「ルートボックス(ガチャ)」とは?システムや問題点などを解説


 
ルートボックスはゲームの課金システムのひとつで、日本ではガチャと呼ばれています。
 
ゲーム会社は利益を得ないと会社を維持できませんし、面白いゲームを作ることができませんから、何らかの方法で課金してもらう必要はあります。とはいえ、ルートボックス(ガチャ)は課金のシステムとして批判されることが少なくありません。
 
このコラムでは、ルートボックスがどんなもので、どのような点が批判の対象となっているのかを解説します。
 

1.ルートボックス(ガチャ)とは

ルートボックス(loot box)は、ゲームに関連しない場合、「戦利品が入った箱」という意味です。ゲーム業界では課金システムのひとつを意味しています。ゲーム内で使用するアイテムやキャラクターを入手する方法で、何が出現するかわからないことが一般的です。
 
ルートボックスは、日本では「ガチャ」という言葉で親しまれています。これは物理的なカプセルに入った玩具や小物を、ガチャガチャ、ガチャポンと呼んでいたことからゲーム業界でも使われるようになった背景があります。
 
日本オンラインゲーム業界は、このシステムを「ランダム型アイテム提供方式」と呼んでいますが、このコラムでは海外の例も紹介するので、ルートボックス(ガチャ)という言葉で統一します。
 

2.人気タイトルにおけるルートボックス(ガチャ)の実装例

ルートボックス(ガチャ)は2000年代から実装されるようになり、非常に多くのタイトルに実装されています。日本で最初にガチャが実装されたのは人気MMORPGの『メイプルストーリー』で、2004年のことと言われています。
 
それ以前の日本のゲーム業界では、コンシューマー向けのゲームソフトを購入してもらうことで利益を得る手法が多く、携帯電話を利用している場合は広告から利益を得るケースもありました。しかし、次第にスマートフォンを代表とするモバイル端末やSNSの普及が進んだことで、ゲーム自体は「基本無料」としてルートボックス(ガチャ)で利益を得る方式が一般化していきます。
 
ソーシャル要素が無かった時代にはゲームは1人でプレイするか、周辺の知人とプレイするものでした。しかし、ネットが普及したことで画面の向こうの無数の人とつながることが可能となり、課金してでも強くなることで、承認欲求という強い動機が生まれるようになっていきます。
 
そのようにして、無数のゲームでルートボックス(ガチャ)が採用されるようになったので、現在ではとても数えきれないような状態ですが、代表的なタイトルを以下に記載しましょう。
 
アメリカでは、ブリザード・エンターテイメントが2016年にリリースした『オーバーウォッチ』や、エレクトロニック・アーツが2017年にリリースした『スター・ウォーズ バトルフロントII』が大きな話題となりました。
 
また、日本では、ミクシィ(2022年現在はXFLAGS)がリリースした『モンスターストライク』やガンホーが運営する『パズル&ドラゴンズ』、Cygamesがリリースした『グランブルーファンタジー』などが有名です。
 
さらに、ブリザード・エンターテイメントが2022年にリリースした『ディアブロ イモータル』は課金要素が強いことで大きな話題となっています。
 

3.ルートボックス(ガチャ)が問題視されている理由

この項目では、ルートボックス(ガチャ)が問題視されているいくつかの理由を、出来るだけわかりやすく記載していきます。
 

3-1.ギャンブルに近い依存症を生むことが懸念される

ルートボックス(ガチャ)は、獲得できるアイテムやキャラクターがランダムに出現することを大きな特徴としています。プレイヤーは何らかのアイテムを欲してルートボックスに課金しますが、1回で希望する結果が出ない場合も多く、欲しいものが入手できるまで際限なく課金してしまうことが珍しくありません。いわゆる「当たり」が出たときには精神的高揚感も高いことから、ギャンブル性が高く依存症を生むことも懸念されています。
 
この点は、未成年がプレイすることも多いゲームであれば、金銭的感覚がまだ育成されていないこともあってなおさら問題視されています。実際にアメリカでは、エレクトロニック・アーツが運営する『スター・ウォーズ バトルフロントII』に関して、未成年者が高額な課金を行っていることが議会でも取り上げられ、強く批判されました。ルートボックスで得られる内容の確率が表記されるようになったのはこの後のことです。
 

3-2.ルートボックス利用者と非利用者でゲーム内の強さが大きく違うケースがある

ルートボックスは課金を誘う目的で、ゲーム内の勝率を上げる強力なアイテムを実装していることが一般的です。そのため、たくさん課金する人は圧倒的に強くなり、課金しない人が勝利を得ることが難しいという事態が起こります。
 
このようなシステムのゲームは「Pay to Win」と呼ばれ、努力やテクニックで勝利を得ようとするプレイヤーからは敬遠される傾向が見られます。Pay to Winについて詳しく書いた記事があるので、ぜひ参考にしてください。
 
「Pay to Win(ペイトゥウィン)とは?ゲーマーが忌避する課金とバランス」
 
ちなみに、近年のゲームはオンラインであることを前提としているものが多いため、ルートボックスを利用することで画面の向こうにいる人からの承認を得やすい効果があります。また、いったん課金を始めると「せっかくお金を使って強化したのだからやめるのはもったいない」という気持ち(サンクコスト効果)が働いて課金を続けてしまうという調査もあります。
 
このような傾向を踏まえると、ルートボックス(ガチャ)システムを採用しているゲームを楽しむためには、課金の上限額を決めておくなどの工夫も必要でしょう。
 

3-3.ルートボックスを前提としたゲームバランスで作られることがある

ゲーム会社にとって収益は非常に大きな要素ではありますが、ルートボックスで課金を誘うことが前提としてゲームバランスが作られていると、課金しないプレイヤーにとっては全く楽しめないものになってしまいます。そのため、開発する側にとってもルートボックスを利用しなくても楽しめるゲーム作りは大きな課題と言って良いでしょう。
 
アメリカのブリザード・エンターテイメントは『オーバーウォッチ』の1作目ではルートボックスシステムを使っていましたが、『オーバーウォッチ2』ではルートボックスは廃止しています。開発側は、「ランダムにアイテムを入手する体験は良いものではないので、ショップで必要なものを選んで購入できるようにした」という趣旨の発言をしています。
 

4.日本におけるルートボックス(ガチャ)の現状

この項目では、日本における2022年6月現在のルートボックス(ガチャ)の立ち位置を説明します。
 
日本では以前に「コンプリートガチャ(コンプガチャ)」と呼ばれるシステムが大きな問題となりました。これは課金ガチャで特定かつ複数のアイテムをそろえるとさらに報酬が得られるシステムで、ガチャ課金をあおるものとして法的に禁止されていることが指摘されたため、2012年には終了しました。
 
しかし、ガチャシステム自体はその後も規制の対象とはならず、現在も多数のタイトルに実装されています。2022年6月に、アメリカのブリザード・エンターテイメントがリリースした『ディアブロ イモータル』は、課金要素が非常に高い点で大きな話題となっています。ルートボックスに厳しい姿勢を示すベルギーとオランダではこのタイトルは発売停止となっていますが、日本では2022年現在でもルートボックス(ガチャ)要素があるゲームは数多く出回っています。
 
とはいえ、海外では日本よりルートボックスに強い批判が上がっていることもあって、日本でもガチャ以外の方法で収益を上げるゲームは増えつつあります。
 

5.ルートボックス(ガチャ)以外の課金システム

この項目では、ルートボックス(ガチャ)以外に普及している課金システムを紹介します。
 
まず紹介するのは「サブスクリプション」です。サブスクリプションはサブスクとも呼ばれており、動画や音楽配信などでも利用されているので、近年非常に身近なものとなっています。毎月一定の金額を払うことで特定のゲームをプレイできる仕組みで、ソニーのPlayStationや任天堂のNintendo Switchなどコンシューマー向けとしても提供されていますし、Steamなどの海外プラットフォームにも見られます。
 
「【2022年6月最新版】ゲームのサブスクリプションとは?サービス10選紹介」
 
サブスクリプションの場合、課金することとゲーム内の強さやゲーム性が全く関係が無いことを特徴としています。また、近年は「バトルパス」や「シーズンパス」と呼ばれる課金方法も増えています。これは特定のゲーム内で課金して、一定期間内に目標をクリアすることで報酬を得るシステムです。報酬を得るためにある程度の時間プレイをする必要はありますが、ルートボックス(ガチャ)ほどには「Pay to Win」の要素が高くありませんし、ゲームを楽しんで報酬を得るという意味でゲームバランスが悪くなりにくい利点があります。このシステムは『Dota2』や『フォートナイト』、『原神』や『Apex Legends』などで利用されています。
 

6.まとめ

ゲームの課金システムのひとつであるルートボックス(ガチャ)の特徴や歴史、問題点などを解説したうえで、日本での現状や、ルートボックス(ガチャ)以外の課金システムを紹介しました。
 
ルートボックス(ガチャ)は、2000年代以降のゲームで広く採用されてきましたが、ギャンブル要素が強いという指摘があることや、実際に高額課金してしまう人もいることなどから、海外では批判が強まる傾向が見られます。そのため、ルートボックス(ガチャ)システムを採用しているゲームを楽しむ際には、月の課金額の上限を決めるなどしておくことをおすすめします。
 
そんな中で、サブスクリプションやバトルパスなど、ゲーム会社も別の課金システムを採用することが増えているので、今後もゲーム業界内での変化は進んでいくと思われます。ゲームクリエイターやプレイヤーは、現状を過渡期と考えて今後の動向を注視する必要があるでしょう。
 

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