MMORPGとMORPGの違いや歴史のハナシ【ゲームジャンル研究部 第3回】

 

さまざまなゲームジャンルの魅力と歴史について、連載形式でひも解いていく“ゲームジャンル研究部”。
第3回では、MORPG(マルチプレイヤー・オンライン・ロールプレイングゲーム)と、MMORPG(マッシブリー・マルチプレイヤー・オンライン・ロールプレイングゲーム)を取り扱います。
この2つのジャンルは、どちらも根幹が“複数プレイヤーが1つの世界で同時にプレイできるRPG”となっているため、2つの違いについて紹介しつつ、その歴史を探ります。

 

なお、“ゲームジャンル研究部”のバックナンバーはこちらから確認できますので、ぜひチェックしてみてくださいね!

 

MORPG、MMORPGというジャンルについて

MORPGとMMORPGの違いはどこに?

MORPGはコンピューターRPGをベースとしたオンラインゲームで、複数のユーザーが1つの世界で同時にプレイできるRPGです。
ロビーでメンバーを募り、数名で組んだパーティーで攻略していくというのがゲームの流れで、ユーザー同士の協力プレイやバージョンアップによる継続的な新規要素の追加が魅力です。
また、クエストクリア、アイテムの収集、ユーザー同士のコミュニケーションなど、ゲームの楽しみ方が幅広いという点も特徴です。

 

 

MMORPGもゲームの流れやその特徴はMORPGとほとんど同じですが、1つのサーバーにおける接続人数が大きく異なります。
定義こそありませんが、MMORPGにおける同時接続人数は数百~数千人が目安とされています。
逆に言えば、同時接続人数以外においてこの2つの間にあまり差異はないため、MMORPGはMORPGの一種と言うこともできます。
なお、“接続人数が多いMMORPGは、実質的にMORPGの上位互換なのでは?”という疑問が浮かびますが、接続人数が少ないということは、その分邪魔されず快適にプレイできるということでもあるため、意見が分かれるところです。

 

“ネトゲ廃人”が多いゲーム?

オンラインゲームへの依存は、“オンラインゲーム依存症”、“ネトゲ廃人”という用語が存在する程度には実例や被害が出ています。
そして、MORPG、MMORPGはオンラインゲームの代表的なジャンルであり、実例として取り上げられることが多いことから“ネトゲ廃人”が多いというイメージがあるかもしれません。
実際のところ、ゲームシステムの都合上“膨大なボリュームによりプレイ時間が増え生活に支障が起きる”、“アイテム課金をやりすぎて金銭トラブルに発展”、“ゲームのコミュニティへの依存やそれによる一般常識の欠落”といった状況に陥る条件がそろっていることは事実です。
しかし、後述する料金体系をはじめとしたMORPG、MMORPGを取り巻く状況の変化や企業・行政の取り組みによって依存症が発生しにくい環境作りは行われているため、“MORPG、MMORPGやっている人はネトゲ廃人”のような過度な恐怖心を持たせるジャンルではなくなったといえるでしょう。

 

MORPGとMMORPGの歴史

1996年~2000年:ほぼ同時にジャンルとして確立したMORPGとMMORPG

MORPGの歴史は、Blizzard Entertainmentが1996年12月31日に発売したPC用ソフト『ディアブロ』から始まります。
本作は、“Battle.net”というブリザード社が運営する無料オンラインサービスによって世界各国の人々とプレイ空間を共有することが可能であり、人気を呼ぶとともに、MORPGの先駆けとなりました。

 

そして、それから約半年後となる1997年7月24日には、エレクトロニック・アーツがPC用ソフト『ウルティマ オンライン』のサービスを開始。
世界中で大ヒットした本作は、ゲームシステムの完成度が高く、初めて成功したMMORPGとなりました。
広大なワールドマップ、スキル制の成長システム、ハウジング、ギルドなど、現在のMMORPGだけでなくさまざまなオンラインゲームに含まれている要素を備えており、以降のオンラインゲームに多大な影響を与えました。
『ウルティマ オンライン』は現在もサービスが続いており、最古のMMORPGにしてもっとも有名なネットゲームの1つといってよいでしょう。

 

2000年12月21日にはセガがドリームキャスト用ソフト『ファンタシースターオンライン』を発売。
本作は、日本で初めて成功した家庭用ゲーム機対応のオンラインゲームであり、第5回日本ゲーム大賞を受賞するほどの人気となり、MORPGの代表作という地位を手に入れました。

 

2001年~2004年:環境の変化による普及の促進

2000年ごろになると、ジャンルの普及速度(特にMMORPG)が増していき、多数のタイトルが誕生していきます。
これは、タイトルの力だけでなく、ユーザーの環境が変わってきたことにも関係があります。

 

MORPG、MMORPG黎明期のインターネット接続は電話回線が主流で、オンラインゲームをプレイした時間に応じて通信費(電話代)がかかる仕組みでした。
そのため、たくさんゲームをプレイしたいユーザーは“テレホーダイ”のような特定の時間帯(深夜帯など)は通信量にかかわらず定額になるサービスなどの活用を迫られるような状態でした。

