クラウドファンディングとゲーム開発の相性とは?成功事例も紹介


 
ゲーム開発にクラウドファンディングが利用される例は少なくありませんが、実際にゲームとクラウドファンディングの相性は良いのでしょうか?
 
このコラムでは、まずクラウドファンディングの基礎知識や、ゲーム開発でクラウドファンディングを利用するメリットや注意点を解説しますので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
 

1. クラウドファンディングとは

この項目では、まずゲーム開発でクラウドファンディングを利用する際の基本的な意味やお礼の仕方、代表的なサイトなどを解説します。
 

1-1. ゲーム開発におけるクラウドファンディングの目的

そもそもクラウドファンディングとは、群衆を意味する「crowd」という単語と資金調達を意味する「funding」を合わせた造語です。
 
クラウドファンディングは、まず資金を集める目的を明記し、その目的達成を応援する人が資金を投じる、という流れで進みます。また、クラウドファンディングでの資金調達が成功すれば、投資した人には何らかのお礼があることが一般的です。
 
ゲーム関連では、開発費の調達が目的とされることが多いです。例えば、スマホ向けゲームアプリの開発費は数百万円以上と言われており、全額をクラウドファンディングで賄おうとする場合もあります。とはいえ、目標額を大きくしすぎてクラウドファンディングが失敗すると、開発中のゲームにネガティブなイメージがついてしまいます。そのため、資金の用途を開発の一部に限定して、達成できそうな目標額を設定するケースも見られます。
 

1-2. ゲーム開発へのクラウドファンディングのお礼例

ゲーム開発に関連するクラウドファンディングのお礼としては、ゲームに登場するキャラクターやアイテムを扱ったグッズが多く見られます。
 
また、ゲーム開発に協力したという形でエンドクレジットに名前が表示される例や、ゲームの中に自分自身の姿や名前が出たりするお礼もあります。
 

1-3. クラウドファンディングでよく利用されるサイト例

クラウドファンディングはアメリカで生まれた資金調達システムなので、アメリカでは多数のサイトがありますが、日本でも数多くのクラウドファンディングサイトがあります。
 
クラウドファンディングサイトの多くは、「ゲーム」や「ゲーム開発」などをタグやカテゴリとして扱っています。例えば、「Makuake」、「READYFOR」、「CAMPFIRE」などでゲーム開発資金を募るプロジェクトが多数見られます。
 
一方、海外発のサイトでは、インディーズゲームを多く扱う「Fig」や、「kickstarter」などが有名です。
 

2. ゲーム開発でクラウドファンディングを利用するメリット

この項目では、ゲーム開発でクラウドファンディングを利用するメリットを紹介します。
 

2-1. 資金調達の幅が広がる

ゲームの開発資金を調達する場合、企業や投資家、金融機関や助成金などを利用することが多いですが、クラウドファンディングは資金調達の幅を広げるひとつの方法として近年広く認知されています。
 
金融機関から融資を受ける場合は返済の必要がありますが、クラウドファンディングなら約束したお礼はあっても返済や利子がありません。この点で、クラウドファンディングはゲーム開発者が利用しやすいメリットがあります。
 

2-2. 成功した場合、「期待された作品」として宣伝することができる

クラウドファンディングは、設定した目標金額に資金が達した場合、開発中のゲームが評価され、期待されていることがわかります。そのため、「クラウドファンディング成功」という事実がより多くのユーザーへのアピール材料となるプラス効果が期待できます。
 

2-3. ゲーム自体が市場やユーザーに受け入れられるかどうかを測ることができる

クラウドファンディングを行う場合、ゲームの企画やビジュアルの一部を公開するので、そのゲームが市場やユーザーに受け入れられるのかどうかを確認できます。
 
そのため、クラウドファンディングの成功を「ユーザーからの期待値が高い」というアピール材料として、投資家や金融機関からさらなる資金調達を受けることもできるでしょう。
 
仮にクラウドファンディングで失敗した場合、「ユーザーに受け入れられない企画」として反省材料にできます。さらに、融資に頼って無理にリリースした場合、大きな負債を抱える可能性もあったと考えれば、クラウドファンディングの失敗は、ある意味リスク回避に役立ったと判断することもできるでしょう。
 

3. ゲーム開発でクラウドファンディングを利用する際の注意点

この項目では、ゲーム開発でクラウドファンディングを利用する際に気を付けるべきことを解説します。
 

3-1. 資金調達自体に失敗する可能性がある

クラウドファンディングは資金調達方法のひとつですが、絶対に成功するとは限りません。クラウドファンディングの成功率は40%程度と言われていますから、クラウドファンディングサイトに情報を上げれば、必ず資金調達できるとは限らないことを頭に入れておきましょう。
 
クラウドファンディングを始める際には、それなりのアピール材料が必要です。ゲームであれば企画書やキービジュアル、ティザームービーなどが制作されることが多いため、クラウドファンディングを行うこと自体に手間や費用が掛かることも踏まえておきましょう。
 

3-2. ゲームの本質とは別に出資したいと思わせるメリットを提示する必要がある

クラウドファンディングの目的が社会的なことや福祉的なことであれば、資金を出す人は見返りをさほど重視しないかもしれません。しかし、ゲームであれば、魅力的なお礼が無ければ資金は集まりにくいことが考えられます。
 
