リングフィットアドベンチャーの凄さと健康ゲームの今後について
大人気になるのも納得のクオリティを持つリングフィットアドベンチャー。
本稿では体感ゲームと健康系ゲームの今後について紐解いていきます。
運動嫌いでも遊んでしまう凄さ
リングフィットアドベンチャーのプレイ感については既にYouTubeを中心に無数の感想がアップされており、特に改めて付け加えるところはありません。
言葉を尽くして面白さを語るより、実際にYouTuberがふうふう言いながらプレイしているのを見た方がこのゲームのプレイ感が伝わるはずです。
私自身も1日15分位楽勝だろうと思ってプレイしたら2日後に全身筋肉痛になりましたし、YouTuberが過剰演技でないことは間違いありません。
それと同時に超高度なノウハウ満載で考えつくされたシステムだと実感しました。
ここですごく大事なのは、全身筋肉痛になるほど筋トレで追い込むのは、本来かなりモチベーションが高くないとできませんが、リングフィットアドベンチャーはゲーム性を盛り込むことで、遊んでいるだけで気づくと達成できてしまうという点です。
筋トレや健康維持を目的とした運動は、本質的にはやりたくない活動であって、できればつらい運動をしないで健康や筋肉が欲しいと思う人が多いはずです。
リングフィットアドベンチャーにはそのイヤイヤ感やめんどくさい感をゲーム性で突破し、トレーニングを続けさせるパワーを持っています。
これは昔からゲームを作ってきた任天堂だからこそ可能なノウハウの結晶です。
スクワットが楽しいなんて!これまでありえないことです。
10年以上スポーツジムに通っても風呂会員のまま運動の習慣が身につかなかった私が運動するようになったのですから、リングフィットアドベンチャーは名作です。
※風呂会員:スポーツジムに登録しているにもかかわらず一切運動せず、風呂だけ利用する会員。
センサーの感度が凄い
Nintendo Switch のJoy-Con(コントローラーの名称 以下ジョイコン)はかなり高性能で、太ももに巻きつけたバンドのポケットに入れておくだけで、スクワットの深さがたりないだとか、足の角度が悪いといった細かい姿勢の変化を読み取ってくれます。
しかもトレーニングでどこに力がかかっているべきか?という細かい体の力の入れ具合を振動波で教えてくれます。
これは「筋トレの時は力を入れる箇所に集中する」という教えをテクノロジーがサポートしているのです。
おそらくジョイコンに搭載されているモーションIRカメラの情報をフィードバックしているのだと思いますが、びっくりするほど高度なコントロールだと思います。
そして、クリエイターがやりたかったことに、技術が追いついたように感じます。
太ももとリングの2箇所だけでもこれだけの精度があるのですから、両手両足にジョイコンを付ければ全身トラッキングに対応したゲームだって作れるのではないでしょうか?
もし実現したら、座って遊ぶというビデオゲームのイメージを激変させてしまうものが生まれるはずです。
またジョイコンを装着するだけなので、オキュラスの全身トラッキングセンサーのように、センサーを受ける角度の調整は不要であり低価格で再現できることは画期的なことです。
任天堂と体感ゲーム
そもそも任天堂はファミコン時代からゲーマーを運動させたり、デジタルとアナログを繋ぐのに熱心なメーカーでした。
1984年の時点で光線銃を使ったワイルドガンマン、1986年にはバンダイから発売されたセンサー付きのマットを使ったファミリートレーナーがあります。
スーパーファミコン以降の時代でも、釣りゲーム用のリール型コントローラーなど様々な拡張機器を発売していますし、さらに2006年にセンサーが内臓されたリモコン(コントローラー)付のハードであるWiiがリリースされてから一気に健康志向が強くなりました。
また、Wii Fit や Wii Sports の発売に続いて、22年ぶりに発売されたファミリートレーナーは、当時驚きをもって迎えられました。
この系譜を踏まえた上でジョイコンが発売されたと考えれば、ジョイコンにHD振動機能だけでなくモーションIRカメラで脈拍を読み取る機能を標準装備している点に、任天堂の体感・健康ゲームへの意気込みが感じられます。
リングフィットアドベンチャーは突然登場したわけではなく、過去数十年の積み重ねの上に生まれた必然なのです。
健康ゲームはこれから増えていく
任天堂に限らず多くのメーカーがゲームに体感要素を付け加えようとする試みをしてきましたが、ゲームパッドの接点を別のデバイスに移し替えただけの拡張機器が主流でした。
そのためデバイスの新奇性で話題を集めたとしても、結局は本質的にどれも代り映えがないモノでした。
しかし今後は技術の進歩により、想像できなかったような機能が追加できるようになるでしょう。
特に位置のセッティング無しで高度なトラッキングができるモーションIRカメラを、VRヘッドセットと組み合わせれば相当のことができます。
そして人口的にもボリュームゾーンにあるゲーマーの加齢もあり、フィードバック機能を生かした健康系ゲームは確実に増えていくでしょう。
ライフログ系のガジェットと連携すれば、個人の体調や生活スタイルに合わせたトレーニングを提案でき、そこから得られる個人情報をビッグデータとして蓄えれば相当な経営資源になるかもしれません。
他にも、もしリングフィットアドベンチャーにこういった機能が搭載されたら…とか、1日の徒歩数2000歩未満だったらスクワット多めのコースになる…とか、色々と妄想は膨らみます。
以前は脳トレなど、ゲームで頭脳をトレーニングするのが人気でしたが、今後はゲームで体をトレーニングするのが人気になるのではないでしょうか。
リングフィットアドベンチャーが品切れ状態になるほどウケたのは、ゲームで健康ブームの前触れかもしれません。
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ライター名:レトロ
プロフィール:雑記ライター。オタクジャンルからマーケティング、宗教を含む幅広い分野にわたる仕事内容と多趣味が高じてライティング業界に参入。SNSやブログ、YouTubeチャンネルでも活動中。
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