ドラゴンボールレジェンズに学ぶ、原作ありゲーム開発の醍醐味


2019年5月、ラスベガスでスマートフォン新作アプリゲーム「ドラゴンボールレジェンズ」の1周年を記念した世界大会が実施されました。

スマホゲームで世界規模の大会を実施する事例は、「荒野行動」や「PUBG」、「フォートナイト」といった海外発のFPSゲームでこれから実施される予定です。

しかし、国産IPゲームで行われる事は今回が初といって良いほど珍しい事例です。これには国内だけでなく海外にいるドラゴンボールファンからの熱気が感じられます。

 

そんな世界中から熱視線を受けるドラゴンボールレジェンズがなぜこれほどの支持を得るに至ったのか、開発力に裏付けられた成功要素に迫ります。

 

ゲームの概要

ドラゴンボールレジェンズは「ドラゴンボールZ」らしいアクションバトルが、アニメそのままにスマホを片手持ち・指一本で再現できるゲームです。

これまでにも「ドラゴンボールドッカンバトル」というスマホゲームはありましたが、コマンド選択式な為、「ドラゴンボールZ」の世界を再現するという点では物足りなさがありました。

 

しかしこのドラゴンボールレジェンズではそういった従来型のゲームとは異なる高いレベルで開発されていた様です。

以下はドラゴンボールオフィシャルサイトで行われたバンダイナムコエンターテインメントの池田慶悟プロデューサーによるインタビューです。

 

「立ち上げ時の方針は“全てにおいて、スマートフォンで実現できる限界に挑戦する”でした。

こだわりにこだわった結果、プロジェクトスタートから告知まで、2年半以上がかかってしまいました。

スマホで3Dのグラフィックスがどこまで動くのか、操作性はどこまで落とし込めるかなど、技術検証だけでも1年以上かかっています。」※1

 

通常スマホゲームでは開発期間はそこそこに、まずはβ版を実装してユーザからのフィードバックを反映し、ブラッシュアップをしていく売り方が主流です。

 しかしこのゲームでは開発陣が2年半以上もかけ、既存マーケットの最前線をリードするという高い気概で臨まれていた事がわかります。

その証拠に、実に数多くの成功要因がありました。

 

スマホとは思えないフルポリゴンで表現されたビジュアル

PS4やNintendo Switch といったゲームに特化したハードのコンシューマーゲームでは、リッチな表現は当たり前になっています。

しかしゲームだけに特化したわけではないスマホというハードの制約上、使用出来るメモリの限界が表現の限界となります。

その為、これまでのドラゴンボールタイトルのゲームや、他の原作ありきのゲームでは2Dによるグラフィックか、ポリゴンだったとしてもターン制で動きに制限のある表現が限界でした。

 

 しかし、技術検証に1年以上かけたというだけあって、「これがスマホで動いている!?」とユーザが度肝を抜かれるフルポリゴンで迫力ある戦闘アクションが実現されました。

これに関して池田慶悟プロデューサーによるインタビュー内にこだわりが見受けられます。

 

「キャラのグラフィックもこだわっており、キャラだけでなく、背景に原作アニメのシーンを想い起こさせるようなグラフィックを配置したり、ギミックでシーンの流れをイメージできるようにこだわっています。

あと細かいこだわりですが、負けても経験値をもらえてキャラクターが強くなります。

戦いを通して強くなるドラゴンボールの戦士たちを少しでも再現したくて実装しました。」※1

 

実際に使用されている3Dポリゴンモデルは原作を忠実に再現し、美麗で直感的に世界観を再現している事がよくわかる完成度を誇ります。

 

圧倒的なビジュアルをスマホに最適化した簡単爽快な操作性

リッチな3Dポリゴンのキャラクターを縦横無尽に動かすという要件は前述の通りとても技術要件の高いオーダーでした。

ただでさえドラゴンボールのアニメは空中で激しくぶつかり合い、高速な打撃・光弾の応酬や技の読み合いからの派手な必殺技といったカッコいい表現が醍醐味になっています。

この面白さを再現するとなると、コンシューマーゲームの様な十字キーとボタンによる複雑なコマンド入力が必要となります。

 

しかしプレイしてみると分かりますが、ドラゴンボールレジェンズでは片手持ち、指一本にも関わらず「自分がキャラクターを操作して戦っている」感が高いレベルで再現されています。

これには技術要件を満たす開発力と共に、UXデザインにも注力されていることがわかります。

同インタビューにて下記の様に回答されています。

 

「最初は格闘ゲームのようなコマンドを実装していましたが、とても指が疲れてしまい…。

必殺技ボタンを実装してみたんです。

そうすると、今度はかめはめ波ボタンを押し続けるだけ…と、やることが狭まってしまったんです。

それでは面白くないので、ランダムに出てくるカード性を取り入れてみたところ、面白くなってきたのがシステムの始まりでした。」 ※2

 

「「レジェンズ」では“新しさ”と”操作感”を重視しており、要望の多かったボイスや対戦といった要素を盛り込んでいます。

「キャラを動かしたい」「闘いたい」といった方々により一層楽しんでいただけるのではないでしょうか。」※1

 

この様な開発側の原作再現に向けた執念とも言える熱があってこそ実現できたUXであることに疑いはありません。

 

1on1ですぐにマッチするストレスフリーのインフラ構築

 グラフィック、戦闘システムと続いてさらにゲームの本質を高めるのは対人戦の面白さです。

かつてストリートファイターIIが世界を席巻した時、「俺より強い奴に会いに行く」という合い言葉がありました。

この場合の会いに行く場所は街のゲームセンターという共通の場所でした。

また、モンスターハンターが流行した際は「ひと狩り行こうぜ!」という言葉がゲーマーの合い言葉となりました。

この場合はPSPを持ち寄った対面コミュニケーションです。

こういった人間同士のコミュニケーションがゲームの面白さを加速させます。

 

ドラゴンボールレジェンズでは更に対面でのコミュニケーションから、Webを介して知らないプレイヤーと対戦できる、人と対面しなくても楽しみたいという時代に則したマッチング機能が実装されています。

実際にプレイしてみると分かりますが、自分と同じランクのユーザと高確率でマッチングされるので、ヒリヒリとするスリリングなバトル体験が楽しめます。

このマッチング精度もさることながら、特筆すべき事項はそのインフラ技術にあります。

 

前述の通り、ドラゴンボールゲームの醍醐味はリアルタイムの格闘アクションです。

これを通信が発生しないアプリ内でCPUと戦う際に実現できるだけでも今迄なかったのに、遠く離れたユーザ間でもタイムラグ無く実現しているのはインフラにおいても高い技術力を擁している事がわかります。

 

まとめ

これまでスマートフォンアプリでは実現し得なかった3Dフルポリゴンを使った美麗なグラフィック、原作再現に拘りつつも難しい操作ではなく、指一本で簡単に爽快アクションができる操作性。

それらを用いて対戦ゲームが持つ本質的な面白さを加速させる、世界中の誰とでもすぐにマッチングして戦える対戦システム。

ローンチからわずか1年で、ラスベガスで世界大会をする規模までプレイヤーを増やすこととなったタイトルには、原作再現、操作性、ハードの限界という課題を見事に昇華した開発力があってこその様です。

 

アプリゲーム開発のニーズはスマホの普及率に伴い、これからも伸びて行くことが予想されます。

最先端の市場だからこそ、これまでに無い発想と開発力、原作愛で市場を牽引出来るとてもクリエイティブな仕事では無いでしょうか。

 

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出典
※1 新作アプリゲーム「ドラゴンボール レジェンズ」!その魅力やゲーム性とは…?プロデューサーに直撃インタビュー!
https://dragonball.news/news/18032300.html
※2 新作アプリゲーム「ドラゴンボール レジェンズ」!プロデューサーが詳しくゲーム内容を解説!
https://dragonball.news/news/18032201.html
ライター情報
ライター名:ビットリズム
国産ゲームで:産湯を使ったロムネイティブなゲームエバンジェリスト。QOL向上に必要なのはワーク・ライフ・ゲームバランスだと信じている。

 

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