モンスターストライクはなぜ選ばれ続ける?継続的なマネタイズを作る構成要素とは


2020年にユーザー数5,300万人を突破したひっぱりハンティングRPG・モンスターストライク(以下モンスト)。

 

リリース当時はパズル&ドラゴン一強であったスマホゲーム市場に鳴り物入りで登場し、

本格スマホアプリゲームとして今や押しも押されもせぬポジションを確立しました。

群雄割拠のアプリゲーム市場で継続的にユーザーを増やし続け、成長し続けるゲームタイトルはとても貴重な存在です。

その軌跡の中で打って来た施策や、その裏にあるゲームとしての本質的な面白さを分解することで継続的なマネタイズに求められるゲームの必要な要素が見えてきます。

 

これを電話で?という衝撃

サービスリリースの2013年当時、アプリゲーム市場のトレンドはまだまだガラケー時代からの流れを組む、いわばガラケーソシャゲ直系のゲームが市場の大多数を占めていました。

これにはスマホのOSの都合上、まだ今の様なリッチな表現が実現できなかった事や、携帯端末で遊ぶ体験が発展途上であった背景があります。

したがって2Dで描かれるキャラクターがターン制で動く様なアプリゲームが多く、インタラクティブなものよりもページ遷移の様なUXがほとんどでした。

 

こうした状況下で、スマホのポテンシャルをフルに活用したリッチな表現力と、シンプルなルールで直感的操作の気持ちよさを狙うマーケットが生まれます。

そして、これらを持ち合わせたモンストのゲーム体験は徐々に市民権を得ていきました。

今日のリッチなスマホアプリゲームの始祖はパズル&ドラゴン、モンスターストライクであると言っても過言ではありません。

 

下地があるから打てる挑戦的な広告

ゲームの面白さに直結する要素で話題になれるタイトルは地力が強く、挑戦的な広告やトリッキーな販促を追い風にすることができます。

モンストの飛躍には前述したゲーム本来の面白さが後ろ盾になっていますが、それをより広く周知する為のマーケティング設計も抜かりがありませんでした。

 

3周年ではダチョウ倶楽部の上島竜兵氏を使った「モンスト絶対やるなよ!」という広告が話題となりました。

これはお笑いの「フリ」と呼ばれる技法をゲーム広告のクリエイティブとして使う事による話題性と、「プレイを促す為の広告でその逆な訴求をする」という突飛さが話題でした。

4周年では江頭2:50氏をキャンペーンキャラクターとして起用。

「モンスト?知るかよ!」というコピーの元、ゲームのタイトルロゴやゲーム内アイコン、を破壊し、マスコットキャラクターをぶっ飛ばす強烈なCMで業界を震撼させました。

さらに、広告クリエイティブだけではなくゲーム内にも特定の条件下で江頭2:50が登場するといったサプライズも用意されていました。

5周年では方向性が変わり、タモリ氏ときゃりーぱみゅぱみゅ氏をキャスティングした、音楽番組風のインタビューと共にキャッチーなコピーを言い続ける演出も記憶に新しいところです。

 

ゲームに限らず「良い物だったら売れる」という法則は幻想に過ぎません。

良い物であることは当然のこととして、いかに周知させるか、「良い物」を「選ばれる物」とするか。

そのきっかけとしてトリッキーな表現を用いた広告を戦略的に打てるのは、その背景に話題性に負けない、ゲーム自体の実力があるからに他なりません。

 

話題性作り

IPコラボ

話題性作りという点では他IPとのコラボレーションイベントも特徴的です。

2014年では「ゴジラ」、「モンスターハンター」、「寄生獣」の3タイトルでしたが、2015年には「タートルズ」、「ドラえもん」、「エヴァンゲリオン」等の6タイトルに。

さらに次の年からは「幽遊白書」、「ウルトラマン」、「ツムツム」を含む7タイトルで、特撮・ゲーム・漫画・映画をモチーフとした他ジャンルのコラボを意欲的に行っています。

年を追うごとにIPコラボイベントが増えているのは、それだけIP元もモンスト自体も美味しいタイアップ案件であることは想像に難くありません。

 

