『CLAP HANZ GOLF』に見る、スマホに最適化されたスポーツゲームの作り方
スポーツを題材にしたビデオゲームは数あれど、人気の高いジャンルがゴルフゲームです。
Apple Arcade向けに配信されている『CLAP HANZ GOLF』もまた、スマホに最適化されたゴルフゲームとして、注目を集めています。
目次
『CLAP HANZ GOLF』とは
今作はゴルフゲームの金字塔として名高い、「みんなのGOLF」シリーズに近しい体験ができるという、ポップなゴルフゲームに仕上がっています。
「みんゴル」インスパイアのゴルフゲーム
『CLAP HANZ GOLF』は、デフォルメキャラを操作しつつゴルフを楽しめる作品で、実際のゴルフよりもカジュアルにプレーできるのが特徴です。
ややハードルの高いスポーツとされるゴルフですが、Apple Arcade向けにリリースされた今作では、スマホで手軽にゴルフの楽しさを理解できる設計になっています。
実際のプレイ動画などを見てみると、その雰囲気にどこか既視感を覚える人もいるでしょう。
というのも、今作を開発したクラップハンズは、日本で最も有名なゴルフゲームとしても名高い、「みんなのGOLF」シリーズを手掛けた制作会社です*1。
ゴルフを家族で気軽に楽しめるゲーム性が人気の「みんゴル」シリーズですが、タイトルは変わったとはいえ、スマホでも楽しめる作品として新しく登場したのが『CLAP HANZ GOLF』というわけです。
チーム戦やキャラ特性のシステムもポイントに
スマホ向けのゴルフゲームとして展開されている今作ですが、そのボリュームについては家庭用作品に劣らない、満足度の高い仕上がりになっています。
まず、主軸となるのが世界中をツアーで訪れつつ、新たなゴルファーを見つけては育成するシングルプレイの「ツアーモード」です。
ゴルファーを育てる楽しみと、基本的なゴルフの楽しみの両方を味わえます。
また、Wi-FiやBluetooth接続を利用したマルチプレイにも対応しており、複数人でも楽しめる、ゴルフならではの体験が可能になっています。
そして、『CLAP HANZ GOLF』独自のシステムとなっているのが、多彩なキャラクターを活かすキャラ特性です。
それぞれのキャラクターには独自の能力が付与されており、彼らの能力を生かしながらホールを回っていくという、チーム戦の形式が採用されています。
ゴルファーによって得意なコースやシチュエーションが異なるため、チーム編成をうまく組み立てながら、コースを攻略していく楽しみは、今作ならではのシステムです。
スマホ特化で作られた『CLAP HANZ GOLF』
ゴルフゲームといえば、軽快なボタン操作が特徴的でしたが、『CLAP HANZ GOLF』においてはスマホに最適化させた操作システムを導入しています。
タップ操作に最適化されたショットシステム
「みんゴル」を初め、多くのゴルフゲームはボタン操作によるショットシステムを採用しています。
タイミングよくボタンを押して、ナイスショット判定となるようコントロールするのですが、『CLAP HANZ GOLF』ではこれをさらに発展させ、感覚的なタップ操作を採用しています。
基本的な操作は、タッチスクリーンのフリックとスワイプで行います。
指先をうまくコントロールしながら、打球の強さやショットの方向、スピンのかかり具合を調節するという仕組みで、スポーティな体験を再現しています。
実際のゴルフ体験に近いプレイが実現
ボタン操作によるショットは、単純なタイミング操作しか再現はできておらず、あくまでビデオゲームという枠組みを超えることは難しいものでした。
しかし、今作において指先による感覚的なショット操作が実現したことで、実際のゴルフでも体験するような、繊細なショットコントロールをスマホで味わえることとなりました。
画面こそ小さいスクリーンですが、タッチパネルを有効活用することにより、ゴルフらしい感動を手軽に体験できるようになったのです。
このようなプレイングは未だ他の作品でも見られなかった取り組みであるため、初めはその操作方法に戸惑うこともあるかもしれません。
しかし、実際のゴルフにおいてもこのような戸惑いは同様です。
どうやってクラブを扱えば良いのかを理解することで、少しずつショットも上達するように、『CLAP HANZ GOLF』においても着実な進歩と、スポーティな体験が可能になっています。
実際の競技の楽しさを損なわないスポーツゲームの作り方
スポーツゲームの魅力は、実際の競技と同じ楽しさを味わい、スポーツ振興の一翼を担える点にあります。
本物のスポーツの楽しさを、ゲームではどのように再現することができるのでしょうか。
感覚的な操作を楽しめる設計に注目
スポーツとビデオゲームが強い結びつきを得られるようにするためには、やはりゲームにおいてもスポーツらしい、感覚的な操作をうまく再現することが重要です。
特に、スマホはタッチスクリーンを採用していることもあり、こういった取り組みにはめっぽう強いハードでもあります。
例え指先の操作であっても、スティックやボタンではなく直接、体を使ってコントロールしている感覚は、他に変えられない体験です。
近年はタッチスクリーン上にスティックやボタンを再現する作品も多く登場しています。
しかしスポーツを扱うゲームについては、タッチスクリーンの特性をうまく生かした作品であることが、重要なヒットの鍵となるでしょう。
また、スマホ以外にもARやVRなど、次々と新しい技術がゲーム業界に参入している様子も顕著です。
こういった最新技術をうまく活用しながら、臨場感のあるスポーツ体験を再現することで、より没入感のあるスポーツゲームを制作できるようになるでしょう。
グラフィックよりも操作性に力を入れる
ビデオゲームにおいて重視されるのが、グラフィックの良し悪しです。
確かに最新の技術を活用した美麗なグラフィックは、そのゲームのクオリティや技術力を推し量る上で重要な指標となりますが、必ずしもグラフィックのみがゲームの良し悪しに直結するとは限りません。
特にスポーツゲームにおいてはその傾向は顕著で、『CLAP HANZ GOLF』もグラフィックが評価されているというよりは、むしろその操作性や独自のゲームルールが注目されている作品です。
結局のところ、ゲームは映像を楽しむのではなく、遊んで楽しいかどうかで評価されるジャンルですから、「どのようにプレイヤーを楽しませるか」というところに焦点を当てることが評価の分かれ目となるでしょう。
おわりに
スポーツを題材にしたゲームは数あれど、『CLAP HANZ GOLF』のように新しい取り組みを積極的に採用している作品はまだまだ限られています。
どのようにスポーツをビデオゲームに落とし込むか、という取り組みについてはまだまだ参入の余地は大きく、今後様々なクリエイターの取り組み次第で、大いに発展する可能性もありそうです。
併せて読みたい記事
・『Wonderputt』に見る、動きのあるゴルフゲームの作り方
・サカつくRTWに学ぶニッチマーケットでの生存戦略
・マリオカートツアーで見られるスマホ最適化に必要な画面・体験の再定義
参考:
*1 ゲームキャスト「『みんゴル』を開発したクラップハンズのゴルフゲーム『CLAP HANZ GOLF』、Apple Arcade向けに配信開始。手堅い面白さと、スマホ向けの新しい操作法を備えた新作」
http://www.gamecast-blog.com/archives/65978321.html
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ライター名:Satoru Yoshimura
プロフィール:ライター。20年以上の付き合いがあるビデオゲームとアメリカ音楽をテーマとした活動が中心。「日本のゲーム音楽がヒップホップに与えた影響」などブログで公開中。
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『CLAP HANZ GOLF』公式サイト:https://www.claphanz.co.jp/
『CLAP HANZ GOLF』Twitter:https://twitter.com/Clap_Hanz
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