『Pascal’s Wager』に学ぶ、ゲームデザイナーが注目すべき「挑戦」の作り方


今、スマホゲーム界隈ではポップでサクサク遊べるシンプルな作品が注目を集める中、それとは真逆の方向性でエンターテイメントを提供するのが『Pascal’s Wager』です。

 

アクションRPG『Pascal’s Wager』の見どころ

このゲームは一般的なスマホゲーとは違い、重厚なプレイと重苦しい世界観が漂う、コアゲーマー向きの作品となっています。

公式サイト:https://pw.giant.games/

 

ダークな世界観を堪能できるアクションRPG

スマホゲームの歴史は、スマートフォンの性能の進化とともに紡がれていると言っても過言ではありません。

 

iPhone11の紹介とともに、新世代機のスペックを最大限に活かすゲームとして同時に発表されたのが、この『Pascal’s Wager』です*1。

 

太陽が昇らなくなった世界で、闇に生きるモンスターを倒していくというこのゲームでは、陽の光を一切感じさせない、ダークで鬱屈した世界観に満ち満ちています。

 

このゲームではそんなダークな世界を、3Dグラフィックでハイエンドに表現しきっているのが特徴です。

 

従来のスマホゲームでは考えられないほど美しいビジュアルで、闇深い世界を描き出しており、ストーリーで世界観を補完せずとも理解できるほど、プレイヤーが生き抜かなければいけない世界の様子がグラフィックのみで伝わるようになっています。

 

キャラデザインや世界の美麗さ、そしてエフェクトや音響など、あらゆる方面においてハイエンドに作り込まれたこの作品は、スマホゲームのポテンシャルを理解する上でもプレイする価値のある一本です。

 

難易度は高く、ゲームオーバーは必至

そして、そんな暗い世界で生きることの難しさを伝えるかのように、骨太な難易度のプレイングが求められる点も注目です。

 

スマホゲームはスクリーンの都合上、ボタン配置を細かく行うことができず、どうしても操作が単調になってしまうケースが散見されますが、最低限のボタン配置でありながら、多様なアクションを体験できるゲームにもなっています。

 

そしてその操作性の高さをフル活用できるよう、ゲーム進行の難易度も比較的高めに設定されています。

単に攻撃ボタンをタップしているだけではクリアは難しく、タクティカルなプレイングと、相手の動きを見極める冷静さが求められるのが、面白いところです。

 

単純操作と爽快感がスマホゲーの主流ですが、コアゲーマーも満足させる歯ごたえを持ったゲームなら、『Pascal’s Wager』はぜひ進めたい一本となっています。

 

人気上昇中の「ダークソウル系」

『Pascal’s Wager』は、大人気アクションゲームの『ダークソウル』と比較して紹介されることもあるゲームです。

 

古典的なゲームの面白さを再確認させた『ダークソウル』

ダークソウルは家庭用ゲーム向けにリリースされた、国産のアクションRPGですが、その前身作である『デモンズソウル』とともに、まるで海外ゲームのような暗く重苦しい世界観と、あまりにハードすぎる難易度で、国内外から高い評価を受けたゲームです。

 

ダークソウル公式サイト:https://www.darksouls.jp/

 

居心地の悪い世界観と、何度プレイしても倒せない強敵に囲まれるという圧倒的な負荷がかかるのは、このゲームでしか味わえない絶望感でもありました。

 

ゲーマーが求める「やりがい」を刺激

そんなストレスの大きなゲームが世界中で評価されたのは、何よりもゲームクリアの達成感の大きさがあったからに他ならないでしょう。

 

ゲームプレイングのストレスが大きいほど、それを成し遂げた時の感動もひとしおです。

ダークソウルの優れた点は、この達成感を最大化するために、ゲームのあらゆる部分においてプレイヤーに負荷をかけるための仕掛けが施されている点です。

 

プレイヤーに複雑な操作を強いたり、ステージのいたるところにトラップを仕掛けたり、初見では倒しかたがわからない敵や、攻略不可能な敵に容易に遭遇できてしまったりは当たり前です。

 

さらに、ステージは死体の山が連なる場所や、カビ臭い洞窟、汚水の溜まった下水道など、精神的に不愉快にさせることへ特化した面々となっています。

 

お化け屋敷のように、プレイヤーへの心身の負荷を最大限に高め、クリアした時の感動を爆発的なものとすることで、このゲームの面白さを200%にまで高める体験を作っているのです。

 

なぜ、ほどほどに難しいゲームは評価されるのか

『Pascal’s Wager』のように、ほどほどに難しいゲームが、プレイヤーの心を強く揺さぶるのにはどういった仕掛けがあるのでしょうか。

 

少しずつ正解に近づいていく楽しさ

まず、簡単にはクリアできない、スムーズなプレイが妨げられるというところに、パズルゲームのような心地よさを生み出している点があります。

 

プレイヤーには一筋縄ではいかないトライアンドエラーを強制することで、徐々に世界観に没頭できるよう設計されているのがこのゲームです。

 

ダークソウルもそうですが、この少しずつ攻略に近づいていく感じは、レトロゲーム屋アーケードゲームにも見られたプレイ感です。

一本の作品で長いプレイ時間をかけてもらうための、先人の知恵が生きた設計であるともいえるでしょう。

 

生まれながらのチャレンジ精神を取り戻させてくれる

スマホゲームは手軽にリフレッシュができるという点で優れていると評価されることも多いものですが、このゲームの場合は気軽に熱中できるチャレンジの機会を作ってくれているとも言えます。

 

少年少女時代にゲームや部活に打ち込むことができていたあの頃の青春を、高難易度のゲームにのめり込むことによって、何かに思い切りぶつかっていくというフレッシュな体験を取り戻せるというわけです。

 

子どもの頃ほど、人は何かに集中してしまいやすいと言われますが、ほどほどに難しいチャレンジに『Pascal’s Wager』を通じて遭遇することで、忘れかけていたチャレンジの楽しみを思い出すことができるのではないでしょうか。

 

おわりに

『Pascal’s Wager』はスマホゲームにしては高いクオリティを持ったゲームではありますが、それ以上に「ダークソウル」ライクな作り込みと意匠が込められたゲームです。

 

人が『ダークソウル』や『Pascal’s Wager』のようなゲームに惹かれる理由を改めて考えてみることで、面白いゲームデザインとは何か、につながるヒントが得られるのではないでしょうか。

 

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出典:

*1 ゲームキャスト「AppleがiPhone11とともに紹介した『Pascal’s Wager』がApp Storeでリリース。最新端末の性能を活かす美麗『ダークソウル』系ゲーム」

http://www.gamecast-blog.com/archives/65956350.html

 

ライター名:Satoru Yoshimura

プロフィール:ライター。20年以上の付き合いがあるビデオゲームとアメリカ音楽をテーマとした活動が中心。「日本のゲーム音楽がヒップホップに与えた影響」などブログで公開中。

 

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