これまでのゲームでは、一時的に他IPとのタイアップ広告などはありましたが、モンストの様にゲーム内キャラクターとしてのコラボは当時あまり例がありませんでした。

モンストのIPコラボで特徴的なのは、コラボ元のキャラクターをイメージしたゲーム内プレイアブルキャラクターとして実装されている点です。

原作で使用している技や名セリフ、演出などがゲームにシステムとして落とし込まれていることがただの客寄せパンダに終わらず、継続的にファンから受け入れられている利点です。

 

言うに及ばずIPコラボではそのIP自体が元々好きなファンを新規プレイヤーとしてアプリに囲いこむことができ、また獲得したキャラを使うことがゲームのログイン動機になります。

こうしたIPを使ったキャッチーなCMはゲームを知らない層にも話題になりやすく、SNSを通じた効率的な拡散により、通常の広告よりも深くリーチすることができます。

 

YouTube配信

モンストは公式YouTubeチャンネルを複数運営しており、新情報の発表やアニメ配信を行っています。
チャンネルは“モンスト(モンスターストライク)公式”と“モンストアニメTV”の2つとなっています。

“モンスト公式”では、1週間に1度“モンストニュース”でアプリの新情報を紹介している他、速報的な情報発表やTV-CM、ゲーム実況、イベント中継などさまざまな配信を行っており、チャンネル登録者数は110万人に達しています。
新登場するキャラクターやコラボレーションのイベント情報が明らかになる“モンストニュース”は特に人気が高く、視聴回数が50万以上となることがほとんどです。

 

“モンストアニメTV”はアニメ版モンスターストライクの他、激情版のPVやオンライン試写会、音楽をテーマにしたスピンオフプロジェクト“モンソニ!”のMVなども配信しており、こちらのチャンネル登録者数は67.8万人となっています。
アニメは1話を約7分に凝縮した内容で、日本語版を含む11言語対応での配信となっています。
好きな時にアニメを楽しめるだけでなく、コメント欄などで感想を共有し合うこともできることから人気を博しており、多くの動画が100万再生以上となっています。

 

ゲームの前にコミュニケーションツールであること

モンストが他のアプリゲームと一線を画す存在であるのはゲームでありながら本質的な価値はコミュニケーションツールである、という点を強く意識した設計である所です。

 

以下は4Gamer.netにおける事業本部長のインタビューからの抜粋です。

「「モンスト」はただのゲームではなく,友人など身近な人たちとのコミュニケーションを活性化するためのツールが,たまたまゲームだったと認識しているんです。(中略)人と人との交流やコミュニケーションを生み出せる,そうした設計ができるプランナーが運営に携わっているので,(中略)ただのゲームでは終わらず,長く遊んでいただいているのかもしれません。」※1

 

内容から明らかな様に、元々運営元であったmixi社の主戦場である、SNS運営に関わるノウハウが遺憾無く発揮されていることが分かります。

コミュニケーションツールがゲームという形をしていた、という逆転の発想は、ゲーム会社が開発していたら発想として存在しなかったことでしょう。

 

まとめ

こうしたコミュニケーションを中心とした設計を元に、コンシューマーの興味関心事と親和性が高いIPとのコラボレーションキャンペーンを戦略的に展開。

そして周年記念ごとのキャッチーな広告による新規客へのアプローチといった飛び道具の数々をリリースしました。

これらはいずれもスマートフォンのインタラクションを存分に使った設計の数々で、ゲームとしての妥協なき面白さに裏打ちされたものでした。

こういった要素の積み上げが7周年を迎えるユーザー数5,300万人ものビッグタイトルを形成していることでしょう。

 

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※1「モンスト」が6周年を経てもなお目指してる価値とは――事業本部本部長の根本悠子氏に聞いてみた

https://www.4gamer.net/games/236/G023612/20191029074/

 

ライター名:ビットリズム

プロフィール:国産ゲームで産湯を使ったロムネイティブなゲームエバンジェリスト。QOL向上に必要なのはワーク・ライフ・ゲームバランスだと信じている。

 

「モンスターストライク」公式サイト

https://www.monster-strike.com/

「モンスターストライク」ストアページ

App Store:https://itunes.apple.com/jp/app/monsutasutoraiku/id658511662

Google Play:https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.mixi.monsterstrike

 

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