長期間人気のゲームタイトルはどのような運用をしているのか?ポイントを紹介
このコラムは、長期間人気を獲得し続けているゲームについて、長く続けるためにどのような運用をしているのかを解説します。
近年はスマートフォンの普及もあって、ゲームは無数に生み出されていますが、数年も続かずにサービス終了するタイトルも少なくありません。そんな中でも、5年、10年と歴史を重ねていくゲームは確かに存在しますから、そこに見られる工夫を解説します。
目次
1. リリースから10年以上経っても人気の代表的なゲームタイトル
この項目では、まず10年以上サービスが続いている人気タイトルを紹介します。
1-1. パズル&ドラゴンズ
パズル&ドラゴンズはガンホー・オンライン・エンターテイメントが運営しているパズルアクションゲームです。2012年2月にリリースされて以来、2023年6月現在ですでに11年を超えていますし、今でも多くのユーザーからプレイされ続けています。
パズル&ドラゴンズは片手で気軽に遊べる点や、パズル、育成、RPGなど多様な楽しみ方ができること、当時のハードウェアでは予想できなかったクオリティのアクションが実装されたことなどから、リリースから約1年で1000万ダウンロードを超えるほどの人気タイトルとなりました。
また、その人気は短期的なもので終わらず、リリースから10年を経過した2022年に6000万ダウンロードを突破するなど、長期にわたって楽しまれているタイトルです。
1-2. モンスターストライク
モンスターストライクは2013年10月に初めて配信されたので、2023年で10周年を迎えています。画面上のモンスターを指で引っ張って弾き、敵を倒していく爽快感が高いプレイスタイルで、幅広い人気を獲得しました。
また、モンスターを多く集めることで「運」が上昇して報酬を得やすくなるシステムや、クエストごとに有効なキャラクターが異なるシステムで初心者でも楽しみやすい状態を作ったことなども人気の理由となっています。
リリースから10周年となる2023年に、世界累計利用者数が6000万人を超えたという報告もあり、現在も根強い人気を誇っています。
1-3. にゃんこ大戦争
にゃんこ大戦争は2012年11月にポノスからリリースされています。キモさとかわいらしさを同時に持つ「にゃんこ」を扱ったタワーディフェンスゲームで、2023年5月にシリーズ累計8200万ダウンロードを突破しています。
にゃんこ大戦争は、シンプルな操作性でありながら、育成や戦略などのやり込み要素が非常に豊富なことを特徴としています。さらに見た目がゆるく親しみやすいことも新規ユーザーを獲得しやすく、これほど長期的な人気を支えているのでしょう。
また、課金要素はありながらも、大きな課金をしなくてもそれなりに楽しめる点もこのゲームが長く続いてきた理由のひとつです。
2. 人気タイトルに見る、長期間のゲーム運用のポイント
この項目では、長期的に人気を獲得してきたタイトルがどんな運用を行ってきたかを解説します。
2-1. これまでの運用方法を最適と考えず、時代に合わせて常に変化させる
10年も人気を維持し新規ユーザーを獲得し続けるゲームには、それぞれの時代に合わせた変化が組み込まれています。
例えば、パズル&ドラゴンズでは、リリース初期には公式からのガチャ石配布は多くはありませんでしたが、近年は配布量を増やしています。メンテナンスの遅れなどに対して配布される「詫び石」はパズル&ドラゴンズが最初とも言われています。
安易に石を配ることがすべて良い結果につながるとは限りませんが、ユーザーの不満をためないことは長期的に楽しんでもらうことにつながるでしょう。
2-2. 休止したユーザーのことを考えたアプローチを絶えず続ける
どんな人気ゲームでもピーク時を過ぎるとユーザー数は減りますし、休止するユーザーは少なからず発生します。そのため、ゲーム会社は休止しているユーザーが復帰してくれるように対策を練る必要があります。
休止ユーザーへのアプローチで代表的なのは、SNSやCM等で告知を続けることです。この手法はパズル&ドラゴンズやにゃんこ大戦争でも使われており、実際に効果を上げています。ある程度プレイしていたユーザーなら何らかのきっかけがあれば「またプレイしてみようか」という意識も持てるでしょう。
そのきっかけとしては、復帰ユーザーが一定数を超えるとユーザー全員に報酬を出したり、人気アニメやほかのゲームとのコラボイベントで関心を呼び戻したりする工夫がしばしば採用されます。
2-3. 古株ユーザーと復帰ユーザーのどちらにも考慮した運用を心がける
長く続いているゲームには、古株ユーザー、復帰ユーザー、新規ユーザーが混在しています。そんな中で、どこかの層だけに着目してもほかの層の不満が出てユーザー離れにつながります。そのため、どのレベルの人でも楽しめるような配慮が欠かせません。