そのため、他社の動向などを踏まえて、ユーザーが「欲しい!」と思うようなお礼を用意したほうがクラウドファンディングの成功率は上がる傾向にあります。
 
もちろんインディーズであれば豪華なお礼は難しいかもしれませんから、その場合はオリジナリティで魅力を出す手もあるでしょう。一般的なゲーム会社であれば、少なくとも企業としてのレベルを踏まえて、同規模の会社に見劣りしないこと、できればそのゲームならではのお礼を用意しましょう。
 

3-3. 真摯な対応を心がけなければ炎上してしまう可能性がある

「お金を集める」という行為については、どんな分野でも真摯さが求められます。例えば使途がわかりにくい場合や、クラウドファンディングで資金を得た後に告知と異なるお金の使い方をした場合、SNS等で炎上する可能性があるので気を付けましょう。
 
仮に目標金額が集まっても、「お礼の発送がされない」、「告知と異なるお礼が来た」、「告知の画像よりクオリティが低いお礼が来た」といったことも炎上のきっかけになります。
 
対応の悪さによって信用を失ってしまっては、そのゲームだけでなくそれ以降にリリースするゲームの収益にも悪影響が出ることもあり得ます。
 

4. 実際にクラウドファンディングで成功を収めたタイトル例

この項目では、クラウドファンディングで資金集めに成功し、その後リリースされたタイトルについて解説しましょう。
 

4-1. シェンムーIII

『シェンムーIII』は2019年にDeep Silverから発売されたアクションアドベンチャーゲームです。開発はYS Netと、Shibuya Productionsが行っています。
 
『シェンムー』シリーズは1999年に最初の作品が発売されています。横須賀や香港の街が非常に細かい点まで作りこまれていることや、メインストーリーと関係ないNPCとの交流やミニゲームなどが話題となり、「オープンワールドの始祖」と高く評価されました。
 
その続編となる『シェンムーIII』は、kickstarterというサイトで、2015年にクラウドファンディングを行いました。200万ドル(当時のレートで約2億4700万円)を目標に開始したところ、プロジェクト発表からわずか9時間で目標を達成、最終的には最初の目標の3倍を大きく超える、717万9510ドルに達したことから、ゲーム開発でクラウドファンディングを行った成功例として現在も引き合いに出されています。
 

4-2. ショベルナイト

『ショベルナイト』は、アメリカのヨットクラブゲームズが開発し、2014年にリリースされた2Dアクションゲームです。
 
1980年代のファミコン向けソフトを思わせるグラフィックやBGMと、ショベルを使ったバトルアクションの面白さで広く人気を獲得し、シリーズ化されています。
 
開発にあたって、『ショベルナイト』の開発者はkickstarterで7万5,000ドルの開発費獲得を目標としてクラウドファンディングを開始し、約1ヶ月で目標額を大きく上回る31万1,502ドルに達しています。
 

4-3. ディヴィニティ:オリジナル・シン(1&2)

『ディヴィニティ:オリジナル・シン』は、ベルギーのLarian Studiosが開発した王道ファンタジーRPGです。2014年のリリース以来、重厚感のあるグラフィックと戦略性の高いバトルが人気を呼び、シリーズ化を果たしています。
 
『ディヴィニティ:オリジナル・シン』は2作ともクラウドファンディングを利用しており、1作目では約100万ドルもの支援を受けています。また、2作目では50万ドルの目標額をほぼ半日でクリアし、結果的には200万ドルを超えるほどの開発費が集まったそうです。
 

4-4. Bloodstained: Ritual of the Night

『Bloodstained: Ritual of the Night』は2019年にリリースされた横スクロールタイプの探索型アクションRPGです。『悪魔城ドラキュラ』シリーズを手掛けた五十嵐孝司氏が制作することで、大きな話題となりました。また、2023年9月には累計販売本数が200万本を超えたと報告されており、リリース時にフォーカスされただけでなく、年数が経ってもユーザーを引き付けるタイトルとして高く評価されています。
 
『Bloodstained: Ritual of the Night』はkickstarterでクラウドファンディングを実施し、1日で目標金額の50万ドルを達成し、最終的には目標の10倍を超える554万ドル以上の資金を世界中から集めました。
 

4-5. FTL

『FTL:Faster Than Light』はSubset Games社が2012年にリリースした宇宙船シミュレーション型のローグライクゲームです。宇宙船で敵の宇宙船と戦うという設定だけを見るとシューティング要素が高いゲームを想像しそうですが、実際には戦闘による破損に対応するなど、船内管理がゲームの中心です。
 
開発者はクラウドファンディングサイトkickstarterを利用して1万ドルの資金を集めようとしましたが、20万ドルを超える資金調達に成功しています。
 

5. まとめ

ゲーム開発におけるクラウドファンディング利用のメリットや注意点、成功例などを解説しました。ゲーム開発の費用をクラウドファンディングで集める手法は、インディーズでも実績を持つ有名クリエイターでも行っているので、ゲーム開発とクラウドファンディングの相性は良いと言って過言ではないでしょう。
 
とはいえ、クラウドファンディングサイトに上げれば必ず資金調達できるわけではありませんし、資金調達後も、支援された資金を明瞭に扱わなければ炎上することもあります。そのため、クラウドファンディングを行う場合は、スタートから資金調達後まで、真摯に資金提供者に向き合う姿勢を持つことが重要です。
 

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