マッチメイキングとは?意味や仕組み、ゲームでの活用方法をわかりやすく解説


 
オンラインゲームをプレイしていると、「マッチメイキング」という言葉を見聞きすることがあると思います。しかし、対戦相手やチームメイトがどうやって決められているのか、その裏側まで意識する機会はあまりないのではないでしょうか。
 
このコラムでは、マッチメイキングの意味や目的から、代表的な方式、相手を決める要素、開発現場でよくある課題までをわかりやすく解説します。支えている職種についても紹介しますので、オンラインゲームの仕組みに興味がある人はぜひ最後まで読んでみてください。
 

1. マッチメイキングとは

マッチメイキングとは、オンラインゲームにおいてプレイヤー同士を自動的、あるいは任意に組み合わせ、対戦や協力プレイの相手を決める仕組みのことです。ひと言でいえば、「対戦相手やチームメイトを見つけるための裏側の仕組み」といえます。
 
たとえば対戦ゲームで「試合を開始する」ボタンを押すと、数秒から数十秒ほどで相手が決まります。プレイヤーからは待っているだけに見えますが、その間にシステムは「誰と誰を組み合わせるか」「どのサーバーで試合を行うか」を計算しています。この一連の処理がマッチメイキングです。
 
対戦ゲームだけの言葉というイメージがあるかもしれませんが、協力プレイのパーティ編成やMMORPGのレイド募集など、複数のプレイヤーを組み合わせる場面では、たいていマッチメイキングの仕組みが動いています。
 

1-1. マッチメイキングの目的

マッチメイキングには、大きく3つの目的があります。
 
・公平な対戦を成立させること
・プレイヤーの待ち時間をできるだけ短くすること
・快適な通信環境でプレイできる相手やサーバーを選ぶこと
 
1つ目の公平性は、実力差が出すぎない組み合わせをつくることを指します。始めたばかりのプレイヤーが上級者ばかりの試合に放り込まれれば、勝てないまま嫌になってしまいますし、上級者にとっても手応えのない試合が続くのは退屈でしょう。
 
2つ目の待ち時間は、快適さに直結します。条件に合う相手を探すのに何分もかかるようでは、対戦する前にゲームを閉じられてしまいます。
 
3つ目の通信環境は、対戦の質そのものを左右します。遅延の大きい相手と組み合わされると、攻撃が当たっているのに判定されないといったズレが起こり、公平な試合が成立しなくなるためです。
 

1-2. 「マッチング」との違い

「マッチング」と「マッチメイキング」は、ほとんど同じ意味で使われることも多い言葉です。ただし厳密には、指しているものが少し異なります。
 
「マッチング」は、プレイヤー同士が組み合わさる行為や、その結果そのものを指すことが多い言葉で、「マッチングした」「マッチングに時間がかかった」といった使い方をします。
 
一方の「マッチメイキング」は、その組み合わせを成立させる仕組みやシステム全体を指すニュアンスで使われます。開発の現場で「マッチメイキングを設計する」といえば、どの条件でプレイヤーを組み合わせ、どのサーバーに割り当てるかまでを含めた仕組みづくりを意味します。
 

2. マッチメイキングの主な方式

この項目では、マッチメイキングの代表的な方式を3つ紹介します。それぞれ向いている場面が異なるので、遊んでいるゲームがどの方式を採用しているか思い浮かべながら読んでみてください。
 

2-1. ルームベース型

ルームベース型は、プレイヤー自身が部屋(ルーム)を作成し、そこに他のプレイヤーを募集・招待する方式です。
 
この方式の特徴は、部屋主(ホスト)が主導権を握れる点にあります。開始のタイミングや参加条件、ルール設定をホストが決められるため、フレンドと一緒に遊びたい場合や、身内での大会・カスタムマッチに向いています。
 
また、誰が部屋に入ってきたのかが見えるため、集まっていく過程を演出として見せやすいのもメリットです。反面、部屋を立てて人が集まるのを待つ必要があるため、すぐに遊びたい人には手間に感じられる場合もあります。
 

2-2. キューベース型

キューベース型は、プレイヤーが「参加」ボタンを押すだけで、あとはシステム側が自動的に相手を選び出す方式です。参加を希望したプレイヤーはいったん待機列(キュー)に入れられ、条件が合った人同士がシステムによって組み合わされます。
 
ランクマッチやカジュアルマッチなど、とにかく素早く対戦を始めたい場面で多く採用されている方式です。プレイヤーがやることはボタンを押して待つだけなので、操作の負担がほとんどありません。
 
一方で、組み合わせが決まる過程はシステム内部で進むため、待機中の演出や説明が省かれがちです。「なぜこの相手と当たったのか」が伝わりにくく不満につながることもあるので、待機画面の見せ方は意外と重要なポイントになります。
 

2-3. スキルベースマッチメイキング(SBMM)

スキルベースマッチメイキング(SBMM:Skill Based Match Making)は、プレイヤーの実力(スキル値)が近い者同士を優先的に組み合わせる方式です。キューベース型と組み合わせて使われることが多く、近年の対戦ゲームでは主流になっています。
 
ポイントは、画面に表示されている「現在のランク」ではなく、システムが内部で把握している「実際の実力」を基準にしている点です。ランクはプレイヤーに見せるための指標であり、マッチメイキングの内部では別の数値が使われているケースも珍しくありません。
 
たとえば『フォートナイト』では、表示されているランクではなく実力をもとにマッチングが行われると公式に説明されています。さらに実力が低いプレイヤーほどボットと遭遇しやすい仕組みが用意されており、始めたばかりの人でも勝つ経験を積みながら上達できるよう配慮されています。
 
SBMMは初心者を守る仕組みである一方、実力が上がるほど毎試合が真剣勝負になるため、「気軽に遊べなくなった」と感じるプレイヤーもいます。どこまで実力を揃えるかは、ゲームの性格に合わせた調整が必要な部分です。
 

3. マッチメイキングを決める主な要素

マッチメイキングは、実力だけを見て相手を決めているわけではありません。この項目では、組み合わせを判断するときに使われる代表的な要素を紹介します。
 

3-1. レーティング・MMR

マッチメイキングの中心になるのが、プレイヤーの実力を数値化する仕組みです。この数値は一般的にMMR(Matchmaking Rating)と呼ばれます。
 
MMRは対戦の勝敗によって上下し、近い数値を持つプレイヤー同士が組み合わされやすくなります。単純な仕組みに見えますが、実際には「格上に勝ったときは大きく上がり、格下に勝ってもあまり上がらない」といった調整が加えられているのが一般的です。
 
また、MMRは公開されないことも多く、表示されるランクとは別に管理されています。ランクは目標として楽しんでもらう指標、MMRは公平な試合を組むための内部データという位置付けです。
 

3-1-1. 代表的な算出方式の例

実力を数値化する考え方には、古くから使われてきた方式があります。ここでは代表的な2つを簡単に紹介します。
 
・Eloレーティング
チェスなどで使われてきた古典的な方式です。対戦前の数値差から勝率を予測し、その予測とのズレに応じて数値を増減させます。
 
・Glickoレーティング
Eloを拡張した方式です。対戦頻度なども踏まえて数値の信頼度を扱い、しばらく対戦していないプレイヤーの数値は不確かなものとして考えます。
 
実際のゲームでは、これらをそのまま使うのではなく、ジャンルや人数規模に合わせて改良した仕組みが用いられます。あくまで考え方の例として押さえておくとよいでしょう。
 

3-2. 通信環境・地域(リージョン)

実力と並んで重視されるのが、通信環境です。ここで使われるのがping値(応答速度)で、この数値が近いプレイヤー同士を優先して組み合わせることで、遅延の影響を抑えられます。
 
多くのオンラインゲームでは世界をいくつかの地域(リージョン)に分けてサーバーを配置しており、自分に近いリージョンに接続することで遅延の少ない環境で遊べます。
 
そのためリージョン設定を変えると、マッチする相手の地域も変わります。海外のリージョンを選べば普段は当たらない相手と対戦できますが、その分だけ遅延は大きくなりやすい関係にあります。
 

3-3. 待機時間とのバランス

ここまで紹介した条件は、細かく設定するほど「理想的な組み合わせ」に近づきます。しかし条件を厳しくしすぎると、その条件に当てはまる相手がなかなか見つからず、待ち時間が伸びてしまいます。
 
実力も地域も言語も揃った相手を探そうとすれば候補は一気に減り、とくに深夜帯やリリースから時間が経ったタイトルでは影響が大きくなります。
 
そこで多くのゲームでは、「時間が経つほど条件を緩和する」仕組みを取り入れています。最初の数十秒は実力の近い相手だけを探し、見つからなければ徐々に許容範囲を広げていく考え方です。公平性と快適さのどちらを優先するかを、時間の経過で切り替えているわけです。
 

4. マッチメイキングでよくある課題

マッチメイキングは、うまく機能しているときほど意識されない仕組みです。裏を返せば、問題が起きたときに一気に不満が集まる部分でもあります。ここでは代表的な課題を3つ挙げます。
 
1つ目は待ち時間の問題です。プレイヤー人口が少ない時間帯や、特定のモードに人が集まらない場合、条件に合う相手が見つからず待機が長引きます。待たされた末に実力差の大きい試合になれば、不満はさらに大きくなります。
 
2つ目はスキル差の問題で、なかでも「スマーフ」と呼ばれる行為が挙げられます。上級者が新しいアカウントを作り、初心者向けの帯域で対戦する行為のことです。システム上は実力の近い者を組み合わせているつもりでも、実際には一方的な試合になり、初心者の体験を損ねてしまいます。
 
3つ目は大規模アクセス時の安定性です。想定を超えるプレイヤーが一斉に接続すると処理が追いつかず、待機列が伸びたり応答が遅くなったりします。1日1万人を想定した仕組みが、話題になって50万人が押し寄せた途端に耐えられなくなるのは、オンラインゲームでよくある話です。
 
こうした事態を防ぐため、近年は処理を1か所に集中させず複数のサーバーで分担する設計が重視されています。マッチメイキングはゲーム性の問題であると同時に、技術的な課題でもあるのです。
 

5. マッチメイキングを支える開発の仕事

最後に、マッチメイキングがどのような職種によって支えられているのかを紹介します。
 

5-1. マッチメイキングの設計・実装に関わる職種

マッチメイキングの設計・運用を中心となって担うのは、サーバーサイドエンジニアやネットワークエンジニアです。プレイヤーの待機情報を管理し、条件に合う組み合わせを計算し、決まった試合をゲームサーバーへ割り当てるまでの流れをつくります。
 
求められるのは、大規模なアクセスに耐えられる仕組みづくりや、レイテンシ(遅延)を抑える工夫です。プレイヤー数が急増しても処理が滞らないよう設計したり、障害が起きても全体が止まらないよう分散させたりと、扱う範囲の広い領域といえます。
 
もちろんエンジニアだけで完結する仕事ではありません。どこまで実力を揃えるか、待ち時間の上限をどこに置くかといった方針はゲームデザインの領域であり、プランナーやディレクターと相談しながら決めていきます。
 

5-2. マッチメイキング設計で意識される視点

マッチメイキングの設計では、「公平性」「速さ」「安定性」の3つをどう両立させるかが腕の見せどころです。
 
この3つは、片方を追求すると片方が犠牲になる関係にあります。公平性を高めようと条件を絞れば速さが失われ、速さを優先すれば実力差のある試合が増えます。どこで折り合いをつけるかに、そのゲームの考え方が表れます。
 
また、最適な設計はゲームジャンルやプレイ人数の規模によって変わります。数十人が参加するバトルロイヤルと1対1の格闘ゲームでは、揃えるべき条件も許容できる待ち時間もまったく違うからです。正解が1つではないぶん、腕の差が出やすい領域だといえるでしょう。
 

6. まとめ

マッチメイキングの意味や目的、主な方式、組み合わせを決める要素、そして開発の現場で向き合う課題について解説しました。
 
マッチメイキングはプレイヤーからは見えにくい仕組みですが、対戦の楽しさや待ち時間の快適さを大きく左右する要素です。公平性と速さ、安定性のバランスの取り方によって、同じジャンルでも遊び心地は変わってきます。
 
普段遊んでいるゲームがどの方式を採用し、どんな条件で相手を選んでいるのかを意識してみると、これまでとは違った角度からゲームを楽しめるはずです。ゲーム業界を目指す人は、こうした裏側の仕組みにもぜひ目を向けてみてください。
 

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