ゲーム会社の「広報」とは?仕事内容や必要な知識を説明
ゲーム会社への就職というとデザイナーなどのクリエイティブ路線や、プログラマーなどのエンジニア路線を思い浮かべる人が多いかもしれません。
しかしそのデザイナーやプログラマーが魂を込めて作ったタイトルを成功させるのに活躍する、「広報」という重要な仕事もあります。
今回はゲーム会社の広報がどんな仕事をしているのか、どんなスキルや資質が必要かを解説していきましょう。
目次
1. ゲーム会社における広報担当の仕事内容
1-1. 社外広報として、自社のタイトルやサービスを広く認知させる
どんな面白いタイトルを開発しても、ユーザーに認知してもらったり、購入あるいはダウンロードして課金してもらわなければゲーム会社は成り立ちません。
「広報」という仕事は、どのようにそのゲームタイトルを世の中に広めていくかを担当する大事な職業です。
メディアに対してはプレリリースとして製作発表をしたり、特集を組んでもらう依頼をしたり、CMを企画したりといった動きが必要になります。
大手であれば自社が費用を出してイベントを開催したりしますが、中小企業では潤沢な予算を確保しにくいですから、メディアの側から取材依頼をもらうような動きも広報の腕の見せ所です。
タイトルやリリース内容によってはアニメや雑誌、ドラマや映画とのクロスメディア展開を企画するといった動きもあります。
WEB上のプラットフォームを使って、ユーザーが特定の動画を見ている前後に広告を流す、などの動きもあり、広報の活動範囲は多岐にわたります。
1-2. 広報活動の内容は、社内にもしっかりと通達する必要がある
ゲーム会社の広報は外部にだけ目を向けているわけではありません。
外部に告知する前に、まずは社内でどんな広報活動を行うかの検討を行い、内部での承認を勝ち取る必要があります。
リリースされるタイトルの魅力を引き立てなければならないため、製作サイドとの打ち合わせも必要です。
また、正式な発表前にユーザーに情報が漏れてしまうとインパクトが薄れたり、良くないイメージを持たれる場合もありますから、社員全員に情報のリークをしないように注意喚起をする必要もあります。
新しく世に送り出すタイトルをインパクトを持って告知し、魅力あるゲームに見せるために、社内での手回しも大きな仕事です。
1-3. 電車広告からWEBメディア、SNSまで、適した形のマーケティングを行うセンスが求められる
新しいタイトルのリリースをユーザーに周知させるにはさまざまな方法があります。
従来の方法として電車広告や雑誌媒体への掲載などもありますが、近年はWEB上での告知が重要になっています。
基本的にはゲームユーザーのターゲット層はWEB上、SNS上で情報を得ていることが多いからです。
WEB上で告知するにしてもどんな方法が最適かを考えなければなりません。
告知向けの動画を作るにも静止画で告知するにも費用が発生します。
また、YouTubeなどの動画サイトで広告を打つか、ユーザーの検索状況を踏まえたリスティング広告を打つか、など方法論を考えることも重要です。
2. ゲームタイトルの広報に多く利用される媒体
この項目では、ゲームタイトルの広報にしばしば利用される媒体の名称や、それぞれの方法が持つメリット・デメリットなどを概略で記載していきましょう。
・YouTube広告
10~30代の利用者が多く、運営側がユーザー情報を豊富に持っているのでターゲットが絞りやすいメリットがあります。
動画が一定時間視聴されなければ料金が発生しない仕組みもあるので、コストメリットも大きいと言われています。
テレビの80%を超える効果もあるという報告もあり、近年は大きな力になっています。
・Twitter広告
日本のSNSではLINEに次ぐユーザー数を持っており、10~30代の男女が利用している率が高いので、ゲームの広告媒体としてはかなり向いています。
また、匿名性が高いことから拡散力も大きく、二次的拡散では広告を出した側にとって費用が発生しない特徴があるので、広告費を抑えやすいメリットもあります。
画面上で広告が掲載される場所や広告の種類、課金方式をいくつかの候補から選ぶことができるのも特徴です。
また、Twitterは新規ユーザーの獲得と、いったんは離れてしまった離脱ユーザーを再取り込みすることにも向いています。
その一方で、既存ユーザーへのイベント告知には向いていないとも言われています。
・LINE広告
LINEは世界的にはユーザー数は多くないものの、日本国内ではユーザー数が突出して多いSNS媒体です。
また、ユーザー数が多いだけでなく、利用率の高さやLINEでのみアプローチできるユーザーがいることも魅力です。
Twitterのような拡散力はないものの、既存ユーザーを維持することには効果が大きいと言われています。
・フェイスブック広告
フェイスブックはユーザー層が10~50代と幅広いとはされていますが、他のSNS媒体よりは年齢層が高めです。
しかし、フェイスブックの運営側が実名のデータを持っていることから、ターゲットを絞った広告が打ちやすいメリットがあります。
・Web広告
一般にWeb広告と言えば、検索キーワードに応じて表示されるリスティング広告や、ウエブサイト上の広告欄を使うディスプレイ広告、他にもアフィリエイト広告、ネイティブ広告などがあります。
かかる費用や自社のゲームの特性、ターゲットを考慮してゲームの魅力を伝えられる方法を選びましょう。
・テレビ広告
近年、若者のテレビ離れは顕著になってはいます。
とはいえ、いまだに多くの人にアプローチできる媒体であることは間違いありません。
広告費は安くはありませんが、テレビメディアはいまだに無視できない訴求力を持っていますので、コストに見合うように広告を打てば大きな成果を上げることも可能です。
3. ゲーム会社における広報担当に求められるスキル
3-1. 時代に則したマーケティング力
ここまで書いてきたように広報活動には費用がかかります。
しかしどんな大きな会社でもそこにかけて良い予算は限られていますから、その範囲内でどれだけ結果を残せるかが重要です。
そこで必要になるのがマーケティング力です。
販売型のコンシューマーゲームとダウンロードした後の課金システムで利益を上げていくソーシャルゲームでは、広告戦略も変わってきます。
ソーシャルゲームの多くはダウンロードされただけでは人気度のアピール要素となるだけで肝心の利益は生みませんから、どのように定着してもらうかを考えなければなりません。
3-2. コミュニケーション力・営業力
広報活動はコミュニケーション能力、営業能力を必要とします。
お金をかける広告だけでなく、メディア側が取材依頼してくるような「売り込み」をかけなければならないからです。
そしてそれぞれのゲームタイトルを売り込むにはそのゲームの魅力や特徴を知っておく必要があります。
極端な場合、低予算で作られた特に目新しさが無いタイトルでも、広告の見せ方や斬新なコピーで魅力を倍増することも出来ます。
また、社内スタッフとのコミュニケーションも欠かすことはできません。
基本的に開発サイドと広報サイドは全く違う動きをしています。
開発サイドとしては広報が先走りして情報を欲しがることがプレッシャーになったり、ゲームの核心でない部分だけをアピールされることが面白くないと思うかもしれません。
そのような事態を避けるためにも、社内のコネクションを築いておくコミュニケーション力が問われます。
3-3. 自社タイトル・サービスに対する理解
これから売ろうとするゲームタイトルをどう告知するか、それにはそのタイトルをしっかり知る必要があります。
どんな特徴があって、ユーザーにどの部分が受け入れられやすいか、それを判断するのも広報のスキルです。
開発サイドは自分たちが力を入れた部分、自信がある部分を推してくるでしょうが、それがそのままユーザーの心を掴む保証はありません。
ゲームが持っている魅力を十分に知っていれば、そこではない魅力を、ユーザーが欲しているものとマッチさせて告知できる可能性があります。
つまり、ゲームの表面だけ見るのではなく、そのタイトルが持っているポテンシャルを知り尽くしてこそ、良い広報活動が出来るのです。
3-4. グローバル展開する場合、内容を十分に伝えられる言語力
ゲームタイトルをグローバル展開する場合、その魅力を日本語だけでない方法で伝えなければならないケースもあります。そのために各国の言語能力が必要になってくることもあり得ます。
日本国内のみのリリースだとしても、国内に住む外国人の数は増えてきていますから、今後は外国語対応能力も必要になってくるでしょう。
4. ゲーム会社における広報担当が向いている人
4-1. 人に物事を伝えたい人
広報活動の根源は「人に何かを伝えること」です。
ですからコミュニケーションが苦手な人や、自分の知識を広げることだけに興味がある人は難しいかもしれません。
何か知識を得たらそれを誰かに伝えたくなる、特定のものの魅力を多くの人に知ってほしい、そう思える人が広報に向いています。
4-2. 普段から様々な業界に対するアンテナが高く、多趣味な人
自分が所属している業界だけでなく、多くの人が今現在なにに関心を持っているのか、今のトレンドだけでなく次に来そうなものは何か、といったアンテナの高さを持った人が広報に向いています。
また、物事に広く興味を持つことで販売チャンネルを広げることも出来ますから、多趣味な人、新しいことに興味を持ち続けられる資質も大切です。
4-3. マーケティングに興味がある人
広報の最終的な目的は、自社のゲームタイトルやサービスをどれだけ売ってどれだけ利益を出すか、というところです。
言い換えれば、最小限の広告費で最大限の利益を得ることが役割とも言えます。
難しい側面もありますが社内に利益をもたらす喜びがあるのがマーケティングの醍醐味です。
それを理解して自ら行動できる人はゲーム会社の広報にとても向いています。
5. まとめ
ゲーム会社の広報について、業務内容や役割、必要な資質などをまとめました。
ゲームを直接開発する訳ではありませんが、販売によって利益を上げ続けることでより面白いゲームが作られていくのですから、ある意味で会社の心臓部という言い方もできます。
開発のスキルは無いけれどゲームの良さを伝えたいという方や、マーケティングに興味があってそれを活かしたいという方はぜひゲーム会社の広報の道を考えてみてくださいね。
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