本物の島を舞台にした開発シム『ハロー!サントリーニ』に見るゲームの作り方


開発シムは非常に人気のあるジャンルの一つですが、この度スマホ向けに開発された『ハロー!サントリーニ』は、これまでのシムとは違った方向性で気合の入った作品となっているようです。

 

島開発シム『ハロー!サントリーニ』とは

今作は、とある島を舞台にした作品ですが、従来の作品とは異なり、明確に特定の地域をテーマにしていることがタイトルからもわかります。

 

実在のサントリーニ島が舞台に

『ハロー!サントリーニ』の舞台となるのは、エーゲ海に浮かぶ実在の島、サントリーニ島です。

 

ゲーム開始時には青い海だけが取り柄の無人島ですが、プレイヤーの手によって、少しずつ住みやすく、美しい街並みへと仕上げていくシミュレーションを楽しむことができます。

 

こういったシム系の作品の多くは、基本的に架空の島や土地などがあてがわれるものです。

 

今作は珍しく実在の島を、実名でテーマにしているということで、プレイヤーの手で構築していく島のイメージもテーマ性がはっきりした仕上がりになるでしょう。

 

実在の島の写真を見ながら写実的に街を作るのか、はたまたサントリーニ島の設定を無視し、気の赴くままに街づくりをするのかは、いずれにせよ自由です。

 

建築シムと放置による程よいバランス設計

建築シミュレーションゲームは、基本的に街づくりのあらゆる側面まで丁寧に指示を送る必要があるため、なかなか開発から目が離せなくなるケースも多いものです。

 

『ハロー!サントリーニ』ではこういった、シミュレーションゲームに発生する多くの作業や待ち時間をある程度排除し、「建築シム+放置ゲーム」のポジションを上手に獲得しています。

 

あらかじめどんな建物を作るのかを指定しておけば、あとは半自動的に街並みを形成してくれる仕組みです。

 

そのため、目を離していた隙に予想外の街が出来上がってしまった、といったアクシデントを避けられます。

 

今作はスマホ向けに作られた作品ということもあり、長時間の連続プレイが行われるケースは少ないものです。

そのため、シムのエッセンスは残しつつも、短い時間のプレイで十分なリターンが得られるよう、最適化された設計にも注目したいところです。

 

『ハロー!サントリーニ』に込められたゲーム作りの熱意

単にサントリーニ島を名前だけ拝借しているわけではなく、実は今作は本気でこの島を研究し、それでいて開発シム作品に落とし込んでいるというのがポイントのゲームです。

 

サントリーニ島を徹底研究した設計

実際する島や土地を舞台にシミュレーションを実施することの難しさの一つに、徹底したディテールの追求が必要になる点が挙げられます。

 

その名前を冠することになる以上、実際にその島のことをよく知っている人にとっては、人一倍思い入れの強い作品になり得ますし、一度そのゲームで遊んでみようかとなるでしょう。

 

にもかかわらず、ゲームに登場した姿が現実と乖離し、どこにでもあるような土地へとアレンジされてしまっていては、造り込みの甘い作品であると落胆させてしまいます。

 

今作ではこのようなアクシデントが起こらないよう、徹底してサントリーニ島を研究した成果が反映されています。

 

制作にあたってはサントリーニの主要な建物や観光地の資料を20万点以上も用意し、制作に反映されています*1。

 

今作は写実性よりも、ミニチュアのような可愛さとコミカルさを重視した描写を重視しているものの、そのディテールについては現実の建物をベースにしています。

 

そのため、例え適当に今作をプレイしたとしても、どこかサントリーニ島の雰囲気をはらんでいるような、貴重な体験を得られるはずです。

 

現地の雰囲気を極限まで再現

20万点の資料を参考にしただけあり、作品内で建設可能な建物の数も膨大です。

収録している建物の数は200を超え、同じ建物が連続で並び、ゲームらしさが前面に出てしまうこともありません。

 

極めて自然な、微妙にディテールの異なる建築物を、島中に建設できるのは今作の見所の一つです。

 

また、サントリーニ島の雰囲気を演出してくれる要素は、ビジュアルだけではありません。

今作は音楽作成にもこだわっており、ギリシャ伝統楽器を演奏する音楽家の協力を得て選ばれた楽曲を採用しているため、より高い没入感を得られます。

 

「臨場感」をゲームで演出する場合、ビジュアルのディテールにこだわるだけでは物足りなくなってしまうものです。

特にゲームは現実に比べて視覚的な情報が限定されてしまうので、様々な工夫が求められます。

 

『ハロー!サントリーニ』はスマホゲームでありながらこの点まで考慮し、音楽にもエーゲ海らしさを加えることで、臨場感のある現地を再現しました。

 

『ハロー!サントリーニ』に見る理想のゲーム作りとは

このような熱のこもったゲーム作りは、多くのクリエイターを励ます話でもありますが、ここからゲーム作りについて学べることは、決して少なくありません。

 

膨大なインプットを前提としたクリエイトを

まず重要なことは、作品作りに取り掛かる前に、インプットに力を入れるということです。

 

今作のサントリーニ島らしさを演出しているのは、とにかく事前に膨大な数の資料を用意している点にあるでしょう。

 

事前のインプットで仕入れた情報全てをゲームに盛り込むことはできませんが、そこから得られたものを落とし込む作業を経ることで、洗練されたサントリーニ島の雰囲気を演出することに成功しています。

 

1のアウトプットのためには、10のインプット、あるいは100のインプットが求められることもあります。

 

膨大なインプットを習慣化することで、満足のいくアウトプットができるよう準備しておきましょう。

 

その上でプレイヤーの創意工夫を尊重

アウトプットにおいて重要なのは、作り手のクリエイティビティが垣間見える瞬間です。

 

例えば『ハロー!サントリーニ』においては、ただサントリーニ島を再現するだけでなく、ミニチュア的な描写でいかにして臨場感のある体験ができるかについての創意工夫があちこちに見られます。

 

音楽的なこだわりや、放置ゲームのシステムを採用し、スピーディに街並みが発展していく様子を楽しめることで、ストレスのない体験を実現しました。

 

自分なりに「こうすれば良いのでは」というアレンジを大切にしながら、作品を生み出しましょう。

 

おわりに

『ハロー!サントリーニ』が目指したのは、サントリーニ島ならではの描写や、スマホ向け建築シムとしての楽しさです。

 

楽しさと臨場感の両方を追求することは至難の技ですが、実践的なアプローチも様々な作品に見られるため、不可能ではありません。

 

作りたいものについての徹底考察と、試行錯誤を繰り返し、至上の一本を生み出しましょう。

 

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*1 ゲームキャスト「エーゲ海に美しい観光スポットを作る『ハロー!サントリーニ』iOS/Android向けに配信開始。20万点以上の資料とギリシャ伝統音楽家の協力を得て作られたサントリーニ島経営ゲーム」

http://www.gamecast-blog.com/archives/65979333.html

 

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ライター名:Satoru Yoshimura

 

プロフィール:ライター。20年以上の付き合いがあるビデオゲームとアメリカ音楽をテーマとした活動が中心。「日本のゲーム音楽がヒップホップに与えた影響」などブログで公開中。

 

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『ハロー!サントリーニ』Google Play:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.nanoo.HiSantorini&hl=ja&gl=US

 

『ハロー!サントリーニ』Twitter:https://twitter.com/NANOO_JP

 

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