ゲームの作り方は現場で学ぶ。『GIGAFALL』
ゲームクリエイターは誰もが憧れる職業ですが、何もクリエイターの肩書きがなければゲームを作って売ってはいけないわけではありません。
『GIGAFALL(ギガフォール)』は未だ未完成の作品ですが、しっかりとApp Storeでリリースされているだけでなく、そこそこの注目を集める話題作になりつつあります。
目次
学生が一人で作る『GIGAFALL』
『GIGAFALL』はまさに典型的なインディーズ作品ですが、そこに多くの魅力が隠されているところは見逃せないポイントです。
懐かしのアーケードシューティング風ゲーム
『GIGAFALL』は昔懐かしいドット絵で展開される、いわゆるSFシューティングゲームの一種です。
地球を守るため、宇宙から迫り来る隕石の数々を衛生砲を使って撃墜していくというのが大まかなゲームの流れです*1。
いわゆる2Dや3Dのスクロールアクションとは異なり、隕石を撃墜するのは地球そのものから発せられる巨大なレーザー砲です。
地球の回転に合わせて隕石を撃墜する必要があるため、一度外してしまうだけで大きな命取りとなってしまう駆け引きがあります。
弾幕をがむしゃらに張って敵を近づけさせないというよりも、一発必中の正確性が求められるシューティングとなっており、なかなかに神経を消耗してしまう、手に汗握るゲームとなっています。
SFものといえば2Dスクロールシューティングですが、この作品はどちらかといえばタワーディフェンス的な緊張感があるとも言えるでしょう。
無料ながらボリュームは豊富
さらに、『GIGAFALL』にはひたすらに隕石を撃墜してハイスコアを目指す「サバイバルモード」だけでなく、きちんと設定された物語に沿ってゲームが展開していく「ストーリーモード」の2つが用意されています。
単にハイスコアを目指すだけではすぐに飽きが来てしまうものですが、シューティングゲームらしく、「ゲームクリア」が存在するストーリーモードを備えているのは嬉しいところです。
ストーリーモードはわざわざシナリオを書き下ろしたりと、ゲームの設計以外のところで工数を奪われてしまうため、最近のスマホゲームの多くは『GIGAFALL』で言うサバイバルモードに焦点を絞ったものも見かけます。
一方で『GIGAFALL』のしっかりとストーリーモードを作ってからリリースまで持っていっている点は、高く評価されてしかるべきでしょう。
2Dシューティング全盛期の作品の多くは、むしろストーリーモードをこなす中で、どれだけエンディングまでにハイスコアを狙えるかという遊び方が流行りましたが、『GIGAFALL』はそういった黄金時代の名残を継承している作品でもあります。
シンプルだが、少し物足りない側面も
誰でも遊べる『GIGAFALL』ですが、一方でインディーズならではの課題も見え隠れします。
狙って撃つだけのカンタン操作
『GIGAFALL』は確かに狙って撃つだけで遊べてしまうシューティングゲームで、シンプルさ故の駆け引きを楽しめる側面もあるのですが、逆を言えばそれだけで終わってしまう物足りなさもあると言えます。
今や3Dでリッチなグラフィックや演出を楽しめるようになった時代ですから、ドット絵だけでプレイヤーに飽きない満足感や爽快感を与え続けるのは難しいものです。
確かにレーザーが派手になったり爆発演出が豪華ということはあるのですが、延々と遊ぶには少し現代人にとっては物足りないことも多いように感じるのが、このゲームの唯一の弱点とも捉えられるでしょう。
実はまだベータ版
また、このゲームは完全な製品版ではなく、一応はベータ版という試作段階のくくりになります。
そのため今は予測してないバグが発生したり、フリーズして強制終了という事態も十分に見込めるため、安心して遊ぶためにはもう少し時間を要するかもしれません。
とは言えゲームプレイそのものに関しては申し分のないクオリティとなっており、その上容量も軽いため、気軽にダウンロードしてプレイしてみることができるという利点を備えています。
インディーズゲームにとって、とりあえずダウンロードしてもらうというハードルの低さは、知名度がない分非常に重要です。
裏を読めば、気軽にダウンロードしてもらうためにこのようなシンプルなゲームに仕上がっているとも言えるでしょう。
ゲームを作りながら運営していくために
未完成の作品をリリースするというのは少し気が引けますが、『GIGAFALL』はゲーム制作における大切なことを伝えてくれる作品でもあります。
まずは根幹のゲームシステムを作り上げる
『GIGAFALL』はベータ版とは言え、ゲームプレイングには基本的に支障はないレベルにまで仕上がっているのが特徴です。
ストーリーモードとサバイバルモードの両方を備え、ボリュームとしては申し分ないため、その完成度は十二分になっているとも言えるでしょう。
ただ、これでベータ版と発表しているということは、制作者にとって満足がいかない部分もあるということを意味しています。
ここから学ぶべきは、例え自分では満足していなくとも、ある程度遊べる段階に達しているなと感じたら、オフィシャルにリリースしてしまっても問題はないということです。
クリエイターたるもの完璧を目指したいという気持ちはわかりますが、いつまでも重箱の隅をつついたり短期間で実現が難しい工程に囚われていては、制作そのもののモチベーションにも関わります。
まずは自分でもある程度満足でき、ゲームの面白さが十分に伝わる段階に達したら、兎にも角にもリリースしてみることの大切さを、このゲームは伝えてくれていると言えるでしょう。
細かい修正点はアップデートで対応
スマホゲームの良いところは、例え不完全な状態でリリースしたり、あとからバグが見つかったとしても、アップデート対応で気軽にバグを修正したり、新しい機能を追加したりすることができるという点です。
アーケードゲーム全盛期の時代とは違い、今は不完全でも多くの人に遊んでもらい、次から次へとアップデートを重ねることで、より高い完成度を求めることができます。
ユーザーのレビューを見ながらゲームを改善していくということも可能なため、非常にインタラクティブなゲーム開発も可能になるでしょう。
おわりに
ゲームは自分で満足がいくまで作り込めるのも楽しいですが、多くの人にまずは遊んでもらうということも大切です。
一人でも多くの人に遊んでもらうことができれば、自分では想像もつかなかった機能や、新しい改善点も見つかっていくものです。
逆に自分が気にしていていた改善点が、思っていたよりも悪い評価につながっていなかったということも期待できるため、まずはある程度の形まで仕上がれば、勇気を出してリリースしてみるのも良いでしょう。
併せて読みたい記事
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→『FAR:Lone Sails』に見る、何もしなくても面白いゲームを作る方法
→病みつきになるゲームはどう作る?プランナーが参考にしたい『Cell to Singularity』のほどよい中毒性
出典:
*1 ゲームキャスト「露骨に強調された破壊演出が最高。隕石を狙い撃つシューティング『GIGAFALL』レビュー」
http://www.gamecast-blog.com/archives/65953740.html
ライター名:Satoru Yoshimura
プロフィール:ライター。20年以上の付き合いがあるビデオゲームとアメリカ音楽をテーマとした活動が中心。「日本のゲーム音楽がヒップホップに与えた影響」などブログで公開中。
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