マルチデバイス&グローバル展開! 日本のゲーム業界から世界に切り込むエイチーム!!

総合IT企業としてインターネットを軸に多様な事業を展開している株式会社エイチーム。

エンターテインメント事業では全世界に向けてゲーム開発・運営を行っています。

今回は、同社取締役でエンターテインメント事業本部長の中内之公氏にエイチームで働くやりがいや魅力、今後の展望についてお話をうかがいました。

 

安定した事業基盤とプロフェッショナルなチームがエイチームの強み

 

――最初に中内さんの経歴を教えて下さい。

 

大学生時代にいろいろな経験を積もうと思い、デザイナーとしてゲーム会社へ入社したことが、ゲーム業界に携わる最初のきっかけでした。

 

大学卒業後は、フリーランスでプロデューサーやディレクターをしていたのですが、30歳の節目を前にIT企業に就職をし、インターネットを通じたエンターテインメントの企画に従事しました。

2005年当時は韓国のオンラインゲームが日本でヒットし始めたころでした。

チャンスと考え、韓国のゲーム会社とライセンス契約をし、ローカライズして日本国内で提供していました。

 

当時のゲームのマネタイズは、月額制の時代でした。

無料期間が終わり、月額の有料制へ変わると、多くのユーザーが去ってしまうため、規模によってはなかなか利益が出ない状況でした。

一方の韓国では無料で遊べるゲームが出始めていました。

日本ではポータルサイトを運営している一部の会社以外で、ゲーム単体で正式サービスを無料で提供している会社は少なかったと思います。

 

そこで、日本のゲーム業界では珍しかった「基本プレイ無料」のゲームを、私が担当するプロジェクトに導入しました。

ユーザーが離れないことが最優先と思った判断でしたが、軌道に乗りました。

その後は、ゲーム業界が一気に基本料の無料化に進んでいきましたね。

 

この経験でビジネスモデルの重要性に気づき、良いものを作るという視点だけでなく、売れる仕組みを考えるという視点の両方が大事なんだと考えるようになりました。

 

――エイチームに入ってからはどんなことをされていらっしゃるのでしょうか。

 

私が入社した2009年頃のエイチームでは、フィーチャーフォン向けのゲームを開発していました。

マーケットの成熟に伴い、新規ゲームではなかなか収益を上げづらくなってきていました。

そこで思い切って、スマートフォン向けのゲーム開発に転換することを決めまた。

 

スマートフォンの素晴らしい点は、ネイティブゲームの開発ができることです。

世界への配信もシンプルです。

管理画面から、チェックを付けてボタンを押すだけで全世界へ配信できます。

日本国内だけでなく全世界に配信することで、より多くのユーザーにゲームを届けることができます。

エイチームのゲームファンが増えれば、会社や事業の成長にもつながります。

 

エイチームが初めて世界に向けて配信したスマートフォン向けゲームは、『ダークサマナー』です。

エイチーム初の海外版は英語版でリリースすることを決めました。

当時人気だった日本のカードバトルゲームを欧米のユーザーが好むテイストや世界観にして提供しました。

これがアメリカでセールスランキング1位を獲得するヒット作となりました。

『ダークサマナー』のヒットは、ゲームのグローバル配信に手ごたえを感じたきっかけになりましたね。

 

 

――エイチームはMMO含めRPGを多く手掛けていますが、中内さんの過去の経験が生きているのですね。

 

エイチームはフィーチャーフォンで最初にMMORPG(※1)を開発した会社なので、そこの相性も良かったのではないでしょうか。

やりたいことを実現しやすい環境もあったと思います。

 

※1 MMORPG :Massively Multiplayer Online Role-Playing Gameの略

 

――エイチームの強みや、こだわりについて教えて下さい。

 

エイチームはもともとソフトウェアを受託で作っていた会社です。

受託開発だけでは成長に限界があり、自分たちのサービスが広がっていくイメージを持てませんでした。

そこで、オリジナルゲームの開発に着手し始めたわけです。

その後フィーチャーフォンで国内初のMMORPGとしてリリースしたゲームが『エターナルゾーン』でした。

このゲームのリリースは、エイチームにとって大きな成長になりました。

ただ、ゲームをはじめとするエンタメ系コンテンツは、必ずヒットするとは限りませんので、ゲームのみの事業では会社の継続的な安定成長は望めません。

 

そのため、安定・継続的に売上を伸ばし続けることができるサービスとして、引越しや中古車の比較サイトなどのWEBサービスの開発・運営を始めました。

いまでは、運営しているサービスの数も規模も拡大していますが、サービス開始からの数年間はしばらく利益が立ちませんでした。

少しずつ利用者数が増え、売上が拡大していき、現在ではグループ全体の売上の半分以上がゲーム以外の事業となっています。

 

特性の異なる多様な事業を同時に手掛けることで、経営の安定性と高い成長性を実現できる事業戦略があるからこそ、エンターテインメント事業も思い切った挑戦ができると思っています。

 

――いまのご時世、ひとつのゲームで会社の経営が左右されるという企業も多いのではないでしょうか。

 

ゲームをヒットさせるという目標はどの会社も同じだと思いますが、この成熟期のスマートフォンゲームマーケットの状況では、利益を早く出すために短期間で開発を進めていくのではなく、ある程度の時間をかけてでもマーケットを正しく分析して、未来を見据えた戦略を取って行くことが重要だと思います。

 

――グローバル戦略の部分で、言語はどうされているのでしょうか?

 

多言語版をリリースすることもありますし、日本語版のままリリースすることもあります。

例えば台湾では、日本語でプレイしてくれるユーザーも結構います。

配信先の地域の特性や文化によって変えています。

 

――移植チームのコストが掛かったり、ローカライズで苦戦する企業が多い印象ですが、エイチームはいかがでしょうか。

 

エイチームではグローバル展開のための移植専門のチームはなく、各プロジェクトの開発チームが初めから多言語対応で開発しています。

多言語版でのゲーム内イベントも、各プロジェクトの開発チームが担当しています。

 

言語のクオリティ管理は、各言語のネイティブスタッフが担当しています。

言語のチェックや画像と文字のマッチング、現地の人から見ても違和感がない内容になっているか、厳しいクオリティ管理をしてくれています。

 

――現在、海外での売上が全体の30%程度とうかがっています。

 

今後、さらに伸ばしていきます。

まずは海外売上を50%に引き伸ばしていきたいですね。

 

 

――エイチームでのチームの組み方について教えて下さい。

 

エンターテインメント事業では、タイトルごとのプロジェクト制を取っています。

新規ゲームを開発する際も、まずは新たなプロジェクトを立ち上げて、それを実現できそうなスタッフを招集して新しいチームを作ります。

 

ひとつのプロジェクトを開発から運営まで全うするためのスペシャルチームを編成する、という考え方です。

そのため配属希望のアンケートは年2回の頻度で実施しています。

 

――2回も!

 

そうです。

異動の希望を出したスタッフとは一人ひとり面談を実施します。

それぞれのスタッフに適した異動先やポジションを決めています。

 

クリエイターのキャリアステップは、自分で考えることができる組織になっていますし、職種に関係なく、それぞれの専門性を活かしながら、意見交換やアイデアを出しえる環境だと思います。

 

――その組織作りが、やりがいに繋がっているし、強いチームができているのですね。

 

少しずつ強い組織になってきていますが、まだ課題もあります。

これからもっと育成に力を入れていかないといけないと思っています。

 

ソーシャルゲームの開発はどうしてもタスクが細分化される傾向があります。

「ガチャの担当をしていました」とか、「ゲームバランスをやっていました」とか。

そうしたスタッフが企画書を書いたことがあるかというと、ない人も多くいます。

自分たちで企画を考えて、要件定義をして、企画者になれるように、順番に様々な経験をさせてあげないといけないと思っています。

 

これからのソーシャルゲームはガチャモデルだけではなく、マンスリーパスや部分課金が増えていくと考えています。

 

日本のモバイルゲームでは極端にガチャモデルに振り切っているものが多いですが、本来のオンラインゲームの課金モデルに立ち返るということです。

実際に世界的にはその傾向が強いです。

ガチャモデルとは違い、世界観やキャラなどのクリエイターのこだわりや、新しい驚きを感じることが、ユーザーにとってゲームを続けるモチベーションになります。

 

つまり、より創造性のある企画が必要になるわけです。

その場として、若いスタッフが企画に携わるきっかけを作っていこうとしています。

 

世界への突破口を開く!

 

――会社に欲しい人材というのは、どういう人でしょうか。

 

基本的には素直で積極的な人がいいですね。

あとエイチームの特徴はグローバル展開なので、そこを面白がって挑戦できる人がいいですね。

 

エイチームはグローバル市場での成功体験を積んできているので、開発の途中で「なぜ英語版をやるんですか?」という議論はまず出ません。

 

ただ、新しい言語で出すことになった時に、「なぜこの言語でやるのか?」という話し合いはあります。

新たな言語で出す理由はその言語圏にマーケットがあるからです。

どの言語においても、ゲームをリリースして新たなファンを増やし、売上を伸ばして利益を出すという基本は同じです。

 

海外のいろいろな言語圏のユーザーにゲームをプレイしてもらえることを面白いと思える人、挑戦したい人が合っていると思います。

 

――変化を楽しめる人が向いているんですね。

 

いまのスマートフォンゲームは、日本向けのゲームが世界でヒットしづらい現状です。

リアリスティックな表現やテーマがわかりやすいものがヒットしているくらいでしょうか。

 

この傾向はさらに強まっていくと考えられます。

理由は海外企業が日本企業以上にユニークだったり、品質の高いものを提供しているためです。

日本でスマートフォンゲーム開発に携わっている方の中には、「海外企業のハイクオリティ化についていかなくてもいい」という人もいます。

 

「すぐに限界が来る」と。

 

これは、日本のコンシューマゲーム業界が、ハリウッド映画型のFPSやオープンワールドのゲームを作る欧米のゲーム会社に席巻された時と同じ流れだと感じています。

 

当時は日本のゲーム品質が群を抜いていたので注目されていましたが、気付けば追い越されていました。

 

だからこそ、私はいま、挑戦する時なんだと思います。

家庭用ゲーム機も、PCのデジタル配信プラットフォームもグローバル規模では伸びています。

そこで、ひとつのゲームタイトルをマルチデバイスでグローバル配信することに挑戦します。

 

UnityもUnreal Engineも、どちらもスムーズにマルチデバイスに対応できるようになっていますし、スマートフォンゲームも昔に比べてリッチ化していますしね。

 

 

――ゲーム業界のビジョンについても聞かせて下さい。

 

やっぱり日本に頑張って欲しいですね。

正確にはわかりませんが、いま世界のゲームマーケットの半分はスマートフォン、半分はPCとコンソールでしょうか。

日本だと伸びている印象はありませんが、それは人口が減っているからで、グローバルでは伸びています。

まだチャンスのある業界なので、市場にしっかりと向き合っていきたいと思っています。

 

以前、『ダークサマナー』を作った時は、欧米ユーザーに向けた視点で作りました。

欧米の担当者とも定期的にディスカッションして、世界観やアートをできるだけ欧米の嗜好性に合わせて開発をしました。

 

もう一度その考えに立ち返り、グローバルでヒットするゲームを考え開発しなければいけないと思っています。

もちろんそれは誰もができることではありませんし、当時とは状況が違うので、参考とする指標もありません。

 

それでもいまエイチームのエンターテインメント事業では、「IP」×「Global」×「マルチデバイス」という戦略を掲げて挑戦していこうとしています。

 

――いまエイチームに入れば、その戦略に沿ったゲームの開発に携われるということですね。

 

エイチームでも、コンシューマゲームの制作をされていた方がこれまで以上にスマートフォンゲーム制作に挑戦しやすい環境になると思います。

コンシューマオンラインの経験者にもっと来て欲しいですし、スマートフォンでグローバルに挑戦したい人にも来て欲しいです。

 

一緒に、世界への突破口を開きましょう。

 

――最後に、読者へのメッセージをお願いします。

 

我々は日本からグローバルへ、全デバイスでヒットを狙いに行きます。

それに賛同できる人は一緒にチャレンジしましょう。

 

また、既に運営しているゲームも長期化してきているので、これまで以上にユーザーに寄り添った運営をしていきたいと思っています。

 

マネタイズも大事だけど、ファンの方にさらに長く遊んでいただけるようなアップデートをしていきたいと思っています。

ユーザーの反応を直接感じたいという人は、エイチームでいろいろ試行錯誤していただけると、楽しいのではないかと思います。

 

――ありがとうございました。

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