11学科40専攻のデザイン教育!東京デザイナー学院に、スキをシゴトにする教育内容について聞いてみました!

 

東京デザイナー学院は、1963年に誕生して以来、11学科40専攻の多彩なカリキュラムでデザイン教育に取り組むデザイン総合校です。積極的な課外活動や産学協同プロジェクトにも取り組んでおり、デザインを武器に社会とかかわれる人材を育成し続けています。
今回は学校長である白木伸吾さんに、東京デザイナー学院ならではの魅力や、他校ではなかなか見られない特徴的な入学制度などについて詳しくお伺いしました!

長い歴史と多数の学科、専攻を持つデザイン総合校

――まずは、白木様につきまして簡単な自己紹介からお願いいたします。

 

東京デザイナー学院で学校長を務めております、白木伸吾です。
教育現場に携わりたいという思いがあり、本校で職務に当たっていました。
元々は映像デザイン学科の学科長で、2019年に副校長、2020年から学校長に就かせて頂いております。

 

――東京デザイナー学院の簡単な紹介をお願いします。

 

本校は、1963年に創立したデザインの総合校で、デザイン分野の専門学校としては長い歴史を持つ学校の1つです。
現在は10学科36専攻ですが、2021年度からは、11学科40専攻での展開となります。
教育理念は、依頼を受けて制作を行うだけでなく、自分で考えてモノづくりができるデザイナーを育てることとしています。

 

情報化社会となった現在、スキルだけで業界への飛び込むことは難しいですし、スキルを養うだけならばネットやYou Tubeで学ぶことができます。
本校では、スキルそのものだけでなくユーザーへの作品の魅せ方、マーケティングの方法といった身に着けたスキルの活用方法も指導していきたいと考えています。
どの学科においても学生が入学する理由の中に“好きなことだから”、“興味があることだから”という思いがありますので、“好きなことを仕事にする”という視点からカリキュラムを組み立てています。

 

 

――学科数が非常に多いですね。

 

一言にデザインといっても、イラストや映像、建築、服飾など多岐にわたりますからね(笑)。
本校は3校舎から成り立っており、今回インタビューでお越しいただいたお茶の水本校舎では、イラストレーション学科、映像デザイン学科、インテリアデザイン学科、建築デザイン学科を展開しています。

 

2つ目の校舎である西神田校舎はお茶の水本校舎から5分程度の距離で、グラフィックデザイン学科、プロダクトデザイン学科、ファッション・メイク学科があります。
なお、2021年度からフィギュアデザイン学科を新設し、2022年度からはファッション・メイク学科がファッションデザイン学科に名称変更となります。

 

3つ目の神保町マンガスタジオもお茶の水本校舎から5分程度の距離で、こちらにはマンガ学科とコミックイラスト学科があります。
その他にも1年制コースとして、デザイン研究学科が存在します。
こちらはすでにある程度デザインに関する勉強を行っている人に向けたコースで、長い期間通うことが難しい社会人や、すでに他の専門学校で勉強しており、より知識や技術を深めたい人を想定しています。
基本的には、未経験者や高校を卒業したタイミングの方は全員が2年制コースになります。

 

 

必要な知識があれば横断的に学べるデザイン総合校ならではの強み

――東京デザイナー学院の学科について詳しくお聞かせいただければと思います。

 

今回は、ゲーム業界にある程度特化した形で話を進めさせていただければと思います。
前述した通り、本校には多彩な学科が存在していますが、これはデザイン総合校としての強みだと考えています。
近年では、専門学校で単科校テーマ校のような1つの分野に特化した学校が増えてきました。
事実、本校にもゲームやアニメに特化した姉妹校“専門学校 東京クールジャパン”があります。

 

しかし、入学する生徒の中には、ゲームやアニメ業界に興味があるものの進路としてそこだけを目指している訳ではない人もいます。
例えば、イラストレーション学科の中にあるゲームイラスト専攻の場合、“絵を描くことが好きで、就職先の1つとしてゲーム業界に興味がある”という理由で入学する生徒もいます。
また、さまざまな学科や専攻がありますが、あくまで学校側が教育するうえで分類しているのであって、学習内容が必ずしも業界が求めているものと一致するわけではありません。
例えばゲームのキャラクターデザインの仕事の場合、企業によっては2Dイラストだけでなく、世界観の設定やアニメーション、3Dの技術を求められることもあります。

 

そこで総合校の強みとして、本校では学科をまたいでの選択授業を受けることが出来ます。目標とする業界や企業に必要な授業を受けることで、自身が目指す業界により近いスタイルで学習することが出来ます。
一見してまったく関係ないような学科の授業でも、意義があると感じたら受講できるという点は、単科校やテーマ校ではあまり見られない強みだと思います。

 

 

〇実際のカリキュラム例

 

――授業においてはどのような部分に重きを置いていますか?

 

本校は専門学校ということもあり、授業は実技中心です。
デジタル化が進んだ現在でも、キャラクターデザインやモデラーの仕事ではデッサンを重要視する企業は多いので、デッサンは必修だけでなく選択授業でも受講できるようにしています。
ツールを使うのは人ですから、職種にもよりますが画力やモノをとらえる力が重要になります。
ただイラストを描くことができる、映像を作ることができるというレベルを目標とするのではなく、イラストならどのようにして世界観を落とし込むか、映像ならどう魅せるかといったことを教えていきます。

 

――AO入学について他の学校と異なる制度を導入しているとのことですが、詳しくお聞かせいただけますか?

 

入学する前年の6月から”AOプレスクール”という名称で入学前授業を受けることが出来る「AO2.5年」という教育制度があります。
これにより本校におけるAO入学内定者は、他の入学方法での入学者よりも早くから学校での勉強に取り組めます。

 

これは、入学前の学生から“初心者でも授業についていけるのか”、“友だちを作れるか心配”という声が多かったことから行っているものです。

 

他の学校にも当てはまると思いますが、授業についていけるのかという質問は特に難しい部分で、学校側はそのための取り組みをしていますし、大丈夫と言うほかありません。
しかし、初心者の捉え方は人によって異なりますから、認識のズレによって不幸な結果となることも少なくありません。
せっかく好きなものを仕事にしたいと思って入学するのに挫折してしまうのは望ましくないですから、早期に進路を決めるのであれば入学までの間に勉強を始めてしまおうというわけです。
もちろん、4月の入学後も基礎分野の学習は行います。
入学前に授業内容もわかるので、イメージと現実のずれも起こりにくくなっており、本校の強みになっていると思います。基本的にはAO制度を利用する生徒全員が対象で、入学する生徒の8割は本制度を利用します。

 

本校への入学は、大抵の場合においてこれまで学んできた分野の延長線上ではなく、新しい分野にチャレンジすることを意味しますから、AO入試において筆記試験や実技試験はありません。
しかし、授業以上のことに取り組めるか、例えば好きなことであれば学校における学習時間以外でも作品作りを行えるようなモチベーションを持つことができるかという部分を見るための面談は行っています。

 

〇AOプレスクールについて

 

――今後取り入れたいカリキュラムなどはありますか?

 

新型コロナウイルスの影響で今後業界に大きな変化があると考えており、業界へのヒアリングを行っています。
これまでの当たり前が通用しなくなる。業界も大きな転換期かもしれませんから、職員も今ある常識や業界が求める人物像の変化に対して柔軟に対応していく必要があると思っています。
例えばリモート面接では、ツールの使い方だけを見るわけではありませんが、順応能力として見られたりもするようです。
また、ゲーム業界の業務がリモートになってきていることも卒業生から聞いています。
新型コロナウイルスの影響が続けばリモートでのグループ制作が中心になりますし、そもそもリモートでのコミュニケーションは対面より難しいですから、リモートでのコミュニケーション能力は今後重要になるかもしれません。

 

企業の働き方が変わっているのですから、求められる素養や人材像も変わりますし、当然我々も意識を変える必要があります。
もちろん、実際に対面してコミュニケーションや制作を行うことにも確かな魅力がありますから、バランスを取りつつカリキュラムを組み立てていきたいですね。

 

――産学共同プロジェクトについてもお聞きできればと思います。

 

一例としては、海外で展開しているトレーディングカード(TCG)を取り扱うEYE SPY PRODUCTIONS PTE.LTD様との取り組みがあります。こちらは、コンペティション形式で作品を添削してもらって、実際に商品化されることもある取り組みで、グローバルな要素も含まれています。外部の企業様に見てもらうことで、自分のスキルがわかるというメリットがあり、授業の中に組み込んで企業に見てもらうこともあります。

 

また、姉妹校が大阪、名古屋、九州にあるので、地区をまたいで同じデザイン系統でのコンペティションも将来的には行っていく予定です。
その他には、直接案件を請け負ったり、サイバーコネクトツー様のような企業に来ていただいて批評していただいたりすることもあります。

 

 

〇様々な企業との産学協同プロジェクト

重要なのは能力の有無ではなく、好きなことを頑張る意志力

――東京デザイナー学院にはどのような生徒が入学しますか?

 

男女比としては、男性が47%、女性が53%で、イラスト系は女性が、映像系は男性が比較的多いです。
生徒の層としては高校卒業時での入学が多いですが、他にも留学生、近年では社会人や既卒の方も増えています。

 

入学の理由としては、業界に直結している学科をまたいで選択授業を受けられるという点が入学の決め手となった人が多いようです。
生徒の中には、やりたいことはあるものの上手くいかなかった時のことを不安に思う人も多いです。
そのような時、同じデザインの分野の中でも選択肢がある本校のカリキュラムは非常に心強いようです。
実際に、学習を進めていく中で進路が変わっていく生徒もいます。

 

分野によりますが、イラスト系では美術予備校に通っているほどのレベルの子は少なく、独学で絵を描いていたという生徒は多いです。
映像分野に関しては、ツールを使っているレベルですが、イラストと比較すると趣味で制作していく中で目指そうと考える生徒が多いです。
主に、趣味でアニメーションやCGを作ったり、ゲームやMVを見て自分でも作りたいという思いから始めてみたりするケースが来るようです。現在では、そういった意味ではアプリの普及など敷居がかなり低くなってきています。
とはいえ、全体の割合としてはツールの名前がわかるくらいの完全な初心者が一番多いです。

 

入学前の経験値は、あればあるほど有利とは一概にいいがたい部分です。
美大に通っていた生徒ならスタートラインでの画力は高いですが、その後吸収力がある初心者に抜かれるというケースもあります。
重要なのは経験値より意志力だと思います。
自分にどれだけ経験値があるかということよりも、好きなことを仕事にしたいという思いの強さや好きなことに妥協せず努力できるか、チャレンジできるかという部分が重要です。
この部分は必ず入学前に聞くことでもありますし、生徒に対して望んでいる要素でもあります。

 

生徒に対しては、AOプレスクールを含めた本校の2.5年間を楽しんで勉強してほしいという思いがあります。キャンパスライフを娯楽としてのみ楽しむのではなく、好きなことを勉強して楽しみ、それを仕事につなげていってほしいです。
本校にあるイベントは基本的に教育の側面を持っており、学園祭も作品の展示や販売を行う仕事に絡めた内容となっています。
当校の雰囲気は非常にアットホームな環境で教育を行っていますので、好きなことなら続けられるという人こそ入学してほしいと考えています。

 

 

〇実際の学園祭の様子

 

――就職サポート制度は、どのような内容となっていますか?

 

デザイン業界の各種情報をそろえたキャリアサポートセンターがあります。
勉強だけ教えて就職活動は自分で頑張ってというスタンスでは厳しすぎますからね(笑)。
ここでは履歴書の書き方や面接のアドバイスの他、企業ごとにどのような人材を求めているかという部分も指導しています。
企業が求める人材をもっとも理解している場所なので、社会的なマナーなどに限らず、どのような作品をポートフォリオに入れておくべきかといったところまでサポートしています。

 

――卒業生の進路についてもお聞きしたく思います。

 

ゲーム業界の部分では、イラストレーション学科、コミックイラスト学科、映像デザイン学科の生徒が興味を示す割合が多いです。
実際に本校の学生でゲーム業界に進む人は多く、主にイラスト・映像、デザイン系の学科から、今年も大手企業含め多くの内定を頂いております。

 

余談ではありますが、就職活動のポートフォリオ制作において葛藤する生徒は多いです。
アピールしたい自分の世界観と、企業が求める要素のどちらを作品に入れるべきかで葛藤するケースがあります。
どちらが正解ということではなく、指示を正しくこなすならば個性を抑える必要性も生まれますし、自分で世界観や設定から考えて作品を作るのであれば、個性やクリエイティブな力が必要となりますので、どちらも大事な要素となります。

 

〇イラストレーション学科卒業制作作品

 

〇映像デザイン学科卒業制作作品

 

――活躍する卒業生について共通点はありますか?

 

好きなことを頑張ることができる、目標の実現のために継続して努力できるという部分です。
ある大手企業に就職した生徒は、業界人は仕事として1日最低8時間ゲーム制作をしているのだから、自分も授業時間を含めて8時間以上制作できなければ差は縮まらないと考えて、日頃から意識して取り組んでいました。

 

――ゲーム業界で活躍するクリエイターに求められるものはどのようなものだと思いますか?

 

企業様の話としては、ツールにはあまりこだわっておらず、そのツールで何を表現したいか、どのようなビジョンで制作するか、作品を見た時に思いが反映されているかを見ているとのことです。
また、個人の能力があってこそではありますが、現場はチーム制作となるので、コミュニケーション力も重要視しているようです。
これは人と楽しく話すということではなく、部署ごとの連携や説得力のようなプロジェクト推進の上でのコミュニケーション力です。

 

――入学を検討している読者へメッセージをお願いします。

 

能力の有無より好きなことを頑張れる人に入学してほしいという点は前述したとおりです。
そして、入学してくれたからには、好きなことで仕事に携われるように、我々が育てていくことが学校の使命と考えています。

入学促進の取り組みについては、広い世界を知ってほしいという思いがあります。
社会に出ていないのだから当然ではありますが、自分の中での世界しか知らない生徒は沢山います。
まずは、オープンキャンパスや業界で活躍する人たちの講演、ライブ配信などで目指す業界の高みを知ってほしいと思います。
そして、高みが分かれば目標が生まれます。今度はそれを目指し、モチベーションを持って取り組んでほしいと思います。
本校にはAOプレスクールのような、思い立ったらすぐに行動できるような制度がありますから、是非チャレンジして頂きたいです。

 

――クリエイターを目指す読者に向けたメッセージをお願いします。

 

ゲームに携わりたい、イラストを描きたい、デザインしたい、映像を作りたいといった、好きなことの業界に携わりたいのであればぜひチャレンジしてほしいと思います。
興味があっても始める前から諦めてしまう人もいる中で、まずは目指してみないことには絶対に実現できません。
それに、仮にチャレンジが失敗したとしても、就職する中で意外な形で“好きなことを仕事にする”ということは起こりうるものです。
一度きりの人生だからこそ、好きなことがあり、それを頑張る意志があるならば、ぜひ一歩を踏み出す勇気をもってほしいと思います。それが日々の活力となり、自らの可能性を広げていくことにつながっています。

 

――ありがとうございました。