UnityとUnreal Engineの違いを徹底比較!ゲーム開発者必見の選び方ガイド
ゲーム開発エンジンについて解説する際には、「Unity」と「Unreal Engine」は世界的シェアを持つ双璧として絶対に登場する代表的な存在です。しかしその一方で、「名前は知っているけど、どんな違いがあるかはわからない」という人も多いと思います。
そこでこのコラムでは、UnityとUnreal Engineの違いを、基本的な点から実際の使いやすさ、適した利用方法など詳細にわたって解説します。
目次
1. UnityとUnreal Engineの基本情報
この項目では、まずUnityとUnreal Engineの基本情報を紹介します。
1-1. Unityとは
「Unity」はアメリカに本拠地を置くUnity Technologies社が提供しているゲームエンジンです。ゲームエンジンでのシェアは世界一と言われており、Unityの公式サイトを見ると、Unity Editorを使用している月間アクティブユーザーは120万人以上存在することや(2024年12月31日現在)、トップ1000のモバイルゲームの70%以上がUnityで作成されていること(2025年1月現在)など、自社商品のシェアに関する数値が掲げられています。
Unityは比較的モバイルゲームや2Dゲームの開発に強く、多くのプラットフォームに対応しやすいこと、初心者でも使いやすいことなど多数の特徴をもっています。
Unityの主たる特徴や導入について詳しく書いたコラムがありますので、以下に記載します。ぜひ当コラムとあわせてご一読ください。
「ゲームエンジン「Unity」の特徴について解説!」
1-2. Unreal Engineとは
Unreal Engineを提供しているEpic Games社は、アメリカのノースカロライナ州にあります。ゲームエンジンとしての世界シェアはUnityに劣りますが、Unreal Engineはコンシューマー機向けゲーム、PC向けゲームに限定すれば、Unityより高いシェア率をもっています。
リッチなグラフィックを描くことに向いていることもあって、AAAクラスのゲームに強いのもUnreal Engineの特徴です。
Unreal Engineの特徴や導入方法などを記載したコラムがありますので、ぜひ以下も参考にしてください。
「ゲームエンジン「Unreal Engine」の特徴について解説!」
2. UnityとUnreal Engineの主な違い
この項目では、UnityとUnreal Engineについて、異なる点を中心に解説します。
2-1. 対応プラットフォーム
UnityとUnreal Engineは、どちらもマルチプラットフォームへの対応が可能です。ただしUnityの方が対応プラットフォーム数で勝りますし、モバイルゲームへの対応に関してはUnityが優勢です。
2-2. グラフィックス性能
高精細なグラフィックを求めるのであれば、Unreal Engineが優勢です。Unityでも高品質のグラフィックを描くことはできますが、作業量が増えるため、慣れない人にとってのハードルが高くなりがちです。
2-3. プログラミング言語と学習のしやすさ
Unityはプログラミング言語としてC#を使っていますが、Unreal EngineはC++とブループリント(ビジュアルスクリプティング)を使っています。ブループリントは直感的な操作がしやすい特徴をもっており、エラーも少ないので、慣れない人にとって使いやすいなどメリットが豊富です。
ただし、ゲームエンジンとしての学びやすさはUnityの方が上とされています。これは、Unityはシェアが大きいため日本語の情報も多く、結果的に日本人にも学習しやすいからです。Unreal Engineも情報は豊富にありますが、比較すると英語の情報が多めです。そのため、英文の読み取りに自信がある人以外には、Unityの方が学びやすいでしょう。
2-4. エディタの使い勝手と軽さ
Unityはエディタが軽いため、PCのスペックが低めでもストレスなく使用できるメリットがあります。また、構成がシンプルで直感的操作が可能なので、初級者でも使いやすいと評価する人が多いです。
一方のUnreal Engineは高機能で、ハイクラスのゲーム開発に適しているとされています。左記は優れた特徴である反面、初級者にとっては難しいと感じられがちです。また、高機能であることは容量の大きさに繋がるため、PCスペックが低いと動作の重さがストレスになります。
これらの点から、初級者やハードウェア環境が低めな場合にはUnityが向いていますが、熟練者やハードウェアに費用をかけられる環境下であれば、Unreal Engineのハイスペックさが生かしやすいでしょう。
2-5. 料金とライセンス
Unityは2025年1月1日付けで料金変更を行っており、Unity Personalは年間の総収益と資金調達額が20万米ドル(1ドル150円換算で3,000万円)までであれば無料で利用できます。
年間の総収益と資金調達額が20万米ドルを超えている場合、Unity Personalは使用できず、Unity Proの利用が必須、年間の総収益と資金調達額が2,500万米ドル(1ドル150円換算で37億5,000万円)以上の場合Unity Enterpriseしか使用できません。
Unity Proの料金は1シートあたり2,200米ドル(1ドル150円換算で33万円)、Unity Enterpriseはカスタム料金です。
Unreal Engineは2024年3月に料金変更を行っていますが、2025年5月現在は「学生、教育者、アマチュア デベロッパー、ゲーム デベロッパー以外の年間総収益が 100 万ドル(1ドル150円換算で1億5,000万円)に満たないほとんどの企業では無料で使用することができます」と公式サイトで発表しています。
またゲームデベロッパーの場合、「製品からのライフタイム総収益が 100 万米ドルを超える際は 5% のロイヤリティを支払う必要があります」としているので、個人の開発者や小規模な企業であれば、UnityもUnreal Engineも無料利用が可能です。
ただし料金体系は時折変更されるため、導入の際には各社の公式サイトで確認してください。