 

 

MORPG、MMORPGをプレイするには時間や通信費のハードルが高い状況が続いていたのですが、2000年代前半になると、月ごとの定額料金で利用できる“ADSL”のようなサービスが普及します。
サービスの普及によってプレイ時間や通信費といった問題が解消され、ユーザー数は大きく増加していきます。
また、ゲームの料金体系も月額課金が主だったのが、基本料金無料+アイテム課金へとシフトし、ゲームを始めやすい環境が整備されていきました。

 

発表されたタイトルは韓国製のものが比較的多く、『ラグナロクオンライン』(グラビティ/2002年12月1日※日本サービス開始日)、『メイプルストーリー』(ネクソン/2003年12月3日※日本サービス開始日)、『リネージュII』(エヌ・シー・ソフト/2004年6月25日)といったタイトルがやってきました。
一方、日本のタイトルも皆無だった訳ではなく、スクウェア・エニックスが2002年5月16日より、PS2用ソフト『ファイナルファンタジーXI』のサービスを開始。
最盛期には年間売上が数十億円に上るほどの大ヒットタイトルとなりました。

 

2005年~2010年:日本国産タイトルが多数登場

2005年以降になると、多数の国産MMORPGタイトルが誕生するようになります。
スクウェア・エニックスが2006年12月21日よりサービスを開始した『ファンタジーアース ゼロ』は、最大50人VS50人の対人戦闘を主眼に置いたタイトルで、料金体系の変更や2度の運営移管を経て、2019年には13周年を迎えました。
また、『大航海時代Online』(コーエーテクモゲームス/2005年3月16日)、『C21』(サイバーステップ/2006年3月)、『Master of Epic -The ResonanceAge Universe-』(ハドソン/2005年4月1日)といったタイトルも発表され、現在までサービスが続いています。

 

その他、現在ではサービスが終了しているものの、『ドルアーガの塔 ~the Phantom of GILGAMESH~』(ゴンゾロッソ/2008年4月)、『真・女神転生IMAGINE』(ケイブ/2007年4月4日)といった有名シリーズのMMORPGや『エミル・クロニクル・オンライン』(ヘッドロック、ガンホー・オンライン・エンターテイメント、ブロッコリー/2005年12月9日)のようなオリジナルタイトルも誕生しました。

 

MORPGとMMORPGの今

家庭用ゲーム機でも楽しめるように

MORPG、MMORPGはPCで楽しめるタイトルが主でしたが、現在は技術の発展に伴い家庭用ゲーム機で楽しめるタイトルも増えています。
MMORPGのほうが普及しているという印象で、代表的なタイトルとしては『ファイナルファンタジーXIV(FF14)』(スクウェア・エニックス/2013年8月27日※PS3版サービス開始日)、『ファンタシースターオンライン2』(セガ/2013年2月28日※PS Vita版サービス開始日)、『ドラゴンクエストX オンライン』(スクウェア・エニックス/2012年8月2日※ニンテンドー Wii版サービス開始日)が挙げられます。

 

また、プレイできるユーザーの増加やサービス年数の長期化により、追加されるコンテンツにもタイトルや企業ごとの工夫や創作意欲が見られるようになってきています。
例として、『FF14』ではレート制の対人戦や初心者向けのシステムを完備した本格的な麻雀コンテンツ“ドマ式麻雀”や3オクターブまでの音を自由なテンポで奏でられる“楽器演奏”など、MMORPGの枠を超えた楽しみ方が提供されています。

 

スマホへの進出でより身近な存在に

スマートフォンの普及とスマートフォン用タイトルの配信によって、MORPGとMMORPGはユーザーにとってより身近な存在となっています。

 

 

普及の度合いは家庭用ゲーム機と同じくMORPGよりもMMORPGのほうが高い印象で、『リネージュ2 レボリューション』(ネットマーブル/2016年12月14日)、『ソードアート・オンライン インテグラル・ファクター』(バンダイナムコエンターテインメント/2017年12月2日)、『メイプルストーリーM』(ネクソン/2019年4月10日)、『ラグナロクマスターズ』(ガンホー・オンライン・エンターテイメント/2019年6月5日)など、人気シリーズはもちろん、有名IPのタイトルも登場しています。

 

また、『ファンタジーライフ』(レベルファイブ/2018年7月23日)、『ドラゴンネストM』(Eyedentity Games Japan/2018年12月13日)など、MORPGもいくつかのタイトルが配信されています。

 

まとめ

現在は、オンラインで楽しめるゲームが広く普及し、“ゲーム=オンライン”というイメージが定着しており、MORPG、MMORPGのライバルとなりうるジャンルは誕生した当時と比べて増加しました。
しかし、ユーザーごとにさまざまな楽しみ方でプレイできる点はこのジャンルならではの魅力であり、オンラインゲームの代表的ジャンルという立ち位置を維持しています。
現在では、オンラインゲーム特有の問題についても改善の努力が行われており、新規ユーザーのための取り組みもタイトルごとに行われているため、気になるタイトルを見つけた際は、お試し気分で初めてみるのもアリではないでしょうか。

 

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