長くプレイしているユーザーは、育成が進んだキャラクターを豊富に持っています。そのためすべての局面で有利ですから、新規ユーザーや復帰ユーザーにはキャンペーンでガチャ石を配布するなどの工夫が必要です。一方、古参ユーザーを楽しませるには、難易度が高いクエストで強力な報酬が得られるなど、長く強化を続けてきた人だけが得られる場面も作りましょう。
なお、説明の都合上、古参、復帰、新規という書き方をしましたが、実際には強さの境界は明瞭ではありません。プレイ歴が浅くても多くの課金で早急に強化する人もいますし、長く続けていても微課金で成長が緩やかな人もいるからです。そのため、「自分より少し強い人」を目指せるような、他者の育成度合いが可視化できるシステム作りも重要です。
また、プレイを始めた時期によって遊び方が異なる傾向もありますから、運営側はユーザーが自社タイトルのどのコンテンツを最も楽しんでいるのかを把握するなどの情報収集も欠かせません。
3. 開発したタイトルを長期間活躍させるために視野に入れるべきこと
この項目では、開発したタイトルをできるだけ長期間ユーザーに楽しんでもらうために、開発や運営側が考えるべき点を解説します。
3-1. 他タイトルの成功事例だけを見てノルマを高く設定しすぎない
ランキングで上位に来るような有名タイトルを目指す気持ちはもちろん重要ですが、そもそもの予算や利益目標などは、所属する会社やタイトルによって異なります。そのため、大きく成功した有名作品にばかり目を向けてノルマを高く設定しすぎないように注意しましょう。
開発にかかった費用を回収した後は、運営費用を超える売り上げがあれば利益は出ます。そのため、会社としてどの程度の利益を上げ続けるべきなのかを踏まえてノルマを設定するように心がけましょう。
3-2. バッファを持った計画を立てる
ゲーム開発は常に納期との闘いなので、リリース日が遅れることもあります。しかし、リリースが遅れるほど企業としては利益回収が遅くなるという問題が発生します。これは、リリース日が遅れると上げるべき利益が上がってしまうと言い換えることもできるでしょう。そして予定した利益を達成できなければ、そのゲームはサービス停止に追い込まれてしまいます。
このような事態を避けるために、ゲーム開発に関わる人は日程的なバッファを持って仕事に取り組んで、ゲームの寿命を縮めないように意識しましょう。
3-3. ユーザーと運営会社・ユーザーとユーザーのつながりを大事にする
ゲームは一人でプレイするものと思われがちです。しかし実際には、ユーザー同士のつながりや情報交換の場があってこそプレイする楽しみが広がっていきます。そのためにゲーム内のギルドやチャットなどのシステムを実装したり、SNSを運営してユーザー同士が交流したりできる場を作りましょう。
また、ユーザーと運営のつながりも非常に重要です。運営としてはイベントやキャンペーンなどの利益につながる告知には力が入りますが、自社が求めるものだけを提示してもユーザーとの良好な関係は構築できません。
例えば、不具合があった場合にはユーザーが納得できる説明をしっかり行う、メンテナンスが遅れるときにも一定時間ごとにSNSで再開見込み時間を知らせるなど、信頼関係を築くことを心がけましょう。
3-4. 将来的に実績のある運営会社に運営を移管することも視野に入れる
近年は運営だけに特化した会社に移管することでゲームを存続させる方法もあります。大きな利益が出続けていれば移管する必要もないでしょうが、自社での運営で利益を出し続けることが難しい、ということもあるでしょう。そんな時、運営に特化した会社なら利益を得ながらサービスを存続できることもあります。
3-5. 海外人気は魅力的だが、”どっちも狙う”と中途半端な結果になる傾向にある
近年はSteamなどのゲームプラットフォームが発達しているので、ゲームをプレイする際に国境の意識は薄くなっています。そのため、海外展開を見越したデザインをするゲームも少なくありません。
とはいえ、海外受けを意識し過ぎたデザインにすると国内ユーザーの評価が得にくいこともあります。全世界的に評価されれば大成功ですが、多方面を狙ったために結果的にどこからも評価されなかったとなると目も当てられません。
そのため、どんな層の人にプレイしてもらう前提で作るのかを明確にして、ターゲットをしっかり意識した開発を行いましょう。
4.まとめ
長期間人気を獲得し続けているゲームについて、代表的なタイトルを紹介したうえで、どのような運営上の工夫があるのかを紹介しました。
実際には、予想できないトレンドの移り変わりや時代の流れなどもあるので、ゲームの寿命を完全にコントロールすることはできません。しかし、長期間ゲームサービスが続いているタイトルでは、ユーザーへの配慮など、さまざまな工夫が行われていることは間違いありません。
そのため、このコラムに記載したことを参考にして、ぜひ5年、10年と長くプレイされ続けるような運営・開発を目指してください。
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