3. 開発規模や目的別の向き・不向き
ここでは、開発規模や目的の観点からUnityとUnreal Engineを比較します。
3-1. 個人開発・インディーゲーム
UnityもUnreal Engineも個人開発・インディーゲームの両方に利用できます。ただし、向き不向きを見ると、Unityは学習コストが低く、アセット(ゲーム制作で使用する素材など)が豊富です。
一方、Unreal Engineはグラフィックの美しさが特徴的で、3Dゲームに挑戦したい人向けの側面が強いです。
これらを総合すると、個人開発やインディーゲームしか選択肢がない場合、Unityがおすすめです。
3-2. 商用ゲーム・大規模開発
商用ゲームやAAAクラスの大規模開発の場合、UnityよりUnreal Engineが向いています。これは、Unreal Engineのグラフィック力が圧倒的に高いこと、容量が大きなゲームでもパフォーマンスが落ちにくいこと、PCやコンシューマー機に対しての相性が良いことなどの特徴があるからです。
ただし、アセット管理やカスタマイズ性に関してUnityには優れた面がありますし、モバイルゲームはUnityが有利という条件もあるため、目的やケースを踏まえた選択をおすすめします。
4. UnityとUnreal Engineを比較する上で知っておきたい要素
ここでは、UnityとUnreal Engineを比較する際に知っておくと便利な要素を紹介します。
4-1. 学習リソースとコミュニティの充実度
Unityは操作方法の学習などに関して日本語のコンテンツや教材が豊富なので、日本人にとって導入しやすいことを特徴としています。一方、Unreal Engineは公式情報が充実していますが、日本語化はUnityほど進んでいません。
近年は翻訳アプリも発達しているので、一般的な文章ならさほど困らず意味を汲み取れますが、専門用語が多い文章の場合、翻訳アプリでは正確な理解が困難になりがちです。また、コミュニティに関してもUnityの方が日本語情報を得やすいので、学びやすさではUnreal Engineが劣ります。
4-2. アセットと拡張性
アセット(ゲーム開発で使用する素材)はUnityが豊富とする意見が多いです。特にUnityは2D向けのアセットが充実していますし、簡易的なゲームであればアセットを利用してプロトタイプを作ることも可能です。
UnityとUnreal Engine間では共有できるアセットも多数あります。ただし、UnityのアセットはUnreal Engineに移動しやすいことに対して、Unreal EngineからUnityへの移動は手間が多いので、アセットの充実度ではUnityが優れています。
一方エディタの機能については、Unreal Engineは初期状態で機能が多く、Unityは少なめです。ただし、Unityは拡張していくことで機能が豊富になります。そのため、「拡張性はUnityが高い」と評価する人がいる反面、「Unityは拡張しないと機能が少ないので面倒」と考える人もいます。
4-3. 将来性とトレンド
UnityとUnreal Engineはどちらも高いシェアをもっていますし、それぞれ特徴が異なるため、近い将来に需要がどちらか一方に片寄ることはないでしょう。
Unityは軽量性において優秀で、XR開発やモバイル分野において高い需要をもっています。また、低スペックのPCで使用しやすいので、ハードウェア環境に費用をかけにくい開発者の需要も無視できません。
一方、Unreal Engineは映像制作の優位性が高く、PCゲームやコンシューマー機向けゲームの分野で重宝されています。さらに、建築ビジュアライゼーションや映画、アニメーションなど活用範囲が広い点でも、Unityとの差別化ができています。
5. Unityがおすすめなジャンル
この項目では、Unityで開発することに適したジャンルを紹介します。
5-1. 2Dゲーム
Unityは2D関連のアセットが豊富な点でUnreal Engineより優れています。Unreal Engineで2Dゲームができないわけではありませんが、「2DゲームならUnity」と断言する人もいるほど強みが明確です。
5-2. スマートフォン向けゲーム
UnityはUnreal Engineより歴史が新しく、2005年にリリースされて以降、同時期に普及したスマートフォンに合わせて、2Dゲームに特化した機能を強化してきました。このため、スマートフォン向けのゲーム開発に関してはUnityが向いています。
5-3. 軽量なアプリ・教材
Unityはエディタが軽いですし、容量が小さいアプリの開発に適しています。また、コーディング不要で簡易なアプリを作成できるため、軽量なアプリ向けにはUnityがおすすめです。
6. Unreal Engineがおすすめなジャンル
ここではUnreal Engineが適しているジャンルを紹介します。
6-1. FPS・RPGなどグラフィック重視のゲーム
Unreal Engineはリアルさや精巧なグラフィックを得意としているので、FPSや本格RPGの開発に向いています。また、PC向け、コンシューマー機向けゲームとの相性も良く、この分野ではUnityを圧倒します。
6-2. VR/AR・メタバース系コンテンツ
Unityが大容量のゲームに向いていない一方で、Unreal Engineは容量が大きくても良好なパフォーマンスで処理できます。そのため、VRやAR、メタバースなどの分野であれば、Unreal Engineをおすすめします。
7. まとめ
二大ゲームエンジンと言われるUnityとUnreal Engineについて、それぞれの特徴や適したジャンルなどをまとめました。
UnityとUnreal Engineにはそれぞれ異なる特徴があるため、一概にどちらが良いと言い切ることはできません。ただしそれぞれの向き不向きは明確なので、用途がはっきりしていれば選択も容易です。これからゲームエンジンを選ぶのであれば、ぜひこのコラムを参考にして、失敗しないように選択を進めてください。
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