「はむころりん」に学ぶゲームを一人で作る方法
ゲーム制作は、ゲームエンジンの登場により身近になっただけでなく、スマホが登場したことによって、自作ゲームを公開する機会も増えています。
また、アプリストアで誰でも簡単にゲームをリリースできるのも良い刺激となっていますが、ネット上で開催される個人発表会も、インディーズゲームを賑わせる重要なコミュニティになっています。
今回紹介する「はむころりん」もそんなネット上の発表会から始まり、プログラムからデザイン、BGMまでのほぼ全てを一人で完成させてしまった、ハイクオリティなゲームです。
目次
Unityベースで作られる「はむころりん」
現在、スマホ用に無料で公開されている本ゲームの、まずは概要と誕生のきっかけから見ていきましょう。
「はむころりん」の概要
本ゲームはその名の通り、球状のハムスターを転がしながらゴールを目指すという3Dゲームです。
道中には様々なアイテムやギミックがあり、ハムスターをゴルフ形式で前進させていきます。
シンプルなゲーム性で、誰でもカジュアルに遊べるのがポイントです。
プラットフォームはiOSとAndroidに対応しており、無料で誰でもダウンロードできるのも嬉しいゲームとなっています。
きっかけはゲームジャムイベント
ビジュアルからゲームシステム、そしてボリュームのあるやり込み性から、とても無料で遊べるものとは思えないほどの完成度を誇る「はむころりん」。
その誕生は、Unityのゲームジャムイベント、「Unity1Week」にありました。
Unity1Weekは、開催時に出題されるお題に則り、その名の通り1週間でゲームを作るというイベントです。
クオリティに関しての規定などはなく、遊べるレベルのものが完成すれば誰でも出品し、unityroomに公開できるというカジュアルなイベントです。
公式サイト:https://unityroom.com/unity1weeks
本ゲームのオリジナルは、Unity1weekの「転がる」というテーマで開催された時に制作されたものでした。
リリースに際してはこの時提出したものを再構築し、より完成度を高めるために肉付けなどが行われたのです。
「はむころりん」の制作過程
インディーズゲームとしては完成度の高い本ゲームは、嬉しいことにUnityのブログでその制作過程が公開されています。
Webで公開中の「『はむころりん』ができるまで」
詳しい設計などについては、Unityの公式ブログで閲覧することができます。
https://madewithunity.jp/stories/hamcorollin/
本ゲームは、そもそもUnity1weekの時点でかなりのポテンシャルが期待されていたようで、1週間という制作期間では実装しきれなかったものなども加えてのリリースだったようです。
詳しい内容については上記のリンクから読んでもらうと良いのですが、「誰でも遊べて冒険できるゲーム」など、コンセプト設計の話もしっかりと書かれているため、これからゲームを作りたいと考えているビギナーにとっても必読の記事になっています。
プログラムから楽曲制作まで全てを一人で手がける
このゲームの特筆すべき点としては、ゲームの完成度のみならずこれをほぼ一人で完成させてしまっている点も挙げられます。
「はむころりん」を開発したのはilluCalabという二人組のゲーム制作チームなのですが、今回はその相方が多忙でリソースを割くことができず、結果的にプログラミングを主に担当するEIKI氏一人で完成までこぎつけたという話がインタビューなどから伺うことができます。
1つのゲームを作るだけでも、そこには様々なタスクが発生します。
ゲームを動かすためのプログラミングはもちろんのこと、ゲームの世界観を表すためのグラフィックデザインや、ゲームをより面白くするためのレベルデザイン、さらにはより立体感をもたらすための音楽制作など、業務は多岐に渡ります。
そしてそれぞれに別個のスキルが求められるわけですが、EIKI氏は今回これらの作業を全て個人でこなしたということで、そのスキルが特に注目されているというわけです。
先のブログではそれぞれの工程でどのような作業やアプローチを検討したかについても詳細に書かれているので、ゲームクリエイターを志す人は参考にすると良いでしょう。
ゲームを一人で作るのに必要なこと
いわゆる大作ゲームは、映画のように複数の人間が役割分担をしながら作られていきます。
しかしスマホゲームのように小さな作品であれば、一人でも十分にプレイヤーを満足させるようなゲームが作れるということを、「はむころりん」は証明してくれています。
ゲーム制作に必要なのはやる気。次点でスキル
本ゲームは一人で作り上げた作品ですが、何か特別に優れた技術が仕込まれているわけではありません。
EIKI氏はプログラミングをメインとして活動しているクリエイターですが、ゲーム作りに携わる人ならゲーム作りがマルチタスクとなることはザラですし、むしろ好きなゲームを作ろうとすると自然とやることが多岐に渡っていくものです。
そのためゲームを作る上でまず大切にしたいのが、計画性とやる気です。
なんとなく面白そうなアイデアが閃いたら、上のブログを参考にしながらコンセプトを決定し、デザインなどのプランも明確にさせ、積み木を組み立てていくモチベーションを持って行動することが大切になります。
資格の取得ではなく、ゲームを「完成させること」に時間を使おう
ゲーム作りはモチベーションが高いうちこそ楽しいかもしれませんが、完成までは時間を要することも珍しくありません。
そのためまずはある程度のゴールを明確にし、ひとまず「ゲームを完成させる」ことが大切です。
一度遊べるものができてしまえば、グラフィックや音楽はプロトタイプでも、モチベーションをリセットさせてクオリティの向上に努めていくことができます。
そしてゲームは作れば作るほど、実践の中でそのスキルは自然と伸びていきます。
作ったゲームは、完成させてしまえばそれが「実績」にもつながるため、技能検定などを取得するよりもよっぽど実用的なスキルとして認められることでしょう。
終わりに
個人でのゲーム制作は多くの時間と技能を要する活動ですが、それだけに完成させることの意味は大きいものです。
まずはUnity1weekへの提出を目指してみるなど、達成できそうな目標を立てながら実績を積み重ねるトレーニングを積み重ねていきましょう。
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ライター名:Satoru Yoshimura
プロフィール:ライター。20年以上の付き合いがあるビデオゲームとアメリカ音楽をテーマとした活動が中心。「日本のゲーム音楽がヒップホップに与えた影響」などブログで公開中。
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