ゲームの「最適化」とは?fpsを上げるだけじゃない?具体的に説明


 
現代のゲーム開発において「最適化」は、作品の評価を左右する重要な工程です。また、最適化は「フレームレートの向上」と狭い範囲で理解されがちですが、実際にはそれだけに限りません。
 
このコラムでは、最適化の意味や目的を明確にしたうえで、最適化が必要な状況や最適化の手法を解説します。さらに最適化の手順も説明しているので、これから最適化に携わるエンジニアや、開発者の取り組みを知っておきたいユーザーはぜひ当コラムを参考にしてください。
 

1. ゲームタイトルにおける「最適化」とは

ゲーム開発における「最適化」とは、プログラムやアセット(素材)を整理し、CPU、GPU、メモリなどのリソースが効率的に稼働できる状況を作ることを指します。
 
最適化は、fps(フレームレート)を向上させてグラフィックを滑らかにすることと考えられがちですが、それはあくまでも最適化の一部に過ぎません。
 
最適化の本来の目的は、開発者が意図したゲーム体験を、ターゲットとする端末で安定的に提供することにあります。その目的達成のための取り組みは、「無駄な処理を削ぎ落とすこと」と「メモリなどの消費を抑えてパフォーマンスを最大化すること」の二点に集約されます。
 
例えば、最高画質を追求するあまりデータが重くなりすぎると、CPUやGPUのスペックが追いつかず、処理落ちによる動作のカクつきが起きて本末転倒となることがあります。その一方で、動作を軽くするためにグラフィックを削りすぎては作品の魅力が損なわれます。特定の処理を簡略化しつつ、視覚的な品質を維持するようなバランス調整こそが最適化であり、エンジニアの腕の見せ所でもあります。
 
また、バグを取り除いてゲームが適正に動くことを最適化と理解している人もいます。しかし、デバッグは問題を除去することであり、最適化とは根本的に異なります。バグ修正が「プログラムの誤りを直して正しく動くようにすること」に対して、最適化は「正しく動いているものを、より速く、より効率的に動くように改良すること」を意味します。
 

2. ゲームが重くなる主な原因

ゲームの動作が不安定になる、あるいは「重い」と感じられる場合、「演算量の過多」「データの肥大化」「一時的な負荷の集中」などが考えられます。
 

2-1. 全体的な処理の停滞(1秒間にやることが多すぎる)

ゲームが継続的に重いと感じる場合、ハードウェアが1フレーム(例えば60fpsなら約16.6ミリ秒)以内に必要な処理を終えられないことが原因です。
 
例えば敵キャラクターが大量に出現した際や、派手なエフェクトが画面を埋め尽くした瞬間などにこの現象は顕著に現れます。キャラクターが増えれば、演算や衝突判定、アニメーションの更新などの処理が増えてCPUへの負荷が増大するからです。
 
また、エフェクトに用いるパーティクルの描画やシェーダーなどはGPUに負荷をかけるため、結果的に描画が遅れ、カクつきが発生するのです。
 

2-2. 読み込み・容量の問題(データが大きすぎる)

読み込むべきデータが大きすぎることや、ロード時間が長いこともプレイヤーにとって大きなストレスになります。データが大きいとストレージの占有率が上がって動作の不具合につながるため、最適化が必要です。
 
近年のゲームはテクスチャや3Dモデルが高精細化しており、データサイズが肥大化しがちです。データが小さければメモリ上に展開して高速アクセスできますが、メモリ容量にも限りがあります。
 

2-3. 瞬間的な渋滞(一時的に重くなる)

シーンの切り替え時やキャラクターの初登場演出時、メニューを開いた瞬間などに、一時的に描画が重くなることをスパイク(スパイク現象)と呼びます。
 
この現象が起きる原因は、「処理の瞬間的な渋滞」です。バックグラウンドでのデータロードや、メモリ使用量の増大、複雑な演出のためのスクリプト実行が重なって、瞬間的に処理能力の限界を超えた時にスパイク現象が発生します。
 

3. 開発者が実際に行うゲームの最適化の具体例

ここでは、開発者が現場で行っている最適化の具体例を、3種類紹介します。
 

3-1. カクつき対策として画面に出す情報を整理する

近年のゲームにおいては、空間全体を3Dで作り出すケースが増えています。例えばサッカーゲームであれば、競技場や22人の選手、数人の審判、スタンドの客たちの3Dデータが準備されますが、主人公目線のカメラであれば、主人公より後ろの選手や風景は描画する必要がありません。
 
また、画面に登場している選手で隠れるオブジェクトを描く必要もないでしょう。このように、必要がないものや隠れるオブジェクトを省略することを「カリング」と呼びます。
 
さらに競技の進行を描画しているとき、遠景の観客は簡易モデルに切り替えたり、テクスチャ解像度を落としたりして描画負荷を下げます。この作業を「LOD(Level of Detail)」と呼びます。適切にカリングとLODを行えば、大幅に演算量を少なくできますからカクつき防止に役立ちます。
 

3-2. ロード短縮としてまとめて読ませない(先に読んでおく)処理をする

ロード時間を短縮するためには、データの読み込みタイミングを分散させることが有効です。
 
「非同期ローディング」はその代表的手法で、処理に負荷をかけないようにアセットが必要となるより先に、小分けにしてデータを読み込みます。例えば、エリアが移行する際に、キャラクターが移動している間に次のエリアの情報をロードしておけば、場面が切り替わる瞬間のロード量を低減できます。
 
また、初回プレイ時に重くなる処理を避けるため、ゲーム起動時やタイトル画面の裏で、頻出するシェーダーをあらかじめ計算(プリコンパイル)しておく手法も一般的です。ロードを巨大な一つの塊として処理するのではなく、細かな単位に分割して「今すぐ必要なもの」だけを優先的に読み込むことにより、ユーザーの待ち時間を最小化します。
 

3-3. 容量・メモリ対策として画像と音を適切なサイズにする

不必要な画像(テクスチャ)や音データを圧縮、削減するのも最適化の重要な工程です。
 
テクスチャは、画面上での表示サイズに合わせて解像度を適切に設定しましょう。例えば、小さな小物に4Kサイズのテクスチャを貼るのはリソースの無駄です。これを適切な圧縮形式に変換することで、画質劣化を抑えつつデータサイズを数分の一に削減できます。
 
音データも同様で、BGMを圧縮再生することや、頻繁に使う効果音をスピーディーに処理できるようにメモリに常駐させる、などの最適化が有効です。
 
また、使い終わったデータを即座にメモリから破棄する「メモリマネジメント」も欠かせません。不要なデータが蓄積されるとメモリ不足によるクラッシュが起こるため、エンジニアは常にメモリの掃除を考える必要があるのです。
 

4. ゲームの最適化を進めるための基本手順

最適化は闇雲に行うものではありません。推測で最適化を行うとリソースの無駄になるだけでなく、新たな不具合を生む恐れがあります。そのため、エンジニアは適切なステップを踏んで最適化を進めることが重要です。
 

4-1. STEP1:どこに最適化が必要かを決定する(症状を固定する)

最適化に関して最初に行うべきなのは、問題発生状況の特定です。「なんとなく全体的に重い」という曖昧な判断では、適切な最適化の計画が立てられません。
 
そのため「ステージ○○のボス戦で、攻撃モーションに入った瞬間にフレームレートが30を下回る」といった具合に、シーンと症状をピンポイントで把握します。そのうえでターゲットとする端末(PCやゲーム機)のスペックを明確にし、推奨環境で問題なく動作できる手順を整理することが最適化のスタート地点です。
 

4-2. STEP2:原因を計測する

次に行うのは「プロファイリング」という作業です。プロファイラーと呼ばれるツールを使い、CPUのどの処理に時間がかかっているのか、GPUのどの工程がボトルネックになっているのかを可視化します。
 
これによって、「演算が重いと思っていたが、実はメモリからのデータ読み出しを待っている時間の方が長かった」というような、思い込みを解消できる例も珍しくありません。客観的な数値データに基づいて最適化に取り組めば、求める状態を早く実現できます。
 

4-3. STEP3:プレイ体験向上に影響がある順に最適化を施す

原因部分の特定や状況判断ができたら、次に最適化の優先順位を定めましょう。リソースと時間は限定されているため、もっとも大きな不具合の解消から着手していくのです。平均fpsが低いことに比べると、プレイ中に明確なカクつきが起こる方がプレイヤーにとっては明らかなストレスです。
 
それをクリアしたら、ターゲットとする平均フレームレート(30fpsや60fps)を維持するための負荷の削減やロード時間の短縮、発熱やバッテリー消費の抑制といった順に対応していきます。
 
かけるコストと効果を考え、プレイヤーの体験を向上していく、という目線をもつことが重要です。
 

4-4. STEP4:再度チェックし再現性がないか確認する

最適化を施したあとは、STEP1で解説した手法で、問題点が解消されているかを確認します。このとき、数値が目標値をクリアしていることだけでなく、その最適化によって他の部分に悪影響が出ていないかの確認も欠かせません。
 
最適化は「計測・分析・改善・検証」のサイクルを何度も繰り返し、問題をコツコツつぶしていく地道な作業の積み重ねです。
 

5. まとめ

ゲームの最適化は、プレイヤーが快適にゲームを楽しむために欠かせない作業です。このコラムでは、最適化を行うべき状況や、最適化の手法をわかりやすくまとめました。
 
最適化にかけられる時間やリソースには限りがあるため、最適化を行うべき場所を特定し、優先順位が高いものから取り組んでいく必要があります。さらに、作業後には検証を行って、最適化が果たせているか、ほかの箇所に悪影響が出ていないかを確認することも必須です。
 
こうした工程は非常に地味ですが、ゲームの品質維持に欠かせない工程であることを踏まえて、コツコツ取り組んでいきましょう。
 

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