。
プランナーやプログラマーといった開発者と議論を交わせるレベルの知識があれば、開発者とより強い信頼関係を築くことができるでしょう。

 

その他にも、エンジニアやプログラミングと兼職してデバッガーを行えるようになることはもちろん、転職を考えた時にもアピールポイントとして活用することができます。

 

プログラミングやエンジニア資格(IT検証技術者認定試験、JSTQB認定テスト技術者資格)
IT検証技術者認定試験(IVEC)はIT関連の業務などを検証する技術員の育成や技術向上、検証スキルの明確化を目的とした認定試験です。
本試験により知識や技術量を資格として証明できる他、認定者になればIT業界全般のテスターとして仕事を受注することも可能です。
IT検証技術者は現在7段階のレベルに分かれており、最高のレベル7はテスト業界に影響を与える人物になれるほどの知識や技術量があることの証明となります。

 

JSTQB認定テスト技術者資格は、社会インフラや企業システムで使われるソフトウェアテストの技術や経験があることを証明する資格です。
なお、JSTQB(Japan Software Testing Qualifications Board)は、各国のテスト技術者認定組織が加盟している国際組織ISTQB(International Software Testing Qualifications Board)の加盟組織とし
て認定されているため、本資格は世界的に通用する国際資格となります。
IT検証技術者認定試験(IVEC)と同様に、さまざまな業界で扱われるソフトウェアのテスターとして活用できる資格です。
レベルはFoundation LevelとAdvanced Levelの2種類ですが、Advanced Levelの受験には、“Foundation Level合格”、“現場での業務経験を3年以上”の条件があります。

 

6.デバッガー(ゲームテスター)に求められるスキル

6-1.論理的思考力

デバッグを行うにあたり、単純に「問題が起こった」と報告するだけでは仕事になりません。
「Aという操作をした時にBという問題が起こる」といった規則性、「同じ操作をすれば何度でも起きる」といった再現性の確認が必要です。
中には微妙なタイミングでしか起こらない問題もあり、そのタイミングの違いは何か、再現性を確認するのが非常に難しい場合もあります。

 

また、「Aで起こるなら似た挙動を誘発するCの操作でも起こるか」といった論理的な確認も必要です。
そしてそれらの内容が的確に開発サイドに伝わるように報告しなければなりませんから、状況を整理する能力も求められます。

 

6-2.ゲームの同じ行動を何度も繰り返す忍耐力・集中力

1つ問題が確認されれば、それを何度も繰り返してプレイして挙動を確認したり、それと似たような動作をやはり繰り返したりする必要があります。
例えばAというキャラクターがBのアイテムを使った時に問題が起こったとすると、キャラクターとアイテムの数の組み合わせ全てで同じ動作を繰り返す、などといったケースもあり、同じ操作を数時間続ける忍耐力と、その状況で問題を見過ごさない集中力が必要です。

 

6-3.原因を解明するための知識

特定のバグに対応する時、プログラムの組み立て方をある程度理解しているデバッガーであれば、同じ問題が起こるポイントを類推して調査していくことができます。
また、偶然見つけたバグがどんな操作の時に起こったのか、と整理して再現性を検証する時も、プログラムの流れが理解できている方が結論に早くたどり着けます。

 

一方、プログラムの作りを理解しておらず、内部構造をブラックボックスとしてしか認識していないデバッガーは再現性を発見するのに多くの時間を使いますから、本人も疲労しますし、作業が遅れたりするかもしれません。
ですからただゲームをするという事ではなく、論理性や知識が求められるのがデバッガーという仕事です。

 

7.デバッガー(ゲームテスター)が向いている人

7-1.とにかくゲームが好きで、とりあえずゲーム業界に携わりたい人

ゲームの操作を延々と続けるので、とにかくゲームが好きであることは必須です。
また、そのゲームの開発や改善に関わっている喜びや、問題点を追及する論理性がある人なども向いています。

 

一方、シナリオライターやデザイナーのように独自性を求められる仕事でないことや、アルバイトとして募集していることなどから考えてもゲーム業界に入るにはハードルが低い職種であることは間違いありません。
ですからまずはデバッガーになって業界に精通するというのも一つの道です。

 

8.デバッガー(ゲームテスター)からのキャリアパス

8-1.デバッガーとしての道を極め、デバッグリーダーとなる

デバッガーにもチームがあり、そしてリーダーのポジションが存在します。
決まった期間や予算の範囲でデバッグを完了させるために、人を振り分けたり時間管理をしたりする人が必要だからです。

 

当然リーダーになれば年収のアップも見込めます。
ゲーム会社でのポジションだけでなく、デバッグ専門会社もあり、そちらでのキャリアアップも期待できます

 

8-2.コネクションを作り、実力をアピールしてゲームプランナーになる

デバッガーもスキルを向上したり、論理的に仕事を勧めることで社内でのポジションを上げていくことができますから、能力と存在感をアピールしてゲームプランナーに転向するケースもあり得ます。
ゲーム業界は国内の他の業界に比べれば能力主義の傾向が強いので、有能であれば職種を変えて活躍したいという人を歓迎する所もあるでしょう。

 

プランナーを目指す人は、その日のためにデバッガーをやりながらも、社内のコネクション作りを進めておくことで、さらに実現の可能性は高まるでしょう。

 

9.まとめ

ゲームデバッグの作業はタイトルリリースの前に大量の人員を必要とします。
そのためアルバイトの募集が多いので、まずはバイトでゲーム業界に入り込むというのも方法のひとつです。
デバッガーとしてスキルを上げれば社員登用してくれる会社も無いわけではありませんから、バイトからのスタートが悪いということもありません。
一方、30歳前後になってもアルバイトデバッガーのままという人もいますから、将来性を考えて行動する必要はあります。
出来るだけ早い時期にデバッガーのリーダーになるか、プランナーへのキャリアチェンジを試みることをお勧めします。
アルバイトで入るにせよ、社員として入るにせよ、デバッガーという職種は、ゲーム関連のクリエイティブなスキルが無くても比較的入りやすい職種です。
しかし、ユーザーの満足度を上げるためのタイトルのブラッシュアップにおいて必須の業種だと言えるでしょう。

 

出典:
*1【CEDEC2019】AIは今どこまでゲームのデバッグをできるのか?
https://morikatron.ai/2019/09/cedec2019_debug/
*2doda(デューダ)平均年収ランキング 最新版(167職種の平均年収/生涯賃金)
https://doda.jp/guide/heikin/syokusyu